士官候補生の異世界漂流   作:サイレントグラス

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相変わらず構成するのはむずかしいですね。
大きなストーリーからするとグダグダです。
これからの展開もなかなか迷いそうです。


仲違い

「ふぁー…よく寝たな。やっぱりカナさんはくっ付いてるな。」

寝起きで勇輝は独り言を呟きカナを起こさないように優しく起きて立ち上がると大きな伸びをした。

・・・よーし、今日は観光を兼ねて街の探索だ。カナさんの手掛かりが見つかるといいんだけど…。・・・

朝早くの寝起き早々から黄昏る。

とりあえず朝食を取るために部屋を出て食堂へ向かった。

食堂で出された朝食はありふれたパンと牛乳だけだった。

たいして美味しくなかったパンに文句を言いたくなりながらカナの分も持って帰る。

部屋の中の小さなテーブルに持ってきた朝食を置いて勇輝は異次元空間に入った。

 

 

異次元空間の中は全く変化せずに収納されているものが並んでいる。

・・・あったあった、カールグスタフ君だ。あとはパンツァーファウストもあるな。91式があるんならこれもあるよな。・・・

勇輝は改めて自分の取り出せる物の確認をしていた。

91式携帯地対空誘導はぶっつけ本番でなんとか使えたものの、普段からの訓練が必要なので今のうちに把握しておく。

「よし、マニュアルはこれか……使い方自体は簡単だな。カール君はリロードが複雑だけど…。」

今後の強敵に備えて対戦車兵器の使い方や実際の重さの把握をした。

・・・やっぱりミサイルやロケット兵器は重いな。それでもよくここまで小型化できもんだよな。現代の歩兵は万能すぎてキツイ。・・・

一人でごちりながら一通りの武器の確認を済ませた。

勇輝が異次元空間を出るといつの間にか起きていたカナと目が合った。

「あっ、おはようございます…。」

「お…おはようございます…。」

ぎごちない挨拶を終えたらカナに持ってきてあげた朝食をすすめて、勇輝は収納していた適当な軽食を取り出して食べた。

「今日は騎士団の隊長さんが言っていた聖堂をはじめとしてこの街の散策をします。何か手掛かりがあるといいですね。」

「…そうですね。ただ、何も手掛かりがなくても私は勇輝さんといられるだけで幸せです。」

「じょ…冗談はよして下さい。私なんかで……。」

「冗談なんかじゃありません!」

カナが怒って椅子から立ち上がって声を上げた。

怒りで目が見開かれているが次第にウルウルとして涙が溢れてきた。

「私は勇輝さんのことが……勇輝さんが…。」

カナの肩が震えて顔は下を向いている。

「カナさん……。」

「どうして勇輝さんはそんなことばかり……言うんですか?」

「それは……」

「もういいですっ!」

勇輝はどうすればいいか分からず立ち尽くしていた。

 

 

カナは涙をこぼしながら部屋を飛び出して行った。

勇輝はしばらく茫然として何も出来なかった。

カナが部屋を出てしばらくしてからふらふらと立ち上がって部屋を出る。

・・・クソッ!どうしたらいいんだ!カナさんにどう応えたら?あくまでも高校生の年だぞ!僕なんかに決めるには早すぎる。どうしたら……。・・・

悩みながら歩いていると昨日の酒場が目の前に出てきた。

・・・ここは……、この時間でもマスターやってるかな?・・・

酒場の扉を開けるとがらんとした酒場にたった一人カウンターでグラスを拭いているマスターがいた。

・・・すげぇ、つくづく絵になる人だな。雰囲気がイケメン……。・・・

勇輝は典型的なイケメンはあまり好きではない。

アニメや漫画で好きなキャラは渋いおっさんキャラだったり性格がカッコいい主人公の友達のデブオタが多かったりする。

この酒場のマスターは勇輝の好みにどストライクだった。(ホモではない)

「おや?どうされたんですか?こんな早くにまたいらしてくれたのは嬉しいですが、飲む時間ではないですよ。」

マスターがグラスを拭き終わって棚に戻すと勇輝に向かって微笑んだ。

「あの、ミルクティーありますか?あったら一杯お願いします。」

「ええ、ありますよ。少々お待ちを。」

勇輝がカウンターに座りこみ大きなため息を漏らす。

「お連れの方はどうされたんですか?」

「あっ…ああ、今…ちょっと仲違いがあったもので…。」

勇輝は痛いところを突かれて暗い顔になって小さな声で話した。

「そうでしたか。是非お話しして下さい。この老いぼれでも役に立てると思いますよ。……はいどうぞ。」

カップに入れられたミルクティーを手に取るとほのかな温かさを感じる。

・・・お…美味しい…。この世界の茶葉もなかなかいいな。アッサムっぽいけど少し違う。あまり詳しいわけじゃないけど香りが違うな。・・・

ミルクティーを少し口に含んで香りや味を確かめると気持ちが落ち着いた。

 

 

「私…カナさんにとても懐かれているんですが…私がそれに応えれるのか不安なんです。自分に自信が持てなくて…。」

カップをカウンターのテーブルにコトリと置き、ゆっくりと語る。

「ふむ、確かに昨日の彼女はそのように見受けられました。あなたの暮らしてきた街には獣人があまりいなかったようですね。それならどう接すればいいか分からないのも理解できます。彼女はあなたに絶対の信頼を置いてます。彼女にとってあなたは英雄にも劣らない存在、だから自分を卑下したりすることはその想いを否定することにもなります。彼女にはそれが耐えられなかったのでしょう。だから彼女の前だけでもそれに相応しい振る舞いを心掛けるのです。」

マスターは迷う事なく適確にアドバイスをした。

「それは…カナさんの行動からもよく分かっています。ただ、彼女にとっての英雄らしい振る舞い…それができるのか不安なんです。」

今までの不安を吐露する勇輝は自分が情けなく感じて誤魔化すかのようにミルクティーをグイッと飲んだ。

「その不安はごもっともです。そしてそれは彼女の為を思う故のものです。きっとその想いは彼女にも伝わっているはずです。あなたは無理にどうにかしようと思わないでもいいんです。ただ自分を卑下しない、それだけでもいいんです。」

マスターはニッコリ微笑んで勇輝を真っ直ぐに見ていた。

「そういうもの…なんですか?」

「ええ、そういうものです。彼女も、そしてあなたも互いに想い合うことができるのはとても幸せなことです。その想いを大事にしてあげて下さいね。」

マスターはどこか遠くを見るような表情で語った。

その表情は年を重ね、重厚な憂いを感じさせるものだった。

「マスター、ありがとうございました。心が少しスッキリしたと思います。……お代は?」

「いえ、結構ですよ。代わりに…ちゃんと彼女と仲直りして下さいね。さあ、行って下さい。」

マスターはカップを下げながら優しく語りかけた。

「ーッ!ありがとうございます!!絶対にカナさんを大事にします!」

勇輝は勢いよくカウンターの椅子から立ち上がって外へと飛び出して行った。

「行きましたか…。私のような失敗はして欲しくはないですからね。」

勇輝が飛び出してがらんとした酒場でマスターは独り言を呟く。

「なあ、そうだろう?君と私に似ていたんだから世話も焼きたくなるさ。」

カウンターの端にさりげなく飾られている指輪とブローチを手に取って眺めていた。

その手にも全く同じ指輪がはめられていた。

 

 

酒場を飛び出した勇輝はカナを探すために街の中を走り回っていた。

しかし、全く土地勘がないため迷わないようにするのが精一杯だった。

・・・これじゃあ埒が明かない!とにかくカナさんの居場所を特定しないと。カナさんも土地勘はないはずだ。・・・

勇輝は人目を避けて路地裏に入るとしゃがみ込んで詠唱を始めた。

「南の心臓…北の瞳…西の指先…東の踵…風持ちて集い…雨払いて散れっ!縛道の五十八…掴趾追雀(かくしついじゃく)ッ!!」

カナを強く思い浮かべながら術を発動するとカナの気配を僅かに感じた。

・・・成功…かな?実際は霊圧を感知する物だけどそれを魔力で代用した。どこまでの範囲をカバーできるか分からないけど使えるな。・・・

カナの魔力を感じた方角に向かって勇輝は走り出した。

・・・さっきよりもはっきりと分かる……近づいてる!・・・

近くにいるという確信を胸に走り続け、辿り着いたのは一際大きな石造りの建物だった。

・・・これは…隊長さんが言っていた聖堂か?デカイな。・・・

トロールでも入れそうな大きな扉を開けると大広間に教会でよく見る長い椅子が整然と並べられていた。

中央にはコヨースカの教会で見たものと同じような女神っぽい像がおかれている。

天井や壁にはステンドグラスがあって差し込む光が幻想的な空間を作り出していた。

・・・綺麗だ……あれはっ!・・・

神秘的な光景に一瞬見惚れていたが、石像の正面に跪いている人影を見た。

それは見慣れたローブにサラサラの長い栗色の髪と形の整った耳という出で立ちだった。

「カナさんっ!!」

勇輝が大声で名を呼ぶとその人物はビクッとしてゆっくりと振り向いた。

「勇輝さん、どうして……。」

驚きを混じらせた声でカナは呟いた。

 

 

勇輝は驚きで立ち上がれていないカナの元へと駆け寄る。

「カナさん!捜しましたよ。とても心配しました。」

「ごめんなさい………私…勇輝さんに迷惑を……。」

床に座り込んで下を向くカナの肩は震えていた。

勇輝はその姿を見ているのが耐えられなかった。

そして勇輝はそれを感じたのと同時にカナを抱きしめていた。

「えっ!?勇輝さん!?」

「謝るのは私の方です。私がカナさんの想いを否定するような事を言ったのがいけなかったんです。本当に…ごめんなさい!」

無意識に抱きしめる力が強くなる。

「ずるいですよ……これじゃあ許すしかないじゃないですか。」

カナも手を伸ばして勇輝を抱きしめた。

勇輝がそれに驚いて力が弱まるとカナと顔が正面どうしになって間近で目が合った。

「あっ…えと…。」

「勇輝さん、私は…あなたのことが…大好きです。」

カナは泣きそうだったが、今までで1番の笑顔で想いを伝えた。

・・・なっ…こんなタイミングで……。・・・

「わ…私にとってもカナさんはかけがえのない存在です。私はカナさんだけの英雄になります!なってみせます!」

人生で初めて告白をされた嬉しさと恥ずかしさと闘いながら絞り出した精一杯の答えだった。

それを聞いたカナは笑顔のまま涙を流した。

「やっと言えました。そして…受け入れて貰えました。それだけで十分です。」

「こんなにも可愛い子から人生で初めてされた告白を断る人なんていませんよ。そんな人は私が許しません!」

再びカナを強く抱きしめた。

するとカナも勇輝を抱きしめて声を上げて泣き出した。

声が聖堂に響く中勇輝はカナが泣き止むまでずっと抱きしめていた。




これで2章は終わりです。
これからもどんどん進んでいきます。
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