私がこんな気持ちなのはどう考えても黒木が悪い! 作:昼間ネル
原作だと、ゆりもこが公式な感じですが、自分としてはうちもこ展開が見てみたかったので書いてみました。
ゆりちゃん派が多数だとは思いますが、こんな未来もあっていいと思いまして。
原作のネズミーランドから帰って来た後のお話です。
「ん?」
遠足が終わって初めての登校日。智子が下駄箱を開けると、上履きの上に手紙が乗っていた。
(もしかして絵文字か…)
以前は紙切れ一枚だったが、今回は小さな便箋だった。中を開けると小さなメモとキーホルダーが入っていた。
『遠足、勝手に付いてきたお詫び。
良かったら受け取って
内』
(そう言えば絵文字の奴、内って名前だったな)
「おはよう」
智子が振り向くと、そこにはクラスメートの田村ゆりが居た。イヤホンを外したゆりは、智子が何かを持っているのに気付いた。
「どうしたの?」
「あっ、いや、絵…内さんから遠足のお礼だって」
智子はゆりに手紙とキーホルダーを見せた。
「あっ、それ黒木さんが買ったのと同じだね」
「う、うん」
(絵文字も同じの買ってたのか…。これ、そんなに人気あんのか?)
「そう言えばバレンタインの時も、こんな事無かったっけ?」
「あ、うん。私、避けられてるみたいだから、直接渡すのは嫌なんじゃないかな…」
「そんな事は無いと思うけど…」
智子は手紙とキーホルダーを鞄にしまった。上履きに履き替えたゆりと共に二人は教室へ向かった。
「内さんって、どんな人?」
お昼休み。ゆりと真子の二人と一緒に弁当を食べている智子は二人に聞いてみた。
「私、あまり話した事ないから…。真子はよく話してたでしょ?」
ゆりに話を振られた真子が箸を止めた。
「私?う~ん、私もたまに話す程度だけど。でも、悪い子じゃないと思うよ」
(それは知ってるけど…。修学旅行の後から避けられてる気が…)
以前行った修学旅行で、智子はたまたま内と二人部屋で宿泊する事があった。全くの誤解…でもないのだが、シャワーを覗き、下着に手を付け、寝顔を凝視してしまった。それ以来内は、智子を見ると露骨に距離を置く様になった。
(やっぱアレだよなぁ…。おまけに非処女って見栄張っちまったしな)
「でもどうしたの急に。内さんと何かあったの?」
「黒木さん、内さんからキーホルダー貰ったみたい。…遠足で一緒に回ったからとかどうとか」
「ふ~ん」
智子も箸を休めて何か考えている様だった。
「とりあえずお礼でも言っといたら?」
「う、うん。でももうクラス違うし」
「あ~そうだね」
(まぁ、ガチレズさんの言う通りお礼言っといた方が良いのかな。となると、やっぱり…)
再び智子は弁当に箸を付けた。またゆりと真子のとりとめのない会話が始まり、それを聞いてる内に昼休みも終わりに近付いていった。
(っ!黒木っ!)
トイレから出てきた智子を偶然見つけた内こと、笑美莉は、偶然を装ってすれ違おうと智子の方へ向かった。てっきり自分に気付いて挨拶でもしてくると思ったが、智子は彼女のクラス、3-5のある方角とは反対に、背を向けて歩いて行った。
(…?もうお昼終わりじゃん。どこ行くのよ)
「…」
智子が階段を降りるのを確認した笑美莉は、智子の後を付け出した。
「あれ、うっちー?」
「トイレ、あ、私も行く…って、あれ?」
「…よし、と」
智子は笑美莉の下駄箱に何かを入れると、足早に教室へと走って行った。物陰から智子が去るのを待っていた笑美莉は、自分の下駄箱を開けた。そこには切り取ったノートが一枚、折り畳まれて入っていた。
笑美莉は辺りに誰も居ないのを確認すると、紙切れを取り出した。
『キーホルダーありがとうございました。
大切にします。
遠足、一緒に回れて楽しかったです。
良かったらお返しがしたいですが、
何か欲しい物はありますか?
黒木』
(え、何かくれるって事!?直接私に聞けばいいじゃん!まぁ、あいつが手紙送ってくるの分かってたけど!!って言うか遠足楽しかった!?私以外にもあんなに女ハベらせてたから!?)
「…」
笑美莉はポケットに手紙をしまうと教室へ戻った。
放課後。
ゆり、真子と共に帰るのがすっかり日常になった智子が下駄箱を開けると、朝の様に便箋が入っていた。
「あ、それって…」
「う、うん。多分…」
便箋の裏には『内』と書かれていた。
(何かこれが当たり前になってきたな。でも手紙で言ってくるって事は、直接話したくないって事か…)
「読まないの?」
「また一言だけだろうし家帰ってからでいいや…」
智子は手紙を鞄にしまうと、靴に履き替えた。
家に帰ってきた智子は、スマホで動画でも見ようと鞄を漁ると一枚の便箋がこぼれ落ちた。
(あーそう言えば、絵文字の奴から手紙あったな)
『私のメアド。
いちいち下駄箱に手紙入れるの
面倒だろうから
次からはこっちに送って。
お礼は考えてないけど
何でもいい。
内 』
便箋の中の手紙には文章の共に彼女のメアドが書かれていた。
(え?メアド…?次からは…って、何かいつの間にかメル友になる流れになってるんだが…。ってか、あいつ私の事嫌いじゃないのか?いいのか、こんなの教えても。勝手に出会い系にでも登録されたらとか、考えないのか?)
半ば呆れながら智子は手紙を机に置くと、ベッドに寝てスマホを弄り始めた。アニメやゲーム実況を見ながら30分程過ぎた頃…。
「…」
(一応、一言ぐらい送っとくか)
智子は手紙のメアドを登録すると、笑美莉にメールを送った。
『内さんの携帯でしょうか?
黒木です。メアド教えてもらったので
こちらに連絡しました。
お礼については、何か思い付いたら
言って下さい。』
(こんなもんでいいだろ)
智子はメールを送信すると、再びベッドに横たわり、さっきの動画の続きを見始めた。だが、ものの数分もしない内に着信音が鳴った。
(ん、ゆうちゃんかな…って、絵文字!?)
送り主は登録した『内さん』と表示されていた。
(ちょっ、レス速えーよ。まだ5分も経ってねーぞ)
智子は恐る恐るメールを開けた。
『黒木?
これからは私の事、笑美莉って呼んでいいよ。
せっかくメルアド交換したから、
たまにメールしてもいい?
笑美莉』
(絵文字って、笑美莉って名前なのか。名前負けしてね?何考えてんだか分からない顔してる癖に。…って言うか絵文字と笑美莉って、何か似てるな)
それにしても、と智子は笑美莉の急な心変わりが理解出来ずにいた。今はそうでもないが、最初の印象はあまり良くなかった。
野球の応援に駆り出され乗ったバスで、たまたま隣が笑美莉だった。だが、笑美莉は智子と話そうとはせず(これはお互い様だが)わざわざ後ろの奴と話してリア充振りを見せつける嫌な奴。これが最初の印象だった。
その後修学旅行でたまたま二人部屋で同じ部屋になったが、この後から妙に避けられている気がした。
(まぁ別に仲いい訳じゃね-からいいけど…)
3年に進級してクラスも別になり、彼女の事も元同級生になった今、まさかこうして彼女とメールする仲になるとは…。
(そう言えば遠足の時も、友達とはぐれたとかで、一緒に回ったっけ。花火の時、いつの間にか隣に居てビビったけど…
(でも、こうしてメール送ってくるって事は、別に私の事嫌いじゃないのか。…まさか、からかってんじゃないよな?私のメール他の奴に見せて、ニヤニヤしてんじゃね-だろうな)
「…」
(まぁせっかく返事くれたんだし、一応返しとくか)
『こちらこそ
よろしくお願いします。
名前は智子です。』
この後、笑美莉から更に数通のメールが届き、智子を驚かせる事になった。
初めての人は初めまして。
最近わたモテ人気が再燃してきたようで嬉しいです。自分はアニメから漫画に入った口です。最近はぼっちネタから群像劇に上手い事シフトして、以前とはまた違った面白さが出てきましたね。
特にうっちーは、わたモテにもう一回ハマるきっかけになったキャラでして…。原作ではあまりに報われないので、何とかしてあげたくて書き始めました。
ゆりもこ派やネモもこ派の人が多いと思いますが、一つの可能性として読んで貰えると嬉しいです。
ちなみにうっちー以外で好きなキャラは、こみちゃんとポテンシャルさんです。
数話、長くても5話位で終わると思いますので、良ければお付き合い下さい。