士官候補生の異世界漂流   作:サイレントグラス

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まだまだ描写が上手く出来ていないですが、もっと練習します。それまで暖かく見守ってくれると嬉しいです。


マーハリク防衛戦

勇輝とカナは町を襲撃して来た魔物を撃退するために町の門へと向かっていた。

周りには他の冒険者も走っている。

「みなさん!こちらです!」

ギルドの職員の女性が案内をしていた。

・・・クソー!身体能力は強化されているけどフル装備でここまで移動するのはキツイな。・・・

戦場に着いてから装備を出した方が良かったと後悔したが既に遅かった。

勇輝は作業着に作業帽、半長靴を身に付けて弾帯にマガジンポーチ3つと9mmけん銃のホルスター、そしてダンプポーチを後ろに付けている。

メイン武装は銃剣付きの89式小銃である。

カナは身軽なこともあり、まだ大丈夫そうだった。

・・・あと少しで門に着くな。戦う前から疲れちゃったな。・・・

門の外には既に十数人の冒険者と衛兵がその倍くらいいた。

それぞれ剣や槍、斧を構えている。

上を見ると城壁の上には弓や魔法の杖を持った遠距離系の人たちがいる。

「カナさん、私たちはあっちに行きましょう。」

「えっ、あっはい!」

カナも戦闘スタイルごとの配置に気がついたようですぐについて来た。

城壁の上に到着し、双眼鏡を取り出して町の外を見る。

・・・うわぁ…いっぱいいるな。100体は超えているんじゃないか?ちらほらデカイやつもいるし。・・・

見慣れたゴブリンやコボルトのグループのほかにもっと大きな魔物もいた。

「カナさん、あの大きな魔物はなんですか?」

双眼鏡をカナに手渡して見てもらう。

「あれは……トロールですね。力が強くて頑丈ですけどあまり頭は良くないです。」

・・・ほう、あれがトロールか、ハ○ー・ポ○ターに出て来たのに近いな。いくら頑丈でも頭を狙えば仕留められるでしょ。・・・

カナの説明を聞いて対策を練る。

「よし、決めた!一足先に狙撃で厄介そうなトロールを出来るだけ仕留めます。今回は本気で行くのでカナさんも気をつけてくださいね。」

一旦89式を収納して対人狙撃銃を取り出して二脚を城壁の端につけた。

「はい!勇輝さんも無理しないでください!」

カナは気丈に振る舞うと杖を両手で握りしめて遠目に見えてきた魔物の群れを真っ直ぐに見つめていた。

 

 

・・・もう一度双眼鏡で確認したところトロールは21体いた。とりあえずこいつを最優先で仕留めよう。他はゴブリンやコボルトが大半だから他の冒険者や兵士に任せればいいだろう。・・・

スコープを覗いて調整を始めながら最初のターゲットを選んだ。

大抵の弓や魔法の射程ではまだまだ届かないが、狙撃銃なら余裕だ。

・・・よし、コイツに決めた!一撃で仕留めるっ!・・・

ドオォォーン!!

銃声と共に放たれた弾丸はおよそ1km先のターゲットに真っ直ぐに向かって飛翔した。

1秒と少し経ったかというタイミングで銃弾はトロールの左肩にめいちゅうした。

トロールは大した反応をせず、命中した箇所をボリボリ掻いている。

・・・クソッ!予想以上にタフだな。弾は通っているみたいだから今度こそ頭に当てる。・・・

薬莢を排出して着弾修正を済ませてもう1発撃った。

銃声のあと一瞬の静寂をおいてトロールの額に直撃した。

先ほどと同じように大した出血もなかったが、トロールは力が抜けたようにダランと膝をついて倒れた。

突然のことで周りにいたゴブリン数体が巻き込まれて押し潰された。

「よしっ!仕留めた!」

ボルトを引いて薬莢を排出して思わず声をあげる。

宙を舞った空薬莢が足元に落ちて高い金属音を響かせる。

その一部始終を見ていた他の冒険者や兵士達は唖然としていた。

「おい、なんだよ今の…。」

「すごい音がしてびっくりしたぞ!」

カナ以外はいったい何が起こったのかわかっておらずざわついていた。

「すごい………みんな!トロールが1体倒れたぞ!」

カリブの海賊が使ってそうな望遠鏡を持って覗いていた冒険者が感嘆の声をあげる。

・・・驚くのはこれからだぞ。次はあいつか。・・・

次の獲物に照準を合わせて引き金を引く。

風に流されたのかど真ん中ではなかったが右目の上に命中してトロールは真後ろに倒れた。

すぐさま次弾を装填する。

「スゲー!あいつがやってるのか!また1体倒れたぞ!」

望遠鏡を覗きながら歓声をあげる。

・・・ちょっと目立ち過ぎかな?まあ、町を守るためだからいいよね?・・・

慣れない声援に嬉しく思いながらもどう反応したら良いか分からなかったので無言で再びスコープを覗いた。

 

 

勇輝の狙撃によって残りのトロールも全て仕留められた。

ほとんどは一撃で仕留めたが、風などの影響で、2〜3発使うこともあった。

距離はおよそ700あたりだったが、トロールの動きがゆっくり過ぎたので問題なく頭を狙えた。

倒れたトロールに周囲の魔物が何体か巻き込まれたり、最後のマガジンの残弾処理で狙撃されたりしてトロール以外にもそれなりの戦果をあげていた。

・・・もうこんくらいでいいか。他の人の分まで取るつもりはないし。・・・

対人狙撃銃を収納して89式を取り出した。

「勇輝さん、すごいですね。こんなに遠くからトロールを全て倒しちゃうなんて…。」

カナも勇輝の戦果に流石に驚いていた。

「たいしたことじゃないですよ。それよりもカナさんは音に慣れましたか?」

「まだちょっとびっくりしちゃいますけど、これだけ聞いたら慣れました。」

まだ少し体が硬直しているように見えたがしっかり話せるくらいには慣れたようだ。

・・・よかった。カナも成長してるんだな。逆にカナにそうさせた僕にも責任があるよなぁ。・・・

勇輝はカナの忍耐に関心しながらも、そこまで銃に頼っている自分が情けなく感じた。

・・・フン……嘆いても仕方ないよな。僕には僕の戦い方がある!・・・

89式のセレクターを「3」にして他の冒険者や兵士と一緒に魔物の群れを迎え撃つ準備を整えた。

 

 

「俺たちはここから魔物の数を減らして下のやつらを援護するっ!この町に1匹も通すな!」

「「オォー!!」」

何やら暑そうな性格の冒険者が周囲に呼びかけると周りの者が雄叫びをあげた。

「構えー!………今だーッ!!」

合図と同時に無数の矢と魔法が飛び出す。

カナも氷の刃を放っていた。

タタタンッ!…タタタンッ!

勇輝も89式の3点バースト射撃で確実に獲物を仕留めていく。

しばらくして放たれた矢と魔法が群れに降り注ぎ、魔物が次々と倒れる。

「突撃ィィーー!!」

「「ウォォーー!」」

遠距離攻撃で撹乱された群れに冒険者と兵士の一団が突撃していく。

完全な乱戦状態で辺りは血と汗にまみれている。

・・・入り乱れてるな。単発でサポートに徹しよう。変に撃ちまくって誤射したらいけない。・・・

セレクターを「タ」に設定してセミオートで誤射しないように確実に狙って援護射撃をする。

勇輝は群れの中に弓を持ったゴブリンがいるのを見つけた。

勇輝が気づいた時には既にこちらに向けて矢を放っていた。

その矢はまっすぐ飛んできて勇輝の左側にいた兵士の肩に刺さった。

「ガァッ!?クソーッ!やられた!」

兵士は手に持っていた弓を落として肩を押さえて叫んだ。

「クッ…もう少し早ければ………カナさん!」

「分かりました!」

カナがすぐに兵士の元へと駆け寄って治療を始める。

「助かったよ、嬢ちゃん。」

兵士は大丈夫そうだ。

・・・これ以上はやらせんぞ。他にはいないか?・・・

矢を放ったゴブリンは既に下の兵士に倒されていたので他に遠距離の攻撃手段を持っている敵を探して、見つけ次第最優先で始末した。

弓持ちをあらかた仕留めた頃には魔物はほとんど掃討されていた。

怪我人はいるものの幸い死者はいないようでお互いのカバーができている。

・・・勝敗は決したな。アイツらに撤退するという判断はできるのか?しないのなら全滅させるしかないな。・・・

何体かさらに仕留めたところで最後の1体となった大きめのコボルトが槍を持った冒険者と一騎打ちをしていた。

周囲は他の冒険者や兵士に囲まれている。

・・・手出し無用っていうことか。あのコボルト少しデカイな。・・・

しばらく見ていると冒険者が押され始めていた。

周りから声援が上がる。

しかし、その声も虚しく冒険者の槍はコボルトに踏みつけられ、手に持った剣で柄の半ばから折られてしまった。

「ヤバイっ!」

勇輝はとっさに89式を構えて武器を失った冒険者に剣を振り下ろそうとしているコボルトにダブルタップで銃弾を叩き込んだ。

コボルトが胸から血を流して後ろに倒れて冒険者は力が抜けたように尻餅をついた。

・・・ふぅ、間に合った。・・・

「勝ったぞー!!」

「俺たちの勝利だ!」

あらゆるところから歓声や雄叫びが聞こえる。

 

 

「カナさん、お疲れ様でした。」

矢を受けた兵士の治療を終えた後も他の怪我人の治療をしていたカナに労いの言葉をかける。

「勇輝さんこそたくさん倒したみたいですね。カッコ良かったです。」

カナは初めは疲れた表情をしていたが勇輝の言葉を聞いて笑顔を見せた。

・・・頑張ったんだな。見たところあまり治療ができる人がいなかったみたいだし今日のMVPはカナさんで決まりだと思う。・・・

目立つ戦果では勇輝はかなりのものだったが、戦う事は他の冒険者や兵士だけでもなんとかなっていただろう。

目立たない真の功労者は貴重な回復魔法持ちでずっと走り回っていたカナだ。

「そんな事ないですよ。本当に頑張っていたのはカナさんだと思います。知らない人に駆け寄って治療するのもかなりの勇気が必要だったでしょう。」

「そ…それは…そうですけど。」

カナは照れているのか顔を下に向けている。

「さぁ、宿に帰ってゆっくり休みましょう!夕食後にはデザートも待ってます。」

「……はいっ!」

2人は意気揚々と宿へと戻っていった。

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