まぁ、だんだんバトル路線に行ってる事だし。
いっそのことギャグなしの路線へ舵を切るのも悪くないかもだけれど。
でも、少しぐらいは笑えるところも欲しいよなぁ。と思いながら執筆している作者です。
『お前は誰なんだ、って顔してるもんで自己紹介させてもらうがよぉ!俺の名前は『その前に服を着ろよ!せっかくタイトルとか挟んで話を区切って貰ったのになんで裸のままなんだよ!』……うるさい!なりたくてこんな姿になってるんとちゃうわぁ!』
全裸の男といがみ合う藤丸立香。
それを静観するランサーと、完全に真顔でやや下を見るセイバー。
セイバーから、生唾を飲み込む音がした。
「……これが、神秘か」
『すまん、口喧嘩は後だ。早く服を貸してくれ。このままじゃ大事な何かを失いそうだ』
『あ、ランサー。ここに服ってないんですね』
「そうだな。そんなものはない」
『キサマァァァアアア!!!!』
結局何も無かったので、藤丸立香に似た青年がそこらの植物の葉を束ねたパンツを即席で作り上げ穿いていた。
『これが本当のぶリーフって奴だな!』とかいう戯言もついでにのたまっていたが、全員がスルーした。
『……とりあえず経緯な。気付いたら埋まってた。ついでに全裸でな。そこに誰かと勘違いしただろうセイバーに引っ張られて抜ける事が出来たんだ』
「……右手だけは地面から出ていたから、てっきりマスターが戻って来たと思ったんだ。それがこんな奴とは……」
『こんな奴って何だよ。……そもそも、右手がこんな黒い事すら人間としてあり得ねぇだろ』
『そもそも、貴方は誰なんですか?』
『俺は藤丸立香。カルデア所属、人類最後のマスターって奴だが?』
『……え?』
『……あっ、お前も同じ名前か?オーケー、どういうことかは納得してるから問題ない。……そうだな。なら、サルとでも呼べ。昔から友人に呼ばせてるアダ名だ』
「……何!?サルだと!?」
「……これも因果か……?」
その言葉に反応したのは、腕のサーヴァントだった二人。
『えっ……二人とも、どうしたんですか?』
「俺から説明しよう。リツカ。……俺たちがマスターと呼んでいた黎明の腕という存在。彼には名前が存在する。彼曰く、自分は『藤丸立香』と呼ばれるあらゆる可能性の一人である、と」
『可能性……?』
「いつか、俺とセイバーに話してくれた事。それは『藤丸立香』という名の存在は複数いる、という事だ。当初は世界線の話かと訝しんだが、アカウントだのなんだのとよく分からない話に繋がってな。最終的に、『星5が出ないのぉおおお!!』と発狂していたが」
『本当に何言ってるか分からん』
「その上で、同じ名前のマスターに出会う事があるかもしれないと、彼はもう一つの名前を教えてくれた。それが、『サル』という名前だ」
『サルってのは、あくまでアダ名だ。本当はもうちょっと長いんだが……。なんでお前らがそれを知ってる?……それに、アカウントや星5って……おいおい』
右手が黎明の腕となっている藤丸立香、サルと呼ばれた青年は少し頭を抱えた後、合点がいったのか大きくため息を吐いた。
『もしかしてさぁ……元々俺って、腕だけだったりする?』
『おそらく……同一人物なら、そういう事になりますね』
少なくとも、セイバーが以前の腕を引っこ抜いていた時は『サル』のような『人間』の部位は存在していなかった。
『なら、納得。多分、俺は過去の状態で複製された存在だ』
「どういう事だ」
ランサーが珍しく聞き返していた。
『多分、本来の記憶も俺にはあるが、今は優先度が遠い場所に保管されていて一切記憶を使えない。……ははっ、そりゃ無茶な複製体なら当然だ。蛇足どころか、腕以外のパーツがくっついて来たんだから』
『……???』
『あー、簡単に説明するとな?よく分からん事ではあるが、俺は腕だけで行動が成り立っていたんだろう?例えば、それこそ腕だけで記憶とか移動とか出来ていたわけだ。だが、そこに新たに脳みそだったり足がくっついたらなら、腕自体にその働きは必要ない』
「……そういう事か!」
セイバーが思わず叫んだ。
『今使われているのは腕に蓄えられた記憶のある場所ではなく、あくまで複製したと同時に刻まれた記憶を保持している頭部の脳だ。だから、お前達の事は忘れたワケじゃない。この右腕のどこかの部位が覚えているはずだ』
「つまり、今右腕を切り落とせば問題ないんだな?」
『違う、そうじゃない。……てか、落ち着けセイバーそんなものを俺に向けるな!』
『でも、何故そんな事を……?』
『決まってるだろ。魔術師としての俺のチカラが必要だと感じたからだろ。でなけりゃ、わざわざ自分に過去の身体を生やすなんて事はしない』
『えーっと?腕の名前は藤丸立香で、でも俺も藤丸立香で、まだまだたくさん藤丸立香はいて、だからサルって名乗ってて、ついでに元魔術師で……う〜ん』
『あ、ダメだこりゃ。混乱してるな』
「マスター」
『どうした、ランサー。てか、今マスターって言うのやめてくれね?令呪もねぇし』
「ルーラーがお前を殺し、聖杯を奪った。すんでのところでマスターはこの世界を変える程の願いを使った後、息絶えてここに生き返った。……それが分かった今。この後、お前はどうするつもりだ?」
『ルーラー……聖女か?』
「違う」
『じゃあ島原の神の子か。なら、聖杯を渡すわけにはいかないな。奴の救済はこの世界に留まらん。ただでさえよく分からんこの場所がマジの特異点になるぞ』
「承知した。ならば、俺もそれに従おう」
『……俺を疑わねぇのか?ランサー』
「お前がマスターだったという事は分かっている。ならば従うまでだ」
『……そっか』
世界が晴れて、初めての夜が来た。
星空は見えない。
明日の明朝にルーラーの元に突撃する事を全員で決め、今は各々休息を取っていた。
藤丸立香は寝る前に、木で出来たベンチに横たわっていたサルに近づいた。
『サル……』
『せめて「さん」を付けろ。一応これでも先輩だぜ?』
『おサルさん……』
『おいやめろ。そっから来たアダ名じゃねぇ!』
『ちょっと……話が……』
『……チャチャっと済むか?』
『……』
『表に出よう。二人っきりの方が話しやすい事もあるぜ?』
黎明の腕(マスター)、改め、サル。
設定モリモリさせ過ぎて、何者か分からなくなってる説。
正直、完結までに正体を完璧に把握出来る人はいないぐらい設定を詰め込んでるので、おそらく過去編をやらないと全く分からない。ので、多分書きます。
全てを予想しきった人がいたら神と呼ぶよ。マジで。