気が付いたら、僕とはやてが出会って一年の年月が経っていた。
ホント、この一年は色々有ったよなあ…。はやてに出会って、その瞬間一目惚れをして、お近づきになりたいから皆に相談して、彼女の家に行ったら、守護騎士の皆とも出会って。
そこからだよな、闇の書事件の始まりって。数か月の身も心も削る戦いの末にハッピーエンドで終われたけど。
ん? 一年って事は…もうすぐはやての誕生日じゃん! な、何か用意しないと! こういうのが初めてだから、完全にすっぽ抜けてた。
と言っても、僕自身が小学生だし、そんな派手な物、高い物なんて用意できないし…。何を渡そうか?
三日位寝ながら考えた結果、去年と同じケーキを作る事にしました。色々考えたけど、一番僕が自信を持って彼女にあげれる物はこれだと思ったから。
桃子さんに当日厨房借りる許可を貰って、僕はとりあえず、準備を終えれた事に一安心する。
当日、翠屋の厨房でケーキ(去年より大きくてかなり手の込んだもの。レシピ、監修は桃子さんにしてもらった。もちろん、お墨付き)を完成させて、持って帰る途中、僕は少し考え事をしていた。
「うーん、何か足りないんだよなー」
この呟きが今の僕の考え事だ。そう、何かが足りないのだ。プレゼントは十分のはずだ。
足りないというより、何かが抜けている感覚。それを思い出そうとしている。
…………あっ、そうだ!
抜けていた物を思い出したので、僕は急いで家に戻る。はやてはデバイスの調整で、守護騎士は昨日から仕事で、管理局に行っているから、皆今日の帰りは遅い。それまでに用意を済ませたい。だから、僕は帰り道を急ぐ。
「…凄いなあ」
「…凄いです」
「…凄え」
「…ああ、そうだな」
「…凄いわねー」
上から、はやて、リインフォース、ヴィータ、シグナム、シャマルの感想。
全力全開でやろうと思ったら、やり過ぎた。後悔はする必要ないかな。
「あ、皆お帰り」
「八雲君、どうしたん、これ?」
テーブルに置いてある料理とかを指差して聞いてくるはやて。
「今日ははやての誕生日だろ? だから、全力で作ってみました。それに、はやての誕生日って事は守護騎士の皆が覚醒したのも、今日だろ? 色々有ったけどさ、今こうやって皆と一緒に居られる。それを盛大に祝いたいなって思ってさ」
そう、抜けていたのは、守護騎士達の事。言い訳をするのなら、僕は守護騎士の現れたその現場に居合わせなかくて、話だけ聞いていたから。若干それを思い出せなかった自分に腹が立ったけど、思い出せて、まだ何かが出来る時間が有ったから、開き直る事にした。ここから全力全開で祝えば良いさと。
「そうか…。礼を言う八雲」
「良いって。それより、早く食べようよ。冷めたら美味しくないし。それに、ヴィータももう我慢出来無さそうだし」
「そ、そんな事無えぞ!」
「ヴィータちゃん、よだれ出てるわよ」
シャマルのツッコミに顔を真っ赤にするヴィータ。その光景を見て笑う僕達。
一年前は全く想像につかなかった光景。それが今は僕の日常となっている。
苦しみの末に手に入れた暖かい日常。この日常を護れた。それだけで、僕達の戦いは無駄じゃなかったと胸を張って言える。
「さあ、皆で一緒に食べようか!」
楽しい時間はあっという間に過ぎる物で、もうパーティーは終わっていた。
守護騎士の皆は前日からの勤務だった事もあり、食事が終わってお風呂にすぐ入り、眠ってしまった。お疲れ様。
僕は食事の片付けをしている。
「八雲君、手伝うで」
「ん、悪いなはやて」
「気にせんでええよ。あんだけの事してもうたんやし」
満足してもらえたようでなによりです。
それはさておき、僕達は手際良く片付けを済ませていく。
「あ、そうだはやて。大事な事言うの忘れてた」
「ん? 何?」
「誕生日おめでとう」
「ありがとう。今日いろんな人に言われたけど、八雲君に言われるのが一番嬉しいよ」
そう言って微笑むはやて。…ヤバい、超かわいいんですけど。
頭の中に『僕の、僕だけの天使』って言葉が浮かんだけど、流石にそれは言わない。だって恥ずかしいじゃん。
「後もう一つ。生まれて来てくれて、僕と出会ってくれて、僕を好きになってくれて、ありがとう」
「おめでとう」という祝福の気持ちと同じくらい大きな、「ありがとう」という感謝の気持ち。普段は恥ずかしくて言えないから、今日と言う特別な日に僕は君にその二つの気持ちを伝えたい。
「…それは私も同じやね。私を好きになってくれてありがとう。これからもよろしくお願いします、八雲君」
「こちらこそだよ、はやて。…さて、片付けも終わったし、休むか。明日も学校だ」
「やねー。それじゃ、お休み」
「おう、お休み」
僕達は軽くお休みのキスをしてお互いの寝室に向かった。
他の人ならただの一日が、僕達にとっては特別な一日がこうやって過ぎていく。
来年も再来年もこれからずっと
短かったですが、楽しんでいただけたら幸いです。