「…………ヲ……ツカ……ルカ」
「マダ……ラナ……イ」
(………ン、ナンダ、ダレカ……ハナシテル?………ソレニ、ナンカカラダガヘンダ…………)
恐る恐る、瞼を開ける。けれども、何も見えてこない。
(マックラ、ダ………ソウカ、コレガ、ミナソコ、ナノカ……................ケド、ツメタクナイ。……アッタカイ。)
背中に触れる、ふかふかな感触。底に砂でも、溜まってるのかも知れない。でも、浅海で船底を擦った時の感覚とは何かが違う。
(ナンダロウ………)
そっと手を動かして、辺りを探る。………手!?
「ウァァァァァッ!?」
思わず跳ね起きる。…........…よく見えないけど、確かに自分には手が、足が、頭が、そして、胴体があった。
(ナンダヨコレ………コレジャマルデ………)
「何ダヤカマシイ………オヤ、オキタノカ。」
「!!!?」
よく見えない目のついた頭を振って、声のした方向を探る。
「ヲイ、コッチダコッチ。」
いきなり頭を掴まれて、向き直らされる。................よく見えないし、聞こえてくる声?も、なんとか意味は通じるものの........................無理やり、頭の中に意味を流し込まれているようで。
「................ヲーイ、大丈夫ヵ?」
「ナ、ナンダココハ。ドウシテオレ、コンナカッコニ….…マルデ、ニンゲンミタイジャナイカ。」
「マア待テ、順ニ説明シテヤルヨ。………トリアエズハ、服キロ。」
「ヘ?」
私に掛けられていた布ーどうやら布団らしいーがバサリと落ちて、ようやく自分の姿が露わになる。………それは俗に言う、素っ裸ってやつで。
「ウワッ、ナンデオレコンナカッコデ!?」
「................スマン、寝カセルノニ装備ヲ外シタガ、ドコマデガ装備ナノカ判断デキナカッタモンデ。全部脱ガスノガ確実ダカラナ。」
「ナンダヨソレ………」
色々と聞きたいことがあるけど、まずは服を着ないことには始まりそうにない。とりあえず、横に畳んで置いてあった服を取って、着ようとはするものの。
「……………」
「ン、ドウシタ?」
「................アタマ、オオキスギテ、フク、キレナイ………」
「………取レナイノカ、ソレ?」
「ムシロアタマッテトレルモノナノカッ!?」
「ン、取レル奴モイルゾ。タトエバ、ソコニイル奴。................オイ、ヲ級。カブリモノ外シテミセロヨ。」
指さされた方向を見ると、また違った格好の娘がいた。ただ人間と違うのは、頭部から触手が生えていること。……目が覚めた時、話してたのはこの娘だろうか。その娘はため息をついて、
「カブリモノ言ウナヨ。ヲ気ニ入リダシ、装備ナンダカラ。」
と、おもむろに頭に手を掛けて……スポッと、触手の生えた頭を外した。いや、脱いだと言うべきだろうか。露わになったその顔は、やけに白いことを除けば人間のそれと何ら変わりない。
「………ソレ、ボウシダッタノカ。」
「ン、マア、ソンナ感ジ。」
................そ、そんな感じっておい................
「………ッテワケデ、多分オ前ノモ外セルト思ウゾ。」
「………ヤッテミル。」
恐る恐る頭の横に手をかけて、そのまま真上に持ち上げ……ようとした。その途端、側頭部に物凄い痛みが走る。
「ギェェェェェェッ!?」
「ア、外レネーノカソレ。」
「装備ニモ色々アルンダナ。」
「ナ、ナンカ、アタマニボルトデ固定サレテルミタイ………」
「ドウイウ装備ダヨ……」
さっきヲ級と呼ばれた娘は成り行きを見守っていたが、急にこちらに歩み寄ってくる。
「チョット貸シテミロ。」
と、いきなり目の前に手を広げて……側頭部をがっしり掴まれる。
「ナ、ナニヲ」
「私ノ予想ガ正シケレバ」
そしてそのまま、スッと上にスライドさせると………一気に視界がクリアになる。
「ウオッ、マブシッ!」
「アーナルホド、ヘルメットミタイナ感ジナノカ。」
「ナ、ナルホドネ................」
私も見よう見まねで、頭に手を当ててスライドさせてみる。今度は視界が暗くなったが、さっきまでよりはいくらかクリアに見えるようになった。 ................へぇ、バイザー、ってやつか?
その時、ヲ級とか言うのが顔を青ざめて駆け寄ってくる。
「................ヲイ、モウ一度顔見セテミロ。」
「オ、オウ。」
頭に手をかけて、バイザー ー空軍の奴らが確か「風防」とか言ってたのに似てるーをスライドさせると、ヲ級ともう一人が顔をのぞき込んでくる。その様子に後ずさりしながら、
「ナ、ナニカ私ノ顔ニツイテルノカ?」
「……目ガ、水色………」
「………flagship、カ……」
「???」
いまいち、わけがわからない................
天龍ちゃんの生まれ変わった、その姿とは。