はい……。
二度と緩いクイズはしません。やるとしてもちゃんとしたのを作りますね。思いつきでするもんじゃない。反省。
「……つまりは、どういう事ですか?」
「『お前みたいな素性も願いも分からねえヤツの手に渡る前に、さっさと聖杯を回収してもらうんだよ』」
「それはそれは、大変そうですね」
「『お前みたいな奴がいるせいでな!!』」
白髪の丁寧な言葉を使うサーヴァントと、マスターである腕との間に火花が飛んでいる。
サーヴァントの方も物腰の柔らかい態度ではいるが、それがさらに表面でしかそのサーヴァントを見ることのできないような感覚。
藤丸立香は先程の腕が言った「底の見えない」という言葉を体で理解した。
二人に聞こえないように、後ろのセイバーに話しかける。
『なぜ、あんな気さくに話しかけるマスターさんが、あのサーヴァントに対してここまで嫌うんですか……?なんか嫌な感じがするのは分かりますけど、ここまで分かりやすくするって事は何か因縁でも……』
「……そうだ。奴とは邂逅した時に因縁が出来たらしい」
『らしいって……?』
「私は奴が召喚された時、たまたま離れていた。……色々あってな。その時にランサーを挟んでイザコザが起きたらしい」
『一体どんな……?』
「本人曰く、海よりも高くて山よりも深い因縁らしい」
『いやそれめっちゃ浅いじゃないですか。マイナスに振り切れてるまでありますよ』
「なんでも、奴の話が全然聞けなかった事に対しての八つ当たりとランサーは言っていた」
『うっわ、めんどくさいなぁマスターさんって』
話さないとあそこまで根に持つタイプなのか、と藤丸立香は若干引いた。
「……ならば、一つ願いを叶えてみてはどうでしょうか」
「『あん?』」
「なぜそんなに喧嘩腰にされるのかは理解には苦しみますが。確か、願いというのは聖杯に直接アクセスする事で願いが叶えられると貴方から聞きました」
「『お前の意見は聞いてないんだが?』」
「それなら聖杯とのラインを感じることも出来ると浅慮しますが。どうでしょうか?」
「『ウルセェジャガーマンぶつけんぞ』」
『マスターさん!?ここはダメでもやってみた方が……』
「『まぁ、分かってはいるが……』」
しばらく考え込むような仕草を見せた後、腕はサーヴァントに告げる。
「『本当に、お前は聖杯を持ってないんだな?』」
「ええ。私は持っていません」
「『しゃあねぇ。……願いを考える、待ってろ』」
「俺は持ってないですが、ね」
「「!?」」
ランサーが気づき、セイバーがそれよりもさらに速く動いた。
が。
「《令呪を二画もって命ずる。セイバー、ランサー。動くな》」
「ぐがぁっ!?」
「……くっ、『神明裁決』のスキルか……!?」
『えっ……何が起きて……!?』
藤丸立香は理解が追いつかない。
何故、みんなが動けない?
あの人は一体何をした?
それに、今しがた抜いた日本刀で何をする気なのか–––––!?
「疑問には思っていました。何故、マスターの願いのみが叶えられるのか。それも、一握りにも満たない小さな願いばかりを」
『……そうだ!マスターさんっ!令呪を使えばっ……!』
「『ごめん、無理。クラスすら分からないんじゃあ命令しようもない。やばいね、もうちょっと敵として見ておくべきだったみたいだ。……駆け出し君は来るなよ』」
「答えは明白でしょう。貴方の身体の中に聖杯が入っている。いつ取り込んだのかは知りませんが」
「『戦うしかないかねぇ……!』」
掌が上を向く。小さな光が灯り、やがて優しく大きくなっていく。
そして、暖かな光が形成していったのは。
「俺が、使わせてもらうぞ。マスター」
杯の形となった結晶が、マスターである腕の上に浮かんでいた。
『『ええええええええ!!!???』』
『いや、なんでアンタも驚いてんだ!?』
「『いや、その、え、えぇ!?ナンデェ!?……まじぃ!?……うっそぉんナニコレェ』」
『変なことを喋るないで!さっきからランサーが超真面目に通訳してくれてるからぁ!!』
「……ちょっと、待ってくれ……!流石にこれは、シュールというヤツが……!!」
「……?分かりやすいに越したことはないはずだが」
「……自分で言うのもなんですが、裏切った人間の前で茶番を始めないでくれませんか?」
シロウくんおこ。
しょうがないよ。腕が主人公やってる時点でお察しだったんだよ。
カルナって、いつも通訳する時に感情は乗せてくれるんですけど絶対無表情でペラペラ喋ってる気がするんですよね。そりゃ初見で驚くだろ。