ようこそ花園ランド   作:因幡の白ウサギ

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ギリギリ。それと時系列が飛んでますが、あらすじにも書いてあるから平気ですよね(慢心)
内容の方は……うん、許してくださいな。極限状態で書いたので、正直書いてる自分でも意味分かってないんです。

睡眠時間をくださいな……



妖怪うさハラマキ

「おたえ!」

 

『お誕生日おめでとうー!』

 

「みんなありがとー!」

 

 たえの誕生日。パァンッパァンッとクラッカーが鳴り響き、そこから飛び出したピラピラがたえの頭の上に乗る。

 市ヶ谷さんの蔵で行われた誕生会、たえに喜んでもらおうと5人で考えた結果、花園ランドを開園する事になった。

 

 言ってる意味が分からない?大丈夫、俺達も良く分かってない。ただ、たえが喜びそうなものと考えたら、自然とそこに行き着いたのだ。

 

 とりあえず喜んでくれそうな装飾などを飾り付けて、何故か蔵にあったバニーガール用のウサ耳を装着して、そしてケーキやら何やらを用意してみたが、喜んでくれているようで何より。

 

「はい、誕生日ケーキ!おたえには食べ物が一番って話になったから、すっごい大きいのを作ってみたんだー!あ、そうそう。上に乗ってるウサギは私達で作ってみたんだよ!」

 

「ちゃんと21羽いるぞ」

 

「…………ほんとだ」

 

 砂糖菓子で頑張ったうさぎ達は、キッチリ花園家のうさぎ達と同じ数だ。

 

「でも、あと5羽足りないね」

 

「5羽?」

 

「うん。だってほら」

 

 たえが指さしたのは俺達の頭。そこに乗っているのは、バニーガール用のウサ耳……ああ成程。

 

「今は、みんなもウサギだから」

 

「あっそっか!」

 

「それは考えつかなかったなー」

 

 そう言ってから、たえは大きなケーキを眺めて、そして言った。

 

「ウエディングドレス着てくれば良かったかも」

 

「なんでさ」

 

 相変わらず何を考えているかは良く分からない。ケーキの白がウエディングドレスを想起させたのか、あるいは別の理由か。

 

「なんでって、普通はウエディングドレスだよね」

 

「誕生日にウエディングドレス着てくる奴なんてそんなに居ないだろ」

 

 ウエディングドレスとか言い出したから指摘したら、逆におかしい者を見るような目で見られた。どういう事だ。

 

「まあいいや。有咲ー、ケーキ切り分ける日本刀って無い?」

 

「あるわけねーだろ!つーか、なんでケーキを切り分けるのに日本刀なんて使うんだよ!?」

 

 流石の市ヶ谷さんもこれには思わずマジビビリ。いや、聞いてるこっちも度肝抜かれたわ。

 とか思っていると、たえは更にぶっ飛んだ発言を用意していたのだ。

 

「入刀って言うくらいなんだし、やっぱり文字的に日本刀なんでしょ?」

 

「入刀ぉ?何を言っ……おい。その入刀って、もしかしてケーキ入刀の入刀じゃねーよな?」

 

「そうだけど。それがどうしたの?」

 

「…………いやいや、なんで今やろうと思ったんだ?」

 

 ケーキ入刀といえば結婚式でやるものだ。しかし今は誕生日。たえが突拍子もないのは普段通りだから良いとして、大きいケーキを見ただけでそんな事を考えていたのか。

 

「だって、私達やってないし。ケーキ入刀って結婚式の定番らしいのにさ」

 

「ああ。言われてみれば確かに……じゃなくて!仕方ないだろ。こころにというか、弦巻家に悪いんだから」

 

「それは分かってるよ。だから今やるの」

 

 そういうわけだから、はい。と、たえは市ヶ谷さんに手を出して言った。

 

「ケーキ切り分ける用じゃなくてもいいから、日本刀貸して」

 

「だから、その考えがもう間違ってるって言ってんだろ!!」

 

 でも探してきてくれるらしく、ちょっと待ってろと言って市ヶ谷さんが上にあがっていく。

 それを見送ってから、たえは持ってきた鞄を漁りながら言った。

 

「実は、私からもみんなにプレゼントがあるんだ」

 

「おたえから?」

 

「そう。5人分」

 

 じゃーん。と用意されたのは、小さいながらも丁寧に包装されたプレゼント箱。

 

「いいのか?お前、今日は祝われる側なのに」

 

「いいの。でも……」

 

 たえはポケットからトランプを取り出すと、ビシッと指をさしながら言った。

 

「このトランプで、どれを貰うのかを決めよう」

 

 その唐突な提案に俺達は顔を見合わせた。

 

 

「私ね、考えたの。みんなと絆パワーをもっと深めるには、どうすればいいかって」

 

 まあ今日は誕生日だし、パーティーゲームをするのも醍醐味か。と納得しながら、戻ってきた市ヶ谷さんを巻き込んでゲームに興じている。

 そんなトランプゲームの最中、たえは徐ろにそんな事を言いだした。

 

「私達の絆パワーなら、もう十分にあると思うけど……」

 

 沙綾がカードを引いて、その手札を香澄へ向ける。香澄は何度か手を彷徨わせてから、真ん中のカードを選びとった。

 

「まだ、あと少しは高められる事に気づいたんだよ」

 

「つったって、どうすんだよ。お揃いの衣装、お揃いのアクセサリー。後は何がある?ケータイストラップでも作るのか?」

 

「……それもいいね。じゃあ早速やろっか」

 

「たえ。お前の手札クソ悪いからって逃げるのはやめろ」

 

 逃げだしそうだったので服の袖を掴んで止め、無理やり座らせる。俺がりみからカードを引いて、それをたえに向けた。

 

「…………ゆうとー」

 

「いくら誕生日だからって、そんな甘えた声出してもダメだ。勝負は非情なんだぞ」

 

「ちぇっ」

 

 たえが手早くカードを引いて、どうやら揃ったのかペアになったカードを捨てながら沙綾に向き直った。

 

「それで、どうすんだよ」

 

「紙粘土で作ろうかなって思ってるよ」

 

「いや、ストラップの話じゃなくて。絆パワーを深める話だよ」

 

「あ、そっちか」

 

「どっちだよ」

 

 香澄が市ヶ谷さんにカードを向けている。あからさまに飛び出た一枚を取るのか取らないのかという心理戦を繰り広げながらツッコミの口も休めない。

 

「こっちだよ!」

 

「香澄は静かに。で、おたえはどうやって絆パワーを更に深めるんだ?」

 

「同じ物を使えばいいんだよ」

 

 は?と全員の考えが一致した筈だ。同じ物を使えばって、もう衣装もアクセサリーも同じ物を用意しているだろうに。一体何を使えと言うのだろうか?

 ……まさか

 

「同じ楽器とかは流石に違うよな?」

 

「優人って時々凄く変な事言うよね」

 

「おまっ……」

 

 言いそうな事を言ったら真顔で否定してきやがった。しかも変な事言うってお前が言うな。

 

「じゃあ何使うの?多分、バンドに関係する事だと思うんだけど」

 

「ふっふっふ。それを知りたいのなら、私をこのトランプゲームで倒してからにするのだー」

 

「全員1枚とか2枚なのに未だに5枚とかいうクズ運持ちに言われてもなぁ……」

 

 とは言うものの、現在膠着状態になっている原因は殆ど間違いなくたえだろう。そのクズ運でもって、俺達の上がり札を止められているに違いない。

 

「クズとは失礼な。そんなこと言う優人は後でお仕置きだね」

 

「お仕置きぃ?」

 

「そう。口に出来ないような凄いやつだよ。このゲームで負けたら受けてもらうから」

 

 その言葉に、思わずつばを飲んだ。たえが凄いと言うという事は、悪い意味で相当凄いのだろう。

 しかし、ここで臆したところを見せるわけにはいけない。たえに調子に乗らせるとロクな事にならないのは過去に経験済みだからだ。

 

「分かった分かった。もし俺が負けたら受けてやる。でもその代わり、お前が負けたら……」

 

「分かってる。オッちゃんもふもふ一生分だね」

 

「本気で言ってるんだったら俺はキレるからな」

 

 といっても、俺が有利なこの状況。順調にいけばたえが俺に勝つのは不可能だが……しかし、勝負の世界は何が起こるか分からない。

 気を引き締めよう。引き締めて何ができるわけでもないけども。

 

「むむむ、じゃあ私とお母さんもつけようかな」

 

「別にオマケが欲しいわけじゃないから。しかも何でお前がオマケなんだよ」

 

「……もしかして、そんなにお父さんの方が良いの?」

 

 …………部屋の温度が、少し下がったような気がした。急になんて事を言うんだ。

 

「優人、お前……」

 

「待ってくれ市ヶ谷さん。たえの戯言だ、分かってるだろ?」

 

「やっぱり……」

 

「おい待て沙綾。やっぱりって何だこの野郎」

 

「そういえば優人、お父さんとやけに仲良かったよね」

 

「「あっ」」

 

 追撃をかますのはやめろ。そして2人は何を察しやがった。目を逸らすな、おい。

 

「りみりんりみりん!チョコレートソースとハンバーグって合うのかな?」

 

「どうだろう?合うかな……」

 

 

「実は、そっちのケがあるとか?」

 

「ねーよ」

 

「両刀とか」

 

「それもねーよ」

 

 向こうは和やかなのに、なんで壁すら隔てない空間内でこんな妙な空気が現れるんだよ。俺もそっちに行かせてくれ。

 

「あ、私上がりだ」

 

「おめでとう沙綾。じゃあ一つ選んでいいけど、開けちゃだめだよ」

 

「分かってるよ。開ける時はみんなで、だよね?」

 

「そう。沙綾は分かってる」

 

 永遠に続くかに思われた膠着状態を沙綾が最初に抜けていった。これは負けてられないなと思っていると、今度は香澄がカードを捨てた。

 

「上っがりー!」

 

「ほい上がり」

 

「市ヶ谷さんは兎も角、香澄に負けた……だと!?」

 

「あっ、私も」

 

「ファッ!?」

 

 立て続けに上がられていく。いや、なんで罰ゲームが発生した瞬間に一騎討ちの構図が発生するんだ。もう結託されてたって言われても納得できるぞ。

 たえは不敵な笑みを浮かべてカードをぷらぷらさせている。

 

「これでタイマンだね。ふっふっふっ、罰ゲームを受ける覚悟はいいかな?」

 

「まだだ、まだお前は5枚で俺は2枚。まだ勝機は俺にある!」

 

「説明は死亡フラグだぞ」

 

「フラグは折ってこそだ……!」

 

 説明は死亡フラグかもしれないけど、それはへし折れる。フラグというものがへし折られる為に存在する以上、俺だって出来る筈だ。

 過去を思い出せ。俺は今まで、立てたあらゆるフラグをへし折って……折って……?

 

「おたえとのフラグは折れた?」

 

「折れませんでした……」

 

 ダメじゃないか。くそっ、こんなに追い詰められたのは久しぶりだ。

 

「だけど負けん。俺は絶対に、絶対にたえに勝ってみせる!」

 

「即オチ2コマかな」

 

「実はわざとやってない?」

 

 なんか言ってる外野を放置して、あからさまに出ている1枚をドロー!

 さて、カードの絵柄は……。

 

「…………まあ、ある意味では即オチだったな」

 

 オチはついたよ。うん。……俺の勝ちでな。

 

 

 

「なんで負けなかったんだよ」

 

「あそこは潔く散る場面でしょー」

 

「すげぇ。勝ったのに罵倒されるのって初めてだから、どうすればいいかまるで分からん」

 

 一体どっちの味方……なんて聞くまでもないか。そりゃたえだよな。

 

「ずーん」

 

 さて、負けたたえはといえば、なんか凄く落ち込んで失意体前屈の姿勢だ。そんなに罰ゲームしたかったのか。

 

「それで、罰ゲームの内容はどんなのなんだ?」

 

「それをやるには……有咲、それ貸して」

 

「今やるのか?まあ良いけど、香澄も食べたがってるし」

 

「そ、そんなことないよ!」

 

「嘘つけ。お前さっきからケーキのことチラチラ見てただろ」

 

 市ヶ谷さんが持ってきてくれた、入刀専用のナイフをたえに手渡した。

 たえはそれを片手に俺をちょいちょいと手招きしてきたので、それに釣られるまま隣に寄る。

 

「優人は私の右側で、左手は私の腰にそっと手を回すんだって」

 

「ほー。こうか?」

 

「そうそう。それで私は両手でこれを持って切る。……行くよ」

 

「ああ」

 

「ちょっと待って。写真撮るから」

 

 みんながスマホを構えて撮影態勢に入ったのを確認してから、再び手を動かし始める。

 極論ケーキを切るだけという、なんでもない事のはずなのに緊張するのは、やはりこれが特別な事だと自覚しているからなのだろうか。

 

「「……っ」」

 

 失敗しないようにゆっくりと動かして、ナイフをスッと通し終える。途中、パシャパシャ鳴っていた筈のカメラ音が気にならないくらい集中していたと気づいたのは、終わった時にカメラの音がやけに煩く聞こえてからだった。

 

「2人とも良い感じだったよ」

 

「ほんと?なら良かった」

 

 じゃあ次はファーストバイトだね、とたえは言ってスプーンでケーキを少し取った。

 

「ファーストバイト?なんだそれ」

 

「新郎と新婦がスプーンでケーキを取って食べさせ合うんだよ。新郎からなら"食べ物に一生困らせない"って意味があって、新婦からなら"一生美味しい料理を作ってあげる"って意味があるらしいよ」

 

「ずいぶん勉強したな……。まるで結婚式博士だ」

 

「調べたよ。結婚式のためにね」

 

 まあ役に立たなかったんだけど。と笑いながら、スプーンのケーキを見た。

 

「それで、ここからが罰ゲームなんだけど……」

 

「ここから?」

 

 たえは躊躇いがちに俺とスプーンを交互に見て、しかし覚悟を決めたらしくケーキを自分で食った。

 ………………あれ?

 

 いや、何をしてるんだと言おうとした瞬間、たえの手がガッチリと俺の頭をホールド。そしてそのまま顔が近付いてきて……

 

 なんか捩じ込まれた、と感じると同時に甘い物が入ってきた感じもする。それが何かと問われればケーキだろう。

 じゃあ、なんかやけに口の中で動いてるような気がする物は何かと問われれば、それはきっとたえの舌だろう。

 ……もう何されたか分かるだろ?

 

 どれくらい経過したかは分からないが、口の中のケーキがほとんど無くなったくらいになって、ようやく口が離れた。

 至近距離で見つめ合いながら、たえは口から唾液の糸をひきながら言った。

 

「私、優人を一生満足させてあげる。美味しい料理だけじゃなくて、それ以外も」

 

 はい、とたえがスプーンを渡してくる。それを受け取ると、たえは期待の篭った目を俺に向けた。

 

「優人はどうするの?」

 

 どうするの、と言われても。そんな目で見られたら裏切れない。実質一択のようなものだった。

 

 

 全員顔真っ赤の異様な空気。それを作り出した俺らは無言で俯いている。やべぇ、もう顔見れねぇよ。

 

「そっ、それで!おたえ、私達の絆パワーを深める秘策ってなに!?」

 

「……そういえば、そんな話もあったな」

 

 罰ゲームに気を取られてたからすっかり忘れてた。

 顔を真っ赤にした香澄が言ったことで、そういえばという空気の中、お前ら家でやれよという目線に晒されているたえは真っ赤な顔のままそれを答えた。

 

「プレゼントの中に入ってるよ」

 

「そうなの?」

 

「そうだよ」

 

「じゃあ、せーので開けようか」

 

 沙綾のせーので手元のプレゼント箱を開けてみると、なにか白い物がある。それを広げてみれば、何やらウサギモチーフの衣類のようだった。

 

「これは……?」

 

「見ての通り腹巻きだよ」

 

 …………え?という空気の中、たえは立ち上がって服を僅かにめくって見せた。すると、たえも同じものを着けている。

 

「ポピパの衣装って、お腹出てるでしょ?冬になると少し寒いから、お腹を壊さないようにするのと、同じものを着けて絆パワーを深めるの」

 

「あ、ありがとうおたえ。でもこれ、衣装の下に着るのは少し辛くないかな……?」

 

「なんで?サイズは平気な筈だけど」

 

「サイズの問題じゃなくてね」

 

 あの衣装に腹巻きは、正直少しダサいよな。

 

この作品のどの部分を見に来てるんですか?

  • 会話(いわゆる花園節・おたえ節)
  • デレてるおたえ(申し訳程度の恋愛要素)
  • うさぎ(説明不要)
  • その他
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