ポケットモンスター 夢のカケラを追いかけて 作:からんBit
バトルを終えたキバゴとベトベターは体力回復のためにたらふく昼ごはんを食べ、2人して野原の中に寝転んだ。
「ベトォ……」
「キバァ……」
ベトベターはとろけるように身体を広げ、日向ぼっこ。
キバゴはそんなベトベターの身体をベッドにして、大の字で転がっている。
タクミとマカナはそれを横目に少し遅めの昼ご飯を食べていた。
「……タクミ……ありがとう、バトルしてくれて」
「お安い御用だよ。というか、僕もマカナと一度本気でバトルしてみたかったしね」
実際、【どくタイプ】を専門に使うマカナがどういった戦い方をしてくるのかは1人のトレーナーとして非常に興味があった。
「それで、どうだった?」
その質問はバトルをする前にした話の続きであった。
何かに悩んでいたマカナ。それを振り切ろうとして始めたバトル。
だが、マカナの表情からはまだ憂いが消えていなかった。
「……それは……」
マカナのスプーンが止まる。それはバトルの前にも見せた思い悩んでいるような、落ち込んでいるような顔だった。
「……まだ……ごめん……」
「いや、いいよ。マカナが言いたくなったら言ってくれればいいから」
「……うん……もうちょっと……」
「うん」
そんな時、研究所の中からようやくミネジュンが姿を現した。
「あっ、ここにいたのかよ!ちょっと探しちゃったぞ!!」
「ミネジュン、随分時間かかったね」
「もう、ほんと面倒だったぁ!って、俺も腹減ったぁ」
作文を終えたミネジュンは研究所の中から持ってきた食事を手にタクミ達に同席した。
「で、なんの話してたんだ?」
「さっき、僕とマカナでバトルしたから、それについて話してた」
「えっ!!バトル!?俺もやる!俺も俺も!マカナ!俺ともバトルしてくれよ!!」
「……ごはんの後でなら」
「おっけぇい!!いよっしゃぁぁああ!!燃えてきたぁ!」
ミネジュンはそう言って、口の中にご飯を勢いよく掻っ込んでいく。先に食べ始めていたタクミ達より先に食べ終わりそうな勢いだった。
「……そんなに急いで食べると……身体によくない」
「大丈夫!大丈夫!ほら、こうやって水も一緒に飲めば問題ない!!」
「いや、ミネジュン。マカナが言っているのは喉に詰まらせるのが危ないってわけじゃなくて、よく噛んで食べないと消化に悪いって意味なんだけど……」
「そんなの時間がもったいないじゃないか!はやくはやく!バトルしようぜ!キャンプの間はタクミの特訓に付き合ってたからバトル熱が余ってしょうがないんだ!!」
「あぁ……それは、その」
それを言われるとタクミは強く言い返せない。
タクミの特訓に付き合わせて、ミネジュンとマカナの大事なポケモンキャンプの時間を奪ってしまったのは間違いないのだ。ポケモンキャンプは『地方旅』の前準備だ。旅をする上で大事なことが詰まっている。
それを台無しにしてしまった罪悪感はタクミの胸の奥でわずかに燻り続けていた。
だが、そんなタクミの感情など露知らず、ミネジュンはあっけらかんと言ってのけた。
「俺さ、タクミの昨日のバトルを見てすっげぇぇ興奮したんだ!!バトルって、すっげぇ楽しいんだって、すっげぇ面白いんだって、めちゃくちゃ思った!!」
「え?」
「特訓して、いろいろ試して、バトルで実践して、勝てなかった相手に勝つ!これがポケモンバトルなんだよな!これがトレーナーのバトルなんだよな!俺、マジに感動したんだ!昨日は疲れて寝ちゃったけど、今、めっちゃくっちゃバトルしたい!!」
目を輝かせてそう語るミネジュンを前にタクミはぽかんと口を半開きにして固まった。
タクミは自分の昨日のバトルはそんな大層なものではないと思っていた。
意地を張って、泥だらけになって、掬い取るようにして掴んだ勝利だ。
プロリーグや四天王戦のような感想を言われても、いまいちピンとこない話だった。
だが、そんなミネジュンの気持ちがわかる人もいた。
「……私もわかる……」
「えっ!?」
マカナが小さく呟き、タクミは驚きの声をあげた。
「……私も……その気持ちはわかる……」
「マカナもか!?やっぱそうだよな!!あれ見て燃えない奴なんていないって!」
盛り上がる2人にタクミは弁明するように口を開いた。
「な、何言ってんのさ2人とも。あのバトルはそんな……だって、喧嘩の続きみたいなバトルだし、勝ったって言ってもけっこう無茶苦茶な勝ち方だったし」
そんなタクミを遮るようにマカナが首を横に振った。
「……そんなことない……」
「で、でも」
「だって……私も……バトルしたくなった」
「え……」
「……バトルしたくなって……特訓したくなって……強くなりたいって……思った……だから……だから」
マカナはそう言って食べかけの食事を残してスプーンを置いた。
「……だから……ミネジュン」
「おう!!いつでも準備OKだぜ!!」
ミネジュンは既に食事を食べ終え、椅子から飛び跳ねるように立ち上がっていた。
「……ベトベター……」
「ベトォ!!」
マカナがベトベターを呼ぶと、ベトベターは身体をギュッと絞りながら、縦に伸びあがった。
「キバァ!?」
ベトベターの上に乗っていたキバゴが転げ落ちた。草原の上をゴロゴロと転がっていくキバゴをフシギダネが“ツルのムチ”で捕まえてバトルフィールドから避難させる。
そして、キバゴが目を回している間に、既にマカナとミネジュンは距離を取って向き合っていた。
「……ベトベター……連戦だけど……大丈夫?」
「ベトベ!!」
サムズアップらしき仕草をするベトベターに向けてマカナは小さく頷く。
「おっ!マカナはベストパートナーで来る気か?」
「……うん……タクミともベストパートナーとの1対1でバトルした」
「よし、それじゃあ俺もそのルールでいく!!頼むぞ!ケロマツ!!」
「ケロケロォ!!」
ボールから出てきたケロマツは気合十分に身構えた。
「いくぞ!マカナ!!」
「……うん!!」
バトルが始まる直前の張り詰めた空気。
こうなってしまえばこれ以上口を挟むのは不粋というものだった。
タクミも目の前のバトルに引き寄せられ、食事の手が止まる。
そして、気が付けばキバゴを降ろしたフシギダネが“ツルのムチ”を構え、2人の間に立っていた。
フシギダネは両者の準備が整ってきることを確認して、その“ツルのムチ”を勢いよく振り下ろした。
「ダネダッ!」
『試合開始ッ!』
例えポケモンの声が聞こえずとも、フシギダネの宣言はトレーナーの本能に響き渡った。
「先手必勝!!“でんこうせっか”!!」
「ケロッ」
やはり先に動いたのはミネジュン。
だが、それに対してマカナの指示も早かった。
「ベトベター、伏せて回避」
「ベトッ!!」
ベトベターはケロマツの高速の攻撃をひらべったく身体を縮めることで完璧に回避してみせた。
それを見た瞬間、タクミは思わず息を飲んだ。
ミネジュンのケロマツのスピードはタクミも一度味わった。生半可な反応速度で回避できるものではないはずだ。少なくとも、ケロマツの行動を『見て』からトレーナーとポケモンが反応するのであれば絶対に間に合わない。
となれば、マカナは『見る』前からミネジュンの行動を予想していたのだ。
マカナはミネジュンが一手目で“でんこうせっか”を出すことを最初から見切り、ベトベターと打ち合わせをしていたのだろう。
「ケロッ!?」
真下を取られたケロマツ。その無防備なボディに目掛けベトベターが攻撃態勢を取る。
「……“はたく”」
「ベトォッ!!」
真下から打ち上げるような攻撃にケロマツの身体が空中へと投げ出された。
そして、空中で身動きが取れないケロマツにベトベターは素早く狙いを定めた。
「“アシッドボム”」
「ベトォ!!」
口の中に貯めこんでいた毒素の爆弾を次々と放つ。
確実に決まると誰もが思った。
「ケロマツ!!ケロムースで吸い取れ!!」
「ケロッ!!」
ケロマツは首に巻いている泡の塊を盾のように構えた。
ケロマツは首回りに巻いている泡はケロマツが自身の粘液で固めて作った弾力のあるムースだ。
空気を多量に含んだムースはいわば天然のスポンジ。ケロマツはムースで水分を吸い取るように飛んできた毒素の泡沫を吸収していった。だが、それで全てを防げるわけではない。数発の“アシッドボム”がケロマツの身体を擦るように通過し、小規模な爆発でケロマツの身体をいたぶる。
ケロマツは致命傷だけは避けつつ、なんとか着地して後退した。
だが、毒を吸ったケロムースは最早使い物にならず、放棄せざる得ない。
次のムースをを生み出すのには時間がかかることを考えると先程の防御はもう使えない。
「……ミネジュン……次はないよ」
「ご忠告どうも!!でもな、俺達は止まらないんだよ!ケロマツ!“でんこうせっか”!!」
「ケロッ!!」
ミネジュンは愚直にも先程と同じく真正面からの攻撃を選んだ。
「……っ!!……ベトベター!!」
マカナの反応が遅れる。
ミネジュンが2度も立て続けに“でんこうせっか”を使ってくるとはマカナも予想していなかったようだった。
普通、一手目で“でんこうせっか”を完璧に見切られたのだから、同じワザを使うのは躊躇いそうなもんだ。
だが、ミネジュンにはそんな理屈は通じない。
『最速こそ最強』それがミネジュンの戦い方なのだ。
「ケロッ!!」
ケロマツの“でんこうせっか”がベトベターの身体に刺さる。
軟体の身体でもお構いなしの高速の突撃。防御と体力に自信のあるベトベターでも、さすがに直撃をくらえばただではすまない。
わずかに後退するベトベター。
そして、ケロマツはすぐさまその場から飛びのき、ベトベターと距離をあける。
ケロマツが姿勢を整えた瞬間、すぐさまミネジュンの指示が飛んだ。
「ケロマツ!“でんこうせっか”『イナズマ』」
「ケロロッ!!」
先程の直線軌道の攻撃ではない。ジグザグ走行で突撃を仕掛けてくるケロマツ。
左右にステップを刻んだだけの攻撃だが、それをケロマツのスピードで行えば、目で追うことすら困難だ。
ベトベターはケロマツの動きに対応できず、二発目の“でんこうせっか”を叩き込まれた。
「ベトベェ!!」
ベトベターは攻撃を受けた瞬間にカウンターの反撃を狙ったが、ケロマツには当たらなかった。
ベトベターが反撃の為に腕を振った時には、ケロマツは既に後退して次の攻撃に備えていた。
お手本のようなヒット&アウェイだった。
「ケロマツ!もう一回だ!“でんこうせっか”『イナズマ』」
「ケロッ!」
今度はステップの歩幅を変えつつ迫るケロマツ。
攻撃してくる方向は右か左で限定されているものの、その攻撃のリズムは先程とはまるで異なる。
それでもマカナは狼狽ることなく、バトルフィールドを見据えていた。
「……ベトベター……集中」
「ベト」
マカナが静かに息を吐きだした。長く、深く息を吐く。瞬きも止め、視野を狭め、身体が生理的に生じさせる雑音をシャットアウトしていく。
狙うは一発目と同じ“はたく”によるカウンター。
「ケロケロケロォ!!」
迫り来るケロマツ。あまりのステップの速度にケロマツの残像が見える程であった。
そして、マカナは囁き声のように静かに言った。
「……右!!」
「ベトォ!!」
ドンピシャだった。
“でんこうせっか”の後ろに残る光の軌道が完全にその場で止まった。
ベトベターの右腕がケロマツの腹部に叩きつけられた。完璧に攻撃が刺さった。ベトベターはケロマツを斜め上方向へと打ち上げた。『ホームラン』と形容できる程に綺麗な放物線を描いていくケロマツにマカナは指を差した。
「“アシッドボム”」
ベトベターが口に含めた毒素が散弾のように降り注ぐ。
これを防ぐ術はケロマツにはなかった。
「ケロマツ!!」
“アシッドボム”が命中し、落下するケロマツ。受け身を取ろうとしないケロマツを見てミネジュンは思わずバトルフィールド内に飛び込んだ。ミネジュンがスライディングをしながら地面とケロマツの間に身体を挟み込んで手を伸ばす。
だが、ケロマツはその両手をすり抜け、ミネジュンのお腹へと落下した。
「ぐぇっ!!」
「ケロッ……」
ミネジュンのお腹で目を回すケロマツを見て、フシギダネが“ツルのムチ”を振り上げた。
「ダネダァ!ダネッ!!」
その“ツルのムチ”をマカナとベトベターの方へと向けるフシギダネ。
随分と審判として様になっているフシギダネ。
新人トレーナーが数多く旅立つ研究所に長くいれば審判役をやってきたことも多いのであろう。
そんなフシギダネの勝利宣言を受けたマカナ。
彼女は茫然としたような顔をしながら、足元のベトベターを見下ろした。
「……勝った……の?」
「ベトベ、ベトベ」
うんうん、と頷くベトベター。
「……勝った……」
「ベトッ!」
バトル開始前と同じようにサムズアップするベトベター。
マカナはペタンとベトベターの傍に膝をついた。
「……ベトベター……初勝利だ」
「ベト」
そして、マカナはほとんど表情を変えないまま、ベトベターを力いっぱい抱きしめた。
「……勝った……うん……勝ったんだ」
「ベトベ!!」
そんなマカナを同じように抱きしめるベトベター。
マカナは自分の勝利がまだ信じられないような顔をしていたが、ベトベターの方は満面の笑みであった。
「ゴースゴスゴスゴス!!」
「ドヒィドイデ!」
「ニドッ!!ニドッ!!」
「……みんな……うん……私……勝ったよ」
マカナのポケモン達も集まってきてマカナに飛びかかるようにしてハグをしていく。
ニドランがその前足で足に掴まり、ヒドイデが肩に乗って触手で腕を抱き、ゴースが周囲を高速で飛び回って螺旋状の雲をつくる。
ポケモン達に囲まれたマカナ。
相変わらずの無表情かと思いきや、ポケモン達の隙間から垣間見えた瞳は泣き出す一歩手前のように潤んでいた。
どんな人にとっても、トレーナーとの初勝利ってのは心に残る勝負だ。
その勝利を自分のポケモン達とあれほどまでに分かち合えるというのはとても素晴らしいことだった。
だからこそ、タクミは非常に申し訳ない気持ちでミネジュンの背中をさすっていた。
「おーい、ミネジュン?」
「うっ、うぷっ!うぉぉえぇぇええええ」
「だから、よく噛んで食べなって言ったのに……」
腹に一撃を受けたミネジュンが先程食べた昼飯を口から逆流させていたのだった。
吐瀉物特有の酸っぱい匂いを嗅ぎながら、この臭いがマカナまで届いていないことをタクミは願うばかりであった。
――――――― ※ ――――――― ※ ―――――――
バトルを終え、一通りポケモン達のケアをした後は再び昼食タイムであった。
ミネジュンは吐き出してしまった昼食の分を埋めるように研究所の中から再び食料を確保してきた。
マカナは食べかけの昼御飯に再び手をつけ、タクミもまだ小腹がすいている気がして追加のパックを開けていた。
「くっそぉ……初敗北だ」
ミネジュンがそう言って肩を落とす。
「そういえばそうだったね。まともにバトルして、負けたのは初めてか」
「ちくしょう……俺の連勝伝説がたった2回目で消えちまった……」
「連勝記録って、そんなの狙ってたの?」
「生涯負けなしってカッコいいじゃん!」
ミネジュンはそう言ってタハハと笑った。
「でも、負けることは恥じゃないもんな!俺はこの『キャンプ』でそれをたっぷり学んだ。恥ずかしいのは負けることじゃない!負けて、負けたままでいることだ」
「確かに。いい教訓になったね」
「お前が教えてくれた教訓だぞ。何他人事みたいに言ってんだよ」
「いや、そんな大層なことしたつもりはなくて……」
タクミはそう言って苦笑いを浮かべる。
ただ、その内心ではミネジュンの言葉を深く胸の奥に刻みつけていた。
『負けて、負けたままでいてはいけない』
タクミもこの『キャンプ』でそのことを学んだ。
涙を流して、悔しさに打ち震えていたタクミに『特訓をしよう』と言ってくれたのは他でもないミネジュンだ。そして、そんな特訓に付き合って色々とアイディアを出してくれたのはマカナだ。
勝つために工夫して努力する。
このポケモンキャンプでタクミはトレーナーとして大事なことを学んだと自覚していた。
「………」
そんなタクミとミネジュンの会話を聞きながら、マカナは最後の一口になっている昼食を見つめていた。
「……負けて……負けたままでいること」
そう言って、マカナは意を決したかのように最後の一口を咀嚼した。
それが合図であったかのように、タクミはマカナの方に話題を振る。
「それで、マカナ。悩みは吹っ切れた?」
「…………」
「悩み?なんだそれ?」
「マカナがなんか悩んでたんだよ。それで、バトルしたらなんかわかるんじゃないかって思ってバトルしたんだよ」
「へぇーそうだったんだ。そんで?そんでそんで?その悩みってどうなったんだ?」
「それを今聞いたんだよ」
「あ、そっか。で?で?で?」
身を乗り出すようにしてマカナに詰め寄るミネジュン。
タクミもそれほど積極的じゃないが、話を聞く姿勢を取っていた。
実のところ、彼女の悩みというのを2人にはなんとなくわかっていた。
「……うん……今、決めた」
タクミとミネジュンが大きく頷く。
2人はマカナがこの『キャンプ』の前に彼女が何を悩んでいるのかを知っていた。
このポケモン界にきて最初の夜。
夢を語るのが恥ずかしくて、口にするのが怖かったマカナ。
それが、この『キャンプ』と先程の『バトル』を経て何か結論を出したというのなら、その答えは決まっていた。
「……リーグに出場する」
マカナははっきりとそう言った。
「……バッジを8個集めて……リーグに出場する……」
その台詞がマカナの口から出たことが嬉しくて、ミネジュンはその場で諸手を上げた。
「そうだよ!そうそう!せっかく『地方旅』に行くんだ!!頑張って旅して、絶対にリーグ出ようぜ!!あっ!?でも『地方旅』が一緒の地方になるとは限らないよな?」
「……大丈夫……私も……カロス地方」
「ほんとかよ!!いよっしゃいよっしゃ!!それじゃあ俺達、ライバルだな!!」
ミネジュンがそう言うと、マカナは少し驚いたような顔をしたが、すぐさま仄かな笑みを浮かべた。
「うん……ライバルだ」
「そうだ!ライバルだ!旅の間もちょこちょこ会って、バトルして、鍛えあって!そんで最後はリーグで大観客の前でみんなでバトルしようぜ!」
ミネジュンは目を輝かせながらそう言った。
タクミもその未来を思い描いてみる。マカナやミネジュンとあのセキエイリーグのような巨大なスタジアムでバトルするのだ。テレビ中継されるような大舞台でのポケモンバトル。想像するだけで胸の奥が熱く滾ってくる。
「いいね!いい目標だ!みんなでカロスリーグに出場するんだ」
「……うん……」
「いよっし!約束だぞ!!3人でカロスリーグに挑戦だ!!目指すは優勝!!」
ミネジュンはマカナとタクミに挑戦するかのように拳を突き出した。
「ぜってぇ、負けねぇからな!」
「それはこっちの台詞だよ!!負けるもんか」
タクミもミネジュンに倣うように自分の拳骨を突き出す。
「……私も……負けない……ミネジュンにも……タクミにも」
マカナも拳を固めて控えめに前に出す。
そして、3人はライバルらしく拳を一か所に合わせた。
ゴツンと強めに拳がぶつかる。骨と骨がぶつかったせいで予想以上に痛かったが、タクミ達の笑顔が消えることはなかった。