魔法少女リリカルなのは~転生者は魔法剣士~   作:ピーナ

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十話なのに、始まりって…。


第十話 物語の始まり

はやての家に初めて行ってから、二か月と少し経って、世間では夏休みに突入した。

この間、僕は月に2~3回のペースではやての家に行っている。

家に行って、くだらない話したり、一緒にお菓子作ったり、料理したりした。…なんか、こう思うとやっている事は女の子同士がする事みたいだな…。まあ、楽しいし良いんだけど。

それ以外にも図書館で会ったりスーパーで会ったりしたりもしているので大体、週2くらいは会っている感じがする。

そういや、図書館で会った時にはやてはすずかと話していた。なんでもすずかとも偶然出会ったのだとか。でも、その日まで僕とすずかは図書館で会わなかったんだけど…。

まあ、そういう出会いがあったのではやてはすずかとも連絡を取り合っているらしい。その話を両方から聞く。

夏休みに入ってからは少し頻繁になったけど、まあ、その位のペースで行っている。

今日もはやての家に行こうとしているところなわけですけど。

 

「にしても、暑い…」

 

歩きながら僕はそう呟いた。

僕は夏が好きじゃない。というより、暑いのが嫌いだ。

夏なので暑いのは仕方ないけど、地球温暖化で暑い時期が年々長くなっている気がする。ご先祖様達のバカヤロー!…なんか、そんな事を考えていたら、余計暑くなってきた。

 

「そういや、何故か今日ザフィーラしか家に居ないんだっけ…」

 

昨日はやてと電話で話した時にそう言っていた。

たしか、シグナムは講師をしている道場に、ヴィータは近所のおじいちゃんおばあちゃん達とゲートボールに、シャマルは近所の奥様方とお茶会なんだとか。

そうそう、たまに守護騎士の皆(主にシグナムだが)とは模擬戦をやってる。シグナム曰く、「何があってもいいように平時から鍛錬はしないとな」だそうだ。

その時に使っていたシグナムとヴィータのデバイスには『カードリッジシステム』なる物が搭載されていた。

それを使う事で、瞬間的に膨大な魔力を使用できるらしく、あまり得意ではないけど防御魔法を簡単に破られた。

 

「おっと、少し前の事を思い出している間に到着っと」

 

インターホンを鳴らす。今日ははやてとザフィーラしか居ないから、はやてが出迎えに来るだろうな。最近は大体、ヴィータかシャマルなんだけどね。

 

『霧島か?』

 

突然、念話でザフィーラが話しかけてきた。

 

『どったの?ザフィーラ。っていうか、はやては?』

『早く中に入ってくれ!鍵なら開いている』

 

いつもクールなイメージのあるザフィーラが凄く慌てている。一体何事だ?

そう思いながらもドアを開け、家の中に入ると…。

 

そこには、

 

 

意識を失い、倒れているはやてが居た。

 

 

 

「はやて!はやて!…くそっ。ザフィーラ、一体何があった?」

「10分ほど前に倒れられた」

「シグナム達への連絡は?」

「私自身が思念通話の距離が長くないのでまだだ」

 

ザフィーラの声には力が無い。何も出来ないからなのかな…。

 

「そうか…」

 

ザフィーラとの会話で僕は少し落ち着きを取り戻した。

 

「ザフィーラ、はやてのいつも行ってる病院って分かる?」

「海鳴大学病院だ」

「ありがとう。それじゃあ、僕が救急車呼んではやてと一緒に病院行くから、ザフィーラはシグナム達が帰ってきたらこの事を伝えて」

「了解した。…主はやての事、頼む」

「僕のやれる事なんてたかが知れてるけど、分かったよ」

 

 

その後すぐに救急車に同乗して僕は病院に向かった。

僕はそこではやての主治医らしい石田先生と話す事になった。

 

「まずは事情を聞きましょうか、えーっと…」

「霧島八雲です。そうですね…、はやての家に遊びに行って僕が少し席を立っている間にはやてが倒れていた。だから、救急車を呼んだ。…こんな感じですね」

 

本当は違うけど、犬に上がれって言われたって言っても誰も信用しないだろう。この街で信じるのはなのはぐらいだと思う。(魔法の事を知っているという意味で)

 

「…しかし、あなた凄いわね」

 

説明が終わると突然褒められた。

 

「なにがですか?」

 

褒められた理由がよく分からない僕は石田先生に聞き返す。

 

「中々大人でも落ち着いて救急車を呼ぶなんて出来ないわよ。今も凄く落ち着いているし」

「でも、最初倒れているはやてを見た時は凄い取り乱しましたよ。でも、自分の出来る事をやらないとって思ったら、自然とできました」

 

多分、ザフィーラが居らず、僕だけであの状況にいたら、ここまでしっかりした判断はできなかったと思う。

守護騎士の皆はこの世界に来てまだ少しの時間しか過ごしていないのだから、できない事も多い。今日のこの出来事だってそうだ。僕は少しでもそれの力になりたいと思って動いただけだ。

 

「そう…。霧島君は話に聞いてた通りの子ね」

「聞いてた通りって、はやてからですか?」

「ええ。はやてさんやシグナムさん、シャマルさんから何度かお話を聞かせて貰ったわ。お人好しで気が利く、凄い良い人だって」

「はは、面と向かって言われると恥ずかしいですね」

「褒めてるのよ?…じゃあ、私は仕事に戻るけど、霧島君はどうするの?」

「そうですね…シグナムかシャマルが来るまでははやての傍に居ようと思います。まあ、僕が居た所で変わらないでしょうけどね」

 

そう言って僕ははやての病室に向かった。完全に僕の自己満足なんだけど。

 

ちょいと、外に出て近くのスーパーで果物ナイフとリンゴを買ってきた。

でも、何で病室でリンゴのイメージってあるんだろ?

そんな事を考えながら、僕はリンゴを剥いていく。

 

「う、ううん…」

 

1個分繋げたまま皮を剥いて、8等分したところではやてが目を覚ました。

 

「よっす、はやて」

「八雲君?えっと、たしか…倒れたんやな。ごめんな、迷惑かけて」

 

はやては起き上がって、頭をさげながらそう言った。

 

「気にすんなって。僕は僕なりに楽しんだから」

「楽しんだって?」

「はやての可愛い寝顔をのんびり見て…痛って!」

 

そう言うと顔を真っ赤にしたはやてに頭を叩かれた。

 

「な、ななな何しとんの!」

「ゴメンゴメン。まあ、そんだけ言えるなら大丈夫そうだな。多分その内、シグナム達も来るだろうし。とりあえず…」

 

僕は切ったリンゴを爪楊枝で刺し、

 

「はい、あーん」

 

とした。はやては顔を赤くしたまま、それを食べた。まだ、怒ってんのかね?

 

「はやて!」

 

すると、病室にヴィータが駆け込んできた。

 

「ヴィータ、落ち着けって。とりあえず、リンゴでも食べる?」

 

そう言ってリンゴの乗った皿を僕は差し出す。

ヴィータはそれを食べる。少しは落ち着いたようだ。開いた病室のドアの向こうにはシグナムとシャマルが来ていた。

 

「そんじゃ、僕は帰るよ。また、見舞いに来るから」

 

それだけ言って僕は帰った。

 

 

 

その日の夜、僕は再びはやての家を訪れていた。病室を出る時にシグナムから話があると念話で言われたからだ。

そこで話されたのははやての病気の真実。

はやての体は闇の書によって蝕まれてきた。それは彼女達守護騎士が現れたことで、より顕著になった。

これを治すには闇の書のページを蒐集しないといけないとの事だ。

 

「でも、どうしてこの事を僕に話すの?」

「それは我らが霧島八雲という人間を信頼しているからだ」

 

シグナムの言葉に3人は頷く。

…しかし、その事を聞いて僕はどうすればいい?僕の取るべき行動は?

それに明確な答えなど存在しない。一般論から言えば時空管理局への通報が正しい。

でも、それは本当に僕の取るべき行動なのか?

この世界に来て、僕は今までどんな理由で行動を選んできた?

どんな時も僕は僕の意思を信じてきた。そこに後悔は無い。

なら、今回の意思は?

僕ははやてを、はやての家族である守護騎士達を護りたい。

 

「2つ提案がある」

 

考えをまとめた僕がそう切り出した。

 

「聞こう。皆もそれで良いか?」

 

シグナムが3人に聞き3人とも頷く。

 

「1つは僕のリンカーコアを蒐集してくれ」

「「「「なっ!?」」」」

「別に、死にはしないだろう?なら、構わない。もちろん、この話が終わってからだけど」

 

僕の言葉に守護騎士達沈黙している。

 

「2つ目は僕も蒐集に協力させてくれ」

「…どうして、そこまでするんだ?」

 

シグナムがそう聞いてきた。

 

「僕はさ、大好きなはやてを助けたいんだよ。大好きなはやての笑顔を護りたいんだよ。そのためなら、どんな道でも選ぶよ。この命だってくれてやる」

「そうか…。だが、一つだけ言っておく。主はお前が死ぬと悲しむ。それは間違いない。だから、死ぬなんて簡単に言うな」

「…分かったよ。でもさ、それはシグナム達だって同じだからな?」

「もちろんだ。で、霧島八雲。お前の覚悟は受け取った。協力してもらうぞ」

「ありがとう、シグナム。…なら、新しいバリアジャケットを考えないとな」

『そうですね』

 

僕の言葉に叢雲がそう答えた。

 

『それと、モードが一つ解放されました』

『なにさ?』

『カードリッジシステムが使用可能になります』

 

…神様謹製のデバイスってすげー。

 

『それは、後で試すとして、新しいバリアジャケット、…いや、この場合は騎士甲冑か』

『変装の意味も込めて仮面でも着けます?』

 

仮面ね…。なるほど、ならあれで良いか。丁度今の僕にふさわしい名前だし。

 

「じゃあ、試しにセットアップしてみますか」

 

そう言って、僕はセットアップをした。

僕は漆黒の衣装に包まれる。そして、生物の頭蓋を模した仮面を付ける。

 

「この時の僕は、『仮面の騎士』ジューダスだ。そう呼んで欲しい」

 

ジューダス。地球最大の宗教の裏切り者の名前。そして、TOD2のキャラクターの一人。

彼の正体であるリオン・マグナスと今の僕は少しだけ似ている気がする。

作品中、リオンは主人公のスタン達をを裏切るシーンがある。

僕もこのままいくと、この街に住むなのはや後から来るであろう、クロノ達と戦う事になる。

それは見方によっては裏切りになるのではないか?

でも、僕は後悔はしない。たとえ何度同じ選択を迫られたとしても、僕は何度でもこの答えを選ぶ。絶対に。譲れない物があるから。

 

その後、僕はシャマルによってリンカーコアを抜かれ、1週間は調子の出ない日が続いた。

これが、のちに「闇の書事件」と呼ばれる、管理局史上、管理外世界で起きた事件としては最大級の規模となる事件の始まりだった。




闇の書事件が始まりました。
たしか、始まりは秋ぐらいだったと思いますが、少し前倒しで。

これから、なのは達と戦う時に関しては八雲君をジューダスと表記します。

次回はどうなるか未定です。
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