ジョジョの奇妙な冒険、第?部『マジカル・オーシャン』   作:piguzam]

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遅くなった上に話が短くてすいません。

更に今回はキャラ崩壊が激しいです。

ノーマルからプッツンした仗助並みにwww


几帳面な性格でねーー この順番に必ずやると言ったらや(ry

「んで?児童相談所も真っ青な教育方針を取ってるテスタロッサの母親は何処に居るんだよ?」

 

俺は家から遠ざかって人気の無い公園の近くまで来てからアルフに質問する。

とりあえず意気込んで出てきたは良いけど、何処へ向かえば良いのかさっぱりな状況だ。

俺の質問を聞いたアルフは真剣な表情を浮かべながら口を開く。

 

「鬼ババが居るのは、時の庭園っていう次元を移動できる庭園だ。元々アタシとフェイトも其処に住んでて、此処から行くには転移魔法を使わないと…………あ」

 

「……どうした?」

 

と、真剣な表情で情報提供していたアルフが突然固まり、如何にも「やばい」という表情を浮かべる。

訝しんで質問するもアルフは答えず、少し冷や汗の様なものが流れているではないか。

……おいおい、もしかして……。

 

「……まさかとは思うがよぉ。行き方が分からねえなんて犬も喰わねえオチ、じゃねえだろーな?」

 

「……」

 

「……」

 

「………………実は……」

 

「帰るわ」

 

クルリ、と踵を返して我が家へと歩を進める。

確か今日は母ちゃん特製のポトフだって言ってたし、早く帰るとしよう。

しかしそんな俺の足にアルフが人間形態で必死にしがみついてくる。ええい、離せダボが。

 

「ま、待ってよぉッ!!お願いだからアタシを見捨てないでぇえええッ!!」

 

「やかましいッ!!必死こいて頼み込まれたから付き合おうと思ったのに、行き方が分かんねえとか巫山戯んなッ!!しかもそんな誤解を招きそうな台詞を大声で言うんじゃねえッ!!」

 

涙をボロボロ零しながらしがみつくアルフに怒鳴りつつ、俺は人に見えない様に茂みの中へアルフを引き摺って隠れた。

まさかこんな事の為に波紋を使って身体強化を施す羽目になろうとは……。

近所の人に聞かれたら、只でさえ最近アリサ達と遊ぶ様になって下降気味な俺のマダム評判が大変な事になっちまう。

そんな事になったら俺の平穏な生活の基盤がパーだ。

と、俺が怒ったのが堪えたのか、アルフは恥も外聞も無くワンワンと泣き喚く。

 

「しょうがないだろぉッ!!何時もはフェイトが次元座標を読み上げてくれてたけど、長ったらしくて覚えてなかったんだよぉうッ!!」

 

「完全にお前の自業自得じゃねぇかッ!!何で俺がンな事で泣きつかれなきゃ……って、待てよ?」

 

「ぐすっ……な、なんだよぅ……」

 

「……今思ったんだが、アルフはテスタロッサがその座標とかいうのを読み上げるのは聞いてた(・・・・)って事だよな?」

 

少し聞き逃せない一言を聞いて、俺は自身の気持ちを落ち着かせながらアルフに質問する。

それを聞いたアルフはぐずりながらも目から流れる涙を拭い、しゃくりながら言葉を口にした。

 

「そ、そりゃ、アタシも一緒に居ないと転移出来ないし……い、一応聞いてたけどさぁ。座標自体が凄く長かったから、思い出せないんだよぅ……」

 

「いや。お前が聞いてたっていう事実(・・)があるなら大丈夫だ(・・・・)、何も問題は無え(・・・・・)

 

「……ふぇ?」

 

危ねえ危ねえ。もしもこれが心の中で唱えられる呪文とかだったらどうしようもなかったけど、今の話なら大丈夫だ。

例えアルフがその記憶を思い出せなくても、聞いていたならアルフ自身の中に『記録』されているんだから。

泣きながらも首を傾げるアルフの目の前で、俺はスタンド能力を発現する。

 

「『天国の扉(ヘブンズ・ドアー)』。アルフを『本』にしろ」

 

バァアアアンッ!!

 

紡いだ言霊のままに、ハットを被った少年のスタンドが手をアルフを指さす。

すると、アルフの肘辺りまでの腕が輪切りの巻物の様に変化した。

最初は良く分かっていない様な顔で巻物になった自分の腕を呆然と見下ろしていたアルフだが――。

 

「…………うわああああああーーーッ!?な、なんだよこれーーーーッ!?アタシの腕がぁああーーーッ!?」

 

「うるせえなぁ……直ぐに元に戻してやるから、少し黙って静かに待ってろ」

 

「も、元に戻すってッ!?アンタあたしに何をしたんだよッ!?」

 

まるで雑誌の様な文面に変化した己の腕を見て半狂乱するアルフに声を掛けながら、俺はしゃがみこんで文面に目を落とす。

天国の扉(ヘブンズ・ドアー)は本人が覚えていない些細な事柄でも、その記録を文章にしてくれるのだ。

記憶が思い出せないのは、脳が記憶してる膨大な記憶容量の中からその事柄を正確に引き出せないからと言われている。

しかし天国の扉(ヘブンズ・ドアー)が読ませてくれるのは本人の『記憶』では無く、本人の体験した『記録』だ。

本人ですら朧気な記憶を本という体験誌にする事で正確な情報が得られるという訳だ。

 

「えっと……お?あったぜ。これじゃねえか?次元転移、次元座標の後に数字が続く長い言葉だ。記録には確かにテスタロッサが唱えたと書いてある」

 

「そ、それだッ!!アタシが転移魔法を起動しながらそれを読めば、時の庭園に転移出来るよッ!!」

 

「良し。それじゃあ頼むぞ」

 

「まっかせときなッ!!……次元転移。次元座標876C――」

 

意気揚々と気合を入れたアルフはバラけた腕の事なんか忘れたって具合に誌面を読んで言葉を発す。

この仕事は魔法の心得えが無い俺では出来ない仕事だ。

だから俺はアルフの邪魔をしない様に静かに見守る。

 

「4419―3312―D699―3583―A1460―779―F3125.」

 

アルフの唱える座標に従い、オレンジ色の魔法陣が俺達の足元に現れる。

俺はそれを見守りながら何があっても対応出来る様に、ガンベルトから鉄球を取り出し、両手で回転を掛けて構える。

さすがに向こうに転移して直ぐにバトル、だなんて事にはならないとは思うが、かといって話し合いの通じる相手でも無い。

ならばしないよりも、用心に越した事は無えだろう。

等々詠唱も大詰めなんおか、アルフは俺にチラッと視線を向けて準備を問うてくる。

俺がその視線に頷くと、アルフは更に詠唱を続けた。

 

「開け、誘いの扉。時の庭園、テスタロッサの主の元へ――」

 

最後の詠唱と共に魔法陣の端から光がグルリと円を描き、俺達を包み込む。

 

 

 

さて、ちと面倒だが戦うとするか。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

時間にして十数秒ぐらいだろうか。

オレンジ色に輝くドームの中に居た俺達だが、少ししてそのドームが開かれ、視界が切り替わる。

俺の視界に見えるのは、荒廃した地面と、何とも言えない気色悪い色合いの空だ。

あんまり良い気分の場所じゃねぇな。

注意深く辺りを見回すが、コレといって敵はいないらしい。

それを確認して、直ぐに天国の扉(ヘブンズ・ドアー)の能力を解除。

バラバラになっていたアルフの腕は元通りになった。

腕を動かして調子を確かめるアルフを尻目に、俺は鉄球を回転させたまま『エアロスミス』を呼び出す。

 

「(……近くには、これといって呼吸の反応は無いな)アルフ、ここは時の庭園のどこら辺だ?」

 

「えっと、ここは正門の近くだよ……プレシアはあっちの建物の中だと思う」

 

腕の確認を終えたアルフが俺と同じ様に警戒しながらも、俺の背後を指差した。

それに従って振り返ると、大きな山の様な場所にデカデカとした門が配置されていた。

俺よりも先に歩き出したアルフの後を追いつつ、エアロスミスを俺達の周りで旋回させる。

ってあれ?そういえばさっきからレーダー見てるけど、目の前のアルフ以外に全く反応が無い?

 

「アルフ。ここには何人の人間が住んでるんだ?」

 

「ここにはアタシとフェイト、それから鬼婆以外は誰も住んでないよ……昔はもう一人居たんだけどね……それが何だい?」

 

「ああ。そうなると、俺達が戦う相手はそのプレシアのみって事で良いんだよな?」

 

何か住人の話になった時に寂しそうで悲しそうな表情を浮かべていたが、アルフは直ぐに切り換えて質問を返してきた。

俺も特に追及するつもりも無く、そのまま質問を続ける。

最初からそのつもりだったんだけど、これだけ規模のデカイ場所に住んでるなら他にも相手が居るかもって考えちまったからな。

しかし住んでる人間が3人だけだと言った筈のアルフが、俺の言葉を否定する。

 

「いや。ここにはプレシアの作った魔導人形が大量にある。一体一体はそんなに強力じゃ無いけど、数でこられたらかなり厳しいね」

 

「人形……それはプレシアの指示で動くのか?」

 

「大元はそうだけど……フェイトが教えてくれた通りなら、この庭園の一番上にある魔導炉から魔力が供給されてると思う。だからもしプレシアを倒しても、一度命令を受け取った魔導人形は動きを止めない筈だよ」

 

苦々しい表情でそう伝えるアルフの言葉に、俺も舌打ちをする。

さすがにそりゃ厄介な上に邪魔臭いな……先に魔導とかいうのを止めて動きを封じた方が無難か?

なら正面から突入だなんて愚策は止めておこう。

 

「それじゃあ先に魔導炉とかいうのを何とかするぞ。ブッ壊しても問題は無えか?」

 

「う、うん。それは良いんだけどさ……それには一旦中に入らないといけないし、魔力を使ったら最悪見つかる可能性もあるから、飛行魔法も使えないよ?どうする?」

 

「それなら大丈夫だ。魔力を使わずに行く方法はあるからよ」

 

俺の確認の言葉に頷いて肯定したアルフを見てから、俺はエアロスミスを引っ込める。

アルフの話じゃこの庭園の一番上にあるらしいし、まずは上までいかねぇとな。

俺は建物の壁まで歩み寄って、その壁をスタンドの手で触れる。

すると、壁にスタンド使いにしか見えない大きな取っ手が取り付けられた。

それを確認してから、俺はアルフを手招きで呼んだ。

 

「アルフ、俺にしがみつけ。さすがに俺の手じゃしっかりと固定出来ねえ」

 

「??……何をすんのさ?」

 

「いいから早くしろって。管理局もテスタロッサに目ぇ付けてんだし、時間は無駄に出来ねえだろーが」

 

「わ、分かったよ……これで良いかい?」

 

俺の腰に両手を回してしっかりと体を固定したアルフを確認して、俺は壁に取り付けた『ジッパー』を握りしめる。

さぁ、いくぞ。

 

「良し……閉じろ、ジッパー」

 

ズビィイイイイイイッ!!

 

「わわっわわわッ!?は、はや……ッ!?」

 

しっかりと体を固定した状態で命じれば、俺の握る取っ手の下にあったジッパーが素早い速度で閉まり、俺達の体は急速に壁面を駆け上がり始めた。

俺の腰にしがみつくアルフの驚きに満ちた声が聞こえるが、それを気にせずにドンドンとジッパーを閉じる。

体の各部にジッパーを付けた人型スタンド、『スティッキィ・フィンガーズ』の能力がこれだ。

拳で触れたありとあらゆる場所にジッパーを取り付け、切断、接着と、かなり応用力の広さがある。

こんな風に壁面に取り付けたジッパーを閉じる事で高速移動をするとかな。

そんな事を考えながら上の方に視線を向けていると、頂上の平たい屋根の様な場所に到着した。

 

「び、びっくりしたぁ……ジョジョの力は一体何なんだい?動けなくしたり、アタシの腕を漫画みたいにしたり、魔力も使わずにこんな移動が出来るなんて……」

 

「悪いが俺の力に関しては一切ノーコメントだ。色々出来る不思議なパワーとでも考えとけ」

 

「ふーん……まぁ確かに、その言い方はしっくりくるけどさ」

 

元から教えてもらえるとは考えてなかったのか、アルフの言葉はさっぱりしてる。

別にアルフに教える必要は無えし、それが何処かに漏れない可能性もちゃんとあるわけじゃ無えしな。

 

「とりあえずお前とテスタロッサを助けるのには、しっかり手を貸すさ……『ダイバーダウン』、潜行しろ」

 

会話もそこそこに、俺は再び別のスタンドを呼び出す。

マスクの様な頭部にシュノーケルと、背中に酸素ボンベを背負う人型のヴィジョン。

各所にあしらわれたDのマークは潜行の意味を持つ近接パワー型スタンド、『ダイバーダウン』だ。

人や物質の体内に潜行する事が出来るユニークな能力を持ってる。

俺の側から離れたダイバーダウンは床へ波紋を立てながら潜行し、内部の様子を探っていく。

この屋根の真下には、大きな赤い半円球の様な物が鎮座しているが、アルフの言ってた人形らしき物は見当たらない。

どうやら思った以上に警備は手薄らしいな。

 

「下には見張りは居ねえ……この真下にお前の言う魔力炉ってのも見つけたし、取り敢えず降りるぞ?準備は良いか?」

 

「あぁ。いけるよ」

 

「良し。スティッキィ・フィンガーズ」

 

ジバァアアア。

 

ダイバーダウンを戻して直ぐにスティッキィ・フィンガーズを呼び出して、床に拳を叩き付ける。

そして、開かれたジッパーは固い壁をも通過し、俺達はジッパーから中へと侵入を果たした。

上から飛び降りる形で、俺達は真下の魔力炉へと落ちていく。

 

「アルフ。もいっぺん確認すっけど、あの丸いのはブッ壊しちまって良いんだよな?」

 

「あぁ!!好きにしちまって良いよッ!!」

 

俺の確認に威勢よく承諾したアルフにニヤッと笑いながら、俺は落下したままスティッキィ・フィンガーズの拳を構える。

さて、家主の許可も得た事だし、手加減は必要無えな。

 

『アリアリアリアリアリアリィッ!!!』

 

ドババババババババッ!!!

 

スティッキィ・フィンガーズのラッシュを受けた部分は大小バラバラにジッパーで分解されていく。

すると一部分が切り離された影響か、魔力炉はその輝きを失って真っ黒になってしまった。

遮る地面が無くなった事で、俺は魔力炉から更に下へと自由落下を続ける。

後ろからは飛行魔法を使うアルフが追従してくる。

ふむ、どうせならこのままプレシアの居る部屋まで一直線にいきますか。

 

「アルフ。そのまま俺に着いて来い。一気にテスタロッサの母親のトコまで行くぞ」

 

「分かったッ!!鬼婆の部屋はここから10階下にあるよッ!!」

 

「了解。じゃあそこまではノンストップだ。スティッキィ・フィンガーズッ!!!」

 

『アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリィッ!!!』

 

ドババババババババババババババババッ!!!

 

憎い相手の家を(自宅でもあるが)壊す事が快感なのか、アルフはノリノリで俺に返事を返す。

まぁ住んでる人間が言ってんだから良いよなって感じで、俺は床が迫る度に床をジッパーで開閉して更に下の階へと向かう。

 

「ッ!!ジョジョッ!!ここだよッ!!」

 

そのまま床を開閉しまくって落ちていくと、アルフが目的の階層に着いたと声を掛けてきた。

俺は頷きながら壁に向かって手を伸ばし、ジッパーに掴まりながらゆっくりと着地する。

床に着地した俺の側にアルフも降り、俺達は目の前の扉に目を向けた。

さあて、サクッとやりますか。

 

「この扉の向こうに、鬼婆は居る筈だ……でも、ちょっと待っててよ」

 

「ん?どうした?」

 

「うん。もしかしたら、アタシが戻ってくる事を見越してシールドを張ってるかもしれないからさ。ちょっと調べさせて」

 

アルフはそう言うと目を瞑って突き出した手に小さい魔法陣を出現させる。

用心に越した事は無えって事か……。

2分程そうしていたアルフだが、やがて魔法陣を消すと、真剣な表情で俺に向き直った。

 

「大丈夫だね。このままいけるよ……ここまで来ちゃったからもう引き返せないけど……覚悟は良い?ジョジョ」

 

「そんなもん今更だろうが。それに、ここまで来たらガタガタ言うのも面倒だ――クロス・ファイヤーッ!!」

 

ゴオォオウッ!!!

 

俺はそこで言葉を切り、背後に『魔術師の赤(マジシャンズ・レッド)』を呼び出す。

魔術師の赤(マジシャンズ・レッド)は俺の背後で手を交差させたポーズを取り、目の前の扉の足元から、極大のクロスファイヤーを出現させる。

十字架(アンク)形に焼き払われた扉と壁の向こう、俺達を驚いた表情で見つめるおばさんに目を遣りつつ、俺は背中越しにアルフに声を掛けた。

 

「とっとと終わらせるぞ。俺は母ちゃんの特製ポトフをあったけぇうちに食いてえ~んだよ」

 

俺は堂々と歩みを進め、クロスファイヤーで焼き払われた穴を潜る。

後ろから慌ててアルフが着いてくるが、既にアルフも俺も、玉座の様な椅子の側に佇むテスタロッサの母親に視線を向けていた。

特にアルフの形相は今にも飛び掛からんばかりに怒りに染まっている。

そんな俺達に、今はつまらなさそうな表情を浮かべるテスタロッサの母親。

均整の取れた、というか妖艶な雰囲気のある女性だが、色々と危ない衣装の所為で台無しだな。

オマケに病的な目と口元の紫の口紅には、正直言ってドン引き以外の何者でもない。

 

「……さっきは尻尾巻いて逃げ出した役立たずの使い魔が、もうノコノコと戻ってくるなんてね。何か知らない坊やを連れてきたみたいだけど……お前に話す事は無いわ。早く地球に戻ってジュエルシードを確保しなさい」

 

「アンタの命令なんて知った事かッ!!それよりも、フェイトを何処にやったッ!?」

 

片やあれだけ手酷い怪我を負わせながらも命令しかしないオバサン。

そしてそんな命令を無視して主人の安否を気遣う使い魔、絶望的に会話が噛み合って無えな。

アルフの問い質しに対して、オバサンは手を額に当てて溜息を吐く。

 

「あの子ならさっき地球に行かせたわ。早く私の為にジュエルシードを集めてもらわなくちゃいけないからね……全く、本当に行動が遅くて役立たずよ、あの子は」

 

「――ぁぁあああああああああああああッ!!!」

 

「ッ!?おいアルフッ!?」

 

「こんのぉおおおおおおおおおおおーーーーーッ!!!」

 

「くそっ!!一人で何突っ走ってやがるッ!!」

 

俺の静止の声も聞かずに、アルフは1人でプレシアに突貫していく。

おいおい、何の為に俺に手助けを頼んだんだってのッ!!

俺もガンベルトから鉄球を取り出して回転させつつ、アルフの後に続く。

一方で、拳に魔力を溜めたアルフの突撃に対して、プレシアは何のアクションも起こさない。

只アルフの行動を興味なさ気に見つめるだけだった故に、アルフの振るった拳が届くのも自明の理だ。

 

「はぁっ!!」

 

バチィイイイッ!!

 

「ッ!?」

 

「……」

 

しかし、アルフの拳はプレシアに届く寸前で、薄紫の障壁に阻まれてしまう。

恐らくあれがシールドってモノなんだろう。

何でもないって顔しながら平然とアルフの拳を防いでやがる。

 

「くっ!?うりゃぁああああああッ!!!」

 

ドドドドドドドドドドッ!!!

 

拳を防がれたアルフは悔しそうな表情をしながら飛び上がり、今度は蹴りのラッシュを繰り出す。

しかしその攻撃も難なく防がれ、プレシア本人には全く届いていない。

馬鹿がッ!!そんなんじゃ少しでも攻撃を休めたら格好の的だぞッ!!

そう思っていた矢先に、蹴りのラッシュが止まったアルフに向けられたプレシアの手に、1つの光が灯る。

――くそッ!!間に合えッ!!

 

「おらぁあああああッ!!」

 

俺が渾身の力で投げた鉄球と同時に、プレシアの手から光が炸裂し――。

 

ズバァッ!!

 

「――」

 

「…………ふん」

 

アルフの右脚がフッ飛ばされてしまう。

その様子を呆然と見つめるアルフと、面白く無さそうに鼻を鳴らすプレシア。

くそっ、初撃には間に合わなかったか……だが、まだ希望が潰えた訳じゃねえ。

トドメを刺そうと、手に複数の光を灯すプレシアだが、その力が放たれる前に――。

 

ドスゥッ!!

 

俺の投げた鉄球が、深々と『アルフ』の背中に突き刺さる。

いきなり背後から鉄球を当てられた事に驚きの表情を浮かべるアルフと、呆れたプレシアの視線が俺に向けられた。

俺はそんな視線を無視しつつ、自分が投げた鉄球の状態をスキャンの能力で確認する。

呆然とするアルフの背中に当たった状態で、鉄球は絶えずしっかりと回転を維持していた。

良し、『狙い通り』だ。

 

「残念だったわねアルフ。味方の攻撃を受けて敗北なんて、哀れなこと……でも、トドメは私が刺してあげるわ。その方が惨めにならないでしょ?」

 

嘲りを多分に含んだ笑みを浮かべながらそう言い、プレシアは再び複数の光を手の平から放つ。

 

ガガガッ!!

 

「あぐあぁッ!?」

 

その光の攻撃を腹部や顔に受けたアルフは苦悶の表情を浮かべながら、俺の方へと吹っ飛んでくる。

まぁ至近距離であんな攻撃を受けたら吹き飛ぶのは仕方無い――だが。

 

「……どういうこと?」

 

「か、あ、い、痛たた……ッ!!あ、足ぃ……ッ!!」

 

俺の目の前で床に倒れたままに足掻くアルフを見て、他ならぬプレシアが疑問の声をあげる。

その疑問は間違い無く、さっきの攻撃でアルフの身体が貫かれて無い事に対してだろう。

最初の一撃はアルフの足を軽く捥ぎ取ったにも関わらず、さっきの攻撃では傷一つついていない。

しかし決定的に変わっている事があるなら、それは『攻撃を受けた箇所の皮膚が歪な形になっている事』だ。

 

「あ、が、がぁ……ッ!!じ、ジョ……ジョ……ッ!!」

 

「ったく、一人で突っ走りやがって。クレイジーダイヤモンドッ!!」

 

『ドラァッ!!』

 

床に倒れて痙攣しながらも俺を呼ぶアルフの傍に駆け寄って、クレイジーダイヤモンドでアルフを治す。

するとアルフの千切られた足が床から浮き上がり、まるでビデオの巻き戻しの様に傷口へと戻ってくっつく。

とりあえず痛みが消えた事で、アルフは荒い息を吐きながらも気分を落ち着けた。

それを確認してから、今もアルフの背中から位置を変えて肩の上で回転を続けていた鉄球を回収する。

やれやれ、初っ端から面倒かけるなよな。

 

「ぜ、ぜぇ……助かったよジョジョ……もしかしてさっきの鉄球も、最初からアタシを狙って投げたのかい?」

 

「あぁそうだよ。勝手に一人で突っ込むから、せめて死なねぇ様にと思ってな。一発目には間に合わなかったが、その後の攻撃は皮膚を硬化させて弾いた」

 

苛つきながらもアルフに答えると、アルフはばつが悪そうにしょげる。

俺はそんな反応を示すアルフに溜息しか出なかった。

アルフに投げた鉄球の回転が起こした皮膚の硬化が無かったら、さっきの攻撃で死んでたんだ。

これぐらいの反応して当たり前だろ。

 

「ご、ごめん。鬼婆の言葉を聞いたら、頭に血が昇っちゃって……」

 

「一人じゃ適わねーから俺を頼ったんだろーが。なら一人で勝手に戦うんじゃねえ」

 

このバカタレ、と言葉を絞めて落ち込み気味なアルフから視線を外し、件の魔女に視線を向ける。

あれだけ苛烈な攻撃をノータイム、しかも軽々とやってのけたプレシアだが、俺の能力にはさすがに度肝を抜かれた様だ。

アルフの足が治った現象を見て、呆然とした表情で俺を見ている。

 

「……何をしたのかしら?坊や」

 

「さてな。何で見ず知らずのおばさんにンな事答えなくちゃいけねえんだ?」

 

「……(気負った表情でも無ければ、疲労の色すら見えない。あれだけの負傷を負荷も無しで一瞬の内に治療できるなんて……いえ、あれは治療なんて代物じゃ済まない。千切れた足が元通りにくっつくだなんて、それこそ『破壊されたものを治す力』の域……その方がしっくりくる……それだけじゃない。今の話から考えればアルフが本気では無いとはいえ、私の魔力弾を弾いて無傷でいられたのはあの坊やの鉄球のおかげという事になるわ……間違いない。あの坊やには、私達の知らない『未知の力』がある……もしかしたら、あの坊やの力を利用出来れば――)」

 

俺の返答に対して何か考えを巡らせている様子のプレシア。

大方クレイジーダイヤモンドの能力について考えてるんだろうが、俺には関係ねえ。

今、この場ですべき事はあのおばさんを叩きのめして、天国の扉(ヘブンズ・ドアー)で色々と制約をつける事。

そして俺や俺の家族が住む地球に手出しできない様にして、後は相馬に任せれば良い。

一応プレシアの目的も悲運も知らされてるが……だからって見逃す程、俺はお人好しじゃねえ。

 

 

 

そう考えを纏めて構えを取った俺に対して――。

 

 

 

「そう……なら良いわ……自分から喋らせてくれって言いたくなる様にしてあげる……ッ!!!」

 

 

 

 

魔女はその本性を顕にし、般若を連想させる表情を浮かべて、足元に巨大な魔法陣を出現させた。

その魔法陣の光に呼応するかの様に、プレシアの背後に無数の光の玉が浮き上がる。

こりゃちぃとまずいな。

多分さっきアルフに放った様な攻撃だろうと辺りを付けて、俺は座り込むアルフに言葉を飛ばす。

 

「離れてろアルフッ!!体力を消耗したお前じゃ、あれは凌げねえぞッ!!」

 

「そ、そう言われても……ッ!!あ、足に力が……ッ!?」

 

俺の警告を聞いても、アルフは足に力が入らないらしく、焦りながらも動けていない。

このままじゃアルフはあの光の餌食になっちまうだろう。

 

「ちっ!!荒っぽいが我慢しろよッ!!」

 

『ドラァッ!!』

 

ゲシッ!!

 

「うわあぁッ!?」

 

ドドドドドドドドドドドドドドッ!!!

 

プレシアの背後に浮かんでいた光の玉が一斉に俺目掛けて放たれた寸前、クレイジーダイヤモンドにアルフを蹴飛ばさせて、俺から距離を離す。

これでアルフの無事は確保出来た。

なら次は、あのおばさんを直接ブチのめす事だけだ。

視界を覆い尽くす程の光の玉が迫る中、俺はその場に立ち竦んで光の玉を迎え撃つ。

 

『ドラァーーーッ!!』

 

ズガガガガガガガガガガッ!!

 

正面から迫る光の軍勢をクレイジーダイヤモンドのラッシュで弾き飛ばし、自分の周りに空間を確保する。

弾かれて目測をズラされた光は見当違いの方向へ向かい、部屋の柱や扉、屋根を粉々に吹き飛ばしていく。

破壊の際に巻き起こった粉塵によって、俺達は互いを見失った。

 

「っ――!?(シールド?いえ、魔力すら感じないし、それなら私の魔力弾があんな風に飛んでいくのはおかしい。まるで何か『強い力に弾かれた』様に、速度を増して別の方向に向かった……どんな演算処理を行えば、あんな防御が成り立つというの?それにさっきの治す力とは別物?)」

 

『――ドォラァッ!!』

 

ブォンッ!!

 

巻き起こった土煙をクレイジーダイヤモンドに払わせ、俺は膝立ちの状態から立ち上がってプレシアに視線を送る。

砂塵の晴れた先のプレシアは、さっきと変わらずに立っていた。

 

「ハデにヤる気ならよーーっ、しょーがねーなーー。グレートにおっぱじめよーじゃんかーっ」

 

俺は心底気怠い感情を隠さずに、プレシアを見つめながら歩を進める。

向かう先は俺がブチのめすターゲットまでの最短距離、直線だ。

ったく、平穏に生きたい俺にこんな面倒な事させやがって……ボコボコにされても文句は無えよな。

 

「テスタロッサの母ちゃんよぉ~。この家ブッ壊すぐれぇ~~ハデな攻撃しよぉ~っつーならよー、受けて立つッスよ~~」

 

「……フフッ」

 

背後に居るクレイジーダイヤモンドにポーズを取らせながら、俺はズンズンと歩みを続ける。

しかしプレシアは何かを考えていた表情を一変させると、不敵に笑いながら俺を見始めた。

まるで俺がどう動こうとも自分が負ける事は無いとでも言いたげに、だ。

その表情を不審に思いながら歩いていると、プレシアは手を少し上げて再び魔法陣を出現させた。

すると、彼女の背後に5本の銀色に輝く杭が浮かんで停滞するではないか。

今までとは気色の違う凶器の登場に歩を止めた俺だが、そんな俺に1本だけ、件の銀杭が射出される。

それを焦らずに、クレイジーダイヤモンドの腕で払い飛ばし――。

 

バグオォオオンッ!!!

 

瞬間、払い飛ばした杭が轟音をたてて破裂した。

スタンドには物理的攻撃は一切通用しないので、小規模程度の爆発のダメージは俺に反映しない。

だが、威力的に言えばそれは、小型のミサイルみたいなものだ。

 

「驚いた?……これは私の開発した魔力蓄積型の杭なの。非殺傷設定だし威力は抑えてあるけど、それでも人間を傷つけて気絶させるには充分な威力を持ってるわ」

 

「……脅しのつもりっすか、それ?ならちぃと場数が足りないと思うんスけど?」

 

「フフフッ。さあどうかしら?脅しなのか、それとも……当ててしまう前に予告してあげてるのか……ねえ?」

 

言葉の応酬の端々に込められた自信、そして絶対的な余裕。

それを滲ませるプレシアの表情は、薄い微笑みに彩られている。

……コイツは本気で言ってやがる。

『お前はこの攻撃から逃れる事は出来ない。大人しくしろ』って……舐めやがって。

 

「まず、私のフォトンランサーは……坊やの脚を傷つける。そして次は腕。もはやガードは出来なくなる。そしてそこで、私の全火力の一斉放射を受ける事になると予告するわ」

 

「……」

 

「ジ、ジョジョ……ッ!?」

 

プレシアの堂々とした予告を聞いて黙る俺と、部屋の隅で呼吸を荒げながら俺を心配するアルフ。

そんな小さい静寂の中で、俺はプレシアに視線を返しながら言葉を返す。

 

「なるほど。完璧な作戦ッスねぇ~~……不可能だという点に目をつぶればよぉ~~」

 

「フフッ。『几帳面』な性格でね。この順番に必ずやると言ったらやるッ。これが予告よッ」

 

舐めたこと抜かすプレシアに堂々と視線を返す俺と、その視線を受け流すプレシア。

俺達の間の空気が歪曲して見える程に、互いの空気は緊迫していく。

片や不透明な巨人を従える少年、片や無数の魔弾を従える魔女。

どこぞのRPGのラスボス戦かってんだよ。

向こうが何を考えてるのか知らねーが……俺のやる事は変わらねえし、シンプルだ。

 

「ま、待ってよジョジョ……ッ!!あ、あたしも、たたか――」

 

「うるさいわね……貴女はこの坊やを私の前に連れてきた事の恩賞というだけで、生かしてあげてるのよ……少し黙っていなさいッ!!」

 

バキャァッ!!!

 

「あぐうぁッ!?」

 

と、立ち上がろうとしたアルフを鬱陶しげな視線で見たプレシアは間髪入れずに一発の魔力弾をアルフにブチ当てた。

今度は何とか寸前で防御したが、威力に負けてアルフは更に後方へと飛んでいってしまう。

――それと同時に、俺は駆けた。

無論、それを目前の魔女が見逃す筈も無く――。

 

「喰らいなさいッ――フォトンランサーッファランクスシフトッ!!!」

 

ドバァーーーーーーーーーーーッ!!!

 

数えるのも億劫な数の魔力弾が、俺へと飛来した。

上等だこのババア。

 

「クレイジーダイヤモンドッ!!!!!」

 

『ドララララララララララララァーーーーーーーーッ!!!』

 

ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!

 

無数に迫る魔弾に対して、繰り出される高速の剛腕。

破壊力Aの中でも上位にランクインするクレイジーダイヤモンドのラッシュが全ての攻撃を俺から弾き飛ばし、家屋を破壊していく。

その最中、俺は一切足を止める事も無く、只ひたすらに前へと脚を進める。

進む度に魔弾の濃度が増すも、それに比例してクレイジーダイヤモンドのラッシュのスピードも跳ね上がる。

進む側も、迫られる側も、表情は変わらずに、只距離が埋まっていくだけだ。

 

『ドラララーーーーーーーーーーーーッ!!!』

 

ドバババババァ~~~~~ッ!!!

 

「このまま「海を真っ二つに割いて紅海を渡ったっつうモーゼ」の様に……この弾幕を突破して、本体のおめーをブッ叩いてやるッスよぉーッ」

 

魔弾を凌ぎ、弾き、吹き飛ばしながら、俺はプレシアへと語りかける。

残りの距離は4メートル弱といった所だ。

このまま進めば直ぐに埋まる距離……だというのに、プレシアは依然として笑みを崩さない。

……何だ?あの妙な『自信の現れ』は?

自らに進む暴威に対して変わらぬ笑みを浮かべるプレシアに疑問を持つが――。

 

 

 

「ウフフ……馬鹿ね……作戦は予告通りに進行中なのよ、坊や?」

 

ボゴォオオンッ!!!

 

 

 

「――うぐっ!?」

 

どうやらその悪寒は、一歩遅かったらしい。

順調に進んでいた俺の足の奔る耐え難い激痛。

その拍子にバランスを崩して地面に倒れこんでしまう。

ぐ、くそっ!!一体何が……ッ!?

痛みに顔を顰めながら足元に目を向ければ、俺の血が滴る床に小さく刻まれた魔法陣の跡。

しまった、地雷かよッ!?

 

「フフフッ。まず足にダメージよ――そして――」

 

「ッ!?」

 

正に愉悦と言える笑い声をあげるプレシアに振り返ると、プレシアの背後の杭が4つ全て射出される。

迎撃しねえと串刺しにされちまうッ!!

 

『ドラァッ!!』

 

バギィッ!!

 

体勢が崩れながらも繰り出したスタンドの裏拳。

それは4つの杭全てを破壊出来る軌道を取っている。

最初の杭は爆発する前に破壊する事が出来たが――。

 

バグオォオオンッ!!!

 

「うぐぅッ!!……う……腕、が……ッ!!」

 

続く残り2発は叩き落とすのが遅すぎた。

俺の直ぐ側で破裂した杭の爆発の余波で、片腕に少なくないダメージを負ってしまった。

 

「…………ううぐ……ッ!!」

 

これ以上は動く事が出来ずに、床に腰を降ろした体勢でスタンドを消してしまう。

しかも気付けば、既に新しく生成された魔力弾が俺をグルリと取り囲んで対空しているのだ。

これは本気で詰んだ状況ってヤツなんだろうな……。

正に絶体絶命の状況に陥った俺を見て、魔女は更に笑みを深める。

それはもう狂人の笑みと言うよりほか無かった。

 

「まずは足、そして腕ッ!!――予告通りは気分が良いわぁッ!!直射型289発ッ!!誘導型343発ッ!!砲撃型87発ッ!!そして爆破型120発ッ!!」

 

奴の宣言通りに、さっきの銀の杭が多数展開され、俺に対する包囲網の密度が上がる。

 

「そのダメージのある腕で、我がフォトンランサーファランクスシフトの全射撃ッ!!及び砲撃ッ!!更に爆発式の杭の爆破を受けて、はたして無事でいられるかしらーーーッ!?」

 

「……」

 

「フフっ、アハハハはハハッ!!安心しなさい、これは全て非殺傷設定よ。殺したりはしないわッ!!もしかしたら坊やのその『破壊されたものを治す力』が、私の悲願を叶えてくれるかもしれないから丁重に扱ってあげるッ!!……尤も、手足は邪魔だから切り取ってしまうし、目が覚めたら貴方に自由は無いけれどねッ!!アッハハハハハァァッ!!!」

 

一頻り、それこそ狂った様に甲高い笑い声を上げながら目を血走らせる魔女。

やがてその笑いが収まると、彼女は紫の杖を召喚して、俺に向けて振り上げる。

 

「貴方の負けよ、坊やッ!!呪うなら、貴方をここに連れてきたあの使い魔を恨みなさ……」

 

サクサクとこの戦闘の終わりを告げるプレシアだが、その言葉は途切れてしまう。

それは何故かと言えば、俺が今も現在進行形で起こしてる行動の所為だろう。

俺は痛む腕と足を無理して引き摺り、床にあぐらをかいてプレシアを見つめていた。

あ~……ったく、無茶苦茶しやがって、あのオバハンめ。腕も足もズタズタじゃねぇか。

その行動に目を白黒させたプレシアだが、直ぐに何かが琴線に引っ掛かったのか、プッと声を出して笑う。

 

「腕を組んで座ってどういうつもりかしら、坊や?……諦めの境地かしら?見逃して欲しいとでも言うの?」

 

「……」

 

俺はその言葉に答えないで、只プレシアを何時もの様に気怠い表情で見つめるだけだ。

断っておくが、別に悲観してる訳でも絶望してる訳でも無え。

俺は只、『終わった戦闘に対して』アレコレ考えるのも面倒くせえってだけだ。

そんな俺を見てどう解釈したのか、プレシアはフンと鼻を鳴らす。

 

「……フン。駄目に決まってるでしょ?――終わりよッ!!!」

 

その言葉と共に振り降ろされた杖。

そして俺に殺到する数えるのも馬鹿らしい圧倒的な力の軍勢。

プレシアを彩る歓喜と狂気の混ざった笑顔。

 

 

 

「――俺の作戦はよぉー、既に終了したんだよーー」

 

そんな笑顔見せられたら、崩したくなるじゃねぇの。

 

 

 

「エッ!?」

 

何時もの様に、何でも無いという感じに放った俺の言葉に首を傾げていたプレシアだが――。

 

「そん、なッ!?」

 

それは空中で破片が巻き戻しの様にくっついて再生したモノを見て、驚愕と焦りの感情に飲み込まれる。

――自らが撃ち出し、俺に破壊された筈の『銀の杭』が、プレシアに牙を剥いているのだ。

既にプレシアの魔弾は全て俺へと飛来している中で、至近距離から突然現れた銀の杭。

自分自身が豪語していた兵器がまさか自らにその矛先を向ける事は、全く予期せぬ事態だったんだろう。

慌てて最初の時にアルフの攻撃を防いだ薄紫のシールドを張ろうとするも――。

 

「間に合わ――――――――」

 

チュドォオオオオオオンッ!!!

 

構築され始めていたシールドの隙間を縫って迫る杭には間に合わず。

盛大な爆発音を響かせて、プレシアの身体は部屋の奥へと吹き飛んで行った。

そして魔弾を操っていた本人がダメージを負って気絶したお陰なのか、魔力弾の全てが動きを止め、霧の様に消え去る。

飛来していた杭も力を失って、床に甲高い金属音を鳴らして落ちた。

さっきまでの喧騒が嘘の様に静まり返った部屋の中心に座りながら、俺は緊迫して出た頬を伝う汗を拭う。

 

「フー……ッかなりグレートに、危ねー奴だったぜ……」

 

プレシア自身で、アルフの足を治したのを見ただけで俺のクレイジーダイヤモンドの能力に気が付いた時は驚いたぜ。

しかも治療の究極、では無く破壊されたものを治すという具体的な言葉が出た時は本気で焦った。

 

「しかし忘れたのかい?俺のクレイジーダイヤモンドは破壊したものを治せるっつーのを」

 

まぁ、奴自身のテンションが上がってた事と、俺を舐めてた事。

ついでに言えば顔色の悪い更年期障害の所為で頭からスッポ抜けていた事が敗因だろうよ。

俺は痛む腕を抑えながらゆっくりと立ち上がって深呼吸をし、部屋の奥へブッ飛んで行ったプレシアへ更に言葉を投げ掛ける。

 

 

 

「よっ……と……忘れっぽいならよォー……メモっておけよなぁー。『几帳面』によぉ~~~」

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

幽波紋(スタンド)使い、城戸定明 VS 大魔導師、プレシア・テスタロッサ

 

 

 

 

勝者――――城戸定明(クレイジーダイヤモンド)

 

 

 

 

 

プレシア・テスタロッサ――再起不能。

 

 

 

 

 

to be continued……

 





書いてて思った。

プレ、シア?誰だよこれ。
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