ポケットモンスター 夢のカケラを追いかけて   作:からんBit

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更新が遅くなって申し訳ありません。

まぁ、皆さん予想していたと思いますがパルデア地方に遠征しておりました。
いやぁ、今回のポケモンは最高でした。めちゃくちゃ楽しかったし、今なお現在進行形で楽しんでおります。

それにしても……

しゃぁっ!オノノクスがアイアンヘッド覚えたっ!!
くくく……これで、にっくきミミッキュを確定一発にできますよ。
なにっ!?テラスタル!?

ではでは、余談はここまでにして本編どうぞ


修行編が好きなのって自分だけ?

 

「お願いします!!僕を……このジムに入門させてください!!!」

 

頭を下げたタクミを前にして門下生の間に一気にざわめきが広がった。

 

「ええっ!?でもタクミ君!?入門って……マジで?」

「門下生になるってこと!?『地方旅』はどうする気!?」

「っていうか、いいんでしょうか?彼、【かくとうタイプ】のポケモン持ってないですよ!?」

 

それに対してコルニの表情は揺るがない。

頭を下げたタクミを見下ろし、静かな声で問いかける。

 

「……タクミ君。ここは【かくとうタイプ】のジム。【かくとうタイプ】のポケモンをより深く理解し、鍛える為の場所。中にはジムリーダーを目指す人たちだってここにいる。その中に、【かくとうタイプ】のポケモンを持たないタクミ君を入れるわけにはいかない……昼間許可したのはあくまで『体験』のみ……君を門下生として受け入れることはではできない……それはわかってる?」

「わかってます」

 

タクミは即答し、地面に穴を掘らんばかりに額を砂地にこすりつけた。

 

「その上で、無理を承知でお願いします!僕をこのジムで修行させてください!!」

 

キバゴとクチートもタクミに倣い、頭をより深く下げた。

コルニは自分の髪の先をチラチラと弄る。

苛立ちとも、諦めともとれるような態度だが、頭を下げたままのタクミにはそんなコルニの様子はわからない。

コルニは小さくため息を吐き、タクミに再度質問をした。

 

「タクミ君、どうしてそこまでこのジムにこだわるの?」

「……ここに……全てがあるからです」

「全て?」

「はい!!」

 

タクミが顔を上げた。

その彼の目にはギラギラとした闘争心が宿っていた。

 

「あなたに勝つための全てがあります」

 

防御の技術を含めたポケモンバトルの基礎を鍛える環境も、食生活に関するアドバイザーも、何よりも日々コルニのルカリオを最も近い場所で研究することができる。

タクミはコルニに教えを請いに来たのではない。コルニに勝つ為に学びに来たのだ。

 

これが、タクミなりに考え、悩み、そして導き出したゴールへの最短距離なのだ。

 

「あなたに勝つために……僕を鍛えてください!!」

 

それは、見ているこちらが恥ずかしくなる程に純粋で真っすぐな宣戦布告。

それが伊達や酔狂ではないことは疑うまでもない。

 

コルニはジムの隣に聳える『マスタータワー』へとチラリと目を向けた。

夜の月明かりの中でぼんやりと浮かび上がった『マスタータワー』。

その上階のバルコニーに人影が見えていた。

 

このジムの入門には『師範』と『ジムリーダー』の許可がいる。

だが、コルニにはコンコルドがどう返事をするかを既に知っているのだった。

 

コルニは腰に手を当てて、タクミを見据える。

その顔は既に年相応の少女のものに戻っていた。

 

「まったく、だからってわざわざ日が沈んでから来なくてもいいんじゃないの?」

「……失礼とは思いました。でも、僕はコルニさんに勝つまではこのジムに居続けるつもりでここに来ました!だけど、『地方旅』も諦めるつもりもない!だから1日だって惜しいんです!明日から、いえ、今夜からこのジムの一員として自分も修行をつけてもらいたいんです!!」

「わかったわかった……まったく、おじいちゃんの言った通りだ……」

「え?」

「いやいや、こっちの話」

 

そして、コルニは少しだけ悔しさを滲ませたような顔をして、言った。

 

「しょうがない、許可しましょう」

「本当ですか!?」

「もちろん。こうなったら、追い返すわけにもいかないからね」

「あ、あ……ありがとうございます!!」

 

ゴンと音がして、タクミが額を地面に叩きつけた。

 

「はいはい、立って立って、それじゃあみんな。新しい仲間だよ。世話してあげてね。後、誰か『おかみさん』に一言伝えてきて。今日から仲間が一人増えるってね」

「押忍!!」

 

そして、タクミは門下生達に連れられてジムの中に入っていく。

コルニは彼等と一緒にジムに戻っていきながら、もう一度『マスタータワー』を振り返る。

既にバルコニーから人影は消えていた。

 

「おじいちゃんには……敵わないな……」

 

コルニは昼間のコンコルドとの会話を思い出す。

 

『もし、彼が……『今日』のうちに入門したいと言ってきたらどうする?』

『おじいちゃんったら、そんなことになるわけないじゃん。時間を考えてよ』

『どうかな……ワシは……彼ならやりかねないと思っておるぞ。その時は規則を曲げても良いと思っている』

『えぇっ!?そこまでする!?まぁ……『もし』そうなったら面白そうだし、『ジムリーダー』としても許可しましょう。まぁ、ないと思うけど」

 

本来はタクミの入門は認められない。

明日以降タクミがここに来ても、『入門』は認められなかっただろう。

 

だが、タクミは『今日』の間にやってきた。

日が沈み、砂の道が沈み、それでも波しぶきを蹴飛ばしてやってきた。

 

「……本当に……面白くなりそうだ……」

 

コルニはそう呟き、ニヤリと笑ったのだった。

 

 

 

――――――― ※ ――――――― ※ ―――――――

 

 

 

新人の案内は一番若手の門下生の仕事。

というわけで、昼間にもタクミを案内してくれたカケルがタクミの指導役に選ばれた。

彼は自室で休んでいたらしく、話を聞いて目を丸くしていた。

 

「タクミ君!?本当に昼間来たタクミ君ですか!?」

「はい……じゃなくて、押忍!!よろしくお願いします!!」

 

彼は癖のある赤毛と薄い青い瞳をした少年だ。

タクミよりも僅かに背が高く、肩幅や足腰ががっしりとしているのはこのジムでの修行の成果だろう。

彼は呆気にとられたような顔をしていたが、すぐさま人好きのする笑顔になった。

 

「ひやぁ……じゃあ本当に入門したんですね……いやいや、まぁ、とにかく、こちらこそよろしくお願いします!同じ門下生になったのですから、我々はライバルでもありますが、仲間で、家族です!先輩として、兄弟子として色々教えましょう!」

「押忍っ!!」

 

門下生として生活するなら共同施設の掃除や洗濯などのジム内のルールがあり、タクミは早速メモを取りながらジムの生活を覚えようとしていた。集団生活なので決まり事はそこそこあったが、それほど変わったルールはない。日本と違うとすれば、年功序列的なルールが一切なくジムリーダーを含めて全員が持ち回りで仕事を行うのが実にカロス地方らしい。

それに、各々に個室が与えらえているというのも驚いた。こういう施設の門下生達は大部屋で過ごすものだと思ったからだ。

 

「昔の門下生が多かった頃は部屋が足りなくて、4人部屋が当たり前だったらしいですけど、今はこんな人数ですからね。皆さん個室ですよ」

「そうなんですね」

「タクミ君の部屋は昼間過ごしたあそこを用意をそのまま使ってください。明日、『おかみさん』が色々整えてくれるそうです」

「わかりました」

 

その後も昼間は案内されなかった場所をいくつか周った。水回りや倉庫、地下の訓練場などなど。

そして、最後に道着が並ぶウォークインクローゼットへと通され、タクミはジムの一員として改めて道着を手渡された。

 

「さて、タクミ君。君が明日ではなく、今夜からジムに来たということは、一秒でも早くトレーニングに参加したいから、ということで間違いありませんか?」

「もちろんです!!」

「でしたら、施設の案内はここまでです!まずは私達の基礎中の基礎からお教えしましょう!!20分後に裏のフィールドでお待ちしております!!」

「押忍っ!!」

 

タクミは自室に飛ぶように駆け込み、服を脱ぎ捨てる。

 

「…………」

 

股下を履き、道着に袖を通し、気合を入れるかのように白い帯を締める。

 

タクミは鏡の前に立ち、自分の姿をもう一度見つめる。

昼間と同じ服装。

だが、その心持はまるで違う。

 

タクミは自分の頬をバチンと叩いた。

 

「……よしっ!」

 

タクミはもう一度自分に気合を入れなおす。

 

コルニに勝つまでジムの門下生となる。

もし、このジムを突破できなければ自分の『地方旅』はここで終わる。

時間をかけすぎて他のジムを回る時間がなくなればそれで詰みだ。

 

焦りはある。実のところ迷いもあった。自分が選んだこの選択が正しい自信なんてない。

 

それでも、もうタクミは踏み込んだのだ。

ならば後はどんな泥道だろうと突っ走るだけだ。

 

「……オフロードが得意な奴ならいるしね」

 

タクミのその声に答えるようにゴマゾウのモンスターボールが揺れた気がした。タクミはニヤリと笑い、気合十分のキバゴとクチートを連れてジムの裏口へと向かっていった。

 

既に日の沈んだシャラシティであるが、裏のフィールドはジムから漏れる蛍光灯の明かりで満たされていた。タクミは長く伸びる影の先に、先輩となったカケルがいることに気が付いた。

彼はホロキャスターに表示された時計を見て、ほほ笑んだ。

 

「ふふっ、ここまで12分。ウチのジムには遅刻に罰則はありませんが、できるだけ時間は守るのがモットーです。明日からもこの調子でお願いしますよ」

「押忍っ!!」

「いい返事です。よっし、それじゃあ、ウチのジムの基本中の基本から」

 

そしてカケルはフィールドの片隅にタクミ達を連れて行った。

 

そこには不思議なオブジェクトが並んでいた。

 

「…………?」

 

30cmぐらいの太さの丸太が地面に突き立っていた。高さはだいたい100cmを少し超えるぐらい。それが等間隔に7本程並んでいる。その丸太は長い時間を風雨にさらされたせいか、表面が滑らかになっており、片面だけが表皮が剥げて木目が剥き出しになっている。カケルはそれに手際よくクッションを巻き付けていく。タクミは見よう見まねで同じようにクッションを巻いていくが、その間も頭の中には疑問符が並び続けていた。

 

これに拳の打ち込みでもするのだろうか?

だが、タクミ達はまだ拳の握り方すら習っていない。

いきなりこれを殴ったら手を方を怪我をするのではないだろうか。

それに、ただパンチを打つだけだというならフシギダネやヒトモシやゴマゾウはどうしたものか。

 

そんなタクミの疑問をよそにカケルは丸太から10cm程度の距離を取って、腰を落とした。

 

「タクミさん。よく見ててください」

「えっ?カケルさんがこれ使うんですか?」

「はい、ウチのジムはポケモンとトレーナーが一緒に鍛えることが当たり前ですから」

 

そういえば、早朝ランニングも型の稽古でもトレーナーとポケモンが一緒になってトレーニングをしていた。

 

「今日からはタクミさんもこれをしてもらいます。これがウチのジムの全ての基本……ですっ!!!」

 

次の瞬間だった。

 

カケルが勢いよく足を蹴り出した瞬間。空気を裂くような激しい破裂音がした。

それはカケルの身体が丸太にぶつかった衝撃で放たれた打撃音だ。

カケルは10㎝程度という短い距離を一気に詰め、自分の胸筋部分を叩きつけるように全身で丸太へとぶつかっていったのだ。

 

相手に向かって全身をぶつける攻撃。

 

ポケモンのワザの中で最も基本的で最も初歩的な攻撃方法。

 

「……『たいあたり』……これが、ウチのジムの基本です」

 

タクミは呆気にとられたような顔で固まる。

 

「門下生が最初に学ぶのはこれです。型を覚えたり拳の握り方を覚えるのは二の次。さぁ、タクミさん。全てのポケモンを出してください。一緒に『たいあたり』を学びましょう」

 

キラリンと白い歯を見せていい笑顔をするカケルの方を見て、タクミは背筋に一筋の汗が流れ落ちるのを感じた。

 

その様子をジムの中から見つめるコルニはトレーニングで流した汗を拭いながら楽しそうに笑う。

 

「さぁ、タクミ君。君はこのジムのやり方についていけるかな?」

 

かつては大勢の人間がいた痕跡があるこのジム。

それが今や6人の門下生を残して廃れてしまっているこの現状。

タクミはそのことについてもう少し深く考えるべきだったのかもしれないと今更ながらに考えていた。

 

「…………大丈夫だろうか……」

「大丈夫に決まってます。まずは怪我をしないような身体のぶつけ方からちゃんと教えますので。フシギダネとゴマゾウは元々覚えるワザですので問題ないでしょう。キバゴとクチートはリオルと同じやり方でいいですかね。ヒトモシは……どうしましょう……ひとまず、ヤンチャムのやり方で試してみますか?」

「モッシ!!」

「ふふふっ、やる気がありそうで何より。さぁ、タクミさん。君もですよ。こちらに来てください」

「お、押忍っ!!」

 

その後、タクミ達はひたすらに丸太に向かって身体をぶつけ続けた。

 

「キバ……キバ……」

「キバゴ、顎が下がってますよ、顔を上げて!」

「クチッ!!」

「クチート!あなたはあと半歩前に出るイメージで!」

「モッシ!!」

「ヒトモシ!飛び込んじゃだめです。ちゃんと踏み込んで!」

「ダ、ダネ……」

「フシギダネ!足が悪いことを私は考慮しませんからね!もっと強く!」

「パォォォンン!!」

「ゴマゾウ!力任せにぶつからない!もっと足先を意識して!!」

「こ、こう!?」

「タクミさん!おっかなびっくりぶつかってもしょうがないですよ!もっと足を蹴り上げて!」

「お、押忍っ!!」

 

彼等のトレーニングは夜が更け、消灯時間ギリギリまで続いたのだった。

 




最新作についてタクミのパートナーにインタビュー

・ゴマゾウさん、ドンファンの古代と未来の姿についてどう思いますか?

「イダイナキバ、あの背中のスパイクは強そうだ。トルクの効く回転はオフロードで真価を発揮する。イダイナキバがレースに出ていたら、オイラはヒルクライムでは体力の温存に徹する。あの巨体でダウンヒルのコーナーは厳しいだろうからそこでタイムを縮める。できればそこで一気に勝負を決めたい。コーナーで差し切れるかが全てだ。テツノワダチは明確なオンロードでの直線強者だ。顔を見ればわかる。オイラとは走る舞台が違うからあんまり勝負の話はできないけど。もし、オイラがサーキットレースに出るならやっぱりコーナリングで差をつけにかかるね。その為にも前の位置は譲れない。勝負はスタートポジションを決める前日のタイムアタックだね、でも、後ろにつくことになったら……」 

以下、レースについて長くなったので割愛
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