つまり、ガチャでいいのが出ないのは黎明の腕による呪いです。
確率を考えるより、腕をしばいた方が建設的かも知れないです。
星5が出る時は、腕の照れ隠しだと思っておきましょう。
「『ランサー。正座』……承知した」
ランサーが地面に座り、腕がその正面に立つ。
それでも身長の関係から腕が小さく、威厳も何もあったものではないのだが、それでも説教という雰囲気な何となく通じた。
「……」ビシッ!
「ああ」
「……」ビシッ!
「そうか」
「……」ビシッ!
「すまない」
腕が何かを言い終わるたび、ランサーに指を指し直すのは分かるのだが、ランサーが通訳をしないので何を言っているか藤丸立香には全然分からない。
というか、完全にランサーの相槌以外無音で行われている事で、一人芝居なんじゃないかと思う。
しばらく待つ事数分。
終わったらしいランサーが口を開く。
「『待たせたな。こっぴどく叱っといたから大丈夫だ。そんで、聖杯の場所なんだが、多分ここら辺をウロウロしても拉致があかん』」
『じゃあ、どうするんですか?』
「『行きたくはないが、如何にも、って感じの建造物には心当たりがある。行ってみるか?』」
そこは重厚な雰囲気を醸し出し、それでいて何処か普遍的に感じる建物であった。
『あれは……城?』
「『そうだ。行きたくねぇんだけどなぁ、あそこ』」
『何故です……?』
「『なんか……雰囲気』」
『雰囲気?』
「『うーん、俺には王様気分は似合わないから、かな。……なんだろうな。この城を見ると……責任のような、そんな何かから逃げているような気がするんだ。ほら、王様って責任がつきまとうだろ?俺は背負える程、立派な人間じゃないからさ。英雄のようには最後までなれなかった普通の人だったもんで、な』」
『……』
「『じゃあなんで、今こんな事になってんだ、って話にはなるけどな!』」
『……一つ、いいですか?』
「『なんだ?』」
『この城、どう見ても夢の国のシンデレ「『それ以上はダメだ』」
『だって!?「あ、あの形なんか見た事ある」って思っちゃったんですもん!!』
「『俺のいい感じの話を無視してそんな事考えてたのかお前は!?』」
『もうそうとしか見れなくなってきた!!やばい、消されるかも知れない……!!』
「『安心しろ!この城の全体像を映す時はモザイクがかかるはずだ!!あと、あれはきっと……そうだ、チェイテ城とでも名付ければ何とかなる!!』」
『何回も出てきて恥ずかしくないんですか!?』
「『お前の頭の中でチェイテ城はどんだけ出て来てんだ!?』
急な罵倒には、かのドラゴン娘をビックリ。
一切関係のなさそう造型はともかく。
三人(内一人腕部のみ)は城に向かって進んで行った。
『なんていうか、本当に城だけなんですね。街並みや道路さえも整備されてない。ただ草が生えるだけの地面になってる』
「『当たり前だ。何よりここには人がいない。管理者すらいないのであればこれは当然と言える。だからこそ、仲が良くなれたヤツもいるがな』」
『どういう事ですか?』
「『セイバーさ。そういうのに妙な拘りがあるヤツでな。そういうのに縁がない世界の方がコミュニケーションが取れる時もある。ほら、よくあるだろ?「にわか乙!!」とか言って相手を遠ざけようとする奴とか』」
『なるほど』
「『まぁ、セイバーはそこまで酷くはなかったが。……おっ、正門に着いたな』」
正面には、よく見る縦と横に交差している大きい鉄の扉。
早速ランサーが軽く目を光らせたのと同時に、人型の何かが空から飛んできた。
『何……!?敵か!?』
褐色肌の体には文様が刻まれており、ヴェールのようなもの被っている。
その女性は片手に持っていた三色の剣を構える事なく、真っ先に腕の方に向かい。
「マスター!」
といって、腕を思いっきり抱き上げた。
「マスター、何故ここに居る……!?退屈なのは分かるが、よりによって何故ここに来たんだ……!?」
「『待て。話すから……!頼むから地面に戻して……!か、枯れる……!』」
「……!?す、すまない。マスター」
そう言って、彼女は腕を地面に置いた。
何故か、しわっしわになっていた腕が徐々に元に戻っていく。
『なんでシワシワになるんですか……!?』
それについて、カルナが説明する。
「本来なら、腕以外は地面に入っててもおかしくないという考察が出来るが、本人曰く『色んな人から投げられる時は大体腕だけだった』らしい。つまり、腕だけなのにもかかわらず地面に接触していないと我がマスターがエネルギーが保てない身体になっているようだ」
例えば、「高さがタリマセーン」とか言う善神とか、ゲーマー御前とか、空中にわざわざ固定してくれる神殺し師匠とか。
『でも最初に会った時は、テーブルの上だったような……』
「『細かい事は気にすんな!』」
文明絶対殺すウーマン、満を持して(?)登場。
次回、城へ探索……?