士官候補生の異世界漂流   作:サイレントグラス

4 / 56
もしよかったら感想お願いします。
あと意見なども受け付けています。


出発

勇輝は神とのやり取りを終えて森で目を覚ました。

ちゃんとM1を背中に背負っているし、剣もある。

そして側には勇輝が仕留めた2体のゴブリンが血まみれで倒れている。

・・・さっきのは本当のことだったのか?とりあえず何か試してみるか。でも魔法とかはどうするんだ?魔法は後回しにするか。・・・

 

 

勇輝は足元に落ちていた石ころを拾った。

・・・身体能力くらいは試せる。特に苦手だったボール投げなら分かりやすいはずだ。まぁ、ボールじゃなくてただの石ころだけどそれでもどれくらい飛ぶかでわかる。・・・

「ッ!」

ソフトボールでは全く遠くに飛ばなかった野球投げで石ころをある程度開けている方向に投げる。

すると石ころをは風を切るかのようなスピードで飛び、40mくらい先と思われる木にぶつかった。

おそらくもう少し飛んだと思われるがこれでも十分すぎる距離だ。

勇輝はこの投げ方でソフトボールをギリギリ30m飛ばせるかどうかだったが軽すぎて全く飛ばなさそうな石ころでここまで飛んだのだ。

・・・マジか…ありえないが本当みたいだ。ということは他も結構いけるな。スポーツができる身体能力が高い人たちはこんな気分なんだな。どうりでできない人の気持ちが分からんわけだ。こっちは必死にやっても足元にも及ばなかったのに。・・・

勇輝は突然の変化に喜びを感じながらも一方で複雑な気持ちになった。

 

 

「…そうだ。アレやってみよ。」

背中に背負っていたM1を取り負い紐を邪魔にならないようにきつく締めて銃床を右手で支えて右肩につけた。

銃を担ってている時の基本姿勢「担え銃」だ。

そこから銃床をしっかり掴んで肩から外して右腕を肩の高さまで上げて左手で銃の木製部分の先端付近を掴んだ。

銃口は真下から若干前の向きで止まった。

今度は右手を勢いよく下に下げて銃を体の横で回転させ、1.5回転して銃口が上になったところでキャッチして止まったらそのまま床尾を右足の真横に着くように銃を地面につけた。

この一連の技が「マリン立て銃」で儀仗隊の基本的な技の一つである。

「………すごい。銃が軽くて思ったとうりに動かせる。」

この技は基本的であるからこそ技量がよく分かるのだ。

・・・こんなピッタリに床尾と右足をつけるように置けるなんて…、キャッチもブレずにガッチリ止められた。どうやら筋力とか以外にも動体視力や制御力も上がっているみたいだな。・・・

「ヨシッ!なら!」

勇輝は決心したようにもう一度銃を担ってもう一度「マリン立て銃」の姿勢に移る。

銃がもうすぐ1.5回転する。

「ーッ!いける!」

回転している銃を受け止めた。

しかし、銃の動きを止めることはなかった。

本来キャッチするところを掴んで回転に沿うように右手を後ろに回してすぐに手首の限界が来る。

そこで右手を離し、今度は左手で銃の真ん中付近を掴んでさらに回転させて銃口が真後ろを向き、腰付近で体と水平になったところで右手を再び出してキャッチして固定した。

これだけでは終わらない。

銃床を持っている左手に力を入れて思いっきり回転をかけながら上に放り投げる。

M1はブレることなく回転しながら頭上まで上がった。

ちょうど回転して銃口が上を向いた時に意を決して右手を突き出して銃の先を掴んでそのまま担った。

「……できた。」

少し震えた声で呟いた。

・・・まさか儀仗隊のトップメンバー数人しかできないこの技がちょっとヒヤッとしたけど難なくできるなんて…。

勇輝が挑戦したこの技は「マリン立て銃」の発展技で通称「小技」と言われる高難度技の一つである。

銃を落としてしまう危険性が高いため、かなりの技量がある者しか練習することさえ許されない技だ。

・・・本物だ。僕だって下手ではなかったけど小技なんて出来ない。それがここまで出来たのならもう疑いようが無いな。・・・

満足げに負い紐を緩めて右腕を通して森の中を歩き始めた。

 

 

しばらく歩いたところで勇輝は奇妙なものを見つけた。

それは木の根元に立っていたが、うっそうとしげる森には違和感たっぷりであった。

「木の立て札…だよな?なんでこんなところに。」

念のためM1を肩から外して周囲を警戒しつつ立て札に近づくと何やら書いてあった……日本語で。

[魔法は使うものの魔力と想像によって発動するものであり特に詠唱などは要らず各々それっぽい名前や詠唱をして想像を固めて発動している。

無属性魔法の一つである時空間魔法の中には異次元に繋ぐことであらゆる物を収納したり取り出したりできるものがある。

基本的には手に触れて収納することを念じれば収納できる。

取り出す時は取り出したいものをイメージすれば取り出せる。

異次元に何が収納されているかを確認したりするために自分自身が異次元空間に入ることが出来る。]

・・・どう考えても僕に宛ててるよなコレ。本当に親切だなあの神さま。そうか…大抵はイメージだけで何とかなるのか。とりあえず名前とかは僕が知っている作品から色々引っ張ってくればいいかな?そうときたら実験だ。・・・

勇輝は手頃な木に右手の手の平をむけて狙いを定めてイメージした。

「メラッ!」

すると手の平から赤橙色のソフトボールかそれよりもう少しくらい大きな火球ができて真っ直ぐ飛んで行き、目標の木に命中した。

当たった瞬間に炎が広がって着弾点から半径1mくらいの焦げ跡を作った。

「おお…すごい。威力は十分だな。じゃあ今度はコレだ!」

次は人差し指だけを隣の木に向けた。

「破道の四…白雷ッ!」

指先から白い電撃が細く一直線に伸びて行き目標の木を貫いた。

・・・これも結構いいな。練習すれば狙撃もできそう。他にも色々やりたい技はあるけど残りの魔力がわかんないから無駄使いはやめよう。・・・

「最後にこれだけはやっておきたいな。」

M1を別の木に構えてサイトを覗き照準を定める。

「破道の四…白雷。」

ゆっくり呟くように言って引き金を引くと先程と全く同じ閃光が駆け抜けて木を貫いた。

「よし。狙撃ならこれでいける。」

M1を下ろして近くの木にもたれかかり休息をとることにした。

・・・魔力って休んだら回復するよね?・・・

 

 

休息を取っている勇輝だったが何もしないのも退屈だったので時空間魔法を試すことにした。

・・・収納したり取り出すぶんにはそんなに魔力使わないだろう。やってみるか。実験あるのみだ。・・・

勇輝は練習に行く前にポケットに入れていて今まで忘れていた透明のビニールテープを取り出して手の平に乗せた。

・・・念じればいいんだよな。……こうか?・・・

するとビニールテープは瞬間移動するかのように消えた。

「よしっ!今度は…。」

引き続き手を広げて想像をする。

・・・ビニテ、透明ビニテ・・・

すると消えた時と同様に手の上にビニールテープが現れた。

ある程度使っていて減っていた厚さも変わらなかったので同じものである。

・・・こんな感じか。それなら本番と行きますか!・・・

まずはM1を収納する。

「来い!9mm拳銃!」

勇輝が声を上げるとあらかじめ拳銃を握るようにしていた右手にピッタリ収まるように9mm拳銃が現れた。

・・・ついに実物を手に触れることができるとは…言葉にした方がイメージしやすくて気持ち的にちょっと早いな。あれっ、マガジンが空だ。弾は別なのか。装填までやるか。・・・

拳銃の弾はベージュ色の紙製の箱に20発入っていた。

・・・確か9mm拳銃は装弾数が9+1だったな。それならマガジン2つと2発余るな。………試し撃ちするか。・・・

マガジンをもう一つ出して弾を込める。

「フル装填ってやっぱりきついな。なかなか入らない。」

勇輝はM1と64式しか撃ったことがない。

M1は一発ずつしか撃たないし、64式も半分の10発を訓練で撃っただけだ。

………ちなみに64式の射撃は200mで散々だった。

・・・射撃の技量は上がっているのかな?筋力とかは上がっているから照準が安定したり反動をうまく抑えられるとは思うけど。・・・

なんとかマガジン1つのフル装填ともう一つは2発だけ込めてある。

2発入ったマガジンを拳銃に挿し込んでスライドを引く。

あとは狙って引き金を引くだけだ。

20mくらい離れた手頃な木に狙いを定める。

銃はしっかり保持されていてあまりブレないので狙いやすい。

「ーッ!」

ゆっくり引き金を引くとM1や64式とは違う音と反動が勇輝を襲った。

少し驚いたあと木を見るとおおよそ狙ったところに当たっている。

「もう1発!」

今度は構えてすぐに撃った。

慣れてしまえば反動もほとんど抑えられた。

弾はさっきより上に着弾していた。

流石にしっかり狙わないと近くに当てられないようだ。

・・・射撃も要練習といったところかな。やっぱり拳銃もいいな。・・・

勇輝は心なしか少しにやけていた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。