少し聞きたい事があるのですが、とりあえずそれはあとがきに書きますね。
それではどうぞ。
『ダメだ……。足がすくんで動けない……!』
「『耐えろ駆け出しマスター!お前のこれから行く道、こんなのは序の口だ!』」
恐怖に染まった藤丸立香を、腕の言葉を通してランサーが叱咤する。
恐怖の原因は、凄味を発する目の前のサーヴァントの所為に他ならない。
「『貴様の願いはなんなんだ、この野郎!』」
「知れたこと……!」
「詳しくは外典を見ることだ……!」
「『ダイレクトマーケティングだと……!?くっ、ここは財布と相談を……!』」
『買ってる場合かーっ!!』
「せい!」
黒鍵を複数投げ、隙を作るように動くサーヴァントに対して、腕はホバー移動で回避する。
しかし、一向に腕が反撃をする気配はない。
『なんで反撃しないんですか!?やられちゃいますよ!?』
「『聖杯持ってるのに気付かなかった俺も馬鹿らしいが、そもそも気付かなかったのは聖杯を宿したこの身で戦闘をした覚えがないからだ。それで今分かった。……攻撃のリソースを割いて聖杯を取り込んでるもんだから、あの火の玉も出せねぇんだよ!クソッタレ!』」
黒鍵を受け流すように弾いたところで、黒鍵に仕込まれた術式が発動した。
もう一度、対象に向きを修正し発射された一本の黒鍵が腕の下部を貫く。
ほんの数瞬の間のみ、足を取られたかのように動けなくなる。
「これで……!」
日本刀を抜いたサーヴァントが一瞬で近づき。
腕の手首から上を横薙ぎで切り飛ばした。
「終わりだ」
黒い掌が。重力に従うようにポトリと落ちた。
「……マスタァア!!」
セイバーが叫んだ。
先程の静かな性格とは程遠い、喉を潰すような声だった。
「聖杯は私がいただきます。亡骸はその後で好きに……!?」
目の前のサーヴァントが言い終わらないうちに、黒い掌に収まっていた聖杯が輝きを増した。
––––それは、命の咆哮。
本来は金属として光を反射するだけで本体自身が輝くはずのない聖杯は、結晶という形で取り入れられた事によって暖かな光が放出され全員を照らす。
–––– 聖杯は七色の光に包まれていた。
その時、初めて藤丸立香は。
彼の本来の声を聞いた。
『令呪をもって命ずる。《セイバー、今すぐに撤退せよ》。重ねて命ずる。《ランサー、立香を連れて逃げろ》』
「……承知した」
「マスター!?待て私は……!!」
言い終わらないうちに、セイバーが消滅した。
おそらく転移したのだろうと、藤丸立香は呆然と考える。
そんな事よりも、藤丸立香の中では今の彼の声が反芻して聴こえていた。
「くっ……!貴方、まだ生きて……!」
『こちとら痛覚なんてもんはハナから無くてな。いつもと同じような世界から離れるような感覚が来るだけさ。……だが、ただでは死んでやらねぇ。……いつだってそうさ。ただただ殺されるなんてつまらねぇもんさ』
ランサーに服を掴まれ、そのまま飛び出して行く。
彼が、小さくなっていった。
『これは大きな博打さ。これからどうなるかなんて誰にも分からない』
城の窓から、ランサーと共に外へ抜け出す。
城からの光が外に漏れ、灯台のように辺りを明るく染めていた。
『聖杯よ。消えゆく炬火が最期に願う––––!』
『––––––光を。世界に灯せ』
その時、世界が変わった。
空が青い。雲は爽やかな風と共に優雅に流れている。
山の緑は青々と繁っている。鮮やかな小鳥が飛んでいたのを見た。
彼やランサーと会った時にいた草原にも鮮やかな色に変わり、以前の鈍い雰囲気は何処かへ行ってしまった。
『これは一体……?』
「マスターの願いによるものだろう。だが、なんとなくではあるがマスターの言っていた事と合致する」
『言っていた事?』
「かつての話だが、この世界に光がない、とマスターが言っていた事がある。マスター自身も弱体化していた……という話ではあったが、成る程。この世界は本来の機能を取り戻したように思える」
「リツカ、気を付けるがいい。……黎明の腕。その本来の力を取り戻した奴らが動き出すぞ」
腕にもちゃんと、どういう道筋で黎明の腕になったのか、という設定を考えてます。
最近では、一般人転生ルートと設定もりもりどうしてこうなったルートのどちらかにしようか悩んで、後者にしちまえーと決めたりなんかしてたりするんですが。
この物語の本筋が終わった後、何故そもそも腕に転生したのか、というか何者なのかという小話を書くかどうか迷っております。書く場合、オリジナルの英霊も少し出る予定です。
感想のついでで構いませんので、意見あれば教えてくれると嬉しいです。協力よろしくお願いします。