私がこんな気持ちなのはどう考えても黒木が悪い! 作:昼間ネル
きもいきもいきもい!
そう言えば、黒木と最初に話したのいつだっけ?
修学旅行だったかな。じゃんけんで負けなかったら、あいつらと同じグループにならなかったのに。
何でか黒木と二人部屋に泊まる事になって…。
全然話した事無かったけど、見た目大人しいやつかと思ったら、急に語り出すし。
おまけに風呂覗かれるわ下着盗もうとするわ、さっさと寝ようと思ったらガン見してるわ…。
きもい…。
私似の女に下着プレゼントしてるし私のトイレの音聞いてるし、私のチア見ながら白飯かきこんでるし…!
きもいきもい…!
北海道のお土産こっそり渡したら、何故か私があげたの知ってるし、お礼の手紙なんか書いちゃってさ!ま、まぁ少しはいいトコもあるじゃん。
バレンタインも別にあげる気なんか無かったけど、たまたま…たまたま作りすぎちゃったからあいつにあげたら、チョコのお返しくれたし…。
でも、なんでウンコなの!?
きもいきもいきもい!!
遠足も一緒に回る友達いないんじゃないと思ってたら、普通に友達いるし。
そう言えばジェットコースターであいつ、私の手握っちゃってさ。おまけに髪が顔に当たって…。
あ~ホントきもかったわ///
あんまりきもかったから、もう一回乗ろうとしたけど、今度は田村が隣だったし。…チッ。
おまけにちょっと目を離したら、他の女はべらせてるし…!何よ、私だけじゃ不満なの!?
あんたみたいなきもい奴、私じゃなきゃ耐えられないっての!
他の女に私みたいに変な事しないか見張っててやろうと思ったけど…。
でも最後の花火、とっても綺麗だったな…。
まぁ、私も楽しかったし田村達との仲、邪魔しちゃったかなと思ったから一言お詫びの手紙書いたら…。
あいつの事だからまた返事書くって思ってたけど。ホントに来たし。
他の奴にバレたら嫌だからメルアド教えたけど、ちゃんと返事来るかな?
『こちらこそ
よろしくお願いします。
名前は智子です。』
ホントに来た!どうせ来ないと思ってたのに。
な、何よ、私とメールしたいの?
ふ、ふ~ん。まぁ別に私はいいけど?
あいつ、智子って言うんだ。思ったより普通じゃない。
で、でも、よろしくお願いしますって…私と友達になるって事よね?それ以外の意味は…無いわよね?
それ以外って何よ。きもいきもい!
ホントにそれだけ…よね。
私と友達になりたいだけ…。そうなの…?黒木。
朝の幕張駅。
通学時間の為か、駅は同じ学校の生徒やサラリーマンでごった返していた。いつもの様に夜更かしした智子はゆっくりと改札を出た。
(あ~眠っ。今日、体育無いのが救いだわ)
ノロノロと駅の階段を降り、通学中の生徒達に紛れ混んだ智子の隣にスッと誰かが横に立った。
(ん、田村さんか?)
「おは…」
「お、おはよう」
そこにいたのは、ゆりではなく笑美莉だった。
(え、絵文字?何で?)
「あ、あの…おはよう」
「…」
笑美莉は相変わらず何を考えてるのか読み取れなかったが、少し息切れしている様だった。
(遅刻…って時間でもないし。走って来たのか?こいつも電車通学だったよな)
「き、昨日は…メールの返事ありがと」
「へっ!?あ、うん。こ、こっちこそ…」
(うわ、ビックリした。ホント何考えてるか分かんねぇ。田村さんもそうだけど、こいつも表情筋少ねーな。プ○のスピリチュアルメッセージ使えれば少しは分かるんだが…。)
「き、昨日のメールの事なんだけど…」
「えっ?メール?」
(あぁ、そういやあれから何通かメール来たな。やっぱり気が変わったとかそんなトコだろ)
「わ、私達…もう友達って事で、いいんだよね?」
「だ、大丈夫。私も気にしては…えっ?」
「だから、昨日メールしたら、黒木がよろしくお願いしますって」
「あ、それはまぁ…そうだけど」
(え、えっ?あれは社交辞令みたいなもんで…。って言うか、ホントに友達になろうって意味だったの?)
「わ、私もよろしくね。これからは私の事、笑美莉でいいよ」
「い、いや~、それはちょっと…」
「嫌なの?」
「い、嫌って言うか…恥ずかしいって言うか」
「…じゃあ、うっちーでいいよ」
「は、はい」
(そっちも恥ずかしいんだが。学校でもうっちーって言えっての?いやいや、どう考えても変だろ?今までろくに話した事無いのに!まぁクラス違うから廊下でしか会わないだろうけど)
「…」
「…」
(気まずい…)
周りを歩く生徒達は明るく挨拶を交わし、とりとめのない会話で盛り上がっている。何も喋らないのはせいぜい一人で歩いている者位だ。
(こいつ、友達といる時は結構喋ってたよな。やっぱり私といてもつまんないし、さっさと行けばいいのに…)
智子が何か話題を切りだそうと思案していると、目の前の人影に見覚えのある後ろ姿を見つけた。
(田村さん?助かった!)
「あの「く、黒木はさ…」
「え?」
智子がゆりと合流すべく別れを切り出そうとすると、食いぎみに笑美莉が口を開いた。
「黒木は…私の事、どう思ってるの?」
(どう思ってるって…。何考えてるか分かんないキョロ充の絵文字だろ)
「私の事…嫌い?」
「そ、そんな事は…ないけど」
「っ!じゃ、じゃあ…」
「あ、うっちーじゃん!」
後ろの声に二人が同時に振り返ると、笑美莉の友達の宮崎達が二人程駆け寄って来た。
「あ、あれ?え~っと、黒木さん…?」
「あ、ど、どうも…。じ、じゃあ私、先行くから…」
「…!」
智子は笑美莉に会釈すると目の前を歩くゆりの元へと走って行った。
「あれ、黒木さんと仲良かったっけ?」
「あ、ううん、そういう訳じゃ…」
二人の組み合わせが余程珍しかったのか、宮崎は挨拶の時のテンションはすっかり無くなっていた。笑美莉も顔を赤くして、必至に否定していた。
(あ~もう!せっかく会えたのに…)
目の前では、智子に挨拶されたゆりが智子と何か話していた。
(何であんたが隣にいるの?私の方が先に会ったのに!それに何であいつも楽しそうな顔してんの?きもいきもい!)
「うっちー?」
学校に着くまで、笑美莉は何故か無言だった。
いつもの様に昼食をゆり、真子と食べていると智子のスマホの着信音が鳴った。
「うん?」
誰からだと思い、画面を見ると笑美莉からだった。
『朝はごめん。
学校終わったら、
又メールするね
笑美莉』
「誰から?」
スマホの画面を何故か不思議そうに眺める智子が気になったのか、真子が尋ねた。
「あ、内さんからだけど…」
「え、内さんとメールしてるの?いつから?」
智子の口から内の名前が出たのが意外だったのか、今度はゆりが智子に尋ねてきた。
「め、メールしてる訳じゃないけど、何か昨日の手紙にメアド書いてあって、メールしてっていうから…」
「へ~。黒木さん、うっちーと仲良かったんだ。ゆり知ってた?」
「…知らない」
(…なんか、田村さん怒ってない?)
智子と笑美莉が意外な接点を持っていた事が嬉しかったのか、真子は二人の事をあれこれ聞いてきた。一方のゆりは、黙々と箸を口に運ぶ。
「そう言えば、遠足の時もうっちーいたよね?もしかしてあの時に友達になったの?」
「え、別に特に話したりは…」
「そうなんだ。じゃあ宮崎さん達と離れた間、私達といただけなのかな…」
「…そうだよ」
「ゆり?」
「…」
ゆりは一言ボソッと呟くと、また弁当に箸を付けた。
「じゃあ黒木さん、また明日」
「あ、うん。さよなら」
智子が自分の駅でゆりと別れて電車を降りると、そのタイミングを待っていたかの様にスマホが鳴った。スマホを取り出し画面を見ると…。
『朝は途中でいなくなっちゃってごめんね。
お昼は真子達と食べてるの?
もし学食で食べるなら、付き合うけど』
(すげータイミングで来るな。まさかどこかから、こっちの事見てんじゃね~だろうな…)
智子は改札を出ると、歩きながらスマホを打つ。
『こちらこそ先に行ってすみません。
私と一緒にいるの見られたくないと思って。
昼食は田村さんや田中さんと食べてます。
最近は学食はあまり行かないですが、
構わないならご一緒したいですね』
(まぁ、そんな事はないだろうがな…)
鞄にスマホをしまい、最寄りのコンビニで立ち読みでもしようと立ち寄ると、着信音が。
『明日、私学食で食べるから
来てくれない?
待ってるから』
(おいおい!冗談で言ったのに。え、明日学食に行かなきゃいけないの?田村さん達になんて言おう…)
智子は分かりましたと返事すると、重い足取りで家路に着くのだった。
関係ないですが、自分の住んでる所、わたモテの聖地の海浜幕張に近い場所です。もこっちが住んでる稲毛やアニメ版のモデルになった高校は、自転車で行ける距離だったりします。作中や扉絵で描かれている場所も見た事あるので、そんな所も作品にのめり込む理由かも。いつもあの辺りをもこっちやゆりちゃんが歩いてるんでしょうか。
次回は一悶着あるかも。