翌朝、学校の制服に着替えて僕は家を出た。
流石は私立、小学校なのに制服があるなんて…。小学生なのに制服というのは、前世で普通の公立一筋だった僕からすれば、違和感な事この上ない。
昨日の夜は結局魔法を撃ちまくった後、神様の言っていた身体能力の底上げを確かめたのだが…、
うん、神様やり過ぎは良くないんじゃないかな?
小学生が100メートルを10秒台で走ったり、一キロはある刀(デバイスだが)を軽々振り回したり、さんざん動いても息切れしない体力だったりと、規格外なサービスだなと、思わずつっこんでしまったくらいだ。
この分だと、頭の方もとんでもない感じになりそうだな。まあ、小中学校位なら前世の記憶で何とかなるだろう。
…うん、神、やりすぎ、よくない。
そんな事を考えながら僕は翠屋のドアを開けた。
「いらっしゃい。って、八雲君、おはよう」
「おはようございます。高町さんのお母さん」
「桃子でいいわ、八雲君」
「はあ、では、桃子さん。シュークリーム美味しかったです」
「ありがとう。で、今日は何にするの?」
「そうですね…。じゃあ卵サンドを。後、飲み物は牛乳で。デザートは…何かおすすめありますか?」
「そうね、ここは王道にイチゴのショートケーキはどうかしら?」
「じゃあ、それで」
注文を受けた桃子さんは下がっていった。
僕はやる事も無いので、周りを見ていた。昨日来た時は時間とお店の割にお客さんが多かったが、今は朝が早いせいか、僕を含めて3人しかいない。
あ、そうそう、朝に食べた物はどれも美味しかった。
何で書かないのかって?人の御飯食べている所読んでも面白く無いでしょ。見ててお腹空いたって言われても困るし。
「ご馳走様です。では」
「ああ、八雲君。もうすぐなのはも来るから、一緒に行けば良いんじゃない?」
食べ終わって翠屋を出ようとした僕に桃子さんがそう言った。
まあ、目的地は同じだし、別に問題は無いか。ただ、一緒に登校するだけで問題も何もないだろうけどね。
「そうですね。そうします」
そう言って僕はカウンター席に座った。少しすると高町さんがやってきて、それから一緒に翠屋を出た。
小学校まではバスで行く。決して歩きでいけない距離にあるのではないのだがバス通学が推奨されている。
多分だけど、生徒の安全のためだろう。変質者だったり何だったりのから守るための。
まあ、理由はさておき、学校までのバスに僕たちは今乗っている。
普通の路面バスのはずなのだが、周りもほとんどが同じ制服を着た生徒ばかりで、ほぼスクールバス状態になっている。
とある停留場に止まった時、
「おはよう、なのは」
「おはよう、なのはちゃん」
二人の女の子が僕の横に居た高町さんに話しかけた。
ちなみに僕と高町さんはバスの一番後ろにある4~5人掛けの所に座っている。僕が窓側でその横に高町さんが座っている。
邪魔したら悪いかなと思い、僕はバスから景色を見ていた。街中の風景を見てもあまり面白くはないんだけど。
「…雲君!八雲君!」
外をぼーっと見ていた僕に高町さんが話しかけていた。そういや、昨日の夜は「霧島君」だったと思うけど、今は「八雲君」になっている。それくらいの事は気にしないけど。友達と思ってくれていると思っておこう。
「何?高町さん」
「私の友達を紹介したいなって」
「良いよ。聞いてる」
「えーっと、こっちの金髪の子がアリサちゃん。で、その横の紫の髪の子がすずかちゃん」
「アリサ・バニングスよ。よろしく」
「月村すずかです。よろしくね」
「霧島八雲です。よろしくね、バニングスさん、月村さん」
お互いの自己紹介を終える。
同じクラスになる可能性も存在はするし、知っている人間が増えるのは良い事だろう。
「歳も同じなんだし、アリサって呼びなさい。私も八雲って呼ぶから」
「私もそうするね、八雲君。だから、すずかって呼んで欲しいな」
「私も…ってもう私は八雲君って呼んでるね。だから皆と同じ様になのはって呼んで」
三人とも押しが強いな…。
基本僕は押しに弱い。ていうか女の子の押しに男は勝てん。これは仕方ない事だと思おう。
「はあ~、分かった。改めてよろしくね、アリサ、すずか、なのは」
「「「うん、よろしくね、八雲(君)」」」
とまあ、こんな感じで話しながらもバスは学校に向かっていく。
…しかし、今の僕を傍から見たらどう思うんだろう?三人の美少女と普通に話しているんだぜ。男子は嫉妬の炎がメ~ラメラ、威力上がってメラゾーマなんじゃないかな。何もないと良いけど。
さて、クラス分けがあったのだが、僕はさっきの三人と同じクラスになった。
どうやら、この二年間僕はかなり影の薄い存在だったらしく、親しい友人と呼べる人はいなかった。それは、いなかった方が個人的には良かったと思う。その子の知っている「霧島八雲」ではないのだから…。
クラスに入って自分の席に座る。僕の席は窓から二列目の一番後ろだった。窓側の一番後ろは空き席で横は、なのはだった。このクラス、サ行の人ほとんどいないのね。
そんななのはの席の近くでアリサとすずかが話していると、教室の前の方から声が。
「よお、なのはにアリサにすずか、今日も変わらずカワイイね」
…何だこのチャラ男は?お前本当に9歳か?しかも、銀髪だし、オッドアイだし、無駄にイケメンだし。うわー絶対転生者だわ。
しかし、子供の体にイケメンの顔って違和感満載だな。その顔は後何年か経たないと似合わないぞ。そうだ、SDイケメンという新語をここに作ろう。今の銀髪君にはぴったりだろう。入学したての頃だったらもっとあっていたが。
しかし、こいつが教室に入った瞬間、クラスの半分の雰囲気(女子全員)が変わった気がする。話しかけられた三人は心底嫌な顔しているし。どんだけ、嫌われてるんだよ。
面倒そうな奴だし、ここは無視に限るな。
「うっさい!こっちくんな!」
「はっはっは。相変わらずアリサはツンデレだな。俺の事好きなのに」
銀髪君よ、アリサはツンデレかもしれないが、今の君にはツンどころではなく、ただキレてるだけだぞ。
後、イケメンでも性格に問題があるとモテないよ。君がモテないのはどう考えても君が悪い。前世でも今でも。
個人的には性格の良いイケメンは希少種だ。ほんの僅かしかいないと思う。
「残念なイケメン」という言葉があるが、個人的には「(性格が)残念なイケメン」ならここにいる銀髪君を筆頭に掃いて捨てる位いる。
あくまで、これは僕の偏見だし、普通の僕の僻みも入っているので、話半分で流してもらえると嬉しい。
とりあえず、どんまい三人。
そんな事を考えていたら何時の間にやら担任の先生が入ってきていた。始業式のために並ぶ。
始業式は書くこと無い。基本話聞くだけだし。
どの世界も校長先生の話って長いなー。オリジナリティないし。面白いって思った事は…一人だけいた。前世の中学3年の時の校長先生。
何でも学生の時、落研だったらしく、普通に喋りが面白い。卒業式の時に校長の話で笑ったのは良い思い出だ。
それはそれとして、始業式が終わった後、教室に戻り、自己紹介をした。
ちなみに僕は、
「霧島八雲です。趣味は読書と料理、後サッカー観戦です。特技は…速読かな。1年間よろしく」
と、こんな感じだった。うん、普通。後でなのは達にも普通って言われた。
だって、別に宇宙人も未来人も探していないし。
自己紹介ってこんな物じゃないの?そう思っていた時期が僕にもありました。
あの銀髪君の自己紹介を聞くまでは…
「俺の名前は吉野大和(よしのやまと)!勉強も運動も得意だ。後、クラスの女子は俺の物だから、男子、手を出すんじゃねーぞ」
うん、クラス全員に喧嘩売ってるよね。それでもいじめにならないのは転生の時の恩恵で身体能力が上がっているのだろう。
後、アホな男子は嫌っていないとか。こんな事を平然と言ってのけるそこに痺れる、憧れるって所か。…うん、ありそうだな。
大和だっけ?面倒だし、このまま銀髪君で良いか。
後、これは自己主張であって、自己紹介ではないと思う。
うーん、同じクラスの女子、どんまい。
アホ1名を含むクラスで、僕の2度目の小学3年生は始まった。
恐らく次は原作無印に入ります。
さて、もう一人の転生者、吉野大和(銀髪君)ですが、基本かませ犬です。
昇格予定はありません。
八雲君も名前で呼ぶ事は当分ないです。アホ、馬鹿、銀髪の3つを基本に、それを組み合わせたり色々つけたりします。