ベルとアイズの成長物語   作:タシャラ

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申し訳ございません。三ヶ月もたってしまいました……。
一か月に一回はしようと思ったのに……。
ごめんなさい。(o_ _)o))
ちょっと今進路のことで悩んでるので次はさらに遅くなるかもです。
それでも見てくれる方のために少しでも早く投稿するように頑張りますので、よろしくお願いします!


子供たちの特訓 その①

我儘を言っていたベルを何とかなだめ、理由を説明して納得してもらった。まだ5歳のベルに説明をしても、半分ほど理解はできてないだろうがアイズが言った「わがまま言うベルは嫌い」という言葉が出た瞬間大人しくなった。

父親の面目が丸潰れのへヴェルは酷く落ち込んだそうな。仕方ない、ベルは生粋のお姉ちゃんっこなのだから。

 

「みんなお待たせ。剣持ってきたわよ」

 

ちょうどいいタイミングでアリアが戻ってきた、その手には普通の剣と短剣が握られている。

へヴェルと違い木製ではなく鉄で出来ているが、刃はちゃんと潰してある。

 

「はいどーぞ。こっちがアイズでこっちがベルね」

 

「「ありがとうお母さん」」

 

「しばらくはそれで剣の練習をするから大事にしてね」

 

ベルがこれから使う自分の剣を見て落ち込むかと思いきや、何も言わなかった。ただじーっと不思議そうに手元にある姉とは違う短剣を眺めているだけである。

短剣はいつも読み聞かせている英雄譚で沢山出てきたはずだから、思っていたのと違うわけでもないだろう。ただ、何かを噛み締めるように、短剣を握っている。

すると、へヴェルがベルの肩に手を置いた。

 

「その剣、大事にしてくれるかい?」

 

その問いかけにベルはこくんと頷いた。

 

「いいかいベル、武器は己の半身。今はまだ練習用のどこにでも売っている剣だよ。だけど、いつの日かベルが自分で剣を買ったときは、その時はちゃんと大事にしてあげてね」

 

へヴェルの話をベルはもとより、アイズも真剣に聞いていた。二人とも自分が初めてもらった剣を腕の中で抱きしめながら。

アリアも今は寝室に置いてある自分の愛剣を思いながら、剣を腰に履いていた頃を思い出し、微笑みながら子供たちを眺めていた。

 

「アイズもその剣、大事にしてあげてね」

 

「うん。お父さんみたいに大事にする」

 

「ん?私みたいに?」

 

アイズの返答が意外だったのか、へヴェルは呆気にとられた顔をしていた。

アイズがそう言った理由はというと、家にいるときのへヴェルを見ていたからである。

みんなが寝静まった夜更け、お手洗いに行きたくなったアイズは両親の寝室の明かりがついていることに気づいた。音を立てないように忍び足でドアの隙間から部屋の中を覗いてみると、ベットに腰かけたへヴェル()が見えた。へヴェルは愛剣を手に持ち何かをしていた。そのなにかはまだ幼いアイズにはわからなかったが、大事にしていることだけはわかった。

 

「アイズ、どうして私みたいにって言ったんだい?」

 

「内緒っ」

 

不思議そうに尋ねるへヴェルに、アイズはそう言って屈託なく笑った。

ちなみにアリアはアイズが寝室を覗いていたことを知っているが口には出さず、笑顔の我が子を見てにっこりするだけであった。

 

「それじゃあ始めようか。まずは剣の持ち方から」

 

へヴェルがお手本を見せ、アイズ達はそれを見て真似をする。時折アリアが間違えている部分を指摘し、徐々に正解へと導いてゆく。

剣の持ち方が終わると、構え方、剣の振り方、足の動かし方など、基本的なものから教えていく。

 

それらすべてが教え終わるころには太陽が沈みかけていた。

お昼ご飯を食べてから訓練を始めたので、休憩を入れていたとはいえ優に4時間は体を動かしていたことになる。一つ一つの動きを丁寧に教えたためこのように時間がかかってしまったが、時間をかけずに雑に教えるよりも、時間をかけて丁寧に教えた方が断然いいに決まっている。何しろ二人はまだ子供で初心者だ。基礎がしっかりとできていないとそれ以上のことができなくなる。逆に言えば基礎さえしっかりできていれば、あとは自分の努力次第である程度までは成長が望める。

たとえ自分たちがいなくなったとしてもいいように、アイズ達が生きていけるようにと、へヴェルとアリアは思っているのだ。

 

勿論、子供たちを置いて簡単に死ぬつもりはないが。

 

「二人とも、よく頑張ったね。今日はこれで終わりだよ」

 

へヴェルが二人をほめるように声をかけるが、返事はなく、ぜーはーぜーはーといった荒い呼吸が聞こえるのみだ。返事もできないほど疲れているらしい。

当然だろう。何しろ恩恵をもらっている冒険者から見ても逃げ出したいレベルのしごきだったのだから。まあそれは、両親の愛ゆえにだが。

 

「そうだ、二人とも頑張ったご褒美に好きなご飯を作ってあげるわよ!」

 

「……僕、ハンバーグが食べたい」

 

「……私も」

 

今にも息絶えそうな声で二人はつぶやく。もう一歩も動けないという風に地面に倒れこむ二人は汗と土埃で汚れていた。まだ幼い体でこうなるまで耐えきったのは、さすがは第一級冒険者の子供と言えるだろう。

 

「わかったわ、じゃあお母さん急いでお肉買ってくるね!」

 

頑張った子だもたちの為においしいご飯を作るため、いい食材を買ってくると意気込むアリア。一応食材の予備はあるものの新鮮な方がおいしいだろうと、今から買いに行く気満々だ。

動けない子供たちをへヴェルと一緒に家のソファへ運んだあと、夕暮れで草原が紅く染まる中アリアは財布と買い物籠を持ち閉店間際の村のお肉屋さんへと全力疾走して行った。なお、しっかりと靴は履いて行った模様。

 

一方へヴェルはというと、子供たちをお風呂に入れていた。流石に泥まみれのまま食事は衛生上よろしくないと思いー自分も汗を流したかったのでー、疲れている子供たちを励まし?今に至る。

交代で二人を洗った後最後に自分が洗い、三人で湯船につかっている。流石のヘヴェルも疲れて膝の上にアイズ、その上にベルを乗せてぐでーんとしている。

オラリオでは英雄だの最強の冒険者だの言われているヘヴェルだが、家に帰ればこんなものだ。まあ、ゼウス・ファミリアからするとアリアもヘヴェルも子供たちの前ではただの親ばかに見えているのだが。

 

「ねえお父さん」

 

「ん、なんだい?ベル」

 

「お父さんはどうしてそんなにつよいの?どうしてつよくなろうとおもったの?」

 

「私も聞きたい」

 

「うーん、そうだねー」

 

ふとベルがそんなことを聞いてきた。さっきまで二人とも眠そうだったのに、不思議と今は目がパッチリと開いてる。

ヘヴェルは悩みながらも子供たちがわかりやすいように言葉を選びながら話す。

 

「私には守らなければいけないものがあったからかな」

 

「守らないといけないもの?」

 

「うん、そうだよ。ベルは強くなりたい?」

 

「なりたい!!」

 

ベルは湯船から勢い良く立ち上がりヘヴェルに向き直って頷いた。

 

「なら、どうして強くなりたいの?」

 

「お母さんと、お父さんと、アイズお姉ちゃんと、村のみんなを悪い怪物から守りたいから!」

 

勢いよく宣言するベル。

にこにことほほ笑んでいる父を見て、自分の言ったこととヘヴェルの言ったことが同じだと気づいた。

 

「アイズも強くなりたい?」

 

「うん!私もお父さんみたいに強くなって皆を守れるようになりたい!」

 

アイズもベルと同じように湯船から立ち上がり宣言する。

そんな二人を見てほほ笑むヘヴェル。もう一度座らせ頭をよしよしと撫でてやった。

 

「ねえお父さん。お父さんは英雄なんでしょう?」

 

「そう言われてるけどね……」

 

アイズがふとそんなことを言ってきた。ヘヴェルはオラリオ内だけではなく、大陸中にその名が知れ渡っているほど有名だ。彼の戦いぶりを見た誰かが英雄と呼び始め、瞬く間にそれが浸透していった。

実際に彼に救われた人は何人もいる。その人自身だけではなくその人の家族や恋人だったりと、オラリオ内外で大勢の人を救ってきたヘヴェルにはぴったりの称号なのだが、本人は気に入ってはないようだ。

 

「じゃあ、僕たちみんなの英雄なんだね!」

 

「それは違うよ」

 

「どうして?」

 

そう、ヘヴェルはみんなの英雄ではないのだ。

まだ子供たちが生まれる前、それよりもっと前かもしれない。ヘヴェルには一生護ると誓った相手がいるのだ。

 

「私には護ると誓った人がいるからね」

 

「じゃあ私たちのことは守ってくれないの?」

 

「そういうわけではないよっ。アイズもベルも、みんな私が守る」

 

アイズが不安そうな声音で疑問を投げかける。ヘヴェルは慌てて否定し、優しくアイズの頭に手を置いた。

そのまま撫でるとアイズが嬉しそうににっこり笑う。それを見てベルが羨ましそうにヘヴェルをじーっと見ているので、まだまだ子供だなと思いつつも撫でてやった。

 




いかがでしたか?

そういえばダンまち15巻発売されましたね!皆さんもう読まれました?
私はまだなので楽しみです!

それではまた次の話でお会いしましょう!
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