救世主っぽい個性を手に入れたぞ   作:螺鈿

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キャラっていうのは大抵自分じゃなく他人が決めるもんだぞ

 あの後は色々あったなぁ。ヴィランを倒した後中央広場に戻ったら相澤先生血まみれでビックリよ。そんでオレ達が一番最後だったらしく、皆に心配された。主に尾白が。オレは服が多少ボロボロになっただけでかすり傷一つなかったから別にいいんだけどね。ついでに言うと尾白は特に葉隠さんに心配されてたわ、いつもイジってる姿からは考えられないくらい。

 ……オレ? オレは独り障子くんからもらった救急セットをイジってたよ。

 

「いや、なんて言うか三済はホラ、歴戦の仕事人っぽいし大丈夫かなって」

「実際殲滅してきたんでしょ? 無傷で」

「それに比べて尾白はなんか燃やされたり冷やされたりしてそうな雰囲気あるし」

「……皆お前の強さを信頼しているんだ。元気出せスミス」

 

 上記は我が同胞の談だ。うん、もういいや泣かない。スミス強い子だもん、ぐすん。

 

 

 

 

 騒動が終わって初めての授業で重症の相澤先生が出てきたのもビビった。包帯グルグル巻きだし、蓑虫みたいだ。……いつもと変わんねぇか。

 

  無表情でそんなことを思っていると先生から重大発表。なんと雄英祭が近いらしい。雄英祭とはぶっちゃけ単なる体育祭なのだが、ここ雄英高校に限って言えば現代のオリンピック、ヒーローの登竜門とも言われるほどの注目度。皆の士気も高まり、雄英祭に向けてオレも頑張ろうと思った直後、先生に呼び出される。

 

「お前、ソムリエのとこ行ってこい。あと銃取り上げな」

 

 エ゛!? なんで?!

 

「……なぜ?」

「当たり前だろ。仮免も取ってないのに実際にヴィラン相手に使用したんだから」

 

 で、でもしゃあないやん。正当防衛やん!

 

  しかしそんなことを口に出せるはずもなくあっさり折れる。

 

「分かりました」

「悪いな。今回に関してはオレ達の責任もあるし、擁護してやりたいんだがな。お役所仕事って奴だ。しばらくすればまた持てるから諦めろ」

 

 オレはガックシと肩を落としつつ、ソムリエさんのとこに向かった。こないだの戦闘でネオ仕様のコスに傷がついたし、ロクなことねぇな。あれ高かったのに……

 

 

 

 

 再びサポート科の群れを超えて、ソムリエさんのとこに行く。まるで常連のようか雰囲気だな、まだ二回目だけど。

 

「これはこれは三済様。この度は大変なことになったようで……」

「迷惑をかける」

「いえいえ、三済様のご無事がなによりです」

 

 以前貰った銃をウェポンケースに入れて返す。なんかこっちが申し訳なくなる。ソムリエさんはオレの希望通りに選んでくれただけなのになぁ。

 

「ふむ、たしかにお受け取りしました」

 

 一丁一丁、丁寧に確かめて受け取ったソムリエさん。今回のヴィラン襲撃の愚痴も含めてついつい色んなことを喋ってしまう。そして謝罪と反省も沢山。

 

 実際の戦闘はオレの脳内映像とは全然違ったこと。いや全然ってことはなかったけど、オレの心構えが全くなってなかった。今回はなんとかなったけど実際ただテンパって体が見知った動きしただけだもの。次似たようなことあったらオレはちゃんと動けるんだろうか。

 

  あとソムリエさんみたいな人が丹精込めて手入れしてくれてる銃をまるで使い捨てにするように戦っていたのは本当に正しかったのだろうか? そんな弱音を吐いてしまう。

 

「それが本来の銃の役割というものです。物に固執して命を落としては本末転倒。三済様の身を守るために使われたのなら本望です。それに今回のことはきっと大きな財産になりますよ。三済さまがこのまま努力を続けるのなら」

 

 ソムリエさんの言葉に心を打たれる。ちょっとイケメンすぎんよー、オレもプロになったらこうありたいものですね。……ていうか出来すぎじゃない? 先輩ってそんなに歳離れてないよね、オレもあと数年でこんな感じにならなきゃいけないの? ちょっとなれる気がしないわー。顔年齢だけは並ぶどころか追い越してるけど。

 

「それはそうと、サポート科にお聞きしましたら三済様は本来のコスチュームは別にあるそうで……」

「……あぁ」

 

 ソムリエさんが少し口調を変える。

 

「お気に召さなかったのかもしれませんが、支給されるコスチュームは全て長い時間をかけて話し合い、手をかけて作られたものです。あなたの行動に合理的に、効果的に働くように。少なくとも、今のあなたには最適の機能を持っている筈です」

 

 あ、そういえばソムリエさんはサポート科のOBでしたね。先輩と呼んでも? そしてお怒りでらっしゃる?

 

「役割は、果たされなければ意味を成しません。私の言いたいことは分かりますね」

「……分かってはいる」

 

 あ、はい。すんません、ホントすんません。短い付き合いだけど先輩の仕事ぶりを通して人柄が伝わってくる。今回の件もあってオレの身を案じているんですよね。

 でも嫌なんです。他人には理解できないかもしれませんが、オレがやることなすこと、なぜか全部行きたくない方向に行くんです。別にそれで不利益こうむってるわけじゃあないんですけど、憧れとは違うんです。

 

「お気持ちは分かります。ですが今は自分を高めることに必死になって下さい。そうすれば、いずれ憧れの方がついてくるようになりますよ」

 

 実力つけてからモノ言えやってことですね。はい、その通りです。これだけ穏やかに諭されると、自分がどれだけ不相応なこと言ってるか思い知らされる。なまじ先日醜態を晒しただけ尚更だ。

 これが相澤先生なら「不合理」の一言で切り捨てられただろうなぁ。パワーローダー先生なら……ブチ切れるかもしれん、あの人なんか武闘派の匂いがするし。

 

 オレが大きく頷くと、先輩は柔らかな雰囲気に戻って一つの箱を取り出してきた。

 

「先日の試射のデータと三済様の身体データを考慮して最適のものを選んでまいりました」

 

 箱を空けるとそこには大型拳銃が一つ。それを見て疑問が沸いてしまう。全部没収じゃなかったの?

 

「私とて後輩の為にこれ位を通すことは出来ますよ」

 

 ウィンクを一つ。その姿に泣きそうになる。オレの為にどれだけ世話をかけさせてしまったのだろう。これ一つにどれだけ多大な手間と時間がかかっているのだろう。それを考えてしまう。同時に、オレがないがしろにしたスーツも同じことなのだと言われたような気がして、自然と頭が下がる。

 

「IMI デザートイーグル MK.XIX。50口径。三済様ならば扱えるかと」

 

 知ってます。エージェント愛用の銃ですよね。何度も見てます、頭の中で。

 

 先輩、オレ先輩には感謝しかありません。今度からちゃんとコスチューム着ます。エージェントっぽくなっても我慢します。いつかネオになる為に。でも、でもね……

 

 なんでこうなるかなあぁ!!!

 

 

 

 

 

 

 その日、コスチュームであるスーツとサングラスとプラグを着けて鏡の前でデザートイーグルを構えてみた。完全にエージェントスミスだった。オレは泣いた。

 

 

 

 

 




見直したらこの主人公、全く喋ってない。台詞の量にビックリしました。
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