ちょこっとお気に入り登録者のリストを覗いてみたら、なんか見た事があるような人の名前が見えてガクブルしてる私です。オイオイオイ、こんな欲望ぶちまけ作品に高評価なんて入れていいんですかい?ありがとうございます。
ところで、おたえの小説が一向に増えていない気がするのは不具合か何かですか?
「優人、麦茶飲む?」
「飲む」
リビングでソファに座ってテレビを見ている休日。たえが入れてくれた麦茶を飲んでボーッとしている。
「……ついてないなぁ」
「カツラ?」
「それは遠回しにハゲと言いたいのか?」
多分、たえが言っているのはテレビに映ってる芸人の事だとは思うけど、俺が言いたいのはそうじゃない。
「外見ろ、外」
「外?」
「ああ」
俺達は窓の外を見た。思いっきり土砂降っている雨模様が視界に広がっている。
「連休初日が、こんな天気なんだぜ?ついてないだろ」
今日は世間一般で言うところのゴールデンウィークに入って1日目。だというのに、早々に大雨である。
「そうかな?私はついてないなんて思わないし、それに雨も悪くないよ」
「そうなのか?」
しかし、たえは俺とは対照的な考えを持っているらしい。どこか嬉しそうに俺の隣に座って言った。
「だって、こうして優人と一緒に居られるから」
「…………おう、そうか」
相も変わらず、こっちが恥ずかしくなるような事を平然と言い放てるイケメンぶり。もしかすると、俺達は性別を間違えたのかもしれない。普通は逆だろ、こういうのって。
「でも明日からは晴れてくれると嬉しいかな」
「天気予報は……よかったな、明日から晴れるってよ」
「やったね」
「そうだな」
…………会話が途切れる。たえと俺は無言で麦茶を飲んで、飲み終わったコップをテーブルの上に置いた。
「暇だ……」
「じゃあ、うさぎ見しよう」
「うさぎ見ぃ?なにそれ、新手の振興行事?」
「お花見があるんだから、うさぎ見があっても良いと思わない?」
そう言って指さしたのは足元。俺達の足元には総勢20羽のウサギが集っていて「おい、構えよ」と言わんばかりである。
たえが言いたい事は、つまり、雨だから室内に避難しているウサギ達の相手をしようという事みたいだ。
「その言い分は意味わからんけど、久しぶりにウサギに構うのも悪くないな」
「最近は有咲の蔵で練習続きだったから、あんまり構えてなかったしね。おいで」
1羽持ち上げると、次は自分だと主張するように多くのウサギが寄ってくる。持ち上げられた奴は満足そうに、ぶうぶうと鳴き出した。
「こら団十郎、割り込みはダメだよ」
「お前らケンカすんな……全くもう。たえといい、お前達といい。こんな男の太股を何で取り合うんだ」
気がつけばソファの上はウサギまみれ。そして、大多数が俺の近くに陣取っていた。太股の上なんて場所の取り合いが繰り広げられている。花見の場所取りだって、こんなに荒れはしないだろう。
「さすが優人。天性のウサメンなだけの事はあるね」
「ウサメン?」
「人でいうところのイケメンみたいな感じ。ウサメン」
たえの言葉に思わず頷くくらいには、その言葉は説得力があった。うさぎを長年見ている、たえだから説得力を感じるのだろう。
「たえから珍しく説得力を感じる」
「どういう意味?」
「うさぎとギターに関しては凄いなって」
「それほどでも」
実は全く褒められていない事に、たえは果たして気がついているのだろうか。うさぎとギターに関しては確かに凄いが、その他が全てをマイナスにしている事を。
たえに関わった人間は、ほぼ例外なく"黙ってれば美少女"という感想を持つのだというが……そりゃそうだよな。
「ところで一つ聞きたいんだが」
「なに?」
「なんでさっきから、俺の顔を手でしきりに……ちょ、やめ、撫で回してるんだ?」
さっきから奇行が酷い。耳たぶを軽く摘まれたかと思うと、手をベッタリ押し付けて顔を下から上へと撫で上げたり。
頭がおかしくなったとしか思えない。一体どんな悪い物を食べたというのだろう。
「だって、ついてないんでしょ?」
「そうだけど……ちょっと!押し付ける力を強くするなって!」
あんまりやりたくはなかったが、多少強引に手を引き剥がす。すると、たえは露骨に落ち込んだようて手を下ろした。
「どうしたんだよ?どっかで頭でも打ったか?」
「私は心配してるんだよ」
「何をさ。たえには悪いが、心配されるような事は何も無いぞ」
「でも優人、何かついてないんでしょ?私はそう思わないけど、優人から見て何がついてないの?」
相変わらずの異次元解釈に溜息が思わず出た。たえの奴、"ついてない"という言葉を凄まじく曲解してやがる。
「………………ついてないって、パーツの事じゃなくて運の事だぞ」
「優人。私、いま最高に幸せだよ」
「誤魔化すの下手すぎだろ」
一瞬だけ「マズイ」みたいな表情したの見逃してないからな。
しかし、いつもの事すぎて、この程度では全く怒れなくなったのは良い事なのだろうか。それとも悪い事なのだろうか。
「ほら、私達の子供たちも喜んでる」
「……オッちゃん達は、俺達より年上なんじゃなかったか?」
しかも子供たちって、お前はそれで良いのか。うさぎは家族って言ってただろうに。
「なら明日の遊園地のお弁当の時に、ハンバーグと唐揚げを交換する権利を差し上げよう。
ふふん、優人だけだよ?こんな破格の条件は」
「おい待て。明日って花女のバンド友達と行くんじゃなかったのか?」
「流れで指輪の話になったから結婚したって話したら、式を挙げるから旦那さん連れて来てって」
「おいおいおいおい」
なんでさも当然のように籍を入れた後みたいに話してるわけ?しかし式を挙げるって、そんな事出来な…………そういえばバンド友達の中に弦巻家の令嬢が居ましたね。
アカン。多分というか間違いなく、最高級の式を用意されてる。それだけじゃなくて墓まで用意されてても驚かねぇぞ。弦巻だし。
「というか、流れって何だよ」
「有咲がね。私と優人はゴールデンウィークに予定あるよなって聞いてきて、そこから優人の話になったんだ」
「謀ったな市ヶ谷ァ……!」
どう考えても生贄要員での選抜です本当にブッ飛ばすぞあの引きこもり。今度お返しに香澄と2人だけで蔵に閉じ込めてやる。
「どうどう。怒ったら体に悪いよ。ほら、もふもふ〜」
そう言って、たえはウサギ……ではなく、たえ自身を密着させてくる。唯でさえ近かった距離が更に近くなった。
「お前はウサギじゃないだろ」
「じゃあパープルちゃんにする?」
「そいつ隙あらば鳩尾に突撃してくるから嫌い」
こいつだけ異様に鳩尾を狙ってくるのは一体全体なぜなんだろう。
たえ曰く"嫌われてはいない"らしいけど、照れ隠しにしては凶悪すぎやしないか。もしかしてアレか、一昔前の暴力系ヒロインのつもりなのか。
「優人はワガママだね」
「お前にだけ言われたくない、そのセリフ」
自由に我が道を行きまくってる奴にワガママとか言う資格は無いと思う。
「じゃあドロちゃんに言ってもらおうかな。優人はワガママだねって」
「言われたくないって、そういう意味じゃねぇから」
大量のもふもふを相手にして暫く経過すると、飽きたのか疲れたのか、段々とウサギ達も元気が無くなってくる。
そのタイミングでソファから下ろして、俺は軽くなった膝の上に解放感を覚えていた。
「ふんふーん」
代わりに肩に重みが掛かる。無論たえの頭の重さなのだが、こいつは何をしたいんだろう。
「なんだ、今日はえらくご機嫌じゃん」
「何でか聞きたい?」
「別に」
「仕方ないなぁ」
「おい」
時々、たえとの付き合いが長い俺でも意思疎通が困難になるのは如何してなんだろう。こんな事をやっているから人が離れていくんだろうに、改善される気配はまるでない。
「なんと、今日の夕飯はハンバーグなのです」
「聞いてねえんだけど……それでテンション高いのか。納得」
夕飯のメニューでテンションが上がるなんて子供かと思ったが、よくよく考えると俺も似たような感じだから人の事はあんまり言えない。肉が出るとテンション上がるよな?
「そうそう。だから優人、キスしようか」
「何が"だから"なんだよ。話の流れが1ミリも掴めねぇんだけど」
「よく考えたら、私達って何も夫婦っぽいことしてないよ」
「お前の中の夫婦観はどうなってやがる」
そもそもまだ夫婦じゃねえというツッコミは……したところで無意味だからやらないが、"夫婦っぽいこと"の中にはデートは含まれていないらしい。
「……それで、キス?」
「お母さんに聞いたら「夫婦ならキスの1000や2000はするわよ~」って言うから」
「どう考えても大嘘じゃねーか気付けよ」
騙される側の、たえもたえだが、それで騙せると思っているであろう、たえの母さんも問題がある。たえぐらいだろ、騙されるの。
「ところでキスとハンバーグは何か関係あるのか?」
「…………美味しそう?」
「キスを美味しそうって言う奴は多分お前だけだ」
…………つまり本当に、ただ思いついたからやろう。そういうノリのようだ。
「優人、立って」
「なんでキスするのに立つ必要が……分かった分かった」
たえに促されるまま立ち上がると、たえは俺の腕を掴んで壁際へ。
なにが始まるんだと少し身構えていると、たえは俺の前に立って
「どーん」
「なぜっ!?」
…………何故か壁に突き飛ばされた。
突然の出来事に目を白黒させていると、たえはそのまま近寄ってきて俺の顎を掴んで
「えいっ」
「痛い痛い痛い痛い!?」
グイッと上に押し上げた。引き剥がそうにも、異様に力が強くて剥がせないってどういう事だって痛い痛い痛い痛い。
その状態が大体30秒くらい続いてから俺は解放されたが、たえは不満げである。
「……何か違う」
「…………そもそも何をしようとしたんだよ、今の」
「壁ドンから顎クイって、ああいう物だよね?」
「……むしろ、合ってるところを探す方が、難しいんだけど……?」
字面だけで判断してやがる……。大方、学校で小耳に挟んだ程度の言葉を、たえなりに解釈して実行してみたのだろう。
「たえ、今のは壁にドーンして顎をグイッとしただけの暴力行為だから。そんなのにロマンチックとかトキメキとか微塵も感じないから」
「ドキドキした?」
「それはしたよ。何されるんだっていう恐怖でな」
まだ心臓が高鳴っている。ドキドキという鼓動が意識しなくても聞こえてきた。無論、悪い意味で。
「じゃあ優人は知ってるの?壁ドンから顎クイって」
「知ってるけどさ……やるの?」
「うん」
たえは頷いた。その目は好奇心旺盛な子供のようで、俺は昔からその目には弱い。仕方なく実行する事にした。
「じゃあ壁際に立て」
「うん」
場所が入れ替わり、たえが壁際に移る。俺は深呼吸を1回して余計な緊張感を逃がして、いつか何処かのマンガで見たような壁ドンをしてみせた。
「これが壁ドン」
やっているのが俺だから風情なんて欠片も無いだろうと思ったが、たえはそんな事を思わなかったようで、「おお……」なんて思わず言葉を漏らしていた。
「そして……」
たえの顎を優しく掴んで、軽くクイッと上げる。やってて無性に恥ずかしい。
「これが壁ドンから顎クイだ。分かったか?」
「うん……確かにドキドキするね」
「やる側はもっと緊張するんだからな」
さて、これで終わりで良いだろう。俺は顎を掴んだままの手を離そうとして、出来なかった。
「……なんだよ、なんで手を離させてくれないんだ」
というのは、たえに手を掴まれて動かせないからだ。
「このまましようよ、キス」
「忘れてなかったのか……」
俺としては忘れていて欲しかったが、こうなってしまった以上は逃げられない。それにまあ、俺も別に嫌ではないというか。いつかはやらなければいけない事だもんな。
そんな感じで自分を誤魔化しつつ、たえに顔を近づける。めちゃくちゃ恥ずかしいから、顔から火が出てると錯覚するくらい顔が熱い。たえも緊張しているのだろう、普段より顔が赤かった。
「じゃ、じゃあ、その……するぞ?」
たえは無言で頷いた。
段々と距離が近くなる。至近距離になればなるほど、たえの整った顔が綺麗な事を意識させられてマジで気恥しい。
だから俺は、そんな気恥しさから目を逸らしてしまい…………
「あ」
リビングと廊下を隔てる扉のガラス部分から覗いている、たえの母さんと目が合った。
俺が思わず声を出すと、たえの母さんは「やべっ」とでも言いたげに露骨な目逸らしをしてくれた。分かりやすすぎるだろ。
「…………あ、お母さん」
俺の視線を辿って気が付いた、たえが手を振ると、たえの母さんもニコッと笑って手を振った。そして何事も無かったかのようにリビングに入ってきて
「後は若い2人でごゆっくり〜」
なんて言って扉を閉めた。……たえが誤魔化し下手なのは母親似だったのか。
「じゃあ、気を取り直してもう1回。お母さんも気を使ってくれたし、今度はしっかりね」
「いやあれどう見ても下手な誤魔化しだっただろ」
「私の若い頃を思い出すわー」なんて言ってリビングから出ていったけど、たえの母さんって見た目は今も結構若いような……
「………………たえ、お茶でも飲もうか」
想定外の乱入者があった事で、俺の気持ちはクールダウンしていた。
そして冷静になった思考が、何をやっているんだと語り掛けてくる。雰囲気に呑まれてしまっていたのだろう。
「やめちゃうの?」
「そんなムードでもないだろ」
童貞みたいな事を言うんだなって言われそうだけど、俺は童貞だ。たえとはまだキスすらした事の無いチェリーボーイだよ。
お茶を飲んでホッと一息ついていると、たえは何故か安心したように言った。
「でもよく考えたら、さっきはしなくて良かったかも」
「なんで」
「初めては1回だけなんだし、式場でやった方が思い出に残りそうだからね」
「もう行くのは確定なのな……」
それにしても、たえにも乙女みたいな思考があるんだな。いや、今をときめく女子高生なんだから乙女なんだけどさ。
実は今話から連載に変わりました。
ヤンデレ花音先輩の執筆状況ですが、「そもそもヤンデレってなんだよ」という哲学じみた問いにハマってしまったので芳しくないです。どんな行動をすればヤンデレ認定されて、何処までがメンヘラなのか区別がつきにくいんですよ……
ぶっちゃけ、ヤンデレより病んでる花音先輩の方が書きやすいけど、でもそれ有咲ヒロインの方が(ry
この作品のどの部分を見に来てるんですか?
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会話(いわゆる花園節・おたえ節)
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デレてるおたえ(申し訳程度の恋愛要素)
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うさぎ(説明不要)
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その他