ポケットモンスター 夢のカケラを追いかけて   作:からんBit

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来ちゃった!来ちゃったぁ!?

タクミは飛行機に預けたリュックが戻ってくるのすら無視してロビーに飛び出していた。

 

「アキ!!何してんのこんなとこで!えっ!?えっ!?本物!本当のアキだよね!?」

「当たり前じゃん。っていうか、タクミ、驚き過ぎだよ」

「いやだって……えぇっ!!えぇっ!!」

 

ミアレエアポートの到着ロビーで待っていた車椅子の少女。そこにいたのは地球の自宅で寝ているはずの『御言 アキ』本人だった。

 

本当なら再会を喜び、笑っておくべき場面なのであろうが、それよりも圧倒的な『驚愕』がタクミの頭を支配し、それ以外の感情と思考を停止させてしまった。顔はビックリ顔から一切動かず、頭の中はぐちゃぐちゃで、物事を順序立てて考えることすらできない。語彙を失ったタクミはひたすらに「えぇっ!?」とか「なんで!?」と繰り返すばかりだ。

 

これ以上ないくらいに狼狽え、取り乱すことになっているタクミを前にアキはクスクスと笑う。

 

こうなることはアキには想定内であった。

むしろ、想像通りの反応をしてくれるタクミを見てると楽しくて仕方がない。

最高のドッキリを仕掛けたアキは更に情報を追加していく。

 

「タクミ、私ね、一緒にリーグに出られるよ」

「はいっ!?ちょっ……えっ?どうやって!?だってアキは……」

「あっ、それとね。今、ミアレの病院に入院してるんだ」

「入院!?なんでこっちに!?ちょっ、ちょっと待ってって話がわかんないって」

「今度手術になった」

「しゅじゅつ!?しゅじゅつって何!」

「それでね…」

「ちょっと待ってって!もうダメだから、既に頭の中パニックだから!」

 

タクミはついにキャパオーバーしたかのように両手を耳に当て、頭上の一点を見上げて固まってしまった。目は点になり、表情は消え、その様子は壊れたロボットの玩具のようで、耳から煙が噴き出していないことがむしろ不思議に見える程だった。

わざと立て続けに情報を流し込んでパニックを誘発したアキであったが、タクミの思考回路が火を噴く結果になるとは予想していなかった。

 

ここまで素っ頓狂な表情をするタクミが珍しく、アキはたまらず喉の奥で笑いだした。

 

「くふ、くふふ、タクミ、面白すぎ」

「え……え……えぇ……」

 

タクミは力尽きたかのようにその場に胡坐をかいて座り込む。

車椅子に座るアキを見上げながらタクミは目を何度かパチクリと瞬かせる。

そして、ようやく目の前のことが頭の中に浸透していった。

 

アキがここにいる。ポケモン界に来ている。

 

それをようやく認識したタクミ。

 

すると、なぜか不思議と喉の奥から笑い声がこみ上げてきた。

 

「ははは……ははは……はははは……はははは!あっははっはははは!」

「くふふふ……はははは!!」

 

タクミとアキが堰を切ったように笑いだす。

 

タクミはアキがポケモン界にきていたというサプライズに笑った。

アキはタクミをたっぷりからかえたことで笑った。

 

タクミはアキが元気な姿でいることが何故か可笑しくて笑った。

アキはタクミが過剰なまでに安堵してることが可笑しくて笑った。

 

そして2人はこうしてポケモン界で一緒に立っている事実が涙が出る程に嬉しくて笑っていた。

 

「ほんと……ほんと……よかった」

 

タクミは涙ぐんでしまった目元を擦る。

 

「そんな、泣く程じゃないじゃん」

「アキだって泣いてるくせに」

「え……えへへ……だって、だってさ……なんか、ほんと、嬉しくて」

「うん……うん……」

 

夢だった。願いだった。ずっと叶わないことだと思っていた。

 

『アキと一緒にポケモン界に行く』

 

そんな、自分達が思い描いていた夢の一欠けらが拍子抜けするほどにあっけなくこんな簡単に実現してしまったのだ。

 

タクミの瞳からは後から後から涙が湧き上がってくる

それを服の袖で強引にぬぐい取り、タクミは満面の笑みで立ち上がった。

 

「アキ……」

「ん?なに?」

「僕が言うのもなんだけどさ……」

 

タクミはそう言って、左手の掌を向けた。

 

「ポケモン界にようこそ」

「……うん!!」

 

アキはその手に勢いよく自分の右手を叩きつける。

渾身のハイタッチを交わした2人はこれ以上ないくらいに笑っていた。

 

そんなタクミの傍に投げ捨てるようにリュックが投げ落とされた。

 

「うわっと!」

「タクミ!突然消えたと思ったらこんなとこにいたのか!?お前な、自分のリュックは持ってけよ!いきなりはしゃぎだしやがって、俺だっていち早くミアレシティを見たかったんだぞ!」

 

振り返れば憤懣やるかたなしと言ったミネジュンが眉をハの字にして立っていた。

その後ろではマカナが表情の乏しい顔で小首を傾げていた。

 

「……タクミ……その人……知り合い?」

「えっ、あ、ああうん、そうだよ、えと、彼女が……」

 

その時、タクミは自分の服の裾がギュッと引っ張られるのを感じた。

ふと、隣に目を向けるとアキの白い指先がタクミの服の裾を小さく掴んでいた。

 

これまでの人生のほとんどを病室で過ごしてきたアキ。

タクミと一緒にいる時は快活な態度である彼女であるが、少々人見知りをするところがある。

 

タクミはそんなアキを安心させるように歯を見せて笑い、先に2人を紹介することにした。

 

「アキ、こっちの男子が何度か話をした『峰 潤』。みんなからはミネジュンって呼ばれてる。僕のともだち……まぁ、親友でいいか」

「えっ!この人があのミネジュン?あ、あの初めまして……御言 アキです」

「ほえ?えっ!?えっ!!えええええ!!アキ?アキって、もしかしてアキちゃん!?タクミが言ってた!!えっ、なんでここにいるの?病院で死にかけてるんじゃなかったの!」

「誰も『死にかけてる』なんて言ってないだろ!!」

 

タクミが血相を変えて怒鳴り、アキの方は若干顔をひきつらせた。

 

「あ、『アキちゃん』?」

「あっ、ごめんごめん。タクミがあんまり親し気に話すからなんかもう友達になった気分でさ。ミコトさん?ミコトちゃん?」

「えと……『アキ』でいいよ。ミネジュン……でいいのかな?タクミからいっぱい話は聞いてる。『カエル事件』とか『牛乳プリン事件』とか」

「えっ!タクミ!話したのかよそれ!!」

「そりゃね。ミネジュンを語る上で避けては通れないからね」

「ほんとにあれ話したのかよ!!!……ちょっと待て……アキ、『かくれんぼ事件』と『ピンポン事件』は聞いたか?」

「え?なにそれ?」

 

その瞬間、タクミが別の意味で血相を変えた。

 

「やめろぉおおお!それは話すなよ!絶対話すなよ!!」

 

そして、慌てふためくタクミの態度にアキが目を輝かせた。

 

「えっ、なにそれなにそれ。タクミの恥ずかしい話?聞きたい聞きたい」

「いいから、聞かなくていいから!それよりも!マカナの自己紹介の方が先!話についていけなくてさっきから困ってるじゃん!!」

 

そう言ってタクミがマカナを指差したが、彼女は静かに首を横に振った。

 

「……気にしなくていい」

「いや、ここは先に自己紹介を済ませた方がいいでしょ」

「……後でいい……私も聞きたい……タクミとミネジュンの恥ずかしい話」

「マカナも興味津々かい!」

 

普段はポケモンの話にしか食いついてこないくせに、こういう時だけ生き生きとして目を輝かせるな。

 

タクミは冷や汗をかきながら胸の内でツッコミを入れつつ、ここからなんとか話題を逸らそうと頭を回した。だが、それより先にアキが動きだした。

 

「それなら近くにおいしいカフェがあるんだよ。名物のミアレガレットとミックスオレが有名なお店。そこに行こうよ」

 

アキがそう提案すると、マカナの眉がピクリと動いた。

 

「……もしかして……カフェ・ソレイユ?」

「そうそれそれ!カロスチャンプも行きつけのお店!お値段もお得だし、すっごいおいしいんだ。昼にはめちゃくちゃ混むんだけど、この時間なら空いてると思う」

「……行きたい……あ、私……江口マカナ……タクミとミネジュンとはキャンプで知り合った」

「私、御言アキ。よろしくね!」

「……こちらこそ」

 

女子2人がすぐさま打ち解けた横でタクミとミネジュンは話の流れに困惑していた。

 

「えっ、どうする?確かポケモンセンターの人が迎えに来てくれるんだったよな?無視してカフェに行ったらまずいんじゃないか?」

 

当然の疑問を口にしたミネジュンに対してタクミはそれどころではなかった。

 

「いやいやいやそれよりも僕の事件の暴露大会が始まろうとしてることの方が問題なんですけど!」

「諦めろ。ってか、俺の事件を勝手に話してたお前が悪い。タクミのも話さなきゃ不公平だ!あっ、あそこにいるのが職員の人っぽいな。俺、ちょっと聞いてくる」

「ちょっ、ミネジュン!!」

 

タクミとしては『かくれんぼ事件』はともかく『ピンポン事件』の話は本格的にまずい。

あれはまだ自分の中でも消化しきれていない程の恥ずかし事件なのだ。

ここは逃げる為になんとかしないと。

 

だが、そうやって色々と思考を巡らせている時間はなかった。

 

ミネジュンが素早く職員さんに事情を話して別行動の許可をもらい、マカナが念の為にとミアレシティの地図を検索し、アキが真っ先に音頭を取ってエアポートの出口へと向かって車椅子を動かした。

 

3人は身もだえるタクミを振り返り、手招きする。

 

「ほら、タクミ。早く早く!」と、アキが心底嬉しそうに手招きする

「急がないと混むんだってよ、遅れるなって」と、ミネジュンがグズグズしているタクミを叱るように言う。

「……ここからは遠くないけど、アキのこと考えてタクシーがいいかも」と、マカナは最早カフェの方に興味が移っているようであった。

 

タクミはもうこれ以上の抵抗は無駄と考えて、とぼとぼと歩き出した。

 

『地方旅』初日。カロス地方での最初の一歩。

夢にまで見たそれは思った以上に重い足どりになってしまった。

 

「……ま、いいか……」

 

それでも、決して叶わないと諦めていたことが現実になったのだ。

タクミは小走りでアキに駆け寄り、電動車椅子の取っ手を握った。

電動車椅子を押す必要は本来ないのだが、何か起きた時にすぐ行動できるように一緒にいる人はその取っ手を握っておいた方がいい。それが車椅子に乗っている人に対する安心感にもなる。

 

そういった気遣いにアキはタクミの顔を見上げてはにかむような笑顔を浮かべた。

 

「ありがと、タクミ」

「いつものことだよ」

 

そして、タクミ達は4人でミアレエアポートの外に出た。

 

その瞬間、カロス地方に特有の乾燥した温かな空気とカルボナーラのようなチーズの香りが鼻腔を通じて身体の中に流れ込んできた。

 

新しい世界。新しい土地。新しい旅がここから始まるのだ。

否応なしに期待に胸が膨らんでいくタクミ達を見上げ、アキは皆に呼びかけた。

 

「タクミ、ミネジュン、マカナ」

 

3人の注目を集めたアキは皆の顔を順に見渡し、顔全体で笑った。

 

「ようこそ、カロス地方へ」

 

それはこの『地方旅』が最高のものになることを予感させるような、眩しいくらいの笑顔だった。

 

 

 

 

――――――― ※ ――――――― ※ ―――――――

 

 

 

ミアレシティ、カロス地方最大の大都市であり、円形状の美しい街並みが特徴的な町だ。

中央通りにはカフェやブティック、レストランなどが立ち並び、外周付近には立派なビジネスビルやポケモン研究所、教育機関、アトリエなどが軒を連ねている。あらゆる文化、経済、情報、芸術の最先端であり、カロスの中心地として名に恥じぬ町である。

そんな町を歩けば、どんな場所からでも中央に聳え立つプリズムタワーを見ることができる。プリズムタワーとはこの町の展望台であり、電波塔でもあり、夜間にはライトアップもされる観光名所だ。そんな、ミアレシティのシンボルとも言えるそのタワーだが、その実はポケモンリーグ公認のジムだ。【でんきタイプ】のエキスパートである若きジムリーダーが守るミアレジムであるが、今は改装工事中らしく、ジム戦は休業中だ。とはいえ、まだカロスリーグの参加登録も済ませていないタクミ達にとってはあまり関係がない。

 

タクミ達はアキの案内でミアレシティでも人気のカフェである、カフェ・ソレイユで談笑に花を咲かせていた。

車椅子でも出入りが楽なテラス席でミアレガレットでちょっと早めの昼御飯。

温暖な気候と柔い日差しを受けたカフェの一時ではあるが、タクミは今すぐにでもこの話が終わることを祈っていた。

 

「でさ、そこでタクミが盛大にすっ転んでもう大惨事!」

「あははは!そんなことあったんだ」

「……そこまでやるのはなかなか」

「それで、その転び方もまぁ悲惨な転び方でさ。こういう風に前から転ぶもんだからタクミの顔にベッチャリで」

「あはははははは!だめ、だめ、もうお腹痛い」

「……くふ」

 

アキに容赦なく笑い飛ばされ、普段無表情のマカナにも笑われ、タクミは過去に戻ってバカで不運だったあの時の自分を縊り殺すことばかりを考えていた。

 

「はぁ、久しぶりにこんなに笑ったかも……タクミったら、教えてくれればいいのに、ウリウリ」

「やめて、お願い、あれはもう思い出したくない」

 

『かくれんぼ事件』も『ピンポン事件』も『チワワ突撃事件』まで暴露され、タクミはミネジュンに頼んでディグダに穴を掘ってもらいたい気分だ。だが、なによりも先にすべきことは包み隠さず全てを話したミネジュンに制裁を加えることのような気もする。とりあえず、とっておきの『迷子事件』をいつか暴露してやることを胸に刻みつつ、タクミは気になっていたことを聞くことにした。

 

「僕の話はもういいよ。それよりアキ」

「なに?ババロアは持ってないよ」

「そんなこと誰も言ってない」

 

『チワワ突撃事件』のオチを持ち出され、タクミは渋い顔をし、ミネジュンとマカナはまた声をあげて笑った。

 

「そうじゃなくて、アキもポケモンリーグ出られるって話。あれ、どういうことなの?」

「ああ、それはね……」

 

そして、アキがそのことについて説明をしようとした時だった。

通りを歩いていた女子の1人がアキに気がついて声をかけてきたのだ。

 

「あっ、アキじゃん!やっほー」

「えっ?あっ、ミーナ。どうしたの?買い物?」

 

声をかけてきたのはタクミ達と同い年くらいの女子。金髪碧眼にやや細長い顔、ソバカスが目立つせいか随分と活動的な印象のある女子であった。

 

「いや〜私はスクールに忘れ物しちゃって。アキはお茶?」

「うん」

「ん?この人達は?てっきりスクールの連中かと思ってたけど」

「この人達は私の地球界の友達なの。ほら、もうリーグの登録も始まったし」

「そっかそっか『地方旅』の人達なのか」

 

そして、ミーナと呼ばれた女子はタクミ達に向け、スカートの端を摘みながら優雅にお辞儀をした。

そういった所作が自然と出てくるあたり、カロス地方という別の文化圏にやってきたのだと実感させられる。

 

「カロス地方にようこそ、私はアキと同じクラスのミーナ。よろしくね」

「同じクラス?」

「そう、ポケモンハイスクールのバトル特進クラス」

「どういうこと?」

 

タクミが尋ねるとアキの友人のミーナは怪訝な顔をアキの方へと向けた。

 

「あれ?アキ、もしかして何も説明してないの?」

「あはは……実は全部ナイショにしてたんだ。驚かせたくて」

「へぇ~」

 

なんだか意味ありげに口角を持ちあげるミーナ。それに対してアキは何か弱味を握られたかのように目を背けた。

タクミはそんな2人の態度も気にはなった。だが、今の話の内容にどうしても聞き逃せない箇所があり、そちらの解決を優先した。

 

「アキ、今、転校って言った?」

「うん」

「転校したの!?」

「そうなの。ポケモン界にできたスクールにね、1年限定だけど」

「1年限定?どういうこと?」

「それは私がお話ししましょう」

 

全く話の内容が理解できないタクミにミーナが堂に入った態度でお辞儀をした。

まるで、大衆演劇の女優のような仕草にタクミ達の視線が一気に集まった。

 

「マカナと私が通っているポケモンハイスクールバトル特進科は1年間の数ある講義と実習をこなし。その成績に応じて通常のジムバッジと同じ効力を持つ、ハイスクールバッ巡が渡されるのです。つまり、ここで一年勉強すればこの地方を巡ってバッジを集めることなく、ポケモンリーグへの出場権が得られるのです!」

「おお~~~……」

 

彼女はダイナミックに腕や指先を動かしながら緩急をつけて、ハイスクールについて説明をした。

その一つ一つの動きは随分と洗練されており、自然と人の目を惹きつけるものであった。

タクミ達は思わず感嘆の声と共に軽く拍手をしてしまった。

 

「なるほど、それでアキはカロス地方に来たってこと?」

「うん!こっちの病院で治療を受けながら、ハイスクールに通って、私もみんなと一緒に『地方旅』に挑みたいんだ。それで、ポケモンリーグに出場する」

 

そう言って、アキはニパッと花が咲くように笑った。

すると、すぐさまミネジュンがガッツポーズを振り回して立ち上がった。

 

「おおっ!マジかよ!それじゃあ、またライバル登場ってわけで!!すげぇすげぇ、やっぱ『地方旅』ってすげぇや!どんどんライバルが増えてく!!俺達でポケモンリーグの出場者を全部埋めてやろうぜ!!」

 

大それた目標を言ってのけたミネジュンであったが、それをミーナがたしなめた。

 

「簡単に言ってくれるじゃない。言っとくけど、カロス地方のリーグはそんなに甘くないからね」

「あったり前だ!簡単じゃないから挑む価値があるんだよ!」

「あら、いいこと言うじゃん……えーと、名前なんていうの」

「俺?俺は『峰 潤』。ミネジュンって呼んでくれ!」

 

ミネジュンとミーナが自己紹介をする隣ではマカナがアキとハイスクールについての細かい話を聞いていた。

 

「……じゃあ、みんなが挑戦権を得られるわけじゃないんだ」

「うん。1年勉強して、いっぱいバトルして、リーグの出場権を得られる人は毎年4、5人だって。下手したらジムを8つ回るより狭き門」

「……そっか……でも……よかった……アキも一緒に……頑張れるんだね」

「うん!そうなの!『旅』はできないけど、私はみんなと一緒に『挑戦』ができる。それが、やっぱり嬉しいよね」

 

朗らかに笑う4人の少年少女達。

その中でタクミただ一人だけが何かを胸の奥に封じ込めているかのように堅い表情のまま強く拳を握りしめていた。

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