水底のカタルシス―艦隊これくしょん異聞録   作:憲兵隊長J

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第肆話:????年・存在証明トハ。

「................さて、話の大筋がズレまくってたが................とりあえず本題だ。........................まずは、私達の存在意義。」

「存在、意義………」

「ああ。........................端的に言ってしまえば、戦うこと、だな。」

「戦う、こと………」

………自分が沈んだ時からどれだけの時間が経ったのかは分からないけど、未だに戦いが続いているのか………

「........................ツ級、お前には................その、『前』の記憶はあるか?................『船』だった頃の、記憶。」

思わず私は吹き出す。........................な、なぜ、それを................?

「................あるんだな?」

「い、一応................」

「........................そう、か。................私やお前、リ級らに限ったことではないが................ここに居るものは皆、前世は『船』だった者達だ。................酷使された者、演習の標的にされた者、囮にされた者........................『七面鳥』にされた者。皆経歴こそ違えど、その最期は海に『散った』者達だ。それ故に海自体を憎むもの、戦闘を忌避する者、そして我らを生み出すことになった、『ヒト』を恨むもの等様々だ。まぁそれをとやかく言う気はない。ない、んだが。................................戦はまだ、終わってないんだ。」

「................まだ、終わってない、だと................!?」

「................厳密には、1945を持って『忌まわしき大戦』は終わったんだけどね。その後も何度か戦は続いてて、................私らの『次』が生み出され続けてる。だから................だからっ、私達で止めるの。................この世界の、ありとあらゆる戦いを。」

「戦いを、止める………」

………私の前世、軽巡洋艦「天龍」は最期こそ船団護衛中の奇襲だったけど、本職はもちろん艦隊戦。そのために主砲を積み、機銃も積み、立ち塞がる者に対してはその火力を思う存分ぶつけた。………それが正しいことだって思ってたし、疑問を抱いたこともない。 戦って敵を屠ること、それこそが私の存在証明であり、................価値だった。それで沈むことになっても、自業自得の果てだって。

「ツ級。」

リ級に呼びかけられてハッとする。

「................すまない、考え事をしてた。」

「........................怖い?戦うの。」

「いや................むしろ戦いたい、かも。................最期は船団護衛なんて柄にもないことさせられたからな。................だけど、本当に終わらせられるのか?................全部の、戦いを。」

「簡単なことさ。................歯向かうものを間引いていけば、いつかは終わる。」

「み、皆殺し、か................」

「................ああ。出来ればやりたくはないのだけど。................この戦いが続く限りは仕方ないさ。」

........................戦いを終わらせる、か。『船』だった時には考えたこともなかったな。でも........................でも、本当に戦いが終われば、................もう、目の前で沈む仲間を見なくてもいいんだな。

「................なぁ。その戦い、私にも出来るかな? 」

そういった途端、リ級はしてやったりという顔になる。

「........................ね?拾ってきてよかったでしょ?」

「................はいはい。負けましたよっと。」

................おい、どういうことだ?

「................いや、初めてあなたのことを見た時、ヲ級は半信半疑だったんだよ。................手を貸してくれるかどうか、ね。あ、ちなみにあなたのことを見つけてきたのはあたしね。」

リ級が胸を反らす。................ちょっとだけ、ポヨンと揺れたように見えた。

「疑ってすまなかった。...................だけどな、ツ級。私はまだ、お前のことを完全に信用したわけじゃない。だから、これから私たちと一緒に実戦に出てもらう。.................そこで、お前の実力の程を見せてもらう。判断はそれからだ。」

「................わかった。」

........................実戦、ね。

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