水底のカタルシス―艦隊これくしょん異聞録   作:憲兵隊長J

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第漆話:力ノ一端。

「................さて、第一次攻撃の結果はどうかしらね。」

ナデシコが、艦載機の飛んでいった向こうの空を眺める。

「あ、今触接したわね。」

「................へぇ、艦載機と視覚を共有できるのか。」

「観測機だけね。やろうと思えば戦闘機も爆撃機も攻撃機も全部感覚共有できるんだけど................その、撃墜されると、その痛みまで共有されちゃうから。................それに攻撃機と視覚共有するとどうしても酔いやすいから。超水平軌道で突っ込んでいくし。」

「な、なるほど........................」

................水偵の視界を借りて冒険するの面白そうとか思ったけど、それを聞くと恐ろしくてできないな................。

「................あら、第一次攻撃隊が帰還したわね。」

ナデシコの頭部艤装へと帰還した艦載機が吸い込まれていく。しかし、その数は最初の7割程度で。

「................高角砲、いえ、これは................弾幕、かしら?」

艤装はドッグも兼ねているようで、艦載機からの報告がナデシコへと伝わっているらしい。

「................厄介ね。」

ギリ、とナデシコが歯ぎしりする。

「................そうだ、駆逐達はどうなったんだろ?」

その言葉を待っていたのか、海面からへ級が飛び出してくる。

「................申シ訳アリマセヌ................手勢ノ駆逐3体ハ斃(たお)サレテシマイマシタ。敵ノ軍勢ハ4隻、ウチ2隻ハ燃料ノ輸送艦ト思ワレマス................コレハ武装ヲ持タナイヨウデ、他2隻ノ重武装艦ガ護衛シテイマス。尚、艦載機ノ攻撃ニテ輸送艦ト武装艦一隻ヅツハ炎上シテオリマス。」

「................報告ご苦労さま。................んで、どうする?」

「................そうねぇ................第二次攻撃しても艦載機の被害が拡大しそうだし、力押しでなんとかするしか無いわね。」

「................ナデシコも同じ結論か。ならこっちは頭数を増やそうか。」

そう言うと、私は再度指笛を、今度は少し強めに吹き鳴らす。するとまた水面から駆逐艦が3隻現れた、のだが................

「................ソラちゃん。あなたつくづく当たりを引くわね。赤目のロ級3隻だなんて................」

「................指笛に込める力にもよるのか?それとも、呼びだす側の格................とか?」

「................さぁ?私も赤目のロ級5隻だったことはあったけど。」

「................駆逐艦ノ補充、感謝致シマス。主、ゴ命令ヲ。」

「........................よし、ならこのまま突撃だ。................ナデシコ、これでいいか?」

「................それしかないもの。行きましょっか。」

「................私が号令するのも変だけど................よし、全体、突撃!!」

その合図と共に、駆逐艦が突っ込んでいく。その後にヘ級、私、そしてナデシコの順に水面を突っ走る。................見えてきた。グレーの艦影と、燃え上がる船。......................燃えてるのが一隻、爆散した。次に同じタイプのもう一隻が、ロ級に食いちぎられた所をへ級の追撃によって水底へと引きずり込まれる。................残ってるのは、どっちもグレーの鋼鉄船。ってことはさっきの2隻が輸送船か。

「........................っと、戦況を眺めてる場合じゃないか。」

飛んできた砲弾が私の真横を掠めて、ロ級を一隻深海に送り返す。咄嗟に右手の主砲を打ち返すと、炎上していた方のグレーの船の喫水線を突き破る。................残るはあと一隻。右手の主砲を振りかざすと同時に、向こうの主砲も火を噴く。走り出すと、さっきまで居た水面に着弾する。................まずは主砲からっと。今度は左手の主砲で向こうの装甲をぶち破ろうとすると、向こうは高角砲の弾幕で誘爆させる。................ちっ、厄介だな。ならこいつでどうだっ。

魚雷をばら撒くと、軌道を変えて横から砲撃する。................よし、高角砲が吹っ飛んだ。後は主砲さえ止めれば................。

狙いをつけて、装甲の薄そうな場所を撃ち抜く。グレーの船が、炎の朱に包まれる。それと同時に、魚雷が着弾して、船体は二つに割れて水底へと誘われていった。

................状況、完了っと。




※ナデシコが見た「高角砲の弾幕」は、CIWSのことです。よく考えたらホーミング機能付き弾幕って艦載機にとっては怖いですよね。
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