【お試し連載】フューチャーカードバディファイト ~炎の剣士の輝跡~   作:巻波 彩灯

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 皆さん、どうも何故か増える文字量に泣いている巻波です。放っておくと1万字は当たり前に越えてしまいます。長いのが苦手だったり、嫌いな方には申し訳ないです……。
 それにしても前の話からもう2ヶ月ぐらい経ちましたね。半年に1回の更新ペースになるのも待ったなしの予感()。簡潔に言いますと更新が遅くて、本当にすみませんでした!
 
 あ、話が変わるのですがガルパ!がプロ野球のパ・リーグとコラボするという情報を公式サイトで見てライオンズファンの巻波はかなりテンションが上がっています!
 うわー8月16日のホーム試合見に行きたいよ~! お金が無いよ~! そもそもその日は行けないよ~! という状態で荒れ狂っていますが……。
 その前に、8月1日が……千歌ちゃんと一緒に描くデジモンはアグモンかブイモンどっちにしよう……。あ、ちなみにこれについて意見がある方はメッセージの方へお願いします。

 後、ついでにプロフィールを……。ぶっちゃけ、流して本編へ行っても構いませんよ?
日向 剛志(ひゅうが つよし)/男性/16歳/高1
使用フラッグ:エンシェントワールド/使用デッキ:怒羅魂頭/バディ:魔愚那無竜王 リボルバー・ガロード
東京支部所属のバディポリスユース。空の兄。
容姿:黒い短髪で少しツンツンした様な髪型で力強い眉と鋭い目付きが特徴的。やや厳つい顔立ちをしている。服装は勤務中でも私服で活動しており、暗い赤の半袖ジャケットを羽織って中に黒いタンクトップを着ている。青いジーンズに少しくたびれたスニーカーを履いている。また腰にリボルバー型の拳銃を収めているホルスターを付けている。筋肉質な体付きだが身長は165cmと低い。
性格::豪快で無鉄砲な熱血漢で能筋。やる事成す事が豪快で常識外れな為、周りから避けらているがチームプレイもできる。頭の回転は早いが勉学はさっぱりで周りから馬鹿扱いされている。細かい事は気にしないさっぱりとした性分で正義感が強い。一人称は「ワシ」。話し方が独特で語尾に「~じゃ」だとか「じゃい」と付く事が多い。

 前置きが長くなってしまいましたね。では、また後書きでお会いしましょう。本編へどうぞ!


第4.5話:デート、そしてストーキング

 7月下旬、夏休みが目の前に見えてきた学生達は皆どこか浮かれている。

剛志「はぁ~……」

ガロード「どうしたんだよ? そんなシケた面しやがって、まさかこの間のデートが潰れた事をまだ気にしていやがったのかよ?」

剛志「違うわい。この間の一件は向こうが許してくれたし、夏休み入った直後にまた一緒に出かけてくれるって言うけえ、今から楽しみすぎてのう……」

ガロード「お前って、本当に単純だよな……」

 彼もまた浮かれていた。

 

 教室に入った剛志は金本と顔を合わすがいつもと少し違う景色に気付く。

剛志「ありゃ、土原はどこ行ったんじゃ?」

金本「それなら、響を呼びに行ったよ。ホント、土原の奴は響の事好きだよな」

剛志「ああ、そうじゃな」

土原「何か呼んだ?」

 噂をすれば土原が一人の男子生徒を連れて戻ってきた。その男子生徒は剛志は勿論、土原や金本よりも背が高い。それと少し体つきも良く短い髪を金色に染めその眼光はやや鋭い為か、かなり怖い見た目をしている。

金本「お前はまた響を呼びに行った事を話していたんだよ」

土原「だってぇ、ビッキーがまた曲作りに悩んでいるって聞いたからさぁ~」

金本「そうなのか、響?」

 金本は金髪の男子生徒に訊ねる。男子生徒もとい響はその外見と違えて人の良さそうの笑みを浮かべて話す。

響「まあ、確かに行き詰まっているな。でも、陽太郎が何かアイディアになるもんがあるって聞いて、こっちに来たんだ」

金本「そんなもんある訳……いや、あるな」

剛志「何じゃい、ワシを見て」

 剛志は金本や土原に視線を向けられて居心地悪そうにする。だが、響は良く分かっていない様だ。

響「剛志に何かあったのか?」

金本「ちょっと待て、ここ数週間あんなに浮かれていたのに何も無い訳ないだろ? つか、気付かなかったかよ!?」

響「ああ、全然気付かなかった。っで、何があったんだよ?」

土原「へへっ、じゃあビッキー聞いて驚け……何と剛志に彼女が出来たんだぜ!!」

剛志「じゃあぁぁぁ!! 違うわい! 友達じゃあ、友達!! 女子の友達じゃい!!」

土原「でも、その子の事が好きなんだろ?」

剛志「あっ……」

 肯定を示すかの様に剛志の顔はみるみる赤くなる。その様子に金本と土原は笑い出す。

土原「やっぱ、剛志は単純で分かりやすいなぁ~」

金本「本当に昔から変わってねえな、そういうところ」

剛志「じゃかましい!! 好きな子が出来て何が悪いんじゃい!!」

響「……それ、本当か? 剛志」

 響一人だけがこの状況に追い付いていない。

剛志「ああ、そうじゃ!」

 剛志は親友二人にからかわれた所為か、やけっぱちに言う。それを聞いた響は突然剛志の両肩を掴み、目の奥に強い輝きを見せる。

響「その話を詳しく聞かせてくれ! 何か曲のアイディアになりそうだ!!」

剛志「何でお前さんはいつも曲の事になるとそんなに暑苦しんじゃ!」

響「良いから、お前のその子への気持ちを聞かせろよ!」

 響の熱意に負け、剛志は渋々話す事に。隣で二人のやり取りを見ていた金本も響の熱意には苦笑い。

剛志「コホン……そ、その子とはちょっと訳あって、仲良くなったんじゃ。何と言うか桜みたい綺麗な子でな……笑顔がとびきり可愛くて綺麗で……」

響「よし、分かった! ありがとな、剛志! これで曲が書けそうだ!! じゃあな!」

剛志「ちょっ、お前さん、急展開過ぎじゃろ!?」

 剛志がそう言う頃には響は教室を出て行った。あまりの急展開に剛志は呆ける。

金本「いまいち、アイツのスイッチがどこにあるのか分からん」

土原「まあ、それがビッキーだからな。でも、オレはビッキーのそういうところ大好きだぜ!」

剛志「はぁ……ワシは何であそこまで恥ずかしい思いをして喋ったのか……疲れたわい」

 嵐が去った後は、ただ疲労と恥ずかしさがあるだけだった。

 

 そんな感じの朝が過ぎた後、剛志達はいつも通り授業を受ける。ただ、その途中で金本は半分ぐらい授業をサボって屋上で煙草を吸ったり、給水タンクの影を利用して昼寝をしたりとしていたが。

 ともあれ、何事もなく一日の授業が終わると生徒は家に帰ったり部活に向かったりして、人が少なくなっている。その中で剛志達は教室に残って喋っていた。

剛志「はあ~、ようやく帰れるわい」

土原「だな! あ、ビッキー誘って帰ろうぜ。ついでに金本も」

剛志「そうじゃな。……ん? 響は部活じゃないんかい?」

響「バンド仲間に追い出されたんだよ」

土原「おっ、ビッキー!」

 ギターケースを片手に響がやって来た。本来なら部活に行っているのだが彼が言った通りバンドから追い出された為、現在一人で活動している。

剛志「お前さんみたいな奴が追い出されるって、何が原因なんじゃ? 音楽の方向性の違いってじゃけえ?」

響「いや、それだったら良かったけどよ……同じバンドの女の子が泣いたから追い出された」

 響は納得出来ない顔で話しているが、剛志は察しが付いていた。

 響は外見が怖かったり音楽の事に関して少々逸脱しているところがあったりするが、基本的にはお人好し且つ穏やかな人柄で親しみやすい。ただ、恋愛事にとてつもなく疎く鈍感。

 それが原因で彼に好意を抱いた何人ものの女子を泣かせてきた。今回もその手の事だろう。

土原「剛志は分かっていると思うけどよ……また女の子を振ったんだぜ。しかも流石に今回のビッキーは酷かったぜ。あんな分かりやすい好意をさ、どう解釈したらああなるんだよ?」

 直接本人から話を聞いたらしい土原は頭を抱えていた。どうやら今回も響の鈍感ぶりが原因だった。

剛志「今回は何をやらかしたんじゃ?」

土原「ビッキーの事が好きだってストレートに言ったのに、ビッキーが勘違いして泣かせた」

響「あれって俺のギターの音が好きだって事じゃねえのかよ? 最近新調したばかりだから、音が合うか少し不安だっただけど」

土原「どこでそう解釈できるんだよ! ビッキーは少し音楽から離れろ! 後、女の子から告白されるなんて羨ましくてムカつく!」

剛志「最後に願望が出とるぞ。でも、ワシもそれは羨ましい限りじゃ!」

ガロード「おめぇはあの子がいるんだろ」

金本「何だか騒がしい事になってんな」

 金本が教室に現れた。かなり気だるそうな顔をしている。

土原「あ、金本! 聞いてくれよ、またビッキーが――」

 土原が金本に事情を軽く説明する。それを聞いている途中、金本はかなり苦い表情を浮かべていた。大方、予想は付いていた事だろう。

金本「ま、何言っても響は響だから仕方ないな。それで本当に女の子を泣かしたのか?」

 実際、泣かしたのなら追い出されて当然かもしれない。

響「いや、泣かしてはいないぜ。ただ、何かショック受けていたみたいだったけどよ」

金本「そりゃ、あんな話をされちゃな……」

 金本は呆れていた。剛志も土原も同様だ。と言っても、これ以上響を責めても仕方ないのでその話題はそこで止めて全員帰る事に。その時、剛志の端末から通知音が鳴る。相手は梨子からだ。

剛志「お、来たわい。……しゃあああああああ!!」

 内容を確認すると否や喜びの雄たけびとガッツポーズ。実に分かりやすい反応だ。

金本「うるせえな……」

 金本はあまりにの声の大きさに眉を顰める。ただ彼の反応からどういった内容のメールが来たのか読み取り、それ以上は何も言わなかった。

土原「ああ……とうとう剛志にも春が……オレにも来ねえかな」

 何も音沙汰が無い土原は嘆く。隣で響が慰めていたが逆効果だ。ますます拗ねていった。

 そんなこんなで男どもは寄り道をしながら帰宅した。

 

 数日後、剛志は朝から上機嫌で身支度を済ませる。彼が浮かれている理由は梨子から送られてきたメールに起因する。簡潔に言うとこの間ふいになってしまったデートのやり直しだ。だから、剛志はかなり浮かれている。

 その浮かれっぷりは妹の空とそのバディのアウラをドン引かせるには十分だった。ガロードに至ってはもう何も考えない様にしていた。

 そして、そのまま待ち合わせ場所へと愛車を走らせて行く、いや行こうとしたが思考停止状態から回復したガロードに止められその足で向かう。本人は若干不満そうだったが。

 待ち合わせの場所に着くとまだ梨子の姿がない。しかし、そんなに待つ間もなく彼女はすぐにやって来た。

梨子「ごめん、待ったかな?」

剛志「いや、ワシも今着いたとこじゃけえそんなに待っていないわい」

梨子「そっか。それは良かった」

 梨子が安心した様に微笑む。その笑顔で剛志は心臓の鼓動が早くなるのを感じた。

梨子「どうしたの、剛志君? 顔が少し赤いよ?」

剛志「いや、大丈夫じゃ。それよりも、さっさと映画館に行かないと席が取れなくなるわい」

梨子「うん、そうだね。じゃ、行こっか」

 二人は映画館に向けて歩き出した。付き合いたての恋人同士のかの様に。

 

 そんな二人を陰から見つめ追い掛ける者達がいた。いずれも高校生ぐらいの少年達だ。

高校生T「あれが剛志が惚れた女の子か……メチャクチャ可愛いじゃん! そりゃ、惚れない訳ないよな」

高校生K「ああ、そうだな。でも、俺はそれよりも早く帰りたいぜ……」

高校生T「ええ!? せっかく、剛志の彼女が見れるんだぜ? ここまで来たら追いかけるしかないでしょ!」

高校生K「そんぐらい、ほっとけよ。っておい!」

 一人の少年が剛志達の後を追い掛けに行った為、もう一人の少年も慌てて追い掛ける。理由は勿論その少年を止める為だ。

高校生H「付いて来たは良いものの、良く分かんねえな」

 先に行った少年達の背中を見て取り残された少年は呟く。いまいち、剛志達の関係にピンと来ていない様だ。ここまで来ると鈍感を通り越している気もする。

高校生H「しかしよ……あの剛志の隣にいた子って、中学生だよな?」

 

剛志(何か後ろにいよるわい……)

 後ろからの奇妙な視線に気付いた剛志は肩越しに後ろを見る。

 そこにはいつもの面子が建物の陰に隠れながら追い掛けて来ているのが見えた。本人達は隠れているつもりだろうがバレバレだ。

梨子「どうしたの?」

 剛志の視線に違和感を感じた梨子が聞いてくる。少し心配している顔だ。

剛志「何でもないわい、大丈夫じゃ」

 見知った人間が追い掛けているのが分かっているから、いつもと変わらない声音で話す。何かあったら、彼等の力を借りれるという安心感も手伝っているからでもある。

 梨子も彼の様子を見て不安がる事もなく先程まで話していた話題に会話を戻す。話していた話題は至ってシンプルに互いの好きな事や苦手な事についてだ。

梨子「剛志君が苦手な事って何?」

剛志「勉強じゃ。何喋ってんのか、さっぱし分からん」

梨子「あはは……何て言うか、剛志君らしいね?」

ガロード「無理してフォローする必要性はないぜ。そのまま馬鹿って言ったところで落ち込まないからな」

梨子「いや、それは流石に……」

剛志「わははは、ええんじゃそんな事言ってもワシは気にせん。梨子は優しいのう」

 豪快に笑い飛ばす剛志。あまり細かい事は気にしない彼らしいと言える。

梨子「う、うん」

 剛志に言われた事に照れて俯きがちではにかむ。面と向かって言われたのがとても恥ずかしかったのだろう。

剛志「そんいや、梨子の好きな事って何じゃ?」

梨子「え、私!? 私の好きな事は……絵を描いたり、ピアノを弾いたりする事かな」

ガロード「ほへ~、ぜってえ剛志には無い趣味だな」

剛志「じゃかましいわい」

 ちょくちょくガロードがちょっかいを出しては剛志はツッコミを入れる。梨子は彼等のやり取りが微笑ましく思った。

剛志「そうじゃ、今度梨子が描いた絵を見せてもらってええか? 無理には言わんわい」

梨子「そ、そんな私の絵はあまり上手じゃないよ? ……でも、剛志君に見せたい絵があるの。まだ描きかけだけど……」

剛志「そうかい。じゃあ、完成した時が楽しみじゃな!」

梨子「う、うん。ありがとう……」

 また梨子は俯きがちにはにかむ。剛志はそんな彼女を可愛いと思った。普段、彼の周りにはこんな反応をする女の子がいないから尚更に。

ガロード「お? そろそろ映画館が見えたぜ」

 ガロードの一言で二人は目の前を見る。目的の場所が見え、もうすぐ着きそうだ。

 

高校生T「真面目にムカつくな~、剛志だけ美味しい思いをしやがって……!」

 嫉妬の炎が激しく燃え盛っている。それには現在、自分には春が来ない事への怒りも混じっている。

高校生K「ったく、だから俺は反対したんだ。お前が損する事しかないだからってよ」

高校生T「うるせえ! これだから金本は……って、あれ!? ビッキーは!?」

金本「あ、響? 響なら……って、あっ」

 すぐ後ろにいた思っていたが遥か後ろに響の姿があった。どうやら老婆の荷物を運んであげている様だ。

金本「土原、俺も婆さんの荷物を運んで行くぜ」

土原「ちょっと待てぇ! お前、それを口実にして逃げるつもりだろ!?」

金本「……チッ」

土原「それならオレも一緒に行くぞ! それに大人数で運べば楽だしな!」

 その後、二人は響と合流して老婆の荷物を目的地まで運んで行った。そして、運び終わったら急いで剛志達を追い掛ける。

 剛志達の姿が見えた頃には二人が映画館に入って行っていた。だが、同時に良からぬ者達が映画館の出入り口に待ち伏せしているかの様に立っているのが見えた。

 土原達は知らないがこの間、梨子にちょっかいを出して剛志に伸された男達だ。ただ今回は二人で来ている。

土原「おい、何か良く分かんねえけどあの二人怪しくないか?」

響「確かにな。誰かを待っているかの様に見えるけど、ありゃ喧嘩待ちの面だな」

 喧嘩に巻き込まれる事が多い為、雰囲気で喧嘩する気か見抜ける上に誰かの恨みを買う事も多々あった経験から察した。

土原「あ、でも待てよ。あいつら、デッキケース持っているぜ」

 男達の腰にデッキケースが提げられているのも見て土原は金本に声を掛ける。

土原「おい、金本! デッキケース、持ってきているよな?」

金本「一応な。っで、まさかだと思うがやるのか?」

土原「当たり前だろ!」

 そう言うと土原は男達の所へ駆け出して行った。金本と響も何か大事になりそうな予感を感じ取り彼の後を追い掛ける。

 

土原「おっす! そこの兄ちゃん達、ファイターだよな?」

男A「な、何だお前は?」

土原「オレ? 兄ちゃん達と同じバディファイターだぜ!」

男B「あ? そんで、俺達に何の用だよ?」

土原「剛志達の邪魔をすんじゃねえって言いに来たんだよ、ファイトでな!」

男A「剛志? 誰だ、そいつは?」

 流石に剛志の名前までは知らない男達は誰の事だかピンと来ていない様だ。土原はてっきり知っているもんだと思っていたので拍子抜けしてしまった。

金本「ま、知らなくて良い名前だな。俺達のダチに危害を加えようとしている様に見えたから、話し掛けただけだ」

 金本が合流、話に割って入る。とりあえず面倒事にならない様にしたいと穏便に済ませようとしている。

男B「そうかい。お前らのダチが誰なのか知らないが、俺達は別に荒事を立てようって訳じゃないんだぜ?」

響「なら、良かったぜ。てっきり、背の低い男とそいつと一緒にいる女の子を物凄く睨んでいたから喧嘩を吹っ掛け様としてんじゃねえのかと思ったんだからな」

 合流した響の言葉で男達の表情が変わる。どうやら、当たっていたみたいでかなり鋭い眼光を向けてきた。

金本「ああ、面倒な事になって来たぞ……」

 穏便に済ませたかった金本にとっては最悪の事態。しかし、こんな事にならないとは思っていなかった訳ではない。諦観しているところがあるが。

男A「……お前ら、あのチビのお友達か?」

土原「おう、そうだぜ!」

男B「てめえらに直接な恨みはないが、ちょっと話し合おうぜ。こいつでな!」

 男がデッキケースを目の前に突き出す。どうやらファイトで穏便に済まそうという体だ。しかし、彼等から出ているオーラはかなり物騒だ。

土原「っしゃ、望むところだぜ! なあ、金本?」

金本「…………はぁ」

響「あれ? 俺はどうすれば良いんだ?」

土原「ビッキーは後ろで応援していてくれ!」

響「おう、分かった」

 全員、路地裏に移動。そこでファイトが行なわれる事になった。

 

金本「何でこうなるかね……」

土原「そーいう事は良いじゃん! とにかくファイトだぜ!!」

 ――ここでタッグファイトのルールを改めて説明する。

 それぞれ通常のファイトと変わらないライフ、手札、ゲージからスタートし、ライフやゲージは個人で使用する事になる。そして最初の3人のターンは先攻扱いになって最後の1人が後攻になる。

 パートナーが攻撃されてももう片方が魔法を使って無効化する事が出来る。『相手にダメージを与える効果』の処理は相手一人を選択してダメージを与える事になる。

 またパートナーのライフが0になった場合、同じチームのファイターがゲージを引き継いでそのファイターのターンもプレイする。

土原「鉄の様に揺るぎない不動の心で悪い奴をぶっ飛ばす! ルミナイズ、『鉄心不動』!!」

男A「悪魔に命を捧げて得たこの力を受けてみやがれ! ルミナイズ、『ソロモンの契約』!!」

金本「俺の邪魔をするだったら、とにかく叩き潰す。ルミナイズ、『ブロークン・エース』」

男B「モンスターを破壊されその身に受ける痛みに怯え、破滅へと向かえ! 『滅びへの讃美歌』!!」

3人「「「オープン・ザ・フラッグ!!」」」

金本「……オープン・ザ・フラッグ」

土原「ヒーローワールド!」

 土原の手札:6/ゲージ:2/ライフ:10/バディ:不動鉄機 ガンザウラー

男A「マジックワールド!」

 男Aの手札:6/ゲージ:2/ライフ:10/バディ:怒りの堕天使 ベレト

金本「デンジャーワールド」

 金本の手札:6/ゲージ:2/ライフ:10/バディ:アーマナイト・タイガー“A”

男B「ダークネスドラゴンワールド!」

 男Bの手札:6/ゲージ:2/ライフ:10/バディ:覆い尽くす闇 ガフナー

土原「うっしゃ、オレから行くぜ! チャージ&ドロー!」

 土原の手札:6→5→6/ゲージ:2→3

土原「まずは『発進準備OK!』を設置! んで、『ハイパーエナジー』でオレのゲージを+4!」

 土原の手札:6→4/ゲージ:3→7/設置:発進準備OK!

土原「出番だぜ、オレのバディ! ライフ1払って『不動鉄機 ガンザウラー』に搭乗! バディギフトを使うぜ!」

ガンザウラー「堅きこと鉄のごとし! 不動鉄機! ガンザウラー!! ここに見参!!」

 土原の手札:4→3/ライフ:10→9→10/土原:不動鉄機 ガンザウラー

 土原:不動鉄機 ガンザウラー/サイズ2/攻5000/防5000/打撃2/搭乗

土原「そして、発進準備OK!の効果でオレが[搭乗]した時にカードを2枚ドロー! その後は発進準備OK!をドロップゾーンに置く!」

 土原の手札:3→5/設置:発進準備OK!→なし

土原「手札にある『海神 スラッシャーク』の能力発動! このカードをガンザウラーにソウルイン! んで、ガンザウラーの攻撃力と守備力をそれぞれ+1000する!」

 土原の手札:5→4/土原:ガンザウラー/攻5000→6000/防5000→6000

土原「行くぜ、アタックフェイズ! ガウザウラーでそこのロン毛にアタック!」

男A「うお!」男A のライフ:10→8

土原「ターンエンドだ!」

 土原の手札:4/ゲージ:7/ライフ:10/土原:ガンザウラー

男A「俺のターン、チャージ&ドロー!」

 男Aの手札:6→5→6/ゲージ:2→3

男A「ゲージ1払って、キャスト『ナイスワン!(最高だぜ!)』で2枚ドロー! 更にキャスト『ソロモンの鍵 上巻』でデッキの上から2枚をゲージに置く」

 男Aの手札:6→5→7→6/ゲージ:3→5

男A「そして、キャスト『ソロモンの鍵 下巻』で俺のライフを+1! 更にドロップゾーンにさっき使った上巻があるからカードを1枚ドロー!」

 男Aの手札:6→5→6/ライフ:8→9

男A「センターに『怒りの堕天使 ベレト』をバディコール! バディギフトで俺のライフを+1!」

 男Aの手札:6→5/ライフ:9→10/センター:怒りの堕天使 ベレト

 男Aのセンター/怒りの堕天使 ベレト/サイズ2/攻4000/防3000/打撃3

男A「アタックフェイズ! ベレトで黒髪の方にアタック!」

金本「っ! キャスト、『豪胆逆怒』。俺が受けたダメージ分だけの枚数をデッキの上からゲージに置く。俺が受けたダメージは3だからデッキの上から3枚をゲージに置く」

 金本の手札:6→5/ゲージ:2→5/ライフ:10→7

男A「ファイナルフェイズ!」

響「え? アタックフェイズで攻撃したから意味無いんじゃ……」

金本「設置魔法みたいに設置する必殺技があるんだよ。多分、それだ」

男A「チッ、分かってやがったのかよ。ゲージ1払って、キャスト『次世代大魔法 ザ・クリエイション』を設置だ!」

 男Aの手札:5→4/ゲージ:5→4/設置:次世代大魔法 ザ・クリエイション

男A「そして、ターンエンドだ」

 男Aの手札:4/ゲージ:4/ライフ:10/センター:ベレト/設置:ザ・クリエイション

金本「俺の番か……チャージ&ドロー」

 金本の手札:5→4→5/ゲージ:5→6

金本「まずはゲージ1を払って『爆斧 リクドウ斬魔』を装備」

 金本の手札:5→4/ゲージ:5→4/金本:爆斧 リクドウ斬魔

 金本:爆斧 リクドウ斬魔/攻6000/打撃3

金本「キャスト、『超力充填』でライフ1を払ってゲージを+3、続けてキャスト『烈神呼法』でゲージ1とライフ1を払ってカードを1枚ドロー、更に《武器》を装備しているからもう1枚ドロー」

 金本の手札:4→3→4→5/ゲージ:4→7→6/ライフ:7→6→5

土原「おお、お得意の形になってきたじゃん!」

金本「……うるせぇ。『アーマナイト・カーリー』をライトにコール、効果で俺の手札から『アーマナイト・ケロベロス“A”』をリクドウ斬魔にソウルイン」

 金本の手札;5→4→3/金本;リクドウ斬魔(ソウル:0→1)/ライト:アーマナイト・カーリー

 金本のライト:アーマナイト・カーリー/サイズ1/攻坊2000/打撃2

金本「ケロベロス“A”の能力でリクドウ斬魔の打撃力を+2。そしてレフトに『アーマナイト・イーグル“A”』をコール。更に俺のライフが5以下だからイーグル“A ”の能力を発動してリクドウ斬魔にソウルイン。これでリクドウ斬魔は手札に戻されず、破壊されない」

 金本の手札:3→2/金本:リクドウ斬魔(ソウル:1→2)/打撃3→5

金本「ソウルにあるケロベロス“A”の“ガルチャージ!”を発動。ゲージ3を払って、このターン中のリクドウ斬魔の打撃力を更に+3する」

 金本のゲージ:6→3/金本:リクドウ斬魔/打撃5→8

響「うわぁ、打撃力が半端ねえ事になってやがる……怖ぇ……」

土原「金本、面倒臭がり屋なのにここぞってばかりはやるからな……」

金本「面倒事は早目に終わらせてさっさと楽したいんだよ。さてとファイナルフェイズ」

男B「来るとしたら、あのカードしかないよな……?」

金本「まあ、そうなるだろうな。ゲージ2を払ってキャスト、『怒裏留バンカー!!』。リクドウ斬魔の打撃力を+2、更に[貫通]を得てセンターのベレトにアタック」

 金本の手札:2→1/ゲージ3→1/金本:リクドウ斬魔/打撃力8→10/[貫通]

男A「そうはいくかよ! キャスト、『ソロモンの盾』で攻撃を」

金本「無効化にはさせねえよ。と言う事で土原頼んだ」

土原「おう、バッチリ任せとけ! キャスト、『……という夢を見たのさ』! ゲージ2を払ってお前の魔法を無効化にするぜ!」

 土原の手札:4→3/ゲージ:7→5

男A「な、何だと、うおおおおおおおお!?」男Aのライフ:10→0

響「え、えげつねえ」

男B「マジかよ……」

金本「ターンエンドだ。後、リクドウ斬魔の打撃力は5に戻るぞ」

 金本の手札:1/ゲージ:1/ライフ:5/金本:リクドウ斬魔(ソウル:2)/ライト:アーマナイト・カーリー

 金本:リクドウ斬魔/打撃力10→5

男B「げ、ゲージを引き継いでお、俺のターン。ドロー、チャージ&ドロー」

 男Bの手札:6→7/ゲージ:6→7

男B「…………ゲージ2払ってライトに『覆い尽くす闇 ガフナー』をバディコール! バディギフトで俺のライフを+1!」

 男Bの手札:7→6/ゲージ:7→5/ライフ:10→11/ライト:覆い尽くす闇 ガフナー

 男Bのライト:覆い尽くす闇 ガフナー/サイズ2/攻5000/防4000/打撃2

男B「『鉄拳 ブラックナックル』をてゲージ1とライフ1を払って装備!」

 男Bの手札:6→5/ゲージ:5→4/ライフ:11→10/男B:鉄拳 ブラックナックル/ライト:ガフナー

 男B:鉄拳 ブラックナックル/攻3000/打撃3

男B「そして、キャスト『ペイン・フィールド』を設置! ゲージ2を払って俺にダメージ1! これでお前達はバディギフト以外では回復が出来ないぜ!!」

 男の手札:5→4/ゲージ:4→2/ライフ:12→11/設置:ペイン・フィールド

金本「面倒な魔法を設置しやがって……」

土原「やべ―じゃん!! 金本のライフって残り5だろ!?」

金本「まあ、もしもの時はよろしく頼む」

土原「そこはバッチリ任せとけ!」

男B「そこの黒髪に出番が来る前に何としてでもやらねえとな……レフトに『ブラックドラゴン コールドブレイド』をコール!」

 男Bの手札:4→3/男B:ブラックナックル/レフト:ブラックドラゴン コールドブレイド/ライト:ガフナー/設置:ペイン・フィールド

 レフト:ブラックドラゴン コールドブレイド/サイズ1/攻5000/防1000/打撃1

男B「アタックフェイズ! コールドブレイドでアーマナイト・カーリーにアタックだ!」

金本「そのまま破壊されるしか無いな」

 アーマナイト・カーリー 撃破!

男B「なら、コールドブレイドの“霊撃”でお前にダメージ1!」

金本「……流石拙いな」金本のライフ:5→4

男B「ガフナーで黒髪にアタック!」

金本「これも受ける」金本のライフ:4→2

男B「ブラックナックルでもう一度同じファイターにアタック、これでトドメだ!」

金本「キャスト、『闘気四方陣』で攻撃を無効化だ」金本の手札:1→0

男B「だが、ペインフィールドの効果でお前にダメージ1だぜ!」

金本「ギリギリだな……」金本のライフ:2→1

男B「ターンエンド!」

 男Bの手札:3/ゲージ:2/ライフ:10/男B:ブラックナックル/レフト:コールドブレイド/ライト:ガフナー/設置:ペイン・フィールド

土原「んじゃ、オレのターンって事だな! ドロー、チャージ&ドロー!」

 土原の手札:3→4/ゲージ:5→6

土原「まずは手札にある『鳥神 セイバード』の能力でこのカードをガンザウラーにソウルイン、続けて『獣神 タイガトラス』の能力でこのカードもガンザウラーにソウルイン! タイガトラスの能力でガンザウラーは[貫通]を得るぜ!!」

 土原の手札:4→2/土原:ガンザウラー(ソウル:1→3)/[貫通]

土原「そして、ゲージ1払って『鋼獣戦機 ガイテンオウ』をライトにコール! ドロップゾーンから《ブレイブマシン》のモンスター2枚をソウルに入れるぜ!」

 土原の手札:2→1/ゲージ:6→5/ライト:鋼獣戦機 ガイテンオウ(ソウル:2/内容:ガンザウラー、スラッシャーク)

 土原のライト:鋼獣戦機 ガイテンオウ/サイズ3/攻防7000→8000/打撃2/[2回攻撃]/[ソウルガード]

土原「行くぜ! ガイテンオウでファイターにアタック!」

男B「うっ!」男Bのライフ:10→8

土原「ガイテンオウでもう一度だ!」

男B「ぐは!」8→6

土原「ガンザウラーでファイターにアタックだぜ!」

男B「これも受ける!」男Bのライフ:6→4

響「あれ? 防御カードが持っていないのか?」

金本「さあ、どうだろうな」

土原「ファイナルフェイズ!」

男B「来たか! だが、それだけのゲージで与えられるダメージなんてたかが知れている」

土原「へへっ、それはどうかな! キャスト、『ブレイブエナジー・フルドライブ!』! ゲージ2を払ってお前にダメージ2! 更に[搭乗]しているカードのソウルの枚数分のダメージを与えるぜ!」

 土原の手札:1→0/ゲージ:5→3

響「ガンザウラーのソウルの枚数は3枚……つまり3ダメージを与えられるって事か! これなら決めれるな!」

男B「そうはさせるかよ! キャスト、『黒竜の」

土原「おっと、このカードのダメージは減らせないぜ!」

ガンザウラー「決して消えぬ勇気の炎、それが俺達が無敵である証だー!!」

男B「ま、マジかよ! ぐわあああああ!!」男Bのライフ:5→3→0

 

WINNER:土原&金本チーム!

 

 

土原「これで懲りたら、もう剛志の所に近づくなよ!」

男A「うるせえ! バディファイトで駄目ならこうだ!!」

 男はそう言うと土原の左頬を殴った。金本と響は止めようとしたが一歩遅かった。

土原「……痛ってぇな、この野郎!!」

 土原はぶち切れて殴った相手に掴み掛かるとさっき自分が殴られた様に男を殴る。ただし、殴る力は男の倍以上だ。

 しかも、一発で終わらず何発も殴り続けている。例え血を出して白目剥こうとお構いなく殴り続ける。

響「なあ、鉄平。何であんな奴がヒーローワールド使いなんだろうな?」

金本「知らねえよ、そんなの。まあ、世の中には理解出来ない事が山程あるから、これもその内の一つじゃねえか?」

響「ああ、そうだな」

 二人は土原を止める程の力が無い為、しばらく事態を傍観。やがて、土原は男を解放するともう一人の男が殴られ続けた男を抱えて逃げて行った。

 

 土原達が色々とやらかしている頃、剛志達は映画を静かに見ていた。ミステリー系の映画でラストシーンが感動して泣けると噂の映画だ。

 物語も佳境に入り、謎解きも大詰めになっている。梨子はちらっと隣に座っている剛志の顔を見る。かなり難しそうな顔をしている。どうやら謎を真剣に解いているらしい。

梨子(剛志君って、意外とこういうの好きなんだ……)

 映画が上映される少し前、剛志はあまり頭を働かす事は得意じゃないと言っていた。しかし、得意ではないと嫌いは別だ。今の剛志の表情を見て梨子は改めてそう思った。

 謎解きシーンが終わり、明かされた真実が告げられる。それはとても悲しくもありながら大切な人への愛情が分かる真実。その悲痛な思いが大切な人に伝わった時、物語は静かに幕を閉じた。

 

剛志「結構面白い映画じゃったな~!」

 剛志はエントランスに出ると体を伸ばした。そんな長時間座っていた訳ではなかった筈だが、それでも体は固まるものだ。

梨子「そうだね。特に最後の謎解きのところは凄かった……!」

 隣で梨子も感想を言う。泣くと噂されていた映画だが二人共、泣いた様な感じではない。

剛志「あそこの謎解きはさっぱしじゃった。答えを言うて、ようやく分かったって感じじゃ」

梨子「私は途中まで分かったけど、最後までは分からなかったわ」

剛志「やっぱり梨子は頭良いんじゃな。ワシと大違いじゃ」

ガロード「お前と比べちゃ梨子が失礼だろ。もう既に補習が確定しているお前とは」

 ガロードの辛辣な一言に剛志は苦い表情をする。事実が故に言い返せない。

 流石に言い過ぎだと思った梨子はガロードを少したしなめ、剛志にフォローを入れる。梨子に言われるとガロードもバツ悪くなり少し言葉を濁した。

 それから二人は映画館を出て、街中を少し歩いていく。その途中、とある雑貨屋に寄る。剛志が滅多に行かない様な少し洒落た雰囲気がする店だ。

梨子「ちょっと待っててくれる。少し買いたい物があるの」

 そう言われ、店の前で剛志は待つ事にした。自ら入るつもりがなかったというのもあるが。

ガロード「んだよ、剛志も入りゃ良いじゃねえか」

剛志「あ~、ワシはこういう店にはあまり興味無いんじゃ」

ガロード「そんなんだから、モテねえんだろ」

剛志「別に良いじゃろ、それぐらいは」

梨子「ごめんね、少し待ったよね?」

 剛志とガロードがまた言い合いになるところに梨子が店から出てきた。多分、買い物をしたのだろうが買った物らしき物は見当たらない。

剛志「そんなに待ってないわい。欲しい物は買えたんか?」

梨子「うん」

 少し頬を赤く染めながらも満面な笑みを浮かべる梨子。剛志は少し顔が火照っているのを感じると視線を逸らした。

剛志「んじゃ、もう少し歩くか」

梨子「うん」

 言葉数が少なくなったものの、二人はまた歩き出した。ファミレスで昼食を取ったり、遊んだりして満喫する。

 日も暮れて来た頃、二人は喫茶店にて軽食も兼ねて休息を取る事に。店は時間帯が時間帯な故に空いていた。

剛志「腹が減ったのう……」

 軽食を取るのは彼だけだ。頼んだ量もそれなりに多い。

梨子(やっぱり、男の子ね……)

 梨子自身がそこまで小食って訳ではないが、やはり年頃の男子には全くと言って良い程敵わない。その証拠に梨子は昼食を取ってから、あまりお腹が空いていない。

店員S「お待たせしました。ナポリタン一つとサンドイッチが二つです」

 どこかで見た事のある顔の店員が運んで来た。見覚えのない梨子は勿論、どこかで会った筈の剛志もその顔には気付かずスルー。しかし、ガロードがその店員の顔に気付いて声を掛ける。

ガロード「おい、そこのお前。空坊達と一緒にいた奴だろ?」

 その場を去ろうとしていた店員は足を止め、声がした方に顔を向ける。そこにはSD化して出て来たガロードがいた。

ガロード「やっぱり、そうじゃねえかよ」

剛志「ああ~!? お前さんはあの時の……!」

旬「ありゃ、バレたら仕方ないね」

 店員は空達の友人(?)の野分旬だった。彼の相方は見当たらないが恐らく近くにいるのだろう。

梨子「えっと、剛志君の知り合い?」

剛志「正確にはワシの妹の知り合いじゃ。んで、何でお前さんがおるんじゃ?」

旬「手伝いだよ。ここ、オレの行きつけだからね。たまに手伝っているんだ」

剛志「ほほう、なるほどじゃな」

 剛志が納得したのを見て、旬は梨子と顔を合わせる。梨子は思わず視線を逸らしてしまう。そんな彼女の挙動を見て旬はもう一度剛志の方に顔を向けて言う。

旬「ところで、剛志君。彼女は君の恋人かい?」

 この一言で梨子は顔を真っ赤にし、コーヒーを飲んでいた剛志も思わず噴き出しそうになるが何とか踏み止まる。そして飲み込んで反論。

剛志「ばっ、ワシらは付き合ってないわい! その友達同士っていうか、何と言うか……そう梨子はガールフレンドじゃい!」

ガロード「それ、彼女ですって言っているモンじゃねえかよ」

 それを聞いて旬は笑いを堪えて肩を震わす。剛志が言いたかった事を理解しているから余計に笑いが込み上げてくる。

旬「ま、まあ、君達は友達同士って事なんだね。せっかくのところを邪魔して悪かったよ、後はごゆっくり」

 少し落ち着くと旬はカウンターの方へ向かった。一応、彼は店員だ。まだ仕事は残っている。

剛志「空の奴め……とんでもない人と仲良くなりよって……!」

 何故か妹に怒りを抱いた剛志。ガロードはそんな剛志に呆れる。そして梨子の方に視線を向けるとそこには顔を真っ赤にしたまま固まった彼女の姿があった。

 

剛志「随分と日が暮れたのう……」

 カフェから出ると辺りは仄かに暗くなっていた。夏だから日が暮れる時間は遅いとは言え、やはり暗くなる時は暗くなる。

梨子「うん、そうだね。思っていたより日が暮れて来ちゃったね」

 梨子を家の近くまで送る為、二人で帰路を歩く。空にはまだオレンジ色が残っているが夜の色が大分見えてきた。

剛志「そういや、梨子はその門限とか大丈夫なんかい?」

梨子「ちょっとギリギリかも……でも、急いで帰らなくてもまだ大丈夫かな」

剛志「そうかい。なら、もう少しだけ話が出来るわい」

 二人はまた他愛の話をする。先程のカフェの一件にて剛志に妹がいる事から話を繋げて、自分達の家族の事や友人の事、学校生活の方にも話題に挙げていく。

 だが、学校生活の話になると互いに少違和感を覚え始める。もしかして、実は同い年ではないのではないかと。

 しかし、その違和感を確かめる前に梨子の家の周辺にまで着いてしまった。

梨子「もう目の前だから、大丈夫だよ。送ってくれて、ありがとう」

剛志「礼なんていらんわい。当然の事じゃからな」

梨子「ふふふ、でもお礼はちゃんと言わせて? そうじゃないと失礼だと思うから」

剛志「……おう」

 剛志は顔を少し赤くして視線を逸らす。照れくさいのだろう。

 梨子はそんな剛志を微笑ましく思いながら、バックからある物を出す。それは雑貨屋で買った物で小さい紙袋に包まれていた。

梨子「あの、剛志君。良かったら、これを……」

剛志「何じゃ、貰ってええんか?」

梨子「うん。はい、どうぞ」

 梨子から手渡される。サイズからしてキーホルダーぐらいだ。

剛志「ありがとうな。大切にするわい」

梨子「うん」

 梨子の笑顔で剛志はまた少し顔を赤くさせた。梨子もどこか剛志を意識しているのか、恥ずかしそうに視線を逸らす。

剛志「……もう帰らんでええのか? 家が目の前でも流石に時間がヤバいじゃろ?」

 少しの沈黙の後、剛志から話を切り出した。

梨子「そ、うだね。私はもう帰るね。剛志君、今日はとっても楽しかったよ! ありがとう!」

剛志「ワシもじゃ! ありがとうな!」

 梨子は家に向かって歩く……が、数歩歩いたところで立ち止まり剛志の方へ振り返る。

梨子「剛志君、最後に一つだけ良いかな?」

剛志「ワシは別に構わんぞ」

梨子「その……8月18日って空いてる?」

剛志「多分、空いている思うわい」

梨子「良かった~……」

 梨子は一呼吸置いてから、今一番言いたい事を言う。

梨子「あのね、その日にピアノの発表会があるんだ。良かったら、来てくれないかな?」

 剛志は目見開く。そして、少し間を置いて答えた。

剛志「分かった。楽しみにしているわい」

梨子「うん、ありがとう! それじゃあ、また今度」

剛志「おう」

 梨子は家に向かって再び歩き始めた。今度は一度も振り返らずに。

 剛志は梨子の背中が見えなくなるまで見届けると、自分も家に向かって歩き出した。いや、歩き出そうと振り返ったらいつもの顔ぶれが揃っていた。

剛志「何じゃ、お前さんらは?」

 やや怪訝な顔をする。こういう時に限って、この面子が揃うとロクな事はないと分かっているからだ。

土原「そう怖い顔するなよ~。とにかく、一緒に帰ろうぜ!」

剛志「言われなくてもそうなるじゃろ」

土原「つか、やっぱりあの子、剛志の彼女じゃん! 羨ましい限りだぞ!!」

剛志「ち、違うわい! あの子はワシの友達じゃい!」

 土原はおもむろにスマホを取り出して操作すると音声が流れた。

『梨子はワシのガールフレンドじゃい!』

 先程カフェにて旬に言った言葉だ。そして土原は企んだ様な笑みで言う。

土原「ガールフレンドって事は彼女って事だよな? やっぱり、お前彼女出来たんだな」

剛志「だあああああ!! そのスマホを寄越せ、今すぐぶち壊してやるわい!!」

土原「やなこったい! 捕まえられるもんなら捕まえてみせろよ!」

 土原と剛志が騒ぎながら走って行く中、響はずっと梨子が歩いて行った方向を見ていた。

金本「どうした、響? お前もあの子に惚れたのか?」

響「んいや、そうじゃねえよ」

 本当に違うと言った声音で答える。しかし、気になるには気になる様だ。

金本「何か、あの子からインスピレーションでも感じたのか?」

響「それは十分感じた。なあ、あの子ってよ……」

 そう言いかけて止め。少し考える。

響(言って良いのか分んねえけど、金本だったら大丈夫か)

 少しの間の後、響は口を開いた。

響「中学生なんじゃねえの?」

 それを聞いた金本は本人達が気付くまで黙っておく事にしようと思った。




 まさかのタッグファイト回でしたけど、如何だったでしょうか? 何か恋愛話を書く度に体調不良の時期にぶつかるのってもう呪われているとしか思えない。また喉の調子が悪いわ、鼻水は出るわで執筆期間の半分はグロッキーでした……。
 でも今回は、先日録画してもらった夏の歌祭りを動力源にどうにか乗り越えられました。その日は用事があった上に録画を頼み損ねて諦めていましたが……録画をしてくれた兄貴には感謝しかないです(´;ω;`)

 話が変わりますけど、今回登場した響というキャラクターは、口調がやや違いますが南條響として『バディファイト@サイバーダイバーズ』という作品に登場しています。ぜひ、読んでみては如何でしょうか?

 さて、次はどうしようかね……本編を進ませるかアナザーエピソードを書くか、どちらにせよ気長に待っていただければ幸いです。
 ……台風が来ている中、出歩くもんじゃないですね。

 後、これもついでに……。
土原 陽太郎(つちはら ようたろう)/16歳/男性/高1
使用フラッグ:ヒーローワールド/使用デッキ:ブレイブマシン/バディ:不動鉄機 ガンザウラー
容姿:髪型はツンツンとして整えられていて金髪に染めているが、所々黒くなっている。やや童顔でくすんだ黄色の瞳。私服はドクロの刺繍が入った長袖の白いシャツを袖を捲って羽織り、中にオレンジ色のTシャツを着ていて首にタグを付けている。灰色のGパンで腰回りにシルバーのチェーンが付いていて、お洒落なスニーカーを履いている。細身の割にはガッチリとした体格で身長は172cm。
性格:お調子者で好奇心旺盛でトラブルメーカーなところがあるが社交性が高く誰とでも打ち解けられる。穏やかそうに見えるが実は頭に血が上りやすく喧嘩っ早い。曲がった事は大嫌いなのだが喧嘩っ早いその性格の為か、しばしば実力行使(物理)に出てしまう事がある。ヒーローものとかロボットものとかが大好き。

金本 鉄平(かねもと てっぺい)/男性/16歳/高1
使用フラッグ:デンジャーワールド/使用デッキ:「“A”」デッキ/バディ:アーマナイト・タイガー“A”
容姿:やや長めの黒髪にツリ眉タレ目で青色の瞳。私服は青色の七分袖ジャケット、シンプルなブイネックのTシャツにベージュのチノパンとローカットスニーカー。やや猫背で痩せ気味。身長は175cm。
性格:冷静で明晰だが実はかなりの面倒臭がり屋でとにかくサボる事に頭を動かす。でも、面倒事は早目に済ませる為にやる時はきっちりとやる。三人組の中で学力はあり、いつも勉学の面倒を見ているが途中で面倒臭がって放棄する。一番の常識人。喫煙者で吸っている銘柄は「パーラメント」。

 そろそろオリキャラが欲しいな~|ω・`)チラリ。いや、何でもないです。すみません。
 では、次回の更新でお会いしましょう。感想や活動報告のコメントもお待ちしています。
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