私がこんな気持ちなのはどう考えても黒木が悪い!   作:昼間ネル

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大乱闘もこっちシスターズ。
ゆりドン参戦!!




きもいけど一緒に食べる

「あ、あの…」

 

4時間目の授業も終え、いつもの様に真子、智子と弁当を食べようとしたゆりに智子が話し掛けた。

 

「き、今日はお弁当忘れちゃったから…学食行くね」

 

「あ、そうなんだ。うん、分かった。じゃあね」

 

「…」

 

真子に手を振りながら、智子は教室を後にする。そんな智子を何故か見つめるゆり。

 

「…どうしたの、ゆり。ご飯食べよ?」

 

そんなゆりを怪訝に思いながらも、弁当の包みを広げる真子。真子に促されたゆりも、弁当を取り出す。

 

「…ねぇ、真子」

 

「ん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「別に伊藤さん、付き合う必要無いのに。…ごめんね」

 

「ううん、私もあまり学食に行かないから、たまには良いかなって」

 

〈着いてかないと、またトイレで食べてそうだし…〉

 

小宮山琴美とその友達の伊藤さんが、定食のトレーを持ちながら座る席を探していた。

いつもは弁当派の琴美だが、たまたま遅刻しそうだった為に弁当を持ってくるのを忘れてしまった。普段なら伊藤さんと共に教室で食べる筈だが、事情を話し一人寂しく学食に行こうとした所、何故か伊藤さんも付き合うと言い出した。最初は悪いと断った琴美だったが、伊藤さんに一人で食べるの?と言われると、それ以上は断れなかった。

二人は空いている奥のテーブルに座った。

 

その琴美とちょうど背中合わせに座る笑美莉は、妙にそわそわしていた。そんな笑美莉が少し気になった伊藤だったが、琴美と向かい合う様に座ると、箸に手を付けた。

 

 

 

 

 

〈そういえば学食来るのも久しぶりだな。うどん吐いたり変態シスターズに会ったり、ロクな思い出が無い…〉

 

学食に来た智子は自分の定食を持つと、来ている筈の笑美莉を探した。学食の奥の席で智子を見つめる笑美莉と目が合い、智子は彼女のテーブルへ向かった。

 

〈本当にいた。てっきりこいつの友達もいると思ったから、来たくなかったんだけど…一人なのか〉

 

「こ、こんにちは」

 

「す、座ったら?」

 

「あ、うん」

 

正面に向かい合って座るのは気まずいと思った智子は、笑美莉の横向きの席に座った。笑美莉に隠れて見えなかったが、彼女の後ろに座る、見た事のある後ろ姿に一瞬固まった。

 

〈げっ!コオロギ!〉

 

〈ん、今の声は…〉

 

智子が琴美の後ろ姿に気付くと、琴美も自分の後ろの声にチラッと後ろを振り返る。

 

〈〈なんでコイツがここに!!〉〉

 

「…どうしたの?」

 

「あっ、いや、何でも」

 

「どうしたの琴?」

 

「あ、ううん、何でもないの」

 

お互い気付かないふりをする事にした智子と琴美は、それぞれ箸に手を付けた。

 

「く、黒木は弁当なの?2年の時はあまり教室に居なかったけど」

 

〈うるせー、ぼっち飯の方が気楽なんだよ〉

 

「あ、今は田村さんとかと食べてる…」

 

「ふ~ん」

 

〈…何か言えよ!そっちが振ってきたんだろ?〉

 

「内さんは…。今日は友達と一緒じゃないの?」

 

「お弁当忘れた」

 

〈昨日、学食で食べようってメールしてきたよね?〉

 

 

 

 

 

〈もしかして、アイツ案外友達いんのか?京都の時の奴とは違うみたいだけど〉

 

「…琴?」

 

「あっ、ごめん」

 

 

 

 

智子と笑美莉は暫く沈黙のまま、食事を食べ続けた。そんな智子の視界によく知る二人が飛び込んで来た。

 

〈ん?陰キャとガチレズさん?〉

 

教室で弁当を食べている筈のゆりと真子が、食堂の入口でウロウロしていた。やがて真子が智子を見つけるとそのまま近付いて来た。

 

「一緒に食べていい?」

 

「わ、私はいいけど…」

 

「うっちー、一緒にいいかな?」

 

「…うん」

 

〈…ちっ〉

 

ゆりと真子は空いている席に腰かけ、弁当の包みを開けた。

 

〈た、助かったぁ。二人だけじゃ間が持たなかったからな。良いタイミングで来てくれたわ〉

 

一人胸を撫で下ろす智子を見て、ゆりは疑問が浮かんだ。

 

〈黒木さん、もしかして内さんと約束してたのかな。そうなら何でお弁当忘れたなんて嘘付いたんだろ。私には知られたくなかったのかな?〉

 

「うっちーって、黒木さんと仲良かったんだね。いつから友達になったの?」

 

智子と笑美莉の組み合わせが珍しかったのか、真子は笑美莉に尋ねた。

 

「…修学旅行の時」

 

「あ、そう言えばうっちー、黒木さんと同じ班だったよね」

 

〈え、そうなの?私あの後から絵文字に避けられてる気がすんだけど、案外そうでもなかったの?〉

 

「へ~そうだったんだ。二人が話してるの見た事無かったから気付かなかったよ」

 

〈そりゃ私だって知らなかったんだから、当然だろ〉

 

「…真子達は、いつから黒木と仲良くなったの?」

 

「う~ん、確か遠足に行く少し前かな。そうだったっけ?ゆり」

 

「…私も京都の旅行の時から」

 

「あ、ゆりも黒木さんと同じ班だったもんね」

 

〈ま、まぁ京都の時はこいつとも少し喋った気がするが…。どっちかと言うとヤンキーと喋った記憶の方が強いな。殴られたし…〉

 

「…」

 

「内さん、今日は宮崎さん達は。一緒じゃないの?」

 

黙々と箸を口に運びながら、ゆりが尋ねた。

 

「私だけお弁当忘れたから、学食来た。そしたら黒木に会ったから一緒に食べようと思って」

 

「…黒木さん、今日お弁当持ってこなかったよね。もしかして内さんと約束とかしてたの?」

 

「え!あ、うん…。まぁそんな感じ」

 

〈バカ、黒木っ!〉

 

ゆりがチラッと笑美莉を一瞥する。笑美莉は思わずゆりから視線を反らした。

 

「何だ、言ってくれれば私達も付き合ったのに」

 

「う、うん。ごめん」

 

「…もしかして、二人で食べたかった?」

 

「そ、そんなわけじゃ…」

 

ゆりの問いを否定したい智子だったが、隣の笑美莉の手前、そう強くは言えなかった。笑美莉はそんな智子をどこか恨めしげに見つめている様にも見える。

 

「…そ、そう言えば遠足以来だよね、このメンバーで集まるの。楽しかったね」

 

不穏な空気を察したのか、真子が慌てて話題を切り替えた。

 

「うっちーは、何が楽しかった?」

 

「…ジェットコースター」

 

「あ、私も。そう言えばうっちー、2回も乗ろうって言ってたもんね」

 

「私はそんなに…」

 

「ゆり、あまり激しいの苦手だもんね」

 

〈私の腕、つねったしね!〉

 

もともと笑美莉は、ゆりと仲が悪い訳でもなかったが、ジェットコースターで隣に座った時何故かゆりにつねられ、少しだけ苦手意識を持つ様になった。

 

「あ、そう言えば黒木さん、うっちーと一緒に乗ってたっけ」

 

〈ん?言われてみれば確か絵文字が隣だったっけ〉

 

「…黒木は楽しかった?」

 

「え?う、うん。まぁ、楽しかったかな」

 

〈そりゃそうでしょ。私あんたに手掴まれたし、写真だって一緒に写ってあげたんだから///〉

 

「黒木さんもコースター系好きなんだ」

 

「いや、ティーカップみたいのとか…」

 

〈なんでぇ!?〉

 

〈…ふっ〉

 

何故か驚いた様な表情の笑美莉、一方のゆりは何故か含み笑いを見せた。

 

「真子達がいなくなって、黒木さんが一緒に乗ろうって言うから…」

 

〈一緒に?黒木と?二人っきりで!?〉

 

「私もコースター系はあまり好きじゃないから、黒木さんと同じのが好きかな…」

 

「そ、そうなんだ…」

 

〈まぁ、キャラ的にもコースター系は苦手そうだしな〉

 

〈田村の奴、何で私見ながら言うの?さっきからいちいち突っかかってきてない?〉

 

「は、花火も綺麗だったよね。私は南さんと一緒だったけど。ゆり達も見たよね?」

 

「うん。黒木さん達と一緒に」

 

「わ、私も」

 

〈…陰キャと絵文字の奴、仲悪いのか?話が合ってない気が〉

 

「…その後、黒木さんにキーホルダー貰った」

 

「あ、可愛いね♪」

 

ゆりがスマホに付けたキーホルダーを見せた。

 

〈え?あれ私が黒木に贈ったヤツと一緒じゃん!何?黒木も同じの買ってたの!?〉

 

〈お、おい陰キャ!それ見せたら私がもうそれ持ってるって絵文字にバレるだろ!〉

 

「ふ、ふ~ん。そうなんだ」

 

「…内さんも貰った?」

 

〈いや、絵文字が私の下駄箱に入れたの、おまえ知ってるだろ?〉

 

「…わ、私は自分で買ったから」

 

「あ、わ、私皆にあげちゃったから、内さんに貰ったの使ってる…」

 

「…」

 

〈黒木…!〉

 

智子が慌ててポケットからスマホを取り出すと、ゆりとお揃いのキーホルダーが付いていた。

 

困った様な表情から一転、笑美莉はパアッと明るくなる。逆にゆりは微妙に表情が曇った様に見えた。

 

〈…やっぱこの二人、仲悪いのか?だんだんE○ードでもやってるみたいに見えてきたな。陰キャがカ○ジで、絵文字が○根川か?耳でも賭けてんのか?〉

 

 

 

 

 

〈…何だかしらんが、こいつらさっきから雰囲気悪いな。クソ虫が虐められてる様には見えないけど…。友達じゃないのか?〉

 

「…琴、聞いてる?」

 

「あっ、ごめん伊藤さん」

 

 

 

 

「わ、私先に帰るね。じゃあね、黒木」

 

「あ、う、うん」

 

笑美莉はトレーを持つと、智子達と別れた。

 

「…ゆり、うっちーと何かあった?」

 

二人のギスギスした空気を感じたのか、真子がゆりに尋ねた。

 

「…別に何もないけど」

 

「…なら、いいんだけど。黒木さん、私達も戻ろうか」

 

「う、うん」

 

〈ガチレズさんも理由は知らないのか。何かあったのか?〉

 

食事を食べ終えると、智子も真子達と共に教室に戻って行った。

 

 

 

 

 

 

「前に内さんから、メルアド教えてもらったよね。もしかして毎日メールしてるの?」

 

帰りの電車の中で、ゆりが智子に尋ねた。

 

「ま、まぁ…。内さんからがほとんどだけど」

 

「そう…」

 

〈こいつとの付き合いも長いわけじゃないけど、だんだん分かってきた。何か機嫌悪いな。生理か?〉

 

「黒木さんは…内さんの事、どう思ってるの?」

 

「へ?内さん?…たまに顔合わせる元クラスメートかな」

 

「私は?」

 

「…友達かな」

 

「そう…」

 

ゆりの口元が少し緩んだ気がした。

 

〈あれ?機嫌良くなった?〉

 

その日の帰りは、普段はあまり喋らないゆりが、妙に口数が多かったなと、家に帰った智子は思った。

 

 

 

 

 

 

〈う~ん、やっぱり何か言っとかないとマズいかな。何か向こうは私と二人で食べる気だったみたいだし〉

 

ベッドに横たわりながら、智子は笑美莉にメールを打っていた。

 

〈別に私が悪いんじゃないけど…〉

 

『今日は一緒に食べれて楽しかったです。

田村さん達には黙って来ちゃいましたが、

不味かったですか?

気を悪くしたらすいません。

出来れば田村さんや田中さん達と一緒の方が

楽しいと思いますが』

 

〈…〉

 

〈考えてみれば、隠す必要無くね?何で私、絵文字と飯食うの田村さん達に隠さなきゃいけないんだ?〉

 

〈…何で、黙っとこうって思ったんだろ〉

 

智子が物思いに耽っていると、スマホが鳴った。画面を見ると笑美莉からだった。

 

〈相変わらず返信早えーな〉

 

『明日の放課後、幕張駅側の○○公園に

来てくれない?』

 

〈何だ?学校で話せばいいのに。…まさか今日の事怒ってるとかじゃねーよな。私悪くないだろ…〉

 

分かりましたと返信すると、智子は再びベッドに横になった。

 

 

 




原作だと、うっちーの恋も一旦落ち着いた感じになっちゃいましたが、今後どうなるのか楽しみです。
このまま友達としてフェイドアウトするのか、返って火が付くのか…。せめてもこっちに友達として認識される位はしてほしい。
原作だと、もこっちの方からキーホルダーあげてますが、その話が出る前に書き始めたので、そこからのIFルートだと思って下さい。
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