真央霊術院に通い五年が過ぎた。
名を授けられて直ぐに此処に入れられたが、入学してから五年一度も家から連絡が来た事はなかった。
影は目立つことなかれ。
ただただ主を守り死ね。
死に際を主に見せるべからず。
反吐が出るような地獄に耐えた私を蝕むのは心身に刻まれた傷ではない。
洗っても洗っても落ちない油のようにまとわりつく蜂家の【教え】だ。
逆らおうとすると体が震える。
抗おうとすると呼吸が苦しい。
破ろうとすると心が張り裂けそうになる。
入学当初は霊術院は正直苦痛だった。
家に居た頃の私の周りは知りもしない姉と罵倒と落胆に満ちていて、それが私のたった1つの世界だった。
だけど此処は違う。
周りは賑やかで笑い声が響き、死神になろうと切磋琢磨する学生の爽やかな汗、時に色恋。
そこには痛みはあれど苦痛は無く、愛はあれど溺れるも活かすも自由。
私の前で起こっている全てが幻覚なのではないかと何度疑ったことだろうか···
【私の知らない全てのモノ】を【私が押し付けられた世界】が拒絶する。
見ているだけで込み上げてくる目眩、吐き気、頭痛
こんな思いをするならばいっそ【蜂】の方が良かった
長い長い年月で種に根付いたプログラムに従う彼等に感情はなく、あるのは本能のみ。
一々感情に作用されず、ただ淡々と、ただ粛々と己の役割を果たすために生きる【蜂】が羨ましい···
しかし、私は人間だ。
羨んだ所で【蜂】には成れない。
望んだ所で感情を消せはしない。
求めた所で得ることは出来ない。
願った所で私の世界は変わらない。
ならば己を変えれば良い。
世界を変えるよりは簡単な筈だ···
こうして私は初めて【
入学てして直ぐに手拭いで目を被った。
視界を消すだけで症状はだいぶ楽になった。
暗殺を生業とする蜂家の鍛練には視界を奪われた際の修行があり、私が受けたそれは歴代の鍛練を遥かに凌ぐ厳しさだった。
今さら視界を奪われた所で不便はない。
しかし、手拭いでは万が一にもズレたら困る。
だから私は一年目は手拭い、二年目は鬼道、三年目は呪術、四年目は鬼道と呪術、そして五年目は鬼道と呪術と縛術を使い完全に視界を無くした。
今の私の目は白目と黒目が逆転し、他人には見えないが虚の血を使った術が刻まれている。
この目が再び光を写すには術者本人による解呪が必要、つまり私が解呪するまで永遠に機能を失うのだ。
このおかげか幼い頃より鍛えられてきた霊子による空間把握に磨きがかかり、人も物も全てが霊子によって構成されたこの世界では視界を塞いでも日常生活で不便に感じる事はなかった。
蜂家に課せられた【
その出会いは霊術院での生活が三年目半を過ぎた頃の事である。
二話目!!
ナルト君は今週か来週中にはアップ出来るかと···