でも、それは決して自分の朔風ではない訳で。
結局自分の書きたいものは自分でしか書けないんだ、と開き直って、それこそギルガメッシュみたいな心持ちが必要だと思う。
自分の世界は、自分でしか背負えない。
「世界など、とうに背負っておるわ……!」
「《
「《
神をも殺す一射と。
強制解脱の光線が。
互いに喰らい合うように絡みつき、その中心はブラックホールのように圧縮されていった。
周りの木々は紙のようにひしゃげ、近くにいた野生の黎明の腕は一瞬で溶けるように消し飛ぶ。
「くっ、うおアアアアアア!!」
「はぁぁぁああ!!!」
拮抗すればするほどに、全てを飲み込む暗黒物質は肥大化していく。
ついに。それはいとも簡単に破裂し。
二人をも巻き込んだ大爆発を引き起こした。
(やはりこれも因果か)
カルナは光の中でそう呟いた。
否、その言葉は外界に漏れる事はない。
(しかし、悪くはなかった)
一人きりの世界でそう独りごちた。
『なぁ、アルジュナ』
「何ですかマスター。もうあの遊戯は絶対金輪際するつもりはありませんが」
『そうじゃねぇっての。ってか根に持ちすぎじゃね?……俺さ、やってみたい事があるんだよね!』
何か、聞こえる。
かつてのマスターだろうか。念話の声と違い、幼くもハツラツとした声でアルジュナと会話していた。
「……ふぅ、何ですか?」
ため息を吐いて、聞くアルジュナ。
『カルナとアルジュナが一緒に戦ってるとこ!』
「あり得ませんね」
あまりにも早い即答が、マスターに届く。
そうだろうな、と思った。
仮に俺に言われても肯定は出来ないだろう。
奴とはそういう宿命だ。
今回は全力の宝具を互いが展開し、満足のいく決闘にはなった。それだけでいい。今回はここで潔く散るとしよう。
『何、言ってんだ』
それは、アルジュナに言った言葉だったのか。
それとも。
『それが出来るのがサーヴァントだろ。第二の人生だろうが! 「夢」持って生きろや!! 馬鹿ども!!』
彼は、笑いながらそれを言いきった。
目を開く。
荒れ果てた荒野が目に広がる。
激しい宝具を衝突によって、無残な光景を目の当たりにする。
あらゆるものは燃え尽き、焦げ付いた。
向こうには、天使の輪っかを付けた黎明の腕が空へ昇るというある意味解脱してる光景も目にした。
そして、それらの情報を知ってから、自身の置かれている状況が分かった。
自分よりも背丈の低い青年に引かれていた。腕が青年の首にかけられ、足が引きずられるままに運ばれている。
「……マスター」
『喋んな。マジに消滅するぜ』
そうやって、引きずられ続ける。
足を動かす余裕すらも宝具に魔力として注ぎ込んだ。そうでもしなければ勝てない相手であったからだ。それを知ってか、体の力をほとんど抜いている自分をマスターは一切茶化す事は無かった。
そうまでされて、行き着いた場所。
「……あ、アルジュナ……!」
宿敵アルジュナが木に持たれながら、深い呼吸とともに眠っている場所だった。
「はっ、インドの英雄が揃いも揃って無様よな!」
黄金のサーヴァント、ギルガメッシュが高らかに笑う。
「ランサー、月以来か。あの鎧はどうした? まさか捨てたか? 良い、此度は機嫌がいい。その首だけ置いていけ」
「…………………………………………………………英雄王か」
「待て、なんだその間は」
「お前が負傷していながらもここでこうして生きている事が疑問でな。少なくとも、そこまで顔面を強打しておきながら人前に出る性格ではないと踏んでいたが」
「ふん、人としての益もない決闘に現を抜かしていたまでよ。一心不乱に拳を振り上げる雑魚を見るのもまた一興だぞ?」
『その拳を見事! 顔面でキャッチしてくれるのは流石英雄王!』
「貴様、表に出ろ。すぐさま塵芥にしてくれる」
『もうここ表だろうが。今度こそ、その鼻を陥没させてやろうか』
「うっ、ぐっ……」
「む」
アルジュナが少し呻いた後、ゆっくりと目を開く。
「わ、私は––––––」
「アルジュナ。……俺たちは一杯食わされたようだぞ」
「……何?」
「俺たちの宝具による余波。それが俺たちに与える被害を最小限に食い止めるために、あの二人に動かれてしまったようだ。結果的に、俺たちの決着はついたが、互いに生き残ってしまったな」
「な、何……!? 今すぐにでも続けるぞ、カルナ……!」
「それは不可能だ。俺たちは全力を尽くし、この結果だ。もう魔力は多くない。それにこれ以上はあの二人が黙っていないだろう」
『おい、さっさと城行くぞ負け犬! 俺が勝ったんだから言うこと聞けや!』
「もう無理、もう我動けない〜。王様休む〜」
『クソガキのような事やってんじゃねぇ!! それでも英霊かテメェ!!」
「人類最古の英霊だが?」
『このやろっ……! 死んじゃえ、バーカ!』
「なんだと、貴様ァァアア!!」
『えぇ!? 今キレる!? お前の堪忍袋はどうなってんの!?』
「……やる気が失せるな」
「ああ、微笑ましい光景だ」
「は?」
「ん?」
「……もういい」
「……違うのか?」
『あ、そうだ!』
おもむろに、マスターが声を上げる。
『あのさ、お前らライバル同士でいいの?』
「……」
「そうだな」
『一緒に来てくんない? 頼みたい事が有るんだけど』
「一緒に……?」
「アルジュナもか」
『うん、そう。俺が助けた命だし、少しは手伝ってくんね?』
二人は互いの目を見合う。
「たまには、いいか」
「たまには、いいだろう」
「ん」
「む」
『……仲良いな』
「「それはない」」
二人は仲が悪い訳ではない。
ただ自分より強く、秀でていた。
それだけ。
故に。
たまには、悪くない。
そう思えた。
たったそれだけの事。