私がこんな気持ちなのはどう考えても黒木が悪い!   作:昼間ネル

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真面目な話は久し振りです。
もし伊藤さんと智貴君が付き合ったら?な話です。
当然、智貴君を好きなあの娘が黙ってない訳で…。

もしかしたら原作と違う設定があるかもですが、SSだし、多少はね?


伊藤さんと智貴君
前編


「俺と…付き合って下さい」

 

後輩が…私の友達の好きな人が、友達じゃなく私に告白してきた。

 

どうして私なんだろう?

私と居て楽しいのかな?

 

…ううん、そんなのは建前。私の頭の中に真っ先に浮かんだのは私の友達の顔だ。もしここで私が彼と付き合ったら彼女はきっと傷付く。下手したら一生口を聞いてもらえないかもしれない。

でも、ここで彼の告白を断れば私は大切な友人を失わずに済む。

…そう、きっとそれが正解なんだ。私もそれを望んでる。わざわざ友情を壊してまで彼と付き合う必要があるのかな?

 

私は口を開き、彼に答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉーい!!」

 

それはある日の学食でだった。

たまたま学食に来ていた彼、黒木智貴君が派手な女の子に捕まっていた。ただそれだけの事だが、私の友達の琴の逆鱗に触れるには充分過ぎる事だった。

 

小宮山 琴美。

 

この高校で友達になった私の親友だ。

どっちから話し掛けたのかは、もう覚えてない。ただ私と同じで、あまり人付き合いが得意そうじゃなさそうだな…それが第一印象だった。

初めは一緒にお弁当食べよう、そんな感じだった気がする。気が付けば毎日一緒にいるのが当たり前になっていた。

それに…琴は私以外の子と喋っているのを見た事が無い。私は吹奏楽部に入っているので、クラスや学年は違うが、部活の知り合いと話す機会がある。

でも琴は違う。

ある日、たまたま風邪を引いて休んだ日があった。次の日の学校で、昨日はお昼誰かと食べたの、と何気に聞いてみた。だが、琴は一人で食べたらしい。

ああ、やっぱりな…何となくそんな気はしていた。でも驚いたのは、どこで食べたかだ。何でもクラスの女子が集まって食べているのを見て、自分が居るとお邪魔になると思ったらしい。てっきり学食か校庭にでも行ったのかと思った私は、琴の言葉に耳を疑った。

 

『ト、トイレで…』

 

私は絶句した。

何で?何でそんな所で…。

その後知ったが、私と友達になる迄この学校で友達らしい友達はいなかったらしい。その間、校庭で食べたりしたらしいが、最終的にトイレが誰にも邪魔されずに落ち着くと言う結論に達したらしい。

だからって、何でトイレ…。

 

その日、私は決心した。

もう二度と学校を休まないと。この人は一人にしちゃ駄目だと。

それからの私は何をするにも琴に声を掛けた。私のそんな気持ちが通じたのか、琴も自分から話し掛けてくれる様になった。

私にしか声を掛けないのは、何故だろう…。

 

その琴に好きな人がいるらしい。

名前は黒木智貴君。1学年下の後輩だ。

最近知ったが、彼のお姉ちゃんが私のクラスにいる。向こうは私の事を覚えてない様だが、私は記憶に残っていた。

黒木智子さん。

入試の時に話し掛けられた。変わった人だなぁと言うのが第一印象だった。

その後、京都の修学旅行でたまたま遭遇した。琴は黒木さんの事を知っている様で、聞けば中学の同級生だそうだ(友達ではないらしい)。

3年になり、琴と一緒に黒木さんとも同じクラスになった。

その黒木さんの弟が智貴君だ。

私も度々廊下ですれ違っているので、顔は覚えている。その度に琴がおかしくなるので、彼の事が好きなんだなと言うのは察する事が出来た。

 

その彼が、金髪の派手な子に絡まれた事が許せなかったのか、琴は彼女に食って掛かった。

正直、私はそんな琴に慣れているので一先ず止めに入った。

 

「眼鏡の子は私が止めるから、あなたはもう一人の方を」

 

それが、私が彼、智貴君と話した最初の言葉。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの…姉ちゃん居ます?」

 

智貴君は、たまに私の教室に来る。何でも彼はよくお弁当を忘れるらしい。以前はクラスの中に入って来たが、最近は私を見掛けると私経由で黒木さんを呼ぶ。黒木さんは弟が来るのが嬉しいらしく、『あいつはシスコンなんだ』とよく言っている。…智貴君の反応を見るに嘘だとは分かるが。

以前は私やクラスの誰かに黒木さんを呼び出してもらう、黒木さんがお弁当を渡す、それに気付いた琴がワザとらしく『あれ~智貴君、どうしたの~?』と話し掛ける。これがパターンとなっていた。

ところが最近は…気の所為かもしれないが、琴を避けている気がする。たまたま目に入ったのが私だと心なしかホッとしているが、それが琴だと一瞬顔が引きつる。

…もしかして智貴君、琴が苦手なのかな。

何故…かは聞くまでもないかな。思い当たる節は沢山あるので、解らなくはない…かな。

どうやら今日も、お弁当を忘れた様だ。

 

「あ、うん、ちょっと待ってね。黒木さん、弟来てるよ」

 

智貴君は、黒木さんからお弁当を受け取ると「友達を待たせてるんで」と早足で去って行った。智貴君が来ていた事に気付いた琴が、あわてて駆け付けた時には彼はいなくなっていた。

 

「と、智貴君…来て…たんだ…」

 

「うん、またお弁当忘れたみたい…」

 

「そ、そう。も、もう、しょうがないな~♪」

 

琴は、まるで自分の弟の様にニヤニヤしている。それだけに、ちょっと可哀想に思えてくる。

彼、智貴君は琴の事をどう思ってるんだろう…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、ども…」

 

「こんにちは」

 

学食の一件以来、心なしか私は彼と会う機会が多くなった気がする。

私も智貴君も共に部活動をしている所為か、放課後も学校に残っている。その為か部活終わりの彼とは、よくすれ違い、顔を見ればお互い挨拶するのが当たり前になっていた。

琴が知ったら羨ましがるかな。

 

「今日は、あの眼鏡の先輩はいないんすね」

 

「琴の事?うん、私が部活の時は先に帰るから」

 

「そっすか…」

 

珍しく彼の方から琴について聞いていた。もしかして琴が嫌いって訳じゃないのかな。私は思いきって聞いてみる事にした。

 

「あの、黒木くん…聞いていいかな?」

 

「なんすか?」

 

「もしかして…琴の事、嫌い?」

 

「いえ…嫌いじゃないんすけど…ちょっと苦手で…」

 

やっぱり…。薄々勘づいてはいたけど。

 

「あの…琴に何かされたとか?」

 

「あ、そんなんじゃないんすけど…ちょっと…」

 

「ちょっと?」

 

「中学の時に家に来て、チン…あそこ見せて欲しいって言われたり」

 

…え?

 

「前に俺の部屋のベッドで勝手に寝てたり」

 

…えっ?え?

 

「バレンタインにチョコ貰ったんすけど…あそこ…アレのチョコだったり」

 

アレって、つまり…オチン…チンの…事だよね///?

 

「あいつ…姉貴からも盗撮に気を付けろって言われてて」

 

もしかしてスマホの待ち受けの…野球着の智貴君…あれ、盗撮…?

 

琴…本当に何してんの…。

 

「なんで、ちょっと苦手なんすよね」

 

だよね…。正直、私でも知らない人にそんな事されたら危ない人だって思うもん。

そっか…。うん、智貴君がどうして琴を避けるのか解ってきた。そんな理由があるなら無理もないか…。

 

でも、ちょっとだけ安心したかな。単純に琴の事がタイプじゃないとか理由の無い嫌いじゃなくて、ちゃんとした理由はあるって事は、まだ琴の事を好きになる可能性もある訳だし。

今までの事も多分、勘違いじゃないかな…うん、きっとそう。…そうだよね?…だと…いいな…。

 

そっか…。じゃあ、私が少しでも誤解を解いた方がいいかな?そうすれば琴も別に変な子じゃ…まぁ、いまだに私でもドン引きする事あるけど…根は真面目で友達想いの子だって解れば少しは琴の事、意識してくれるんじゃないかな。

 

「あの、黒木君。琴の事、嫌いにならないでほしいの。今言った事も多分、誤解だと思うから」

 

「はぁ…」

 

「琴が黒木君の事、好きなのは知ってる?」

 

「…」

 

「ちょっと変わってるけど、琴、私の友達なの。だから黒木君にも琴の事、少し知ってほしいの。そうすれば黒木君も…」

 

「…智貴でいいっすよ」

 

「え?」

 

「一応先輩ですし、部活でも名前で呼ばれてるんで」

 

「う、うん。じゃあ…智貴…君」

 

「はい」

 

「琴の事、少しでいいから意識してあげてくれないかな。もし何かあったら私の方から言うから」

 

「…分かりました。挨拶位なら」

 

「うん、それだけでも、きっと喜ぶと思うから」

 

「名前は…」

 

「え?名前?」

 

「先輩の名前、まだ聞いてなかったんで」

 

「あ、そうだね。そういえば名前言ってなかったね。私は伊藤…」

 

思えば、この日が全ての始まりだったかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから私は度々、智貴君と話す様になった。勿論、琴のいない放課後に。

琴はあれからも度々、智貴君を困惑させる行動を取る事があった。だいたい私と一緒にいる時が多いので、あの時はこんな理由があったと智貴君に説明した。

ただ、いまだに琴がどうして智貴君にオチン…あそこを見せてほしいと言ったのか、何でアレの形のチョコを贈ったのかは謎のままだった。

琴、本当に何でそんな事したの…。

まぁ私も男の子に興味が無い訳じゃないけど、流石に友達の弟にあそこ見せて、とは言えないよ…。

琴、昔から凄かったんだな…。

 

それにしても…琴のいない所で、琴の話ばっかりする。フフッ、何かおかしいな。

それに何度か話している内に、智貴君の事も何となく解ってきた気がする。

言っちゃ悪いけど、智貴君は寝不足なのかいつも目付きが悪い。最初は少し怖い人なのかなって思ってた。

でも彼のお姉ちゃんの智子さんも、いつも目にクマがある。多分、遺伝かな?

それに年の割に落ち着いてる気がする。クラスの男の子はもっと騒ぐタイプが多いのに、年下の智貴君の方が大人っぽく見える。

一見私に興味無さそうに見えて、よく見てたりする。別に毎日話す仲じゃないのに「ヘアピン、変えたんすね」と言われた時は思わずドキッとしちゃった。琴にも言われなかったのに。

う~ん…琴は、こんな所を好きになったのかな。

…いやいや、私がこんな事考えてどうするの。

 

でも、もう少し智貴君の事を知っておきたいかな…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいつはホモだよ」

 

智貴君のお姉さんの智子さんから、衝撃的な情報を貰った。

『琴がよく話してる弟さんって、どんな人なの?』とさりげなく聞いてみた。その答えがこれだった。

ホモって…男の人が好きって事だよね?それが悪い事とは思わないけど…智貴君は…男の人の方が好きなのかな。

 

「それかシスコンのどっちか」

 

「シ…シスコン?」

 

「クリスマスにあいつからミニスカサンタのコスチューム貰ったけど、それって私に着ろって事でしょ?」

 

え~…智貴君、黒木さんのそういう姿見たいのかな?私、男兄弟いないから分からないけど、そういうモノなのかなぁ。…琴だったら喜んで着そう。

 

「前にあいつの部屋漁ったら、JKの姉タイツ物のエロDVD持ってやがったし…」

 

あれ?それじゃ女の子にも興味あるって事じゃ…。やっぱり男の人が好きってのは冗談かな?

でも…智貴君も、そういうの見るんだ…。まぁ男の子だし普通だよね。

智貴君、お姉さんタイプが好きなのかな。

私はよく童顔って言われるし。たまに下級生に間違われるし…。

そういえば黒木さん、前の席の人とたまに話してるけど、名前は…何だっけ?スラッとしててスタイルも良いし、髪の長い綺麗な人だったな。

智貴君、あんな感じがタイプなのかな…。琴には…言わないでおこう。

 

私も髪、下ろしてみようかな…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの…これ、渡してもらっていいですか?」

 

ある日、珍しく智貴君の方から話し掛けられた。智貴君は小さな紙袋を二つ、私に差し出した。

 

「これは…?」

 

「バレンタインのお返しです。渡すって言っちゃったんで」

 

あ~そういえば前に来た時に、琴に言ってたっけ。…予備のアレ、琴に渡したからよく覚えてる。

 

「直接、琴に渡したらどうかな。琴、喜ぶと思うよ」

 

「いえ、あまり3年の教室に行きたくなくて。姉貴もいるし…」

 

「あ~、そっか」

 

…ん?紙袋、二つあるけど…他にも渡す人いるのかな?黒木さん…じゃないよね。

 

「それと…こっちは先輩に」

 

え?私に…何で?バレンタインは琴にしかあげてないけど…。

 

「私、チョコあげてないけど…」

 

「あ~これは…最近、先輩に色々してもらってるんで、そのお礼って意味で」

 

「あ、そ、そう。その…いいの?」

 

「朝、コンビニで買ってきた安物っすから」

 

「そういう事は言わない方がいいと思う…」

 

「あっ、すんません」

 

「ふふっ、冗談。あの…その代わりって訳じゃないけど…一つお願いいいかな?」

 

「まぁ…出来る範囲なら」

 

「私だけ智貴君って呼ぶのも変だから…これからは私も名前で呼んでくれないかな?」

 

「そんな事なら…。じゃあ、これからは伊藤先輩って…」

 

「そっちは名字だから、私も名前でいいよ」

 

「名前っすか…。じゃあ、人がいない時だけでいいっすか?えっと…名前は…」

 

「光…伊藤 光」

 

「え~と…よろしく、光…先輩」

 

智貴君に初めて名前で呼ばれた。

あ…ヤだな。アソコがムズムズしてきちゃった…。

まだ授業あるのに、困ったな…。

 

…今日は早く家へ帰ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の琴は一日中ご機嫌だった。

大好きな智貴君からお返しのクッキー貰ったんだもん、無理もないよね。

たまに黒木さんと口喧嘩してる時があるけど、今日の琴は何を言われても笑っていた。黒木さんも、そんな琴が気味悪かったのか、少し引いていた。…私も、ちょっとだけ。

 

「最近、智貴君、私に挨拶してくれるんだ♪」

 

帰り道、琴は嬉しそうに私に話し始めた。

 

「しかもね?私の事、小宮山先輩だって!私、名前教えてないのに、何で知ってたんだろ」

 

私が教えたからね。

 

「名前で呼んでほしいから、これからは琴美ちゃんでいいよって言ったけど、それは恥ずかしいみたい」

 

急ぎ過ぎだよ…。お姉さんの友達位にしか思ってないのにいきなり琴美ちゃんは…。

 

〈…あ~智貴君の眼球舐めたい…〉

 

!?

 

〈…脇でもいい〉

 

琴?

 

〈私で勃起してくれるかな…〉

 

琴!?思いっきり聞こえてるんだけど!?

しかも最後、何て言ったの!?

 

「…どうしたの?伊藤さん」

 

それはこっちのセリフだよ…。

 

「私さ…この間、学食で迷惑掛けちゃって正直引かれちゃってると思ってたんだ」

 

「うん…でも、あれは向こうも悪かったと思う」

 

「知り合いの下級生に、私の弟って嘘付いたり…」

 

え?

 

「智貴君のチンチン大好きって言っちゃったし」

 

…。

 

「で、でも誤解は解けたから大丈夫!そ、それにその子も智貴君のチンチン見たいって言ってたし!!」

 

「解ったから何回もチンチンって連呼しないで」

 

それにその下級生の子、もしかして琴みたいな子なの?この学校に琴みたいな子が、もう一人…?

 

「そ、そういえば、琴っていつから智貴君の事好きになったの?」

 

「あ、うん…中学の時なんだけどね。まさか同じ高校に来るなんて思ってなかったから、びっくりしたよ。…余計な奴もいたけど…」

 

「そうなんだ…。良かったね、同じ高校になって」

 

「うん、もう会えないと思ってたから。…会いたくない奴とは毎日会うのに」

 

…心の声が駄々漏れだ…。

 

「案外、智貴君と琴って赤い糸で結ばれてたり」

 

「え、え~っ!そ、そんな事///…ええ~っ!そ、そうなのかなぁ!」

 

「いや、かもしれないって…」

 

「…でも、そうなったらクソ虫の事、お義姉さんって呼ばなきゃいけないのかな…アイツと親戚か…チッ」

 

展開が早い…。まだ付き合ってもいないのに…。

でも、智貴君と結婚したら黒木さんが義理の姉になるんだよね。黒木さん同い年だし、何か変な感じ。

 

『お義姉さん』

 

…少し抵抗あるかも。

 

『あなた』

 

う~ん…暫くは名前で呼びたいな。智貴君も名前で呼ぶのかな?

 

『光…』

 

…ちょっとイイかも。

違う違う。琴の話だったのに、思いっきり脱線してる。これじゃ私が付き合いたいみたいだ。

 

もし付き合ったら、光って呼んでくれるかな…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、また明日~」

 

部活の吹奏楽が終わって帰ろうとした時だった。

靴を履き替えて学校を出ると、智貴君が立っていた。

 

「あれ、智貴君どうしたの?今日は琴もう帰ったよ」

 

「あ、今日は小宮山先輩じゃなくて、伊藤先輩に話があって…」

 

「私…?」

 

何だろう。もしかしてまた琴に盗撮されたとか、直接触られたとかかな。もしそうだとしたら、やっぱり注意しなきゃ駄目かな。はぁ…気が重い。

 

「今度の日曜日、空いてますか?」

 

「え?日曜…うん、空いてるけど、どうして…」

 

「…遊園地のチケット、親から貰ったんで、良かったら俺と行きませんか?」

 

…え?遊園地?どうして私と…。琴じゃないの?それに、遊園地に智貴君と二人で…それって…。

 

「それは…私と…デートって事かな?」

 

「まぁ、そうなります。…俺じゃ嫌すか?」

 

「あ、そうじゃないんだけど…。その…どうして琴じゃなくて私なんだろうって思って…」

 

「伊藤先輩が気になる…じゃ駄目ですか?」

 

「え?わ、私…?」

 

「ええ。別に小宮山先輩が嫌いとかじゃないんすけど…。俺としては伊藤先輩の事を、もう少し知りたいと思って」

 

「…」

 

私…?どうして私なの?

と言うより智貴君…もしかして琴より私の方が好きなの…?

え…どうしてこんな事に?

私、智貴君にもっと琴の事を知ってもらおうと…そうすればきっと琴の事、好きになってもらえると思ったのに。

どうして智貴君、私の方を好きになるの?

駄目だよ、こんなの。これじゃ何の為に…。

 

「駄目…っすか?」

 

「だ、駄目じゃないけど…。うん…私でいいなら遊園地…一緒に行ってみたい…かな」

 

「それじゃ…」

 

「でも、一つお願いがあるの。その…琴とも…デートしてあげてくれないかな?」

 

「小宮山先輩と…ですか」

 

「うん、前も言ったけど、琴、智貴君の事好きだから。一回デートすれば智貴君も琴の事、好きになるかもしれないし」

 

「…」

 

「だからお願い。先に琴とデートしてあげてくれないかな?そうしたら私も智貴君と遊園地行くから」

 

「…分かりました。じゃあ小宮山先輩を誘ってみます。その後で、お願いします」

 

「うん、分かった。…私も、智貴君とデートしてみたいから」

 

「ホントですか?」

 

「琴には言わないでね」

 

「分かってます」

 

「じゃあ、一応私のメアド教えておくね…」

 

これは琴の為だもん。仕方ないよね…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何であんな事言っちゃったんだろう。

何で断らなかったんだろう。

 

ううん、そんな事よりも…。

智貴君は、琴より私の方が好きなのかな…。

確かに智貴君は格好いいと思うけど、別にそんなつもり無かった…筈なのに。

智貴君と会ってる時、智貴君、私の事考えてたのかな。

琴よりも私の方が可愛いと思ってるのかな。琴もそうだけど私も地味な方だし、もっと可愛い子いるのに…。

どうして私なんだろう…。

智貴君、もしかして私の事考えて、あそこ大きくしたりするのかな…。

…何か、琴に似てきたな。

 

でも、智貴君も琴と一回デートすれば、考え変わるかも。

でも…それでも、智貴君の考えが変わらなかったら…私の方が好きだって言ったら…。

 

私、どっちを望んでるんだろう…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「い、伊藤さん!あ、あのね!」

 

翌日、予想通り、琴は興奮気味に話し掛けてきた。

 

「と…智貴君から、デート誘われちゃった!」

 

「良かったね、おめでとう」

 

「ま、まだ付き合う訳じゃないって///」

 

「ふふっ、きっと琴の事、好きになってくれるよ」

 

「あ、ありがとう伊藤さん」

 

良かった。琴、本当に嬉しそう。

これで智貴君も琴の事、好きになってくれれば全部解決なんだけど。だから考えちゃ駄目。

 

私も智貴君とのデート楽しみだなんて…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の週の月曜日、通学路で私を見つけるなり琴は昨日の事、智貴君とのデートの事を話し始めた。正直、琴がまた何か変な事を言わないか不安だったが、むしろその逆、緊張で上手く話せなかったらしい。

まぁ無理もないか。そうだよね…ずっと憧れてた人とデートなんて、緊張もするよね。

 

その日の夜、智貴君からメールが来た。

用件は予想通り、私とのデートについてだった。待ち合わせについて決めると私はベッドに横になったが、あれこれ考えて中々寝付けなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめん、待った?」

 

「いえ…」

 

日曜、待ち合わせの場所には既に智貴君が来ていた。

当たり前だけど、智貴君は私服だ。何と言うか…制服とは違った雰囲気がある。私服はその人の趣味が出ると言うか、上手く言えないが、とても智貴君らしいと思う。高級そうでもなく、スポーツしている為か動きやすそうな感じかな。

私は顔が童顔の所為か、あまり派手な服は似合わない。その為か、実年齢より幼く見られがちだ。いまだに中学生に間違われるし…。

大丈夫かな…。子供っぽくないかな?

 

「先輩の私服、初めて見ましたけど…その、似合ってますよ」

 

「あ、ありがとう。智貴君も、格好いいよ」

 

「…どうも」

 

「因みに…琴はどうだった?」

 

「小宮山先輩ですか…。何と言うか…とても個性的でした」

 

もしかして…京都の時みたいな感じだったのかな。

 

「小宮山先輩って、バンドか何かやってるんですか?」

 

「あれは多分、琴の趣味だと思う」

 

「そうですか…」

 

男の子とのデートだし、女の子っぽいの着ていくと思ったのに。琴、本当に凄いな…。

 

「じゃあ、行こうか」

 

私は智貴君と共に歩き出した。

 

 

 

 

 

 

遊園地に着いた私達は、幾つかの乗り物に乗ったり、色んな所を見て回った。時間も午後を回り疲れた事もあって、園内の飲食店に立ち寄る事にした。

 

「ねぇ、智貴君…私とデートしてて楽しい?」

 

「どうしたんすか、急に」

 

「うん、その…私、男の子とデートするの初めてだから」

 

「そんなの俺も同じですよ。…先週、小宮山先輩と行きましたけど、これが2回目です」

 

「そ、そう」

 

「…それに、俺、先輩といると楽しいですよ」

 

「本当?」

 

「本当ですよ。小宮山先輩と比べると、大人しめかな、とは思いますけど」

 

「琴と?」

 

「ええ。手、握ってもいいとか、酔ったフリして抱き付いたりもしないし」

 

…。

 

「何もしないからって、やたら観覧車に乗りたがるし…」

 

琴…観覧車で何する気だったの…。

 

「何て言うか…程好い距離って言うか…先輩といると、安心するんですよ」

 

「でも、私、子供っぽくない?」

 

「まぁ、制服の時の方がミニスカでイイですかね」

 

「…エッチ」

 

「すんません」

 

「智貴君は…その、もう少し大人っぽい格好の方が好きかな?」

 

「いえ、そんな事気にしませんよ。伊藤先輩だったら、どんな格好でも可愛いですよ」

 

「…それは、答えになってないと思う」

 

「あんま、気の効いた事は言えないんで…」

 

「それと…学校じゃないんだし、二人の時は名前で呼んでほしいって前も言ったよね?」

 

「じゃあ、光先輩」

 

「先輩は止めてほしい」

 

「はい…光さん。その…俺と付き合ってくれませんか?」

 

…え?

 

「わ、私と…?」

 

「はい。今日一緒にいて、もう少し一緒にいたいって思って」

 

「…」

 

「俺とじゃ、付き合う気にならないですか?」

 

「そ、そんな事ないよ。智貴君といて私もとっても楽しいし」

 

「じゃあ…」

 

「でも…」

 

「小宮山先輩ですか…」

 

「…うん。前も言ったけど、智貴君、琴の事知らないから、少しずつ知っていけば琴を好きになるって思ったの」

 

「小宮山先輩の事は別に嫌いじゃないです。…ちょっと変わってるけど」

 

「だったら「でも先輩はどうなんすか?」

 

「え?」

 

「先輩、小宮山先輩の事を知って欲しくてデートしてって言ったんですよね?それは俺も同じですよ。

 

「俺は先輩…光さんに俺の事を知って欲しくて誘ったんです」

 

「と、智貴君…」

 

どうしよう…。

智貴君に最初に誘われた時から、想像しなかった訳じゃない。ううん…もしかしたら、心のどこかでこうなる事が解ってたのかも。でなきゃデートを断ってたのに。

琴の為とか言って…私は智貴君の好意を悪く思っていなかった。どうして…?答えは簡単。

 

私も智貴君が好きだから。

 

「俺の事がタイプじゃないってんなら、諦めます。でも、そうじゃないんなら…俺と付き合って下さい」

 

私の心の中では、琴に対する罪悪感が渦巻いていた。

そう、ついさっきまでは…。

今、智貴君にはっきり付き合って欲しいと言われた瞬間…

 

「うん…私で良ければよろしく」

 

私の押し潰していた気持ちが、罪悪感を上回った。

 

…私は、智貴君と付き合う事にした。

 

 

 

 

 

 

 




と言う訳で、後半に続きます。
ホワイトデーは食堂バトルの前ですが、話の展開上入れ替えてます。
伊藤さんは、うっちー、こみちゃんと同じ位好きなキャラなので、原作でももう少し掘り下げてくれると嬉しいです。…と思ったら名前判明。
わたモテはサブキャラの動向も楽しかったりしますよね。最近気になってるのは、ハマーンカーンみたいな髪型の狐目さんです。メインキャラに昇格は無いでしょうが、名前位考えてほしいです。そういえば、きーちゃんも名字判明しましたね。

後編は1ヶ月位で載せられる様、頑張ります。
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