英雄育成の為に周回で狩られる腕の裏話   作:夢見 双月

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今回は短め。

セイバーは可愛い。いいね?


セイバー、ひどくない?

「はっ!」

 

『セイバー、後ろにいる!』

 

「分かったマスター!」

 

 周りの扉からの魔力弾を回避して、扉にかけられた鎖を両断する。

 

 この鎖を砕く事であらゆる種類の顔や上半身を模した錠が外れていき、そのまま動かなくなっていく。

 

 攻略法が分かれば、まず自分は負ける事は無いとセイバーは決定付けた。

 魔力弾に当たらないようにしつつ、鎖を破壊するのみであるからだ。

 

 しかし、なにせ数が多い。セイバーのクラスがアーチャーであれば鎖を正確に撃ち抜き、無数の矢をばら撒く事で制圧する事が出来ただろう。だがこの身はセイバー。如何に英霊とは言え射程距離はそれほど長くなく、圧倒的な数によって大幅に時間を浪費していた。

 

 ならば、セイバーの持つ対軍宝具を使って一掃すれば良い。

 

 そう思うセイバーだが、先程から酷く気掛かりな事が存在する。

 

 それは鎖を重点的に壊しているセイバーが、扉自体を直接攻撃しないようにしている原因でもあった。

 

 あの扉達は必ず扉を開き、中に存在する魔力の塊を吐き出してから消滅するというプロセスを踏んで撃沈する。

 

 逆を言えば、そのプロセスを踏まない限り消滅しない。

 

 

 つまり、扉を先に破壊しようとしても倒す事が出来ないのである。

 

 これには、セイバーも顔には出さないものの驚いた。

 

 何故なら、彼女が持っているのは神の剣。

 

 それも、地上のあらゆるものを破壊出来るという剣をして、砕く事が出来ないのだ。

 

 セイバーのような鉄面皮でも混乱したくなる気持ちはある。

 

 

 何故だ。何故壊れない?

 地上のものではないのか?……ここ地上じゃないのか?

 

 

 そう思っても無理はない。

 広範囲の宝具を出しても、扉にかかる錠や鎖に直撃させなければ倒せないのでは……とセイバーは危惧していた。

 

 まぁ、実を言うと鎖自体が宝具に耐えられる程硬くないので、普通に撃ってしまえば蹴散らす事が出来るのだが。

 

 軍神の剣を信頼しているからこその勘違いである。

 

 

 結局、藤丸立香がセイバーに宝具の提案をするまで無為な時間を割いてしまうことになった。

 

 

 

 

 

 

 

「我が名はアルテ……ラ?」

 

 初めてこの世界に召喚された時。

 

 

 目の前には大きな自然しか存在しなかった。

 

 

 確かに喚ばれたはずなのに、いるはずのマスターがいない。

 

 私は誰に喚ばれたのか。

 それを知る為に周囲を散策し始めた。

 

 この時、腕が接続された聖杯を無意識に使用し、『誰かいないかな』と呟いた願いがそのままの形で反映されたに過ぎない。

 

 よって。

 

「ん?」

『……!』

 

 二人の邂逅は、側から見るととても奇妙に映った。

 

 

 腕がそれぞれの指をウネウネ動かし、震え、気でも触れたのか握手を求める手の形でセイバーに突撃してきたのだ。

 

 敵意がない事に気付くセイバー。だからといって、相手が何をしたいのか分からない。

 

 

「気持ち悪いな。刺しておくか」

 

 

 

 軍神の剣でぶすりと刺され、腕は動かなくなった。

 

 これが二人の最初の出会いである。

 

 

 

 

 この後にギリギリながらも蘇生した腕が、めげずにコンタクトを行なっては瀕死に陥るをいくつか繰り返して、サーヴァントの契約をするに至る。

 

 

 

 文章にすると面白いだけの一文だが、何気にあらゆる奇跡の果てを三周ぐらいしてから成立するような主従であった。




よく考えてみて。

普段、経験値集めの為のザコ敵としか見てない奴が友好的になって向かってきたとしよう。

君ならどうする?

・契約を結ぶ
・握手をする
・倒す
・種火をよこせェェエエ!!!!

どう考えても下半分の選択肢のどちらかでしょう?

セイバーと腕のままで契約出来るサルバドールは割とスゴイ人。
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