なんか似たようなことばかりになってしまいますが、応援よろしくお願いします。
「どれにしようかなー。個人的にはためく感じがいいなー。」
もれなく厨二病な勇輝は服屋で自分のアンテナに引っかかる服を探していた。
カナは少し離れた女性服のエリアで店員に話しかけられておどおどしている。
・・・見た目も重要だけど、一応は普段着になるから着心地も気にしないとな。麻はザラザラして苦手だ。・・・
色々な服を見て迷っているとある服が目に飛び込んできた。
それはなんかのRPGとかで出てきそうな旅人の服といった感じで、それに加えて裾などがゆったりしていて風が吹いたらはためきそうである。
・・・なんか吟遊詩人みたいだなぁ。けど一応旅人だからこんな感じの方がいいかな。・・・
「すいません、これください。」
近くの店員に言って購入する。
・・・意外と高かったな……。まあそれなりに立派だったからな。そういえばカナさんはどうなったかな?・・・
勇輝は周りを見回すとカナはまだ迷っているみたいだった。
「カナさん、どうですか?何か気にいるものはありましたか?」
「ひゃい!?」
後ろから声をかけられてカナはビクッとする。
「勇輝さん…びっくりしました…。」
恥ずかしそうにうつむいている。
「どの服もきれいで私なんかに似合わないですよ…。」
「そんなことないですよ。試しに何か着てみたらどうですか?」
「えっ!?ちょっとそれは………わかりました…。」
顔を赤く染めて何着か服を持って試着室に向かう。
・・・なんだかんだで色々着るんじゃないか。楽しみだなぁ。・・・
試着室仕切りの前でワクワクしながら待つ勇輝を店員が微笑ましくみていた。
兄妹だと思われているんだろう……たぶん。
「勇輝さん、準備できました。」
そう言って仕切りの中からカナが出てきた。
その格好はいかにも町娘と言った感じで露出は控えめで、尻尾を意識しているのかスカートはかなり長い。
それでも今までローブで体のラインがわからなかったが、今はスタイルの良さがはっきりとわかる。
小さな肩にきれいにくびれた腰、そして胸は……意外と大きかった。
・・・あれ?思ったよりもデカイ……。獣人からかわかんないけど16でこれか……?異世界の常識はうちの世界とは違うな。・・・
「……似合ってますか…?」
恥ずかしそうに顔を赤くしながら自信なさげに聞いてくる。
「…………ああ!いいと思うよ。」
しばし見とれていて返答が遅れてしまった。
その返答を聞いてカナは今にも蒸気を上げそうなくらい真っ赤になった。
「つ…次行きます!」
逃げるように仕切りの中に隠れていった。
この後数回にわたって同じようなことを繰り返したが、結局は最初の服に決まり、ほかにパジャマっぽい服も買った。
その後タオルがわりの適当な布を何枚か買った。
「そういえば獣人の人たちって全く見かけないですね。」
勇輝が街中を歩きながらカナに言った。
「えーと、いるにはいるんですけどみんな耳や尻尾を隠してるんです。さっきの屋台の人もそうでしたよ。」
・・・えっ?そうだったの?全く気づかなかった。・・・
「どうして隠れているんですか?」
不躾に尋ねると、カナは周囲を見渡してひっそりと耳打ちする。
「今は種族間での仲が険悪になってて私たちはこうするしかないんです。」
カナが急に近づいてきたのでちょっとドキッとしたが、動揺をなんとか隠した。
・・・戦争でもしてるのかな?でもなんか可哀想だな。・・・
「でもさっきの服屋さんもそうでしたけど、私達用の服とかも置いてくれている店もあるんですよ。この帽子も屋台の人がくれたんです。」
カナが帽子を被り直す。
「へぇー、優しい人もいるんですね。でも悲しいですね。獣人であることを隠して生活しないといけないなんて。」
勇輝はカナ達獣人の人に同情した。
勇輝達は宿の近くまで来ていた。
そして武器屋を見た勇輝はカウンターにいたファイに声をかけた。
「ファイさん、こんにちは。この前はありがとうございました。」
「おう!勇輝…とカナちゃんだったな。どうしたんだ?」
ファイがそう言うとカナは隠れようとしたが少しだけ体を出している。
・・・おっ、ちょっとは克服してるのかな。いいことだ。・・・
カナの成長?に感心しつつファイに切り出した。
「普段使い用でもしもの時は護身用にも使えるナイフはありますか?そのうち旅に出る予定なので色々と使えそうなものが欲しいので。」
そう言うとファイがニヤけた。
「それならいいモンがあるぜ。ちょっと待ってな。」
ファイが店の奥に入っていき、しばらくすると小さな木箱を持って来た。
「開けるぞ、驚くなよー。」
はしゃいだような声を出してファイが蓋を開けると真っ黒の刃のナイフが入れられていた。
「コイツはあのジジイが気に入ったやつにしか売るなって言った自信作だぜ!切れ味は保証する。アンタならジジイも喜ぶだろう。」
勇輝はナイフを手に取って軽く振ってみる。
グリップには何かの革が巻かれていて手によく馴染む。
長さや軽さもちょうど良く、かなりのものだ。
「凄いですねこれは。いいんですか?こんなものを。」
勇輝も驚きを隠せない。
「ああ、ちょっと値が張るが構わないぜ。金貨一枚だが、いけるか?」
「わかりました!買います!」
食料や服を買って所持金が心許ないがこれだけは絶対譲れない。
「まいどありっ!アンタいいモン買ったぜ。」
勇輝はファイにお礼を言うと軽やかな足取りで宿に戻った。
二人は宿の扉を開けた。
聞き慣れたベルの音とともにエリナが出て来た。
「あら、おかえりなさーい!もうすぐお昼が出るから食堂で待っててね。」
そう言って慌ただしく店の奥に入っていった。
二人は食堂で昼食を済ませたが、今回はエリナが作ったらしく独特な味付けだった。
周りを見ると他の人も微かに苦い顔をしている。
そこにエリナが出て来たので途端に表情をごまかした。
「カナちゃん!今日のご飯どうだった?」
「……おいしかった…です…よ?」
言葉も途切れ途切れで顔は若干青くなっている。
・・・オイオイ、誤魔化しきれてない!ちょっとカナにはきついんじゃないのか?なんか可哀想に見えてきた。・・・
気がつくとカナは勇輝に助けを求めるように泣きそうな目で見つめていた。
・・・なんだろう、めっちゃ可愛い……。でも助けられない。・・・
「そう!?良かった〜!それじゃおかわりする?」
エリナは嬉しそうにおかわりをカナに勧める。
カナはさらに顔を青ざめさせて勇輝を見た。
もう本当に涙が出そうになっている。
・・・ヤバイ…エリナさん天然入ってる!流石にこれ以上は無理だ!・・・
勇輝が意を決して割って入った。
「それでしたら私がいただきますよ!カナさん少食なので。」
ちょっとやけくそに言ったが、周りの人達はよくやったと言わんばかりの目を向けていて中にはこっそりサムズアップする人もいた。
勇輝の目の前に皿が出された。
勇輝は決死の覚悟で食べ進めて、体が異常を訴える前に決着をつけた。
しかし、立ち上がろうとした直後意識が朦朧とした。
・・・ウッ……、我が生涯に一片の悔いなし………。・・・
立ち上がってそのまま後ろに倒れて意識を失った。
「見慣れた天井だ…。」
勇輝が目を覚ますと自分の部屋のベッドの中だった。
・・・なんか三途の川渡りかけてたような気がする……。・・・
近くの椅子にカナが座っていた。
「良かった…。勇輝さん目を覚ましたんですね。すごく心配しました。」
「あの後どうなったんですか?」
「他のお客さんと協力してここまで運んで来ました。あと、これを渡されました。」
カナがテーブルの上に置かれているカゴを見た。
カゴの中にはいくつかの果物が入っていて、紙切れが添えられていた。
紙切れには[勇気あるものに捧げる]と書かれていた。
・・・なんか他のお客さん達から英雄扱いされてる!?・・・
勇輝はそれを見て苦笑いをした。
「本当に勇輝さんには助けられました。」
カナが勇輝の手を握った。
・・・なんか大げさだなぁ………いや、そうでもないか。・・・
実際に死にかけた勇輝は否定できなかった。
料理が壊滅的な人って大抵味覚がバスターされてるか、味見をしていないのかの両方にわかれますよね。