【お試し連載】フューチャーカードバディファイト ~炎の剣士の輝跡~   作:巻波 彩灯

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 どうも、お久し振りです。無能で無脳な作者こと、巻波です。
 大変長らくはお待たせいたしました。ようやく外伝です。文字数……。
 後、いつも通りサブタイトルはかなり適当です。良いタイトル名が浮かばん。

 ところで皆さんはこの夏はいかがお過ごしだったでしょうか?
 私は夏の大半を病院で快適に過ごしておりました。夏がいつの間にか終わってしまった……。

 皆さんも怪我や病気には気を付けましょうね。私が言えた口ではないのですが。

 では、後書きの方でお会いしましょう。


6.5話(前編):夏色、交わる

 蝉が盛んに鳴く七月後半、剛志達は夏休みだというのに学校に登校していた。これから大学受験や就職に向けて講習を受ける者もいるし、部活動に打ち込む者もいるから夏休み中に学校にいる事自体がおかしいという訳ではない。

 しかし、彼らがいる理由はそれらに当てはまらない。何故なら、夏休みに入る前の期末試験にて、赤点を取ってしまったから。その補習に来ていたのだ。

 ただし、金本は赤点を回避している。彼だけは夏期講習という名目で登校していた……涼しい場所で過ごせるからという理由で来ているのもあるが。

 その為、金本とは違う教室で問題を解く補習対象者達。各々、目の前の問題に険しい顔をして向き合っている。

剛志「分からん……意味不明じゃ」

土原「だよな~、ホント何言っているか分かんねぇ」

 剛志と土原は英文で書かれた問題を見て、お手上げ状態。一応、担当教師の力を借りて解読はしているが、そもそも単語の意味が分からないから読み解くきっかけすら掴めない。

 一方、響は黙々と解き進めていた。途中、躓くところはあるけれど、それでも他の二人と比べて滞りなく答えを書いている。それもそのはずで響は学力的に赤点を取る程低くはない。しかし、今回は大きなミスを犯してしまった。

 それは――解答用紙に名前を記入し忘れた事だ。その為、彼もまた補習対象者となってしまったのだ。

 程なくして、補習授業は終わった。どう見ても頭脳労働が苦手そうな二人は力尽きていた。

金本「おーう。これまたこってりとやられたな」

 隣の教室で授業を受けていた金本が来た。そのすぐ傍には制服の上に白衣を着た小柄な少女がいる。

?「あれ、剛志君も陽太郎君も元気ないね」

響「おっ、鉄平にショーコじゃねえか。今、補習授業終わったとこなんだよ」

金本「見れば分かる」

ショーコ「あれ? 響君は何でそこにいるの?」

響「名前書き忘れたんだよ」

ショーコ「ああ、なるほど」

 響とショーコが会話している間、金本は魂が抜けている二人を叩き起こし、現実に戻した。

 二人は金本がいる事に少し驚く。が、ショーコがいる事にはもっと驚いた。

土原「あれ? ショーコちゃんじゃん! 何でいんの?」

ショーコ「あたし? あたしは先生を探しに来たんだよ、裏の畑の野菜について話したいことがあるからさ」

 ちなみに先程からショーコと呼ばれているが少女の本名は新代(にいしろ)晶子(あきらこ)。ショーコとは呼ばないのだが、読み間違える人が多いのか本人はショーコと呼ばれても気にしていないし、そう呼んでも良いとも公言している。

 尚、何故彼女は白衣を着ているのかというと元来彼女が活発だからというのがあり、すぐ服を汚してしまうからである。

 その為、大事な服を汚してしまわない様にと日頃から制服の上に白衣を着用している。物凄く暑そうに見えるが。

剛志「何じゃ、そういう事だったんか。……そうじゃ、金本もおるし、最終チェックもしてもええんじゃないか?」

土原「そうだな。じゃ、机くっつけるか」

晶子「最終チェック?」

 何も知らない晶子は首を傾げるが、当事者達は彼女の質問に答える代わりにシートを広げ、カードの束と数字が書かれた台紙やプラスチック製の物体を机に置く。

 晶子はそれらを見て理解した。――これからバディファイトをやるのだ。

土原「んじゃ、ビッキー。この間、教えたルール覚えているよな?」

響「とりあえずはな……ちょっとあやふやなとこがあるけど」

剛志「その度にワシらに聞けばええじゃけえ、問題はないわい。それにショーコもおるんじゃ、大丈夫に決まっとるわ」

晶子「えっ!? あたしも組み込まれているの!? あっ、でも響君がバディファイトする姿、珍しいから観戦しちゃお!」

響「マジか……」 

 響は自信なさげに自分のデッキを切っていく。対面している相手は慣れた手つきで山札を切り終えると、響の目の前に自分のデッキを差し出す。

響「うえぇ!? 鉄平、もう切ったのかよ!?」

金本「別に焦らなくて良いぞ。俺の休憩時間が増えるだけだから」

剛志「金本らしいのう」

 と、その間に響もデッキを切り終え、金本に自分のデッキを渡す。互いに相手のデッキをシャッフルして、持ち主のところへと返した。

金本「さて、ここは公式戦らしくコールしてもらおうか」

土原「自分で言う気はないのかよ」

金本「面倒」

晶子「鉄平君……まぁ、いっか! 私達でやるよ!」

 晶子が音頭を取り、それに続いて剛志も土原も声を合わせる。

晶子&剛志&土原「「「バディーファッイ!」」」

 

響「オープン・ザ・フラッグ!」

金本「オープン・ザ・フラッグ」

響「ドラゴンワールド!」

 響の手札:6/ゲージ:2/ライフ:10/バディ:竜楽団団長 コルネットホルン・ドラゴン

金本「デンジャーワールド」

 金本の手札:6/ゲージ:2/ライフ:10/バディ:アーマナイト・タイガー“A”

響「ええと、まずはチャージ&ドローだっけ?」

 いきなり初手から躓く響。すかさず、土原がフォローに入る。

土原「そうそう、先攻はドローできないからまずはそこからだぜ」

 彼の言う通り、先攻はドローする事ができない。しかし、任意で手札1枚をゲージに置いて、カードを引く事ができるのだ。

響「おう、分かった。チャージ&ドロー!」

 響の手札:6→5→6/ゲージ:2→3

響「まずはどうするかな……じゃ、まずはライフを1払ってライトに『竜楽団 バリトン』をコールっと」

 響の手札:6→5/ライフ:10→9/ライト:竜楽団 バリトン

 

竜楽団 バリトン

ドラゴンワールド

種類:モンスター 属性:竜騎士

サイズ2/攻4000/防4000/打撃1

■[コールコスト]ライフ1払う。

■このカードが相手にダメージを与えた時、君のデッキの上から1枚をゲージに置き、カード1枚を引く。この能力は1ターンに1回だけ使える。

[貫通]

「音楽に人も竜も区別はない。皆等しく音を楽しむのだ」

 

響「それでキャスト、『竜楽団楽“戦いの時は今”』で……設置って、何?」

晶子「それはドロップゾーンに置かず、フラッグの左側辺りに置いて使う魔法って事だよ!」

 設置魔法とはバディゾーンと反対側に置いて、初めて使える魔法カードだ。通常の魔法カードと違って場に残り続ける為、能力の条件や制限に気を付ければ半永久的に使える。

響「なるほどな、サンキュ。じゃ、それを設置」

 響の手札:5→4/ライト:バリトン/設置:竜楽団楽“戦いの時は今”

 

竜楽団楽“戦いの時は今”

種類:魔法 属性:ドラゴン

■【設置】

■[起動]君の手札からカード名に「竜楽団」を含むカード1枚をゲージに置いてよい。そうしたら、カード1枚を引く。この能力は1ターンに1回だけ使える。

■「竜楽団楽“戦いの時は今”」は君の場に1枚だけ【設置】できる。

 

響「それで“戦いの時は今”の効果を使って、俺の手札から「竜楽団」のカードを1枚ゲージに置いて、カードを1枚ドロー」

 響の手札:4→3→4/ゲージ:3→4

響「んで、ゲージ1払って『竜楽団旗』を装備。このカードが場にいる限り、俺の場の「竜楽団」の名前が入っているモンスターの攻撃力と防御力を+1000するぜ」

 響の手札:4→3/ゲージ:4→3/ドロップ(竜楽団の種類:0→1)/響:竜楽団旗/ライト:バリトン/設置:戦いの時は今

 

竜楽団旗

ドラゴンワールド

種類:アイテム 属性:ドラゴン/武器

攻2000/打撃1

■[装備コスト]ゲージ1払う。

■このカードが場にいる限り、君の場のカード名に「竜楽団」を含むモンスター全ての攻撃力+1000、防御力1000!

■このカードは、君のセンターにカード名に「竜楽団」を含むモンスターがいても攻撃できる。

「さあ、掲げよ! 我らが来たことを知らせるのだ!」

 

 響のライト:バリトン/攻4000→5000/防4000→5000

 

響「よし、これで今やれる事はやった! 次はアタックフェイズに入るぜ」

金本「おーう、かかってこーい」

剛志「何じゃ、その気の抜けた返事は? もうちっと、シャキッとせんかい」

 金本の返事に剛志がツッコミを入れる。しかし、気が抜けているのは声音だけで金本の表情は至って真剣だ。

響「バリトンで鉄平にアタック!」

金本「あー、打撃1か……微妙だな。いいや、そのまま受ける」

 金本のライフ:10→9

響「バリトンの効果でバリトンが相手にダメージを与えたからゲージを+1して、カードを1枚引く」

 響の手札:3→4/ゲージ:3→4

響「これでターンを終わるぜ」

 響の手札:4/ゲージ:4/ライフ:9/響:竜楽団旗/ライト:バリトン/設置:戦いの時は今

金本「じゃ、俺のターンっと。ドロー、チャージ&ドロー」

 金本の手札:6→7/ゲージ:2→3

 金本はドローフェイズを終えると自分の手札をじっと見つめる。顔つきもどこか悩んでいるのか厳しさが浮かんでいた。

金本「…………」

土原「おいおい、金本が長考に入っちまったよ」

晶子「もしかして、手札事故ったのかな?」

剛志「金本のデッキはピーキーじゃからな……あり得るわい」

 三人は彼の様子に各々率直に起きている事態を予測する。

 手札事故……バディファイトに限らず、TCGをやっている者にとって必ず遭遇した事のあるだろう危機。状況にそぐわないカードが手札に集中してしまうのは頭の痛い事だ。

 しかし、リカバリーができる可能性は少なからずある。幸い、金本の手札はまだ軽度の事故で済んでいた。

金本「……ライフ1払って、キャスト『超力充填』。ゲージを+3する」

 金本の手札:7→6/ゲージ:3→6/ライフ:9→8

 長考から脱した金本は魔法を使用する。ライフカウンターの数値を変動させ、デッキの上から3枚をゲージに置いた。

金本「っで、ゲージ1払って『爆斧 リクドウ斬魔』を装備。このカードの効果で俺はセンターにモンスターを置けない」

 金本の手札:6→5/ゲージ:6→5/金本:爆斧 リクドウ斬魔

 金本:爆斧 リクドウ斬魔/攻6000/打撃3

金本「それでキャスト、『烈神呼法』。ゲージ1とライフ1を払ってカードを1枚ドロー、更に《武器》を装備しているから、もう1枚をドロー」

 金本の手札:6→5→7/ゲージ:5→4/ライフ:8→7

金本「ライトに『アーマナイト・カーリー』をコール。効果で手札から『アーマナイト・ケルべロス“A”』をリクドウ斬魔にソウルイン」

 金本の手札:7→5/金本:リクドウ斬魔(ソウル:0→1)/ライト:アーマナイト・カーリー

 ライト:アーマナイト・カーリー/サイズ1/攻坊2000/打撃2

金本「ソウルにあるケルベロス“A”の効果でリクドウ斬魔の打撃力を+2」

 金本:リクドウ斬魔/打撃3→5

響(あれ……? これってヤバくね……?)

 響の脳裏には以前行ったタッグファイトにて、金本が成功させたワンターンキルが浮かんだ。

 デンジャーワールド、ひいては金本のデッキは特に打撃力に特化している。あの攻撃が最初から飛んでくるとなると……背筋が凍る。

金本「更にレフトにもう一度アーマナイト・カーリーをコール。それで手札から『アーマナイト・タイガー“A”』をソウルイン」

 金本の手札:5→3/金本:リクドウ斬魔(ソウル:1→2)/レフト:アーマナイト・カーリー/ライト:アーマナイト・カーリー

 金本はそんな響の心情を知ってか知らずか順当に手筈を進めていた。そして、容赦ない宣言をする。

金本「タイガー“A”の効果を使うぜ。リクドウ斬魔のソウルにあるタイガー“A”をドロップゾーンに置いて、リクドウ斬魔はこのターン中だけ[2回攻撃]を得る」

 金本:リクドウ斬魔(ソウル:2→1)/[2回攻撃]

響「えええええええ!? これ、どうすりゃ良いんだよ!?」

 驚くのも無理はない。打撃力5点という高打点が2回も来るという事は実質10点分のダメージを受ける事になる。

 これをいきなり受けるという現実に響はただただ動揺するばかり。

土原「落ち着け、ビッキー! まだどうにかなる段階だ!」

晶子「そうだよ。手札次第でどうにかなるよ、多分」

 土原と晶子の一声に響は落ち着きを取り戻し、自分の手札を見る。まだ可能性はある。

金本「安心しろ、今回はガルチャージはなしだ。という事でこのままアタックフェイズに入る」

 金本はゲージを一瞥した後、響に顔を向けて言った。彼の言葉で響は内心安堵した。

響「とりあえずかかってこい?」

金本「んじゃ、お構いなくリクドウ斬魔で響をぶん殴る。5点だ」

響「キャスト、『ドラゴンシールド 緑竜の盾』で攻撃を無効化して……」

金本「対抗でキャスト、『牙竜喝破』だ。ゲージ2とライフ1を払って、その魔法を無効化にして破壊する」

 金本の手札:3→2/ゲージ:4→2/ライフ:7→6

 そうそう事が上手く運ばず、あっさりと防御魔法を割られる響。5点の高打点が突き刺さる。

響「ひえ~!? 5点はキツイぜ!」

 響の手札:4→3/ライフ:9→4

金本「リクドウ斬魔をスタンドして、もう一回響にアタックだ」

響「まだだ! キャスト、緑竜の盾で攻撃を無効化してライフを+1」

 響の手札:3→2/ライフ:4→5

 今度はキッチリと防げた。もしなかったとしたら……想像は容易い。

金本「あー、2枚も持っていたのか。ガルチャージしなくて正解だったな。ライトのカーリーで響にアタック」

 一方、金本はゲージを確認しながら言った。ガルチャージをした場合、牙竜喝破が使えない為、全部の攻撃が空振りに終わるところだっただろう。

 そして、結果を踏まえて金本は次の行動を宣言した。

響「防御はないから受ける」響のライフ:5→3

 その宣言に対して響は対抗を持っているカードがなかった為、ダメージを受ける事に。

金本「レフトのカーリーで響にアタック」

響「これも受ける。……何とか首の皮一枚繋がったぜ」響のライフ:3→1

 本当に緑竜の盾が2枚来て良かったと思う。でなければ、このターンで決着が付いていただろう……あの高打点の連続攻撃で。

金本「これで俺のターンは終わりだ」

 金本の手札:2/ゲージ:2/ライフ:6/金本:リクドウ斬魔(ソウル:1)/レフト:アーマナイト・カーリー/ライト:アーマナイト・カーリー

響「っし、俺のターンだな。ドロー、チャージ&ドロー!」

 響の手札:2→3/ゲージ:4→5

響「ええっと、これは……“戦いの時は今”の能力を使って、俺の手札から「竜楽団」のモンスター1枚をゲージに置いて、1枚ドロー!」

 響の手札:3→2→3/ゲージ:5→6

 未だに慣れない手つきで手札から1枚をゲージに置き、カードをドローする。しかし、思っていた程、良い札はない。

響「あー、こいつは……仕方ねえ、キャスト『ドラゴニック・グリモ』で仕切り直しだ」

 響の手札:3→0→3/ドロップ(竜楽団の種類:1→4)

響「っし! これなら行けるぜ! バリトンを押し出してセンターに『竜楽団団長 コルネットホルン・ドラゴン』をゲージ2を払い、ドロップゾーンから「竜楽団」を2枚ソウルに入れて、バディコール!」

 響の手札:3→2/ゲージ:6→4/ライフ:1→2/ドロップ(竜楽団の種類:4→2→3)/響:竜楽団旗/センター:竜楽団団長 コルネットホルン・ドラゴン/ライト:バリトン→なし

 

竜楽団団長 コルネットホルン・ドラゴン

ドラゴンワールド

種類:モンスター 属性:武装騎竜/青竜

サイズ2/攻5000/防5000/打撃2

■[コールコスト]君のドロップゾーンからカード名に「竜楽団」を含むモンスター2枚までをソウルに入れ、ゲージ1払う。

■このカードが場にいる限り、君の場のカード名に「竜楽団」を含むカード全ての打撃力+1!

[ソウルガード]

「我は竜楽団団長コルネットホルン・ドラゴン。君も音楽を愛してやまないのなら、我らは同志だ」

 

響「そしてコルネットホルンの効果で俺の場の「竜楽団」全ての打撃力を+1!」

 響:竜楽団旗/打撃:1→2 センター:コルネットホルン/打撃2→3

金本「おうおうおう、《新選組》じみたデッキだな」

響「んで、レフトに『竜楽団 スネア』をコール! コルネットホルンの効果でスネアも打撃力+1だ!」

 響の手札:2→1/響:竜楽団旗/レフト:竜楽団 スネア/センター:コルネットホルン

 

竜楽団 スネア

ドラゴンワールド

種類:モンスター 属性:竜騎士

サイズ0/攻3000/防2000/打撃1

「馬鹿にするな、元々は人間が扱っていた道具なんだ」

 

 レフト:スネア/打撃1→2

響「このままアタックフェイズに入るぜ! まずはコルネットホルンで鉄平にアタック!」

金本「キャスト、『闘気四方陣』で攻撃を無効化」

 金本の手札:2→1

響「まだまだ、スネアで鉄平にアタック!」

金本「受ける」金本のライフ:6→4

響「竜楽団旗でアタックする前に確認なんだけど……陽太郎、これで殴っても大丈夫だよな」

 自分が装備しているアイテムカードを土原に見せる。すると、土原はサムズアップをして答えた。

土原「ああ、大丈夫だぜ! 条件はバッチし揃っているから問題ないぜ!」

響「そうか、なら竜楽団旗で鉄平にアタック。このカードはセンターに「竜楽団」のモンスターがいたら、攻撃できるぜ!」

金本「そうきたか、これも受ける」金本のライフ:4→2

響「んで、ファイナルフェイズ!」

金本「おお、何か来たみたいだな」

響「俺の場に……ええっと、《武装騎竜》と《竜騎士》がいるからゲージ1払って、キャスト『ドラゴンワールド・アライアンス』! 鉄平に2ダメージ!」

 響の手札:1→0/ゲージ:4→3

 響はカードのテキストを確認しながら、丁寧に操作を行う。

 彼がカードの能力を読み上げ終わると金本は自分の手札を見た。ダメージを無効化したり、減らしたりするカードはない。

金本「手札がない、受ける。俺の負けだ」金本のライフ:2→0

 

WINNER:南條響

 

晶子「おお、響君が勝ったぁー!」

土原「スゲーな、ビッキー! ちゃんとデッキ使いこなしてんじゃん!」

響「一昨日、昨日とお前んちで特訓したからな……いや、でも危なかったぜ」

剛志「確かにあの連撃はヤバかったのう」

 響が勝利したという結果に外野三人は盛り上がっていた。

 初心者である彼が金本に勝てない訳ではないが、経験の差というのものは大きい。しかし、それでも運を引き寄せられたのも彼自身の実力というべきだろう。

金本「まっ、それだけ動ければ多少は問題ないだろう。ルールもそれなりに理解していたし」

 対戦相手を務めた金本は平然とした態度で言う。

 普段あまりファイトをやらない響が勝利まで辿り着けたのだから、むしろ戦力として申し分ない。本番で緊張しなければ……と先の事も見据えていた。

土原「それにしても、腹減ったぁ~。大会までまだ時間あるし、どっか寄って食いに行かね?」

剛志「そうじゃな。ワシも頭動かした分だけ腹減ったわい」

響「お前らなぁ……って、時間もそんな時間か」

 響は教室の壁に掛けられている時計を見る。針はお昼頃、丁度昼食を取る時間帯だ。

金本「この時間、どこも混んでいるだろ? 俺は嫌だぞ」

響「でも、飯を食わねえと戦はできねえだろ?」

金本「飯食う前に戦になるから嫌なんだよ」

 そればかりは何とも言えない響であった。

 一方、土原が言った「大会」という単語に疑問を持った晶子はその発言者に質問を投げかけていた。

晶子「陽太郎君、大会って?」

土原「ああ、オレ達は今日店舗予選に出るんだよ! 高校生限定のな!」

 その解答に晶子は理解し納得した。彼が言った高校生限定の店舗予選とは今夏に行われる大型大会の予選の事だ。

 毎年のように行われるその大会は野球で言う“甲子園”であり、高校生バディファイターの憧れの大会である。

 その大会で優勝したチームはプロのバディファイトチームにスカウトされると言われ、プロバディファイターを目指す者にとっては登竜門のようなものだとすら言われている。

晶子「そっか、頑張ってね! 二次予選に行ったら、応援に駆け付けるからね!」

 きっと予選も厳しいものになるだろうと晶子は思いながらも彼らに声援を送った。

土原「マジで!? ショーコちゃんが応援に来るなら何としてでも店舗予選突破しなきゃな!」

剛志「じゃな。ワシもたくさんファイトしたいじゃけえ、勝ちまくるぞ!」

 剛志は店舗予選に先に待ち構えている強敵に思いを馳せる。勝ち上がり続ければ、よりたくさんのファイター達と戦える。その為にも店舗予選の突破は必須だ。

土原「あ、そうそう。この後、飯食いに行くんだけど、ショーコちゃんもどう?」

晶子「あたしは用事があるから、また今度ね」

剛志「そういえば、裏の畑がどうとか言うとったじゃな」

土原「くぅ~、オレは野菜に負けたのかぁ~!」

 この後、剛志達は晶子と別れて近くの飲食店へと足を運んだ。晶子にフラれた土原をなだめながら。

 

 その頃、バディポリス東京本部では今年行われる大型大会の進行や警備の計画を練るのに裏方にあたる人物達が忙しなく動いていた。

 バディポリスはバディファイターでないと務まらないと一般的なイメージがあるのだが、あくまでそれは花形。

 警察にも刑事だけがいる訳ではないように、バディポリスにも非ファイターの人材も多くいる。

 そんな彼らは当日警備を務めるであろうバディポリスのメンバーが、無理なくかつ迅速に対処ができる配置に付けるようにあれやこれやと日夜頭を働かせていたのだ。

?「失礼します。この前の計画書をお持ちしました」

 黒々とした髪を短く整え、黒縁の太いフレームの眼鏡を掛けた男性がある部屋に入った。

 豪勢な作りをしている装飾に似つかわしくない観葉植物が棚の上に置かれ、その植物達の世話をしている男性も質素という言葉が似合う程に細身で派手な装飾を身に着けていない。

?「やぁ、お帰り。どうかね、進捗は?」

?「これを見れば、分かると思います」

 眼鏡を掛けた男性は手に持っている紙の束を執務机の上に置いた。

 植物の世話をしていた男性は机に置かれた事を確認すると、霧吹きをその場に置き執務机に合わせて置いてある椅子に腰を掛ける。そして、計画書を手に取り目を通していく。

?「ふむふむ、前回出した案よりまとまっているね。この案を中心に細かいところを修正してもらおうか」

?「分かりました。後で修正箇所の提案をお願いします」

?「あ~やっぱりそうなるよね~」

 男性は苦笑いを浮かべた。しかし、この男は無責任ではない為、目についた粗に対して一つ一つ自分の意見を書いていく。時折、眼鏡の男性に意見を求めながら整理し、自分の書いた修正案は可能かどうかの質問も記した。

?「それにしても長官、よろしいのですか?」

長官「ん? 何がだね?」

 長官と呼ばれた男性は顔を上げて、発言者の方へ目を向けた。眼鏡の男性が無愛想な顔つきでこちらを見つめている。また大柄である事も相まってかなり威圧感があった。

?「バディポリスユース達を大会に参加させておいて」

長官「ああ、その件か……別に問題ないよ。有事の際には一番早く動ける立ち位置にいてもらっているからね」

?「なるほど、やはりそう考えていましたか。不破長官」

 長官――不破(ふわ)誠人(まさと)は間を置いた後、資料を置いて手元にあるコーヒーに口を付けてから返す。

不破「まぁね。それに彼らはまだ学生だ。青春してもらわなくちゃね、桐口君」

桐口「まるで私が青春時代を過ごしていないかのような言い方ですね」

 桐口(きりぐち)守人(もりと)は無愛想なまま軽口を言う。彼はあまり軽口を叩く人間ではないが、不破に対して一定の信頼を置いている為、たまにこうして彼なりの軽い冗談を言う時がある。

不破「でも、()()じゃ過ごしていないでしょ?」

桐口「ええ、()()では過ごしていませんね」

 桐口はこれ以上良い返しが思い付かない為、あっさりと認めてしまった。その言葉に不破は少し口の端を上げる。

桐口「長官はどういう青春時代をお過ごしだったのでしょうか?」

 ふと疑問に思った為、聞いてみる。不破はにこやかな表情を崩さないままコーヒーを一口飲むとその節を話す。

不破「僕は剣道少年だったからね……バディファイトも真面目にやっていたけど、とにかく剣道に打ち込んでいたよ」

桐口「なるほど、それは青春ですね」

不破「そのおかげで当時は彼女なんてできなかったけど」

桐口「そんな剣道少年が結婚して子供までできるのですから、大したものだと思います」

 不破のその事に対して特に表情を変えず、机の上に置いてある写真立ての写真を見つめる。

 彼と妻らしき女性、恐らくその二人の子供であろう幼い少女の三人で映った家族写真だ。

不破「結婚と言っても籍は入れていないけどね」

桐口「今度はいつ会いに行くつもりですか?」

不破「当分は会えないだろうね。大会の事もそうだけど事件の事もあるから」

 そう言って桐口に目を合わせた不破の表情はバディポリスの長官らしく厳しく引き締まっていた。

 その黒瞳の奥は彼の頑固な意志を示すかのように真っ直ぐに強い光が宿っている。

桐口「そうですね。今は面倒な事件が発生していますしね」

 桐口の顔色は変わっていない。常に厳しい表情をしているように見えるからかもしれない。だが、ここでふざけるような人物ではないのは周知だ。

 彼の言葉に不破は先程の調子になり、柔和な表情で再び資料を覗き込む。そして軽い調子で言う。

不破「さてと、仕事に戻ろうかな」

 再度資料に目を通して、ある程度書き込み終わったら、桐口に計画書を手渡して送り返した。

 

 バディポリスながらに大会参加を許された剛志は土原達と昼食を済ませ、目的のカードショップに向かう。

 店内に入ると剛志達と変わらないぐらいの年頃の少年少女達があちらこちらに見かける。彼らもまた店舗予選に臨む者達で各々作戦を立てながらカードを見たり、卓上用にサプライを買ったりとして受付が始まるまでの時間を過ごしていた。

金本「あ~もう帰りたい」

土原「って、帰ろうとすんな! まだ今日のメンバー決めていないんだぞ!」

 人の多さに幻滅した金本はさっさと帰ろうとするが土原に止められる。入口で立ち往生している訳にいかない為、一行は比較的人の流れの邪魔にならない位置に避難した。

剛志「っじゃ、今日の選抜メンバーを決めるわい! じゃんけんでええんじゃな?」

土原「ああ、そうだぜ。金本、お前もちゃんとやれよ」

金本「絶対に負けてやる」

響「負けることに執念を燃やすのかよ!?」

 男四人がじゃんけんした結果、見事宣言通り金本が負けた為、今回は剛志と土原と響の三人でこの店舗の大会を戦う事となる。

 規定により、一チームが一つの店舗大会に参加できるのが三人までとなっている。その為、剛志達はじゃんけんでメンバーを決めていたのだ。

金本「あ、そうそう響。ちゃんと相手のデッキはシャッフルしろよ」

響「急に何を言うかと思えば……するに決まっているだろ」

土原「そうだぜ、ビッキーが金本みたいに拒否される訳ないだろ!」

響「え!? どういうことだよ、それ!?」

 響は驚く。土原から自分のデッキのシャッフルを終えたら、互いにデッキを交換してシャッフルするのが常識だと教えられたからだ。

 それはこれから対戦する相手に失礼がないように正々堂々と戦う為の証拠だと言われているのだから、拒否する理由はどこにあるのだろうかさえ思っていた。

剛志「あの事件のことじゃな……」

 剛志は響にその当時の事を話す。カードショップ店内でのフリー対戦を行った時の事、金本の対戦相手が自分のデッキを彼にシャッフルされる事を拒否したのだ。

 さらに後々になって判明したのだが、その対戦相手は自分のデッキすら切り混ぜていなかったのだという。自分の欲しいカードが上に固めていたというのだ。

 しかし、金本が先攻を取ってワンターンキルをやってのけたので事は大事にならなかったそう。相手もワンターンキルに特化していたデッキだからこその悲劇とも言われていたらしい。

響「なるほどな……そんなことが……本当に鉄平はすげぇな」

金本「いや、向こうが防御魔法を一枚も手札に入れてなかっただけの話だ。まっ、負けても何も言う気はないけど」

土原「オレだったら一発ぶん殴りそうな事件だけどな!」

金本「お前なら一発どころか十発ぐらいは殴っていそうな気がするぞ」

 軽く談笑している内にアナウンスが入る。大会の受付を始めるアナウンスだ。

 参加するメンバーはデュエルスペースと呼ばれる机や椅子がいくつも並べられて置いてある空間に入っていく。そして受付を済ました者は紙に自分の名前と所属しているチーム名を記載する。

 参加者が出そろった後、店員がタブレットを使って参加者達が持っている用紙にある番号を読み上げて組み合わせを発表した。

 全ての組み合わせが発表された後、参加者達は指定された席に着く。剛志は中央付近に着席し、対面している相手と挨拶を交わす。

剛志「よろしくお願いしますわい」

?「おう、よろしくな」

 そう返したのはオレンジ色のウルフカットに近い短髪にややツリ目な灰瞳の少年。慣れた手つきで山札を切っていた。

?「そうだ! お前の名前、聞いてもいい?」

剛志「別に構わんわい。ワシは日向剛志じゃ!」

竜「俺は鹿島竜! 剛志、負けねえからな!」

剛志「望むところじゃい!」

 二人は互いのデッキを交換してシャッフルした後、持ち主に返して手札とゲージをセッティングし、先攻と後攻を決めるじゃんけんをする。

 じゃんけんの勝者は竜だ。そして準備が終わった頃、店員が全ての場所の準備が終わった事を確認し、掛け声をかける。

店員「制限時間は二十分です。それでは行きますよ、バディーファイッ!」

 それに合わせてファイター達は一斉に「オープン・ザ・フラッグ!」と声を発し、フラッグを公開する。

 

竜「レジェンドワールド!」

 竜の手札:6/ゲージ:2/ライフ:10/バディ:竜滅王 ベーオウルフ

剛志「エンシェントワールドじゃい!」

 剛志の手札:6/ゲージ:2/ライフ:10/バディ:魔愚南無竜王 リボルバー・ガロード

竜「俺から先攻行くぜ! チャージ&ドロー!」

 竜の手札:6→5→6/ゲージ:2→3

竜「まずはレフトに『竜滅王 ベーオウルフ』をバディコール!」

 竜の手札:6→5/ライフ:10→/レフト:竜滅王 ベーオウルフ

 レフト:竜滅王 ベーオウルフ/サイズ1/攻3000/防2000/打撃2

竜「それでキャスト、『バディチャージ』! 俺のデッキの上から1枚をゲージに置く。さらに俺の場にはバディモンスターがいるから、さらにもう1枚ゲージに置くぜ」

 竜の手札:5→4/ゲージ:3→5

竜「キャスト、『バディヘルプ』でゲージ3払って、カードを2枚ドロー!」

 竜の手札:4→3→5/ゲージ:5→3

剛志「結構ゲージ使うデッキじゃのう」

竜「ああ、俺のデッキはまだまだカードが揃っていなくてな……現状で補えるカードで補っているんだよ」

 自分の使っているワールドのカードを集めきるのは現状難しいのだろう。しかし、ジェネリックというクランは一部を除いて全てのデッキに入れられる便利さがある。

 彼はそれ利用して、己の理想との距離を縮めているのだ。

剛志「なるほど、納得じゃわい」

竜「んじゃ、仕切り直して『聖護 プリドゥエン』を装備、センターに『戦乙女 輝きのワルキューレ』をデッキの上から1枚をソウルに入れてゲージ1払ってコール!」

 竜の手札:5→4→3/ゲージ:3→2/竜:聖護 プリドゥエン/レフト:ベーオウルフ/センター:戦乙女 輝きのワルキューレ(ソウル:1)

 竜:聖護 プリドゥエン/攻0/打撃0/[装備変更] センター:戦乙女 輝きのワルキューレ/サイズ2/攻5000/防3000/打撃2/[移動]/[ソウルガード]

竜「さて、こっからアタックフェイズに入るぜ。ワルキューレでファイターにアタック!」

剛志「ここは受けるわい」剛志のライフ:10→8

竜「俺のターンは終わりだぜ」

 竜の手札:3/ゲージ:2/ライフ:11/竜:プリドゥエン/レフト:ベーオウルフ/センター:ワルキューレ

剛志「ワシのターンじゃな。ドロー、チャージ&ドロー!」

 剛志の手札:6→7/ゲージ:2→3

剛志「まずはキャスト、『竜王伝』じゃい! デッキの上から1枚をゲージに置いて、ライフ+1、さらにカードを1枚ドローじゃい」

 剛志の手札:7→6→7/ゲージ:3→4/ライフ:8→9

剛志「次はライトに『銃銃竜王 ワンショット・ガロード』をゲージ2払って、コールじゃい!」

 剛志の手札:7→6/ゲージ:4→2/ライト:銃銃竜王 ワンショット・ガロード

 

銃銃(ガンガン)竜王 ワンショット・ガロード

エンシェントワールド

種類:モンスター 属性:怒羅魂頭

サイズ3/攻10000/防6000/打撃力2

■[コールコスト]ゲージ2を払う。

■このカードは「リボルバー・ガロード」としても扱う。

■相手のカードが攻撃した時、その対象をこのモンスターに変更する。

■このカードが登場した時、君の手札の《怒羅魂頭》のアイテム1枚を選び、【装備コスト】を支払わずに装備してもよい。

[ライフリンク2]

FT「たまにはシンプルに行こうぜ、相棒!」

 

 場に出されたのはリボルバー・ガロードと似ているようで少し違うイラストが描かれたモンスターカード。リボルバー・ガロードと比べてどこか足軽そうな雰囲気だ。

剛志「ワンショット・ガロードの効果で、ワシの手札から『友情のマグナム・リボルバー』を装備コストを払わずに装備するわい」

 剛志の手札:6→5/剛志:友情のマグナム・リボルバー/ライト:ワンショット・ガロード

 剛志:友情のマグナムリボルバー/攻6000/打撃1/[装填6]

 卓上でやっている為、流石に本物のマグナム・リボルバーは取り出さない。代わりにカードをフラッグの上に重ねた。

剛志「それでマグナム・リボルバーの[装填]を発動じゃ! ゲージを1枚選んでマグナム・リボルバーにソウルイン! さらにマグナム・リボルバーの打撃力を+1じゃい」

 剛志のゲージ:2→1/剛志:マグナム・リボルバー(ソウル:0→1)/ライト:ワンショット・ガロード

 剛志:マグナム・リボルバー/打撃1→2

剛志「続いて、レフトに『ドラゴンキッド リッキー』をコールじゃい!」

 剛志の手札:5→4/剛志:マグナム・リボルバー(ソウル:1)/レフト:ドラゴンキッド リッキー/ライト:ワンショット・ガロード

 レフト:ドラゴンキッド リッキー/サイズ0/攻防3000/打撃1/[ライフリンク1]

 赤く小柄な竜が描かれたカードがモンスターエリアに置かれる。以前、彼が使っていた小柄な竜とはまた違う雰囲気が感じられた。

剛志「アタックフェイズに入るわい! そんでマグナム・リボルバーの“射撃!”は発動じゃい! ソウル1枚をドロップゾーンに置いて、お前さんのセンターにいるモンスターを選択して破壊し、さらにお前さんにダメージ1点じゃ!」

 剛志:マグナム・リボルバー(ソウル:1→0)/打撃2→1

竜「ああ、対抗はないからワルキューレのソウルガードを使うぜ。後、ダメージも受ける」

 竜のライフ:11→10/ワルキューレ(ソウル:1→0)

竜「確認なんだけど、[貫通]はどれか持っているか?」

剛志「どれも持っていないわい」

竜「そっか。まっ、どちらにせよ[移動]はなしだ」

剛志「なら、マグナム・リボルバーでセンターにアタックじゃい!」

竜「キャスト、『オースィラ・ガルド』でワルキューレをドロップゾーンに置いて、デッキの上から1枚をゲージに置いて、カード1枚をドロー!」

 竜の手札:3→2→3/ゲージ:2→3/センター:ワルキューレ→なし

 カードの効果でワルキューレがドロップゾーンに置かれ、マグナム・リボルバーの攻撃は無効化される。

 竜は少しもったない気もしないが、どのみち破壊される訳だからと割り切り、効果の処理を行った。

剛志「うーん、空振ったみたいじゃな。だが、センターが空いているのは好都合じゃい! ワンショット・ガロードでファイターにアタックじゃ!」

 剛志はワンショット・ガロードのカードの向きを横に変えた。3点のダメージが竜に迫る。

 竜は少し悩んだ素振りでワンショット・ガロードとプリドゥエンのテキストを見比べた。

竜「3点は喰らいたくないけど……あ~、なるほど。プリドゥエンの効果使わないで受けるわ」

 竜のライフ:10→7

 自分の手札にあるカードを見て、ライフカウンターを確認。そしてその判断に至った。

剛志「最後はリッキーでファイターにアタックじゃい!」

竜「これも受けるよ」竜のライフ:7→6

剛志「ファイナルフェイズに行くわい! キャスト、『仏血義理チャージ!』じゃ! お互いにデッキの上から4枚をゲージに置くんじゃい」

 剛志の手札:4→3/ゲージ:1→5

竜「オーケー! 4枚をゲージに、だな!」

 竜のゲージ:3→7

 互いにゲージが4枚増えた。互いにとってメリットかもしれないが、必要なカードがゲージに全て流れている可能性がある為、容易には喜べない能力だったりもする。

剛志「これでワシはターンエンドじゃい」

 剛志の手札:3/ゲージ:5/ライフ:9/剛志:マグナム・リボルバー/レフト:リッキー/ライト:ワンショット・ガロード

竜「っし、俺のターン! ドロー、チャージ&ドロー!」

 竜の手札:3→4/ゲージ:7→8

竜「まずはキャスト、『スンベル・ガルド』! 俺のライフが6以下だから使えるぜ。だけど、ドロップゾーンに『ブレッフェン・ガルド』がないからゲージ1払って、カードを2枚ドロー!」

 竜の手札:4→3→5/ゲージ:8→7

竜「ライトに『竜滅騎士 ジークフリード』をゲージ1払ってコール。登場時の効果で……あ」

 竜の手札:5→4/ゲージ:7→6/竜:ブリドゥエン/レフト:ベーオウルフ/ライト:竜滅騎士 ジークフリード

 ライト:ジークフリード/サイズ2/攻4000/防5000/打撃2/[移動]

 剛志のカードに書かれている属性に気付くと竜の動きが止まった。これは彼にとって致命的なミスだ。

 ジークフリードの登場時効果である属性に「竜」か「ドラゴン」が入ったモンスターを破壊する効果は剛志の《怒羅魂頭》には効かない。読み方にドラゴンが入っているのだと言うのに指定した文字の関係で、対象外となってしまう。

 自分のやる事に集中しすぎて、すっかり抜け落ちていた。

竜「やべ、やらかしたわ……いいや、俺は俺のスタイルを貫く! [装備変更]を使って、プリドゥエンを手札に戻して『竜滅剣 バルムンク』を装備するぜ!」

 竜の手札:4→3→4/竜:プリドゥエン→竜滅剣 バルムンク/レフト:ベーオウルフ/ライト:ジークフリード

 竜:竜滅剣 バルムンク/攻3000/打撃2

 しかし、だからと言って自分のスタイルを曲げるのは嫌だから竜は続けてバルムンクを場に出す。

 剛志は彼の言葉に好感を持てた。ガチガチのメタデッキだから、刺さるデッキのファイターからすれば嫌だろうし、実際嫌われもしただろう。

 だが、メタカードが通用しない剛志のデッキにさえ、その竜殺しに特化したカード(ドラゴンスレイヤー)達をフル動員させたのだから逆に清々しい。

 ……ただ単に現状それしか手立てがないからそうせざるを得ないだけかもしれないが。

竜「これでアタックフェイズに入るぜ!」

剛志「ワンショット・ガロードは攻撃を全部引き受ける能力を持っておるぞ」

竜「なら、まずはバルムンクとジークフリードでワンショット・ガロードに連携アタック!」

剛志「キャスト、『竜意周到』で攻撃を無効化じゃい!」

 剛志の手札:3→2

竜「対抗でキャスト! 『ブレッフェン・ガルド』でその魔法を無効化するぜ! だけど、ドロップゾーンに『ベルセルク・ガルド』がないから、このカードは回収できないんだよな……」

 竜の手札:4→3

 残念ながら、そのカードはドロップゾーンには流れていなかった。

 もしベルセルク・ガルドがあれば、手札1枚とゲージ2枚を引き換えに回収する事ができたのだ。回収されたのなら、剛志にとってかなりの脅威と化していただろう。

剛志「それでもワンショット・ガロードが撃破されたのは変わりないんじゃがな……だが、リッキーの効果でワシはライフリンクを受けん!」

 剛志のライト:ワンショット・ガロード 撃破!

 それでもワンショット・ガロードを撃破した事には変わりない。だが、ライフリンクによるダメージはなかった為、剛志とって痛手ではなかった。

竜「なら、ベーオウルフでそのリッキーをアタックだ!」

剛志「ぬう!」

 剛志のレフト:リッキー 撃破!

剛志「リッキーのライフリンクを1点受けるわい」剛志のライフ:9→8

竜「ターンエンド!」

 竜の手札:3/ゲージ:4/ライフ:6/竜:バルムンク/レフト:ベーオウルフ/ライト:ジークフリード

剛志「ワシのターンじゃな。ドロー、チャージ&ドロー!」

 剛志の手札:2→3/ゲージ:5→6

剛志「キャスト、『天竜開闢』でライフ2払って2枚ドローして、ライトに『陽陀羅竜王 ウェスタンビリー』をゲージ2払ってコールするわい」

 剛志の手札:3→2→4→3/ゲージ:6→4/ライフ:8→6/剛志:マグナム・リボルバー/ライト:陽陀羅竜王 ウェスタンビリー

 

陽陀羅(サンダラ)竜王 ウェスタンビリー

エンシェントワールド 

種類:モンスター 属性:怒羅魂頭/アウトロー

サイズ3/攻8000/防7000/打撃1

■[コールコスト]ゲージ2を払う。

■相手のカードが攻撃した時、その対象をこのモンスターに変更する。

■このカードが攻撃した時、君のゲージ1枚を君のアイテム1枚のソウルに入れても良い。

■【対抗】【起動】“サンダラー!”このカードが攻撃されている攻撃中、ライフ1を払い、君の場のアイテムのソウル1枚をドロップゾーンに置いてもよい。そうしたら、攻撃しているモンスター1枚を破壊し、そのターン中、次にこのカードが破壊される場合、場に残す。“サンダラー!”は同時に何回でも使える!

[3回攻撃]/[ライフリンク3]

FT「彼は情に厚い用心棒、雷を撃ち落とす男。金とそれ以上の絆を結べば、彼ほど頼もしい奴は居ない」

 

 再び現れたサイズ3のモンスター。今度は姿形が全く異なるモンスターであり、他の《怒羅魂頭》と違って暴走族というよりかは西部劇に出てくるガンマンと形容した方が似合っている。

剛志「さらにレフトに『ドラゴンキッド ヴァレリー』をコールじゃい! サーチ能力は使わん」

 剛志の手札:3→2/剛志:マグナム・リボルバー/レフト:ドラゴンキッド ヴァレリー/ライト:ウェスタンビリー

 レフト:ドラゴンキッド ヴァレリー/サイズ0/攻3000/防1000/打撃1

 ビリーとはまた違う特徴を持った小柄な竜が登場。ガンメタルの毛色が硬そうな印象を与える。

剛志「マグナム・リボルバーの[装填]を発動するわい。ゲージ1枚を選んでマグナム・リボルバーにソウルインじゃ! さらにマグナム・リボルバーの打撃力を+1じゃい!」

 剛志のゲージ:4→3/剛志:マグナム・リボルバー(ソウル:0→1)/レフト:ヴァレリー/ライト:ウェスタンビリー

 剛志:マグナム・リボルバー/打撃:1→2

剛志「アタックフェイズに入るわい!」

竜「なら、ジークフリードをセンターに移動させるぜ!」

 ジークフリード:ライト→センター

 残りライフも危うい為、竜はジークフリードを盾にするようにセンターに置く。

 “射撃!”を宣言すれば難なく破壊できるが、剛志はあえて使わず、ウェスタンビリーの攻撃を宣言する。

剛志「まずはウェスタンビリーでセンターにアタックじゃい! ウェスタンビリーの効果でこのカードが攻撃した時にワシのゲージ1枚をマグナム・リボルバーにソウルインするわい」

 剛志のゲージ:3→2/剛志:マグナム・リボルバー(ソウル:1→2)

 剛志:マグナム・リボルバー/打撃2→3

竜「キャスト、『グレムリンの嘲笑』で攻撃を無効化にするぜ!」

 竜の手札:3→2

剛志「ウェスタンビリーをもう一度スタンドじゃ。そしてもう一度、センターにアタックじゃい! 攻撃時の効果ももう一度使うわい!」

 剛志のゲージ:2→1/剛志:マグナム・リボルバー(ソウル:2→3)

 剛志:マグナム・リボルバー/打撃:3→4

竜「ぐう、破壊されるぜ!」

 竜のセンター:ジークフリード 撃破!

剛志「[3回攻撃]でさらにウェスタンビリーをスタンドじゃい。ウェスタンビリーでベーオウルフにアタックじゃ、攻撃時の効果は使わん!」

竜「くぅ~、悔しいけど破壊されるぜ」

 竜のレフト:ベーオウルフ 撃破!

剛志「ヴァレリーでファイターにアタックじゃい! ヴァレリーの効果でデッキの上から1枚をマグナム・リボルバーにソウルインじゃ!」

 剛志:マグナム・リボルバー(ソウル:3→4)/打撃4→5

竜「これは……受ける!」竜のライフ:6→5

剛志「最後にマグナム・リボルバーでトドメじゃい! 打撃5点を受けてもらうわい!」

竜「5点!? そんなの受けたくねえよ! 手札にあるプリドゥエンの効果を使って、プリドゥエンを装備! [装備変更]でバルムンクを手札に戻す!」

 竜の手札:2→1→2/竜:バルムンク→プリドゥエン

竜「さらにプリドゥエンの効果を使うぜ! 俺がダメージを受ける時、ゲージ2払ってそのダメージを2点減らす!」

 竜のゲージ:4→2/ライフ:5→2

 間一髪で敗北の危機を逃れた。しかし、それでも残っているライフの数値はレッドゾーン。次に掛かっている。

剛志「やりおるわい! ワシのターンはこれで終いじゃ!」

 剛志の手札:2/ゲージ:1/ライフ:6/剛志:マグナム・リボルバー(ソウル:4)/レフト:ヴァレリー/ライト:ウェスタンビリー

竜「はぁ~首の皮一枚繋がった~。んじゃ、俺のターン……ドロー、チャージ&ドロー!」

 竜の手札:2→3/ゲージ:2→3

 何とか攻撃を凌いだ事に安堵した竜は一息を吐いて、落ち着く。そしてドローフェイズを終え、メインフェイズに入った。

竜「キャスト、スンベル・ガルド! 今度はブレッフェン・ガルドがあるからゲージを払わずにカードを2枚ドロー」

 竜の手札:3→2→4

竜「んで、バルムンクを装備。[装備変更]でプリドゥエンを手札に戻すぜ」

 竜の手札:4→3→4/竜:プリドゥエン→バルムンク

 使い慣れた愛剣は今回あまり効果を発揮できていない。それでも彼はその剣を選んだ……それしか攻撃力を持つアイテムを入れていなかったから。

竜「ライトにベーオウルフをコールして、レフトにワルキューレをゲージ1払い、デッキの上から1枚をソウルインしてコール!」

 竜の手札:4→2/ゲージ:3→2/竜:バルムンク/レフト:ワルキューレ(ソウル:1)/ライト:ベーオウルフ

 単体での攻撃力は全員ウェスタンビリーに届いていない。それは竜自身が一番分かっている。

竜「アタックフェイズ!」

剛志「ウェスタンビリーもお前さんの攻撃を全部吸い寄せる能力を持っているわい」

竜「だろうな! だから、バルムンクとワルキューレでアタックだぜ」

 モンスター同士で連携攻撃をすると全滅させられる可能性がある。ワルキューレはソウルガードを持っている為、まだ場に残る。だが、ベーオウルフは持っていない。

 このターンではどのみち相手のライフを削り切る事は叶わない。しかし、相手を追い込む事はできるはず。だから、敢えてベーオウルフは残した。

 けれど、その判断は用心棒の前に意味を為さなかった。

剛志「ウェスタンビリーの“サンダラー!”を使うわい! ライフ1払って、マグナム・リボルバーのソウルを1枚ドロップゾーンに置いて、ワルキューレを破壊じゃい!」

 剛志のライフ:6→5/剛志:マグナム・リボルバー(ソウル:4→3)

 剛志:マグナム・リボルバー/打撃5→4

 まさしく雷を撃ち落とすのかように、己に降りかかった災難を撃ち抜く。しかし、まだ災厄は続く。

竜「だけど、ワルキューレはソウルガードがあるからまだ攻撃は続行中だ!」

 竜のレフト:ワルキューレ(ソウル:1→0)

剛志「まだまだよ! さらにウェスタンビリーは次に破壊される時は場に残せるんじゃい」

竜「くぅ~、マジか! 倒し切れると思ったんだがな、ターンエンドだぜ」

 竜の手札:2/ゲージ:2/ライフ:2/竜:バルムンク/レフト:ワルキューレ/ライト:ベーオウルフ

剛志「このターンで決めるわい! ドロー、チャージ&ドロー!」

 剛志の手札:2→3/ゲージ:1→2

剛志「キャスト、竜王伝でゲージ+1、ライフ+1、カードを1枚ドローじゃい」

 剛志の手札:3→2→3/ゲージ:2→3

剛志「マグナム・リボルバーの装填を発動じゃい! ゲージ1枚をソウルイン!」

 剛志のゲージ:3→2/剛志:マグナム・リボルバー(ソウル:3→4)

 剛志:マグナム・リボルバー/打撃4→5

剛志「このままアタックフェイズに入るじゃけえ、お前さん何かあるか?」

竜「ねえな」

 竜は自分の手札とライフを見て、敗北を悟った。そして剛志は宣言する。

剛志「なら、マグナム・リボルバーの“射撃!”を使うわい。マグナム・リボルバーのソウル全部ドロップゾーンに置いて、ワルキューレを破壊じゃ! さらにお前さんに4点分のダメージじゃい!」

 剛志:マグナム・リボルバー(ソウル:4→0)

竜「ライフは0だ。俺の負けだぜ」

 竜のライフ:2→0/センター:ワルキューレ 撃破!

 

WINNER:日向剛志

 

竜「くそぉ~、予想はしていなかった訳じゃないけど、ドラゴンじゃなかったのは痛かったぜ~」

剛志「ハハハッ、メタはある意味賭けじゃけえな」

 二人はカードを片付け、用紙を交換して勝敗を記す。尚、この店舗予選は一回負けたら敗退となるシングルエリミネーション方式――いわゆる勝ち抜き方式を採用している。

 その為、用紙に勝敗を書いても仕方のないかもしれないが、公式戦――ましてや、大型大会の出場を賭けた予選故に記録として必要なのだ。

竜「剛志、ありがとう! 次会ったら、必ずリベンジしてやるからな!」

剛志「おう、こっちこそありがとうじゃ! だけど、次もワシが勝つぞ!」

 再戦の約束を交わすと竜は席を立ち自分の用紙を持って、その場から立ち去った。周りを見渡すと最初の頃より人数は減っている。

 勝ち抜き方式の為、負けた者はすぐに去らなければならないからだろう。しかし、これは仕方のない事。

 そして制限時間を迎えると店員がやって来た。全員、制限時間内に決着を付けたらしく引き分けになった者はいない。

 店員はその事を確認するとタブレットに記録した残った番号を専用アプリで再度ランダムに混ぜ、組み合わせを発表する。

 残ったメンバーがその組み合わせに合わせて席を移動し、対面した相手ファイトをする。

 そしてまた制限時間が過ぎると店員がやって来て、残った参加者のマッチングをするというのを繰り返して優勝したのは――。

 

土原「ビッキーの優勝にカンパーイ!」

剛志「カンパーイじゃ!」

金本「カンパーイ」

 土原が陽気に音頭を取る。ノリノリな剛志と気だるけな金本が続く。中心の響は未だに現実を認められないのか、困惑している。

響「本当に俺が勝っちまったのかよ……」

 店舗大会で優勝したのは響だった。大会が終わった後、彼らは行きつけのファミレスで響の優勝祝いをしている。

土原「ビッキーが勝ったんだよ! だって、オレにも勝ったんだからな!」

 準決勝にあたる試合で響と土原がマッチングしてしまったのだ。まず、そもそも響がそこまで残ったのが凄いだろう。

 彼は天性の引きの強さで土壇場を制して勝ち上がっていた。それが土原との戦いでも発揮され、見事勝利をもぎ取ったのだ。

土原「それにしてもいつの間に『ドラゴン・ハート』なんて入れてたんだよ?」

響「今日の朝」

土原「マジか。気付かんかったわ」

 土原が必殺技を出した時、響は『ドラゴン・ハート』をキャストしてなんとか場を凌いだのだ。

 流石の土原もそれは予想してなかったらしく、手札を枯渇させてしまい、返しのターンで猛攻に遭い沈んだという。

金本「剛志は何と対戦して負けたんだ?」

 唯一参加していない金本は結果しか知らない。だから、剛志にも話を振った。

剛志「ワシは《新撰組》じゃな……序盤でリッキーとワンショットを焼かれたのがな……」

 準決勝での譜面を思い出す。先攻は剛志で、最初からワンショット・ガロードとリッキーを出し、マグナム・リボルバーを装備というフル武装だった。

 しかし、向こうがバウンス効果を持つカードと『竜騎士 ソウシ』や『竜騎士 イワモト』などのサイズ関係なくモンスターを破壊する効果を持つカードを上手く活用した為、序盤からライフリンクを受け続けるという苦しい展開を強いられてしまったのだ。

 その後、リボルバー・ガロードを出して対処したが、のらりくらりと躱されジリ貧の末にリボルバー・ガロードを倒された事によるライフリンクで負けた。

剛志「序盤でリボルバー・ガロードを出せたとしても向こうに『壬生の狼』があるじゃけえ……」

金本「ああ、なるほどな……確かにリボルバー・ガロードも突破できる火力はあるもんな、向こうは」

剛志「後、アルティメット・スマッシュでマグナム・リボルバーが破壊された痛かったわい」

金本「アイテム持っていたのか。なら、痛いな」

 マグナム・リボルバーはソウルを溜める能力があってもソウルガードは持っていない。その為、度々魔法や必殺技の効果で破壊される事がある。

 デッキの主軸でもある為、マグナム・リボルバーを破壊される事はかなり痛手だ。

土原「《新撰組》って、スゲェースペック低い分、効果めちゃくちゃ便利だもんなぁー」

響「ああ、俺も決勝で当たった時はモンスター一掃されて焦ったぜ」

 土原や響も話に加わる。運ばれてきた料理に舌鼓を打ちながら、今回の大会について振り返る。

剛志「そうじゃ、ガチガチのメタデッキを組んでおった奴がいたわい」

土原「メタデッキ? バルムンクみたいな竜殺しデッキ?」

剛志「そうじゃ。ワシが《怒羅魂頭》を使っていたじゃけえ、フルには動かんかったけどな」

金本「響のデッキだったら、危なかったな」

響「え? 俺のデッキとそんなに相性が良いか?」

 まだあまりカードについて詳しく知らない響が質問をする。

金本「ああ、メタカードと言ってな……特定のカードに対して強くなるカードがあるんだ」

土原「っで、今言っているカードはビッキーみたいにドラゴン使っている奴に対して超有効ってヤツなんだよ」

響「うぇ!? マジかよ!? ……あれ? でも、何で剛志のデッキには刺さらなかったんだ?」

金本「それは書いてある文字の問題。指定されているのはカタカナで“ドラゴン”か漢字で“竜”だから剛志の《怒羅魂頭》は対象外」

響「そうか……そういうことなんだな~」

 響は納得する。そして話は先程の決勝から巻き戻り、バディファイト談義は全員が食べ終わるまで続いていた。

 

 祝勝会を終え、響は夜道を一人歩く。帰り道は他の三人と違う。だからこそ、この時間もまた彼にとっては大事な時間だった。

 別に彼らといる事が苦痛という訳ではない。仲間達とワイワイ騒ぐのも大好きだ。だけど、自分の考えを整理する時間も必要だ。

 それ故に、彼は家に帰るまでの時間がとても大事だと思っていた。いつもこの帰路で曲のイメージを固めている。

 今日も新曲のイメージを固めながら、思いついたメロディーを鼻で歌う。帰ったら、ギターを取り出して公園に行こう。

 そうして帰宅後、母親に晩御飯がいらない事や公園に行く事を伝え、ギターを担いでいつもの場所へ向かう。

響「んあ? 今日は先客がいるみたいだな」

 公園の端に置かれているベンチに人影があった。外灯の光に照らされ、また距離の関係から姿形がはっきりと見える。

 ベンチに腰掛けていたのは銀色のロングヘアーと端正な顔立ちをしているせいで分かりづらいが男性だ。黒い服に身を包み、近くには剣が立て掛けてある。

 そして彼の手元には何かしらの本があり、それを覗き込むように見ていることから男性が読書中というのが分かる。また端正な顔立ちをしているが、落ち着いた雰囲気から自分より年上だろうと推察される。

?「お邪魔だったかね?」

 男性は響に気付くと本を閉じ、立ち上がった。

響「いや、別に……俺の方こそ邪魔だったっすよね?」

 男性の厳かな雰囲気に呑まれながらも響は受け答えをする。まるで別世界に生きている人間のようだと感じた。

?「構わんよ。それに君は……楽器を弾くのか?」

 男性は響が持っているギターに目を向け、問いかけた。響はその問いに頷き、先を答える。

響「そうっすよ。今、新しい曲でも作ろうかと思ってここにやって来たんす」

?「そうか……もし、君さえ良ければ、一曲聞かせてもらえないだろうか?」

響「良いっすよ!」

 響は意気揚々に男性の隣に座り、準備にかかる。彼が持ってきたギターはアコースティックギター。弦を右で抑え、左手で弾いてチューニングを行う。

?「もしや、君は左利きなのか?」

響「ええ、そうっすよ。左利きのままギター弾くのって、結構驚かれるんすよね」

 と言いつつ自分の耳だけで音を調整する響。淡々と準備をする彼の手つきに男性はただただ感心するばかり。

響「準備オーケーっす! 何かリクエストがあれば、聞くっすよ?」

?「そうだな……曲名が分からなくて申し訳ないのだが」

 男性はそう言うと口ずさむ。遠くになった故郷に思いを馳せる歌、かつて隣にいた人物が口ずさんでいた思い出の歌。

響「なるほど……そっちの方なんすね。じゃ、行くっすよ」

 弦を爪弾いてメロディーを奏でる。そのメロディーに合わせて響の歌声が乗る。曲調に合わせて響の優しくも温かい歌声が遠くの故郷を思い浮かばせる。

 男性は目を閉じ、記憶を呼び起こす。隣にいた人物、相棒と言っても差し支えなかった彼との思い出と約束。胸の奥には後悔が蘇る。

 曲が終わると男性は目を開いてはそっと立ち上がり、響と向かい合って静かに拍手を送った。

?「素晴らしい歌だった。ありがとう」

響「へへっ、それ程でもないっすよ! こっちこそ、ありがとうっす!」

 響は照れ臭いのか俯き、後頭部を掻く。面と向かって褒められるのはどこかむず痒い。

?「こんな素晴らしい歌にお返しができないのが悔しいものだ。……すまないが、私はこの辺で失礼するよ」

 男性は剣を腰に差すと踵を返して奥へと足を運ぶ。が、響が呼び止める。

響「アンタ、名前は?」

 その問いに男性は肩越しで響を見やり、そして名乗る。

レックス「私の名前はレックス。ドラゴンワールドの騎士だ」

響「俺は南條響って言うっす! レックスさん、また会いやしょう!」

レックス「ああ、そうだな。また、どこかで会おう」

 レックスはそう告げると闇の中へと消えて行った。また新たな約束ができた事に対して微笑みながら。




 Q.文字数多くない?
 A.いいえ、気のせいです。(二万三千字を書いたなんて幻想です)

 茶番はさておき、今回の話はいかがだったでしょうか?
 いつも通りの急展開ですが、またちょっと話が……さて、どうなるでしょうね。
 ちなみにこれで前編なので後編もあります。(読者殺す気かよ……)

 提供されたキャラクター紹介していこうと思います。

新代 晶子(にいしろ あきらこ)/女性/高1/16歳
容姿:身長150cm前後で、青みがかった黒の、僅かにウェーブがかっている様に見える髪。制服の上に白衣をよく着ている。
性格:天真爛漫で破天荒、お転婆
設定:とある高校に通う1年生、あだ名は“ショーコ”。いつも服を汚したりしてしまう為、白衣を身に着けている天真爛漫・破天荒・お転婆な少女。鞄には替えの白衣が何着か入っている。私服はツナギが多い。

 一応ファイターとして送られてきたのですが、ファイトシーンが書けそうにないのでファイター情報は省略させていただきました。提供者さん、こちらの力量不足で申し訳ございません!
 そして改めまして、ご提供ありがとうございました!

 では、この辺りで筆を休めようと思います。まだまだオリキャラやオリカの募集も行っていますし、感想もお待ちしてます。
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