英雄育成の為に周回で狩られる腕の裏話   作:夢見 双月

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まさかの昼投稿。

これとは別に、夜頑張って上げるつもりなので心配なさらず!

それではどぞー。


施しと対を成す、授かりの英雄

「マスター?ここにいたのですか?」

 

『なんだよ?俺がカルデアにいるのが不服か?』

 

「いえ、そのような大きな話ではなく。何故、私の部屋へ?」

 

『……ダメ?』

 

「構いませんが。何か用事でも?」

 

『ない』

 

「……そうですか」

 

『……』

 

「……」

 

『あのさ』

 

「はい」

 

 

『まだ……気にしてるか?俺に対して本気で殺しに来た事』

 

「……っ」

 

 

『うーん。あれは謝っただろう?お前が嫌うところまで踏み入った俺が悪い』

 

「……違います、あれは……!」

 

『違わないだろ。あれはお前の本心だった。だからこそ、俺はお前に対してふざけた気持ちで話すつもりはない。……まぁ聞け。俺はさぁ、断ち切りたいんだよ。こんな二人で謝りあって距離を作る関係をさ。どうせなら、笑いあってた方が気分もいい」

 

「……」

 

『繊細な部分なんて誰にでもある。俺だってみんなに話せてない事がある。同じさ。それでいて決して、負の感情が悪というわけではない。うんざりな気持ちが結果的に自分の助ける事だってある』

 

「……マスター」

 

『笑おうぜ、アルジュナ。このカルデアには似合わないのさ、そんな顰めっ面はよ。嫌なもん全部抱えても笑えるようにこれからを生きるのさ。……あ、そうだ!これからちょっと俺の部屋に遊びに行こうぜ!面白いゲームがあるんだ!一緒にやろうぜ!』

 

「マスター。……ふっ、分かりました。たまには付き合いましょう。どんな内容のものですか?」

 

『お互いが社長になって、総資産を競うスゴロクゲームで……』

 

 彼は、マスターに過ぎない。

 全てが自分より劣っていた。だが同時に、全てが正反対のマスターを羨ましく感じた。

 

 彼はこの時、自分に何かを授けたのだ。そう思えてならない。

 

 

 

 

 

 

『あー……思ったより負けず嫌いだったか。顰めっ面倍増で帰っちゃった。……どうしよ』

 

 

 

 

 

『ごめん。ここまでとは思わなくて……』

 

 藤丸立香がランサーの手助けで起き上がる。

 

「お前の魔力は少ない。その程度でサーヴァントの負担の全てを補おうとするのは正しく愚行だ」

 

「……ランサー、相変わらず言葉が少ないな。……やれる事をやるんだ、リツカ。それが最善だ、と信じて。……それだけでいい」

 

『……ありがとう、二人とも』

 

 先程の、あらゆる宝具を飛ばしたサーヴァントにサルさんは向かっていったのが、黄金の波紋による2回目の迎撃が来ない時点で察している。

 しかし、サルさんがあんな芸当が出来るサーヴァントに敵うとは思えない。

 

 そもそもサーヴァントとは英霊であり、歴史に名を残した英雄が殆どのサーヴァントシステムの中でただの魔術師が勝てるサーヴァントがいるはずがない。

 右手に宿した黎明の腕としての能力も、ルーラーにやられていたことを考えれば期待は出来ない。心配したくなるのも無理はないだろう。

 

 それでも。

 

 それでも前を向くしかない。勝敗はともかく、こちらに攻撃が向かないように戦ってくれているのだ。

 

 

『行こう、セイバー!ランサー!』

 

 力強く号令をかけ、自身にも気合いを入れる。

 後戻りは出来ない。このまま突っ込むだけだ……!

 

 

 

 城周辺部。絶大な石の壁が道を阻むため、正面から進むことを余儀なくされる。壁を伝うようにランサーに飛んで運んでもらう事も考えたが、先程のようにアーチャーで狙撃でもされたら対応が難しい。

 

 そして、もう一つ。

 

 

「お前達とはここまでだ」

 

 

 そう、ランサーが言い放ったからだ。

 

『……ランサー!?』

 

「どういう事だランサー……!」

 

「ルーラーは俺の事を理解しているらしい。この戦場に我が宿敵がいる。ならば、俺が立ちはだかるべきだろう」

 

『宿敵……?』

 

「気にするな、単なる腐れ縁だ。しかし、向こうも俺も決闘を望んでいるのは明らかだ。俺が行く。手出しは無用だ」

 

 

 戦いの場所を遠い所に定めるためか、ランサーは城から離れるように飛び去って行った。

 

 

 

 ランサーは城から遠く離れた丘に降りていく。その間、狙撃のチャンスはいくらでもあったにもかかわらず、相手からの攻撃は一切来なかった。

 

「久しぶり、と言うべきか。アルジュナ」

 

「カルナ。やはりお前だったか」

 

 アルジュナと呼ばれたサーヴァントはそこに佇んだまま、静かにカルナを見据えていた。

 

「これも宿命か」

 

「カルナ、お前がここにいるなら、我らのする事は二つと無い。今ここで殺しあうまで」

 

「……かつて、我がマスターが言った事がある」

 

「……?」

 

「ここは『夢』のような世界だと。その言葉が胸にスッと入って来たのを覚えていたが。本当に夢のようだ。また、お前のような戦士と戦えるのだから」

 

「……そうか。お前もまた、望んでいたか!」

 

 

 

「行くぞ、アルジュナ。これ以上の語らいは不要だ」

「決着をつけるぞ!カルナ!」




二人目のサーヴァントは、アルジュナ。

第二カード。
授かりの英雄VS施しの英雄

対峙する二人は、互いに何を見る。
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