歴史のタブー、「IF」。しかしそれは誰もが考える。考えてしまう。この物語は三国志のそんな「IF」で紡ぐ物語。しかしこれは実際にあったかもしれない物語でもあるかもしれない。

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どうも、トランぺッターです。

いつもしてる妄想をここで垂れ流してみました。あ、もちろん歴史にそってやっていますよ?

戦国の乱世に裏切りは必ずついてきますからねぇ。袁紹にもう少しカリスマがあれば正史も違ったはずなんですが…。


もしもの世界『袁の繁栄』

後漢末期。それは中国有数の戦乱期であり、多くの人が天に召された暗い時代とも言える。しかし、しかしだ。そんな歴史において「もし」が存在したら…?この物語は三国志を知る誰もが考える「もし」の物語であり、誰にも知られない「外史」の物語…。

 

さて、そんな物語は中国の北の地、中原の覇者にして四世三公を輩出した「袁」一族の当主、袁紹本初が主人公である。彼が今いる場所は官渡。今まさに天下分け目の大合戦が行われようとしていた。官渡を陥落せんとするは絶対的支配者、袁紹。対するは、政治家曹嵩(そうすう)を父に持つ新進気鋭の実力者、曹操。

 

「この戦い、負ければ滅亡…。死、あるのみ…」

 

そう、この戦いは袁紹にとって負けられないものであり、歴史からくみ取って考えれば、天下三分を決定づけた謂わばターニングポイントだった。日本で例えれば、桶狭間で決戦を行った今川義元と織田信長と言った所か。

 

「飛ぶ鷹を落とせば天下はより近いものになる…!」

 

元より失うものの少ない曹操は全力で袁紹に決戦を挑む。ここから今現在の歴史書を捻じ曲げる外史が始まった。

 

 

場所は変わり、領地の城の議会室。ここでは袁紹と配下達が対曹操に向けた会議が行っていた。

 

「袁紹様、ここは持久戦で腰を据えじっくり戦うべきです。曹操は小さい勢力故、少し焦らせばすぐに根を上げましょう」

 

持久戦を進言したのは田豊(でんほう)だった。そしてこの考えに賛同したのが沮授(そじゅ)であった。確かにこの考えには一理あった。しかし…。

 

「確かにそうでしょう。しかし、持久戦をできるだけの物量があるのからそれを攻撃に充てれば、すぐに曹操めを撃破できるでしょう」

 

持久戦にかぶせるようにこう進言したのは審配(しんぱい)郭図(かくと)らであった。

 

「…ここは速戦で行こう。時間をかけていたら曹操に何をされるか分かったもんじゃない。それに息子が病気なんだ」

 

少し間を置き、袁紹は持久戦ではなく一気呵成に攻めることを決断する。しかしまだ会議は終わっていない。

 

「しかし…!」

 

食い下がる田豊達。何故なら彼らは速戦の不利益を知っているからであった。

 

「確かに速戦ならすぐに決着を付けられましょう!しかし!速戦はヤツの方が上手!一杯食わされるに決まっています!」

 

「分かってくれ…。どうしてもというのなら前線の指揮をを任せる。これで勘弁してくれないか?」

 

「…御意に」

 

こう言われると田豊達も引き下がるしかない。正史ではここで田豊が袁紹の怒りに触れ、投獄される。これがこの戦いの敗北の一因となっている。

 

こうして、この後の情勢を決める戦いが始まった。

 

 

戦いが始まってすぐの頃、やはりというべきか袁紹が有利だった。しかし、曹操もやられてばかりではいかない。そして曹操は「あの二人」に狙いを定める。そう、「あの二人」とは袁紹が誇る二枚看板、顔良(がんりょう)文醜(ぶんしゅう)であった。官渡の少し上、河北にて、この二人は曹操の猛攻を受けていた。

 

「ちぃっ、やはり一筋縄ではいかないか…」

 

「……」

 

顔をゆがめる顔良と黙々を突き進む文醜。このままでは各個撃破されてしまうのが関の山。だが、忘れてはいないだろうか?「袁」に膝をつく謀臣を。

 

「田豊殿から伝令!『顔良、文醜の両名は一時的に撤退せよ』とのこと!」

 

「本当か!?ありがたい!」

 

顔良は自分の得物を振るいながら撤退していく。

 

「…分かった」

 

文醜も同調するように撤退していく。本来、歴史においてこの二人はこの場で散っていくはずだった。やはり、袁紹軍の中で田豊の存在は大きいものなのだろう。

 

そして有利な状況のまま袁紹は河北を統一した。しかし…。

 

「河北を統一するにあたって、兵を失いすぎてしまった。このまま攻勢に出るのは厳しいものがあるだろう」

 

そう、官渡の前哨戦である河北での戦いにおいて兵を失いすぎてしまった。そこで顔を明るくさせたのは田豊であった。

 

「では…!」

 

田豊が聞き返す。

 

「あぁ、官渡においては持久戦にて攻め落とす。田豊、お前は特に励めよ」

 

「はっ!」

 

 

一方曹操はというと…。

 

「やはり強い…。田豊と軍師達はやはり格が違う…」

 

先の戦いで、河北を完全に失った曹操は次の一手を考えていた。しかし…。

 

「やはり田豊が邪魔をする…」

 

こうして曹操は思考の闇に自ら絡まれていくことなっていく。

 

 

場所は少し南下し、官渡。ここは曹操の本陣が構えており、袁紹はここに軍を進めていた。

 

「袁紹様、少しよろしいですか?」

 

ここで進言を申し出たのは許攸(きょゆう)だった。彼は次にこう進言した。

 

「ここで曹操の本拠地と兵站線を叩くべきです」

 

「ふぅむ…。本拠地を攻めるのは少し待ってほしい。しかし、兵站線を攻めるのはいいかもしれない」

 

袁紹は「それに」と言葉を続け…。

 

「こちらも同じような作戦で負ける訳にはいかないな。烏巣(うそう)の警備を徹底しよう」

 

烏巣とは袁紹軍の兵站の要である。ここを襲撃されれば物量で勝る袁紹軍でもひとたまりもない。許攸の進言によって警備の手薄だった烏巣を袁紹は守りを固めた。

 

「一体どう攻めればいいんだ…」

 

一方、曹操は頭を抱えていた。これはむしろ当然と言える。正史であれば、許攸は袁紹に進言を聞き入れてもらえず、裏切りを行い烏巣が警備の薄いことを伝えた。これが袁紹敗北を決定的にしている。しかし、この現状での曹操はこのような『切り札』が無かった。

 

「こうなったら電撃戦を仕掛けていくしかないか…」

 

『切り札』を持っていなければ自ずと選択肢は狭まっていく。そのなかで曹操が決断したのは現在で言う『ゲリラ戦法』だった。数少ない手勢で多くの敵を相手取るにはいささか無理がある。そこで、曹操はやはりというべきかこのような戦法を取った。

 

対する袁紹。ここには一枚岩ではないかもしれないが、選りすぐりの軍師が揃っていた。そんな軍師達が会議で話し合ったのは『曹操がどう打ってくるか』ということだった。そして出た結論はというと…。

 

『ヤツは電撃戦を仕掛けてくるだろう』

 

という物だった。袁紹はよく優柔不断だと言われているが、人の配置の仕方や外交が飛びぬけて上手かった。そんな彼の軍師だったからこそ、これから起こるであろう戦いを予測出来たのかもしれない。

 

やがて戦況は移り変わり、袁紹は終始曹操軍を圧倒し続け、遂に撃破することに成功する。曹操はこの戦いに敗れ、勢力を広げることが出来ず、やがては袁紹の勢力に飲み込まれていった。曹操はきっとプライドの高い人物であったから、悔しかったに違いない。

 

そして、戦が完全に終わり、様々な人物が河北や官渡の安定化に努めている頃、袁紹は、曹操の墓の前に居た。そんな彼の頬には一筋の光があった。

 

「孟徳…。反董卓連合を結成した時、一緒にこう話したな…」

 

『本初、董卓を排除に失敗したらどうするつもりだ?』

 

『私はな、北の異民族の地を治め、南を睨む。孟徳はどうなんだ?』

 

『私は賢人を集め、適材適所に配置する。これが天下への近道だろう』

 

本初と孟徳、つまり袁紹と曹操は小さい頃からの親友だった。その二人が争い合ったのはなんとも皮肉な話である。

 

「このような話をしたことを私は昨日のように覚えているぞ…。お前の残した夢、この私が継いでやる」

 

こう言い放ち、袁紹は墓を後にする。これが、最大の好敵手であった曹操への、そして友であった曹操への袁紹のケジメだったのかもしれない。

 

この戦いで、袁紹は中原の支配を決定的なものにする。歴史において、ターニングポイントは様々ある。袁紹にとって田豊を投獄しなかったことがそうであったのかもしれない。

 

そして、ここからまた別の『三国志』が始まる…。




執筆時間、約2時間。調べながらだときっついですねー。

この話は、日本でも言われてる桶狭間にそっくりなんですよね…。一歩間違えれば天下人は滅亡していた。そんな話がこれです。『もし袁紹が勝っていれば曹操は滅亡もしくは臣従させられていた』っていうのが今回のお話です。

やっぱり策は大事!

ではー。

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