どれも嬉しく思います。
書いてる作品の事はやっぱり気になるので、どうしてもそういう細かい所まで見てしまいます。
ですが、お気に入りは誰がお気に入り解除したか分かるようになってるんですね。流石に名前までは分かりませんが。
お気に入りから元に戻すっというのは、整理の意味も含まれているためにそんな強く言えませんが「え!? なんでや!?」とたまにその場のテンションで叫んでしまいます。
間接的に近所迷惑となるので、控えてください。(他力本願)(むしろお前が叫ぶな)(ショッギョムッジョ)(アイエエエエエ)
黎明の腕、サルバドールをマスターにした、セイバー陣営。
聖杯戦争なども無く、依り代が居ないセイバーが魔力切れで現界出来なくならないようにと、黎明の腕がセイバーに働きかけた結果であった。
しかし、それだけで済めば事は簡単であり。
片や軍神の剣を持つ最優のクラス、セイバー。
片やまともに喋る事も出来ない雑魚、腕。
そんな中、思いつく出来る限りの穏便な手段を繰り出し、黎明の腕はセイバーとコミュニケーションを取ろうと努力した。
手始めに、握手を試みた。
剣で刺された。
しかしこの時、幸運にも既に魔力が無限に湧いてくる不思議な聖杯と接続していたため、彼の『ヤメロー、シニタクナーイ』という、周りに一切聞こえない悲痛な叫びを聞き入れた。
回復した腕は、めげずにコンタクトを取りに行った。
セイバーもこちらを振り向き、生き返った事に怪訝な目を向け。
縦に思いっきり斬られた。
ザクッと、トンカツを切るような音がした。
回復。
毎回気絶してしまうため、セイバーの行方が分からなくなる。しかし、ガッツが付与されてると勘違いするや否や、すぐに彼女を追いかける。
(これが俺の新しい力か……!? 名付けて《何度、落陽を迎えても》だ!)
そんなものはない。
ただの聖杯のチカラである。
暫くは、この繰り返しだった。
そもそも戦闘ばかり行ってきたセイバーは腕を好戦的かつ復活可能なエネミーと見なし、出会い頭に腕をフルボッコにしていった。
サプライズパーティー風に腕がセイバーを待ち受ければ。
セイバーは罠と断じ、剣がムチのようにしなったと思ったら黎明の腕は立体パズルとなった。
ゴマをするかのように近づけば。
足場にするかのように思いっきり踏み潰され。
ブチギレて黎明の腕が本気で襲いかかろうとすると。
本気を出す前に、宝具を出された。
ヤケクソになって自暴自棄になり、腕がそのままセイバーに突進を繰り出すと。
空からビームが降ってきて蒸発した。後で聞いたら、軍神の一撃を食らったらしい。そこまで本気にすることあるぅ? と、この時ばかりは腕も嘆いた。
「綺麗だ……」
静かな夜に一人で呟く。
ここには誰もいない。いや、見つかると近付いてくる可笑しな片腕はいるが。
文明。それがこの世界にはない。
誰もいない。
故に世界は美しく、穢れがない。
しかし、それ以上のものはない。
人間の智慧。火を操る事から始まった人類の文明の歴史。その全てがここには存在しなかった。
彼女は、悪い文明と判断すればその存在を否定し、破壊する。反対に良い文明だと判断すれば享受する。
だが、文明がなければ良し悪しを判断する事すら出来ない。
それがセイバーに一抹の虚しさを感じさせた。
「お前もこんな気持ちだったのか?」
背の高い草に紛れて姿を現したのは、ここにいる唯一の知的生命体。
黎明の腕だった。
「見ろ。ここには何もない。建造物もなければ、森もない。何より文明がない。こんな所にお前はずっといたのか?」
黎明の腕は目がない。しかし、見えてはいた。
セイバーと同じく、ここに来たのは比較的早い方だろうが、腕も何処かでは願っていた。
誰か、いるんじゃないかと。探せば誰か見つかるのだろうと。
しかし、そんな淡い希望はセイバーに打ち砕かれた。
自分の視える範囲がただ狭いだけなんだと。そんな自嘲さえも許されない。
黎明の腕はセイバーの隣に立った。
腕しかない存在である。立つ、といってもいつも立っているようなものに過ぎないが。
それでも、セイバーが夜空を見上げているのを隣で待ち続けた。
「やがて、私はこのままだと消えるだろう。随分魔力を使った。お前は壊しても近づいて来るのだから、退屈ではなかった」
『……』
「……もしかして、退屈させない為に私のところへ来たのか?……ありがとう」
『……』
「少し、いいか?」
『……』
腕がゆっくり回転し、セイバーに振り向いた手の平を見せる。
「しばらくしたら、私は消える。それまでならなんでもいい。私が詫びとして願いを叶えよう。どうしたい?」
もし、意思があるなら。
黎明の腕に意思があるなら、消えるまでに叶えるのもいいだろう。と、セイバーは考えた。
しばらく動かなくなった黎明の腕だが、怒りを示しているわけではないらしい。どちらかというと、真剣に悩んでいるような……。
暗い世界でゆっくりと腕が考え、やがて地面に指で書いていく。だが書き慣れてないのか、書くだけでもかなりの時間がかかった。
空が白み始めた。
腕は書き終わったのか、朝焼けを見ているセイバーに触れた。
セイバーが文字が書かれた場所を覗き込んだ。
『もうすこしだけ、いっしよにいてくれ』
セイバーと黎明の腕の契約。
それは黎明の名の通り、夜明けの時に結ばれた主従であった。
玉座の間で背中を向けていた青年が、口を開いた。
「随分と早いですね。こちらはまだ準備を終えてません。それで、何の用でしょうか?」
侵入者に青年こと、ルーラーは振り返った。
「無論、止めに来た。あの時、目の前でマスターを殺された屈辱。貴様の死で償わせる……!」
セイバーがルーラーに剣を向けた。
次から、セイバー対ルーラー戦。
セイバーは慈しみを持ちたいと、かつて願う時があった。
それをサルバドールは許容した。
やがて機械と自嘲した少女は、人間と自嘲する青年とともに過ごす内に、変わり始めた。
今の私は大切な人のために剣を振るう。
覚悟は……いいな?