第三話 なるほど、それでリリカルなのはなのね
新学期が始まって、いや、僕がこの世界に転生して早一か月、僕はここでの生活を結構楽しんでいた。
元々、そこまでコミュニケーション能力が高くない僕だったが、それでもクラスで話す人は増えた。いやー、子供の対応力って凄いね。
まあ、まだ友人と呼べそうなのは、学校初日に出会った三人だけなのだけど…。
ああ、そうそう、僕がなのは達と話していたら銀髪君(…あれっ、名前なんだっけ?)がいちゃもんをつけてきた。適当に流したけど。
魔法の方もそれなりに練習している。
最近気づいたんだけど、魔力がすっからかんになるまで撃った後、しっかり寝ると、魔力の総量が増えていた。叢雲曰く、僕の体質で普通の人は上がらないそうだ。
魔法を使えるようになって一番嬉しかったのは、並列思考、マルチタスクだ。
基本分かる授業中に訓練やその日の夜の献立を考えても、問題が無いという素晴らしい能力だ。本来は魔法の運用にかかわる重要な要素らしいけど、今はとても平和的に使っている。
銀髪サイド
俺の名前は吉野大和。聖祥一のイケメンモテ男だ。
実は俺は転生者で、一度神様とやらのミスで死んでいる。
前世では思い出したくないような暗い生活を送っていた。それもこれも顔がイケメンではなかったからだ。
よく女は「外見より中身」と言うが、俺から言わせれば、一番最初の印象を決める見た目を度外視する女はいない。むしろ外見重視の奴の方が多い。
そんな俺の死んだ理由。それは、徹夜でゲームをした後、気分転換で入った風呂で寝落ちし溺死らしい。らしいというのは、俺の最後の記憶が寝落ちしたところだからだ。
前世の俺の死因なんてどうでもいい。あれはもう俺ではないのだから。
俺は神と名乗った女をまくし立てて、転生する世界を聞いて、転生の設定と特典を決めた。
スタートは聖祥入学の時。
顔はイケメンで、オッドアイ、それに銀髪にさせる。
もちろん魔法の才能を付けるのも忘れない。魔力も原作最大の魔力をもつはやてを超える量にさせた。
特典は、ニコポ、ナデポ、そしてオリジナルスペル、無限の剣製の三つにした。
なぜ、無限の剣製にしたかって?そんなもん、かっこいいからに決まってる。
よし、作ってやるぜハーレム!待ってろよ、俺の嫁達!
そう考え、早二年。
もう、原作の時期となる、小学三年となっていた。
計画は順調だ。皆照れ屋なのか、俺への言葉はきつい。恥ずかしがらなくても良いのに。
しかし、ここに来てイレギュラーが発生した。
始まりは、小三の新学期が始まってすぐ、ハーレムメンバーのなのは、アリサ、すずかが俺ではない男と話していたのだ。
そいつは俺に比べるとかなり地味で、どうしてそんな奴と話しているのか理解に苦しむ。
だから、俺は、
「おい、そこのお前。何俺の女たちに話しかけてるんだ?」
と言ってやった。
「ちょっと、あんた!」
アリサは何か言おうとしていたが。
「落ち着いて。…僕は彼女達の話を聞いているだけですよ?」
目の前の男が止めた。
「こいつらは俺の物だ。テメーみたいな奴と話す必要ないんだよ」
「彼女たちは人ですから、君が彼女たちの交友関係に口出す権利は無いと思うんですが…」
「うるせえ、モブ野郎は黙ってろ。テメーはおとなしく、話の端っこに居ればいいんだよ!」
なのは達はこの作品のヒロイン達だ。俺?俺はもちろん主人公に決まってるだろ。お前は名無しの生徒Aだ。
「まあ、僕がモブなのは否定しませんけど。でも、たとえ君が主人公で僕がモブでも、君に僕の存在を否定していい理由にはなりません。それに…」
そいつの言葉の途中でチャイムが鳴った。だが俺はこの場を動かない。
「もうチャイム鳴りましたよ?」
「お前、それにの後に何を言おうとした?」
「大した事じゃありませんよ。ただ、二股はいけませんと」
あまりにも普通の言葉に気が抜け、俺は席に戻った。
何が二股だ!俺は神に選ばれた存在なんだぞ!俺は凄い奴だ!
原作をスタートすれば、なのは達も俺の凄さが分かり、あのモブ野郎の事も忘れるだろう。
俺の魔法は最強だからな。練習?そんな物天才の俺にはいらん。
銀髪サイドEND
何か間に変な物が挟まった気がするけど…、まあ、いいや。
僕はその友達と呼べる三人と一緒に帰る事が多い。
元高校生の僕からすると、女の子と帰るのは恥ずかしいが、小学三年生と開き直れば、まだ思春期でもないし気にする事無いだろうと思う事にした。
今日は僕は一人で帰っている。三人は帰りのその足で塾に行くらしい。
小三で塾って、早くない?
でも、クラスの奴らも結構な人数が通っているらしいし、やっぱ私立だからかな?
そんな事を考えながら僕は今、海沿いの道を散歩している。すると、
『助けて…』
と、声が。
『叢雲、これはもしかして…』
『はい、念話です』
という事は、魔法関係者がどこかに居るのか…。
『とりあえず、行ってみるか。叢雲、ナビよろしく』
『分かりました。マスター』
叢雲のナビ通りに進むとそこにはまさかの、なのは達+銀髪君が居た。
なのはは何か小動物を抱えている。
『叢雲、あの動物からだよね』
『はい』
『もしかして、今の状況へのSOSだったのかな?』
『…違うでしょう。もっと緊急の出来事だったと思います』
『だよね。まあ、今出ると面倒になりそうだし、帰るか』
そして、その場を離れた。
その日の夜、僕はまた外にいた。理由は…
「いやー、まさか醤油を買い忘れるとはねー」
僕は生粋の日本人だ。
だから一日三食の内、どこかで必ず和食を入れている。
なので、調味料として、醤油は欠かせない。
だが、今日のお弁当を作った時に切らしていたのを完全に忘れていた。
だから、この時間に買いに出掛けている。
結構遅い時間だったが、スーパーは開いていて、無事醤油は買えた。今はその帰り道だった。
すると、前の方から、ドゴーンと爆音、というより何かが盛大に砕ける音がした。
「一体なんだよ!」
『マスター、魔力反応です』
「まさか、夕方の?」
『恐らくは』
それを聞いて僕は駆け出した。
野次馬のためじゃない。もし夕方あそこにいた誰かが現場に居るなら、確実に危ない。この世界には魔法なんか存在しないのだから。
でも、僕は魔法を一応使えるし、それなりに使えると思っている。
まあ、最悪、逃げれば問題ないし。いのちだいじに、ってね。
現場に着くと、なのはが夕方の小動物をなんか変な化物からかばっていた。
そこに銀髪君登場。なんだけど…
「なんで、バリアジャケット着けてないんだ?あいつ」
『さあ?』
僕と叢雲がそんな会話をしていると、
「はっはっは!異相体め、俺に倒されろ、行くぞブレード、セットア」
セットアップの途中で攻撃された。しかも壁に結構な勢いでぶつかったので気を失っている。
「馬鹿だろ」
『馬鹿ですね』
この時僕と叢雲の意見は一致していた。多分見ていたなのはとあの小動物も。
「まあ、行きますか。叢雲、セットアップ!」
『OK stand by ready』
僕はバリアジャケットを装備した。その間になのは達が化物に襲われていた。
「行くぞ、叢雲」
『balhite』
すると、僕のバリアジャケットの背中から光の翼が生えて、僕は空を飛んだ。
化物が右腕を振り上げ、なのは達に襲いかかる。
思わず、目を瞑るなのは。
僕はその間に割って入る。
「大丈夫?」
僕は声を掛けた。
「ふぇ?八雲君、その恰好なんなの?」
完全に状況を理解できていないなのは。その様子に僕は思わず苦笑してしまう。
『あの、お願いです。力を貸してください!』
「ん、良いよ。これを見て見ぬふりしたら寝覚め悪いしね。それじゃ、簡潔に状況説明よろしく、小動物君」
そしてその小動物、もといユーノが言うにはあれはジュエルシードの異相体なんだそうだ。ジュエルシードの説明は後回しにしてもらった。今の戦いには、関係なさそうだし。
で、それを封印したいそうだが、
「叢雲、できる?」
『術式が無いので無理です』
「だそうだけど、ユーノ」
「なら、これを使ってください」
そう言って、ユーノは赤い玉の付いたペンダントを渡した。
「これもデバイスだよね」
「はい。そのデバイス、レイジングハートには封印術式がインプットされていますので」
『それは無理ですよ』
「どうして、叢雲?」
『マスターの魔法が特別でマスターの魔力では他の術式は使用できません』
「だって、どうする?」
「私がやります」
今まで話を聞いているだけだったなのはがそう言った。
「分かった。セットアップの時間は僕が稼ぐ。ユーノ後はまかせたよ」
そう言って、僕は異相体に突っ込んでいく。
といっても、剣術に関して僕は素人。前世の体育で剣道をやったくらいだ。なので身体能力を使ってのでたらめなものくらいしか出来ない。素振りも少しやったんだけど、所詮は一か月の付け焼刃でしかない。
「ここだと、ファイアーボールは危ないし…、よし」
僕が使う呪文を決めると、僕の下には青い魔法陣が。
「まずは小手調べ、アクアエッジ!」
詠唱が終わると、水で作られた円盤が三つ飛んでいく。それは異相体に当たるが、それほどダメージを与えたわけではない。のけぞっただけだ。初級呪文だし、こんなものだろう。無詠唱で使えるんだから威力には目を瞑らないと。
なら、ここは一点集中系だな。僕の下に白の魔法陣が展開される。
「次々いくよ、デルタレイ!」
その詠唱の終了と共に三色の光の弾が結構な速さで発射される。
「もう一丁、アイスニードル!」
文字通り氷の針をこれまた三発発射する。二つとも一か所に集中して攻撃をしたので、いくら初級呪文といえど、それなりのダメージは与えている。
このタイミングでなのはのセットアップが終わった。
「なのは、バリアジャケット、聖祥の制服に似てないか?」
「にゃはは…、ちょっとはイメージしたよ。それでユーノ君どうすればいいの?」
「八雲さんのおかげで動きが止まっているから、なのはさんが封印術式を起動してくれるだけでいいよ」
「封印術式の起動?どうするの?」
「心を落ち着かせて。心の中に君の唱えるべき呪文が出るはずだから」
「心を…」
目を閉じるなのは。僕は異相体に注意を払う。
「分かったよ!リリカル・マジカル、封印すべきは忌まわしき器、ジュエルシード!ジュエルシード封印!」
次の瞬間、異相体は消え去り、青い石だけが残った。
…なるほど、「魔法少女リリカルなのは」抜けていた部分が分かった。
「これがジュエルシードです。レイジングハートで触れて」
言われたとおりにするなのは。すると、ジュエルシードはレイジングハートに吸い込まれていった。
「お疲れ、なのは」
「八雲君、聞きたいことがあるんだけど…」
「別に良いけど、何か聞こえない?」
「えっ?」
聞こえるのはサイレンの音。しかもこっちに近付いてくる。
「もしかして、パトカー?」
「もしかしなくても、パトカーだ。ここから離れるぞ。翠屋の近くに公園があったろ。そこでゆっくり聞きたい事を聞くからさ」
「うん、分かったの」
それで、僕たちはすぐその場を離れた。
…あ、銀髪君忘れた。ま、いっか。
原作始めました。
魔法説明
ファイアーボール
誘導性、弾速共にそれなりの火の玉を飛ばす、火の基本術の一つ。
どうやらVのシステムらしく、最初は一発しか出せなかったが、今は4発まで出せる。
しかし、火なので周りの被害を考えないといけない。
「使いやすいんだけど、使いどころが難しいんだよなー」
アクアエッジ
ファイアーボールと同等の能力を持った水で出来た円盤を飛ばす、水の基本術の一つ。
ファイアーボールとの大きな違いはエッジ(刃)だけあって、柔らかい物なら切れる所である。(しかし、異相体は切れなかった)
「でも、木くらいなら切れるから、森とかでは使えないんだよね」
デルタレイ
誘導性はほとんどないが、弾速の速い三色の光の弾を発射する、光の基本術の一つ。
また、一点集中の攻撃に向いている。
ただ、準備から発射まで僅かなラグが存在するので、そこを見極められると避けられる。
「まあ、使う場所を選ばないからかなり使いやすいんだけどね」
アイスニードル
少し遅いデルタレイといったレベルの氷の針を三発放つ、氷の基本術の一つ。
このままだと、劣化デルタレイと思われるが、デルタレイと違い、ラグが存在しないので、近~中距離なら、こちらが優秀の場合が多い。
「対人戦にもこっちの方が良さそうだね」
以上ここまでの魔法紹介でした。
最近思うのですが、八雲君、AMFに相性良くないですか?
AMFは魔力の結合を消す物。
八雲君の魔法は大体が魔力ではなく、オクタゴン・エレメントによって別の物に変えられる。
という訳ですし…。
さて、次回は…未定です。
ぶっちゃけ、これからは週一で更新できたらいい方だと思います。
しかも、もう一本の方が優先となるので、こっちの方はさらに遅くなるかもです。