魔法少女リリカルなのは~転生者は魔法剣士~   作:ピーナ

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今回はまったりムードです。


第十五話 夢の世界

「ここは…僕の家?」

 

目を覚ました僕の前に広がる光景は、数か月前なら見慣れた、今なら久しぶりに見る、海鳴の街のある、僕の家の僕の部屋だった。

 

「どういう事だ…?」

 

色々、訳が分からない。どうして、僕が僕の家のベッドで寝ているのか? どうして夜だったのに、今が朝なのか? クリスマス、つまりは冬だったのにどうして春の陽気(カレンダーを見ると4月だった)が感じられる位暖かいのか?

そして、どうして僕の体が前世の、つまり高校生の体なのか?

 

「意味分かんねえ…」

 

僕はそう呟いた。

 

「八雲ー、朝よ」

 

下から声がする。声? この家には僕一人のはずだ。でも、あの声…。まさか!

僕は着替えて下に駆け降りた。

そこには、

 

「おはよう。八雲」

 

エプロンをつけて、朝ご飯を準備をしている母さんと、

 

「おう、起きたか。八雲」

 

コーヒーを飲みながら新聞を読んでいる父さんがいた。

 

「父さん…、母さん…」

「どうした八雲。突然そんな声出して」

「いや、昨日の夜読んでいた本の内容を思い出してさ」

「そうか、そんなに感動する作品だったのか」

「うん」

 

僕達は朝食を食べた。まさか、父さんたちとまた一緒にご飯を食べる時間が来るなんてね。

久しぶりに食べた母さんの御飯は美味しかった。僕もそれなりに出来るとは思っていたんだけど、やっぱり母さんには勝てないな。

僕は父さんたちに高校生の姿を見せた事は無かった。だって、父さんたちは僕が小学生の時に死んだのだから。

 

「ゆっくりしていていいの? もうすぐ…」

 

母さんの言葉がインターホンで遮られる。

 

「噂をすれば。ほら、早く行きなさい。今日はあの子とデートなんでしょ?」

 

そう言って僕は玄関へ押し出されていった。

 

 

玄関に行くと、そこには茶色っぽい髪の毛のショートヘアーの女の子が立っていた。

 

「おはよう、八雲君」

 

関西弁のイントネーションが僕的に心地良い。

 

「うん…。おはよう、はやて」

 

初めて見る、高校生の姿のはやてはとても綺麗だった。僕の知っているはやては可愛かったけど、こういう感じで成長するんだな。

 

「どうしたん? 何か変やよ、今日の八雲君」

「そうなのよー、朝から少し変なのよ」

「あっ、おはようございます。おばさん」

「おはよう、はやてちゃん」

 

…仲良いなー。

でも、このままだと二人になんか言われそうだし…逃げるか。

 

「じゃあ、行ってきます。母さん」

 

僕ははやての手を引いて駆け出した。

 

「どうしたん? 突然走り出して」

「いや、ゴメン。戦略的撤退を」

「ふーん…。まあ、いいわ。それより、私の服どう?」

 

そう言われたので、さっきまで気にしてなかったはやての服装に注目する。

今日のはやての服装は、白いワンピースに薄いピンク色の薄手のカーディガンという春っぽい服装だ。

まあ、ファッションはさっぱりだからよく分からないけど。

 

「似合ってる。凄い可愛いよ」

「八雲君、いつも褒めてくれるなー。何、適当なん?」

 

ずいと、僕の方に身を寄せるはやて。少し怒っている。それに、何かいい匂いするし…。ってそうじゃなくて。

 

「適当じゃないよ。よっぽどのものじゃない限り、僕は多分はやてに似合ってるとか、可愛いしか言わないと思うよ。惚れてるんだしさ」

「そ、そうか…」

 

顔を赤くして、僕に寄せていた体を少し離すはやて。

 

「や、八雲君も似合っとるよ」

「ありがとう」

「うーん、何か私だけ恥ずかしくてズルいわ…。よし、こうなったら!」

 

そう言ってはやては僕の腕に抱き着いて来た。…っていうか、僕の腕にははやての胸の感覚が!

ゆったり目の服を着ていたので気付かなかったけど、ちゃんと出る所は出て引っ込む所は引っ込んでる。

 

「ちょっ、はやて!? 当たってるって!」

「ふふーん、当ててんのや」

「いやいや、そうじゃなくて」

「何? 嫌なん?」

「いや、全然嫌じゃないけど」

「なら、良いやん。それじゃあ、行こ」

 

僕ははやてに引っ張られて、歩き出す。横から見えたはやての顔は赤かった。でも、それは多分僕も同じだろう。

 

それから買い物して、ご飯食べて、色々見て回った。今は公園のベンチに座ってのんびりしている。

もちろん、お金は全部僕が出した。

どうやら、僕はバイトをがっつりしていたみたいで、お金は結構あった。

歩きながら、はやての話でこの世界の僕達が大体どうなっているかが分かった。

まず、僕とはやて、それになのは、フェイト、アリシア、アリサ、すずかは同じ高校の同じクラスらしい。

はやては今、守護騎士達と普通に暮らしている。

皆普通に、幸せに暮らしている。

 

「良い世界だな…」

「ん? 何か言った?」

「ううん、独り言。気にしないで」

「そう言われると、気になるわ―」

「喉乾いてるだろ。ジュース買ってくるから待ってて」

 

そう言って僕は席を立った。

 

僕ははやてから離れて、叢雲を取り出した。

 

『叢雲、神様と連絡取れる?』

『どうしたの、八雲君?』

『これは、僕の望む夢の世界なんですよね』

『そうだよ。君が望む、理想の世界だよ』

『そっか…』

 

どこかで僕は父さんと母さんと会いたかったのかな…。この事は自分の中でけりを付けたつもりだったんだけど。

 

『それで、八雲君はどうするの?』

『どうする…か』

 

なんか最近、かなり重要な選択をさせられている気がする。

 

『そんなの決まってる。でも、やりたい事をやってからかな』

『そっか、がんばってね』

 

神様がそう言って、通信を切った。僕ははやての所に戻っていった。

 

「はやて、ゴメン。用事できた」

 

僕は全力で謝りながら、そう言った。

 

「せっかくのデートやのに…」

「本当にゴメン」

「…いいよ。八雲君がそう言うなら、なんかあるんやろ?」

「うん」

「それなら、ええよ。その代わり、また今度、埋め合わせしてもらうからな」

「…お手柔らかに頼むよ」

 

そう言って僕は家に向かって走った。

 

「ゴメンな」

 

この言葉ははやてに届いていないと思いたい。

 

 

僕は息を整えてから、家に入った。

 

「ただいま」

「あらどうしたの?」

「八雲、どうしたんだ」

 

良かった。二人とも家に居てくれた。

 

「いや、忘れ物に気が付いて取りに戻ってきた」

「なら、早く戻らないと」

「うん。じゃあ…父さん、母さん」

「何だ?」

「どうしたの?」

「僕を二人の子供に生んでくれてありがとう。僕は幸せだよ」

 

僕は言いたかった事を言った。親孝行とかは時間が無くて出来ない。せめて感謝の言葉を伝えたかった。たとえ、僕の夢の世界だとしても。

 

「どうしたんだ、一体?」

「いや、なんとなく言いたくなって」

「私達も幸せよ。八雲」

「そっか…。そんじゃあ、行ってくる」

 

僕は再び家を出た。この温かい家に帰ってくる事はもう無い。

 

「叢雲、行くよ」

「イエス、マスター」

 

僕は騎士甲冑に身を包み、剣に魔力を込める。それによって剣は大きく輝く。

 

「五年越しで言えた言葉だったけど、これで僕はようやく進める。前世の思い、今の思い、それを融合させて、ようやく僕の未来は生まれる。これで切り開く! 義憐聖霊斬!」

 

そして、世界は光に包まれた。




これまた、きりの良い所で。
次は全員の全力全開のシーンです。

術技紹介

義憐聖霊斬

本来は連撃の後、魔力付与の斬撃を叩き込む技なのだが、今回は結界魔法、幻術の解除がメインだったので最後の一撃のみを使った。

「どこかで使いたかったんだよねー。やっぱりさ」
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