「や、やったか........................?」
沈みゆく残骸を横目に見つつ、辺りを見渡す。そこにあったのは、命からがら脱出できたゴムボートの群れ。もはや撃つ主砲もなく、守る鋼鉄の城もなく、ただただ逃げるだけ。................それでも、駆逐達にとってはいい『エサ』なのだろうか、食らいついて一呑みにしようと飛んでいく。
「待てっ!!追うな、襲うな!!」
私の叫びは届かず、生き残った二隻の駆逐艦がゴムボートに向かって牙をむこうとする。................仕方ないっ。
ゴムボートを巻き込まないように、すんでの所で駆逐を『始末』する。
「................大丈夫だった?」
付近を索敵していたナデシコが戻ってくる。
「................ああ、まぁ、なんとか。」
「それはよかった。それにしても................生き残った人間を逃がしちゃうの?」
「................ダメ、なのか?その................もう勝敗は決したんだし、殲滅まですることは無いと思うんだけど。」
「ううん、別にダメとは言ってないわ。................最も、ランカちゃん達だったら皆殺しね。あの子はほんとに人間嫌いだから。ライラちゃんは『的が小さすぎ』とか言って見逃すわねー、多分。」
........................おいおい、好戦的過ぎないかみんな。
「................ちなみにナデシコは?」
「私?私はこのまま見送るわよ。................皆殺しにしたら憎しみの輪がいつまで経っても切れないもの。」
「........................そ、そうか................。」
「................ま、それは置いといて。さ、二人と合流して帰投しましょっ。」
「あ、ああ........................」
................何だろう、こう、この胸に引っかかる感じは................。
無電で通信すると、向こうも戦闘を終えて一息ついている所だった。
「お、来たきた。お疲れさん。そっちも戦果上々みたいじゃん。」
「................ん、まぁ................。で、そっちは?」
「あー、ちょっとばかし手間取ったけどな。全滅させた。」
「................み、皆殺し、か................。」
「いや?何個かゴムボートで逃げたな。まーあれだけ痛めつけたし、もうここは通んないだろうな。」
「そ、そう、か........................。」
「................それにしても、あの高角砲は厄介だったな。後で回収して調べさせるか。」
「................あー、だよな。こっちを自動で追って撃ってくるのは怖いよな。」
「................へぇ、そっちにも居たんだ。あのグレーの艦。」
「まーな。主砲一発で貫通したけどさ。」
「ふぅん........................ところで、回収って?」
「................そっか、説明してなかったな。うちには海底から資源をサルベージする潜水艦部隊も居るわけ。戦闘後には、そいつらに鋼材とか使えそうなものを回収して貰うわけ。海だと手に入らないものも多いしな。」
「なるほど、な。」
「んでもって、資源の回収を行う際には護衛も必要なんだけど................そうだ、丁度いいからソラ、お前はここに残って護衛と警戒頼む。なぁに、帰投するときは潜水部隊に付いていけば帰れるからよ。」
「わ、分かった................。」
そう言い残すと、三人は母港へと帰投しようとする。
「................オ待チクダサイ。」
海面からヘ級が顔を出す。咄嗟に主砲を向けるライラを制して、続けさせる。
「................私ヲ、主ノ配下ニシテ頂ダキタイノデス。」
と、私の前に跪(ひざまづ)く。
「................えっと、................」
どうしたらいいのか迷って、三人に視線を向けると、
「................いいんじゃないか?」
「................手駒が増えるのは歓迎する。」
「................さっきから見てたけど、駆逐の指揮が得意みたいだし................ソラちゃんが良いなら、受け入れれば?」
「みんな................」
私は、ヘ級の前にしゃがむ。
「................まだ目覚めて半日程だが................それでも良いなら、配下になって欲しい。」
「喜ンデ。」
................こうして、私の配下第一号が誕生した。