あれからの半年間、私は修練に明け暮れた。
隊長さんとの約束を胸に、持てる時間全てを修練に費やした。
家で強制されていた時より、修練が楽しかった。
そうして明け暮れた、この半年間で私は色々と学び直させられた。
最初の1週間は食事に睡眠、全ての時間を修練に費やして体を壊した。
どうやら無茶をすれば、修練のみを続ければ強くなる訳では無いらしい。
回復後は1日のリズムを作って励むことにした。
もちろん食事、睡眠、勉学と全てを自分なりにバランス良く盛り込んだ。
結果、修練への集中力や心構え的なモノは上がり、成果も出やすくなった。
他人との同調や関わりを積極的に行った。
視力を封じた私が感じる世界は霊子の造形に近い。
他人に関わることで【ソレ】は鮮明になり、よりリアルに近いモノへとなった。
さらに、霊圧の微妙な変化で人の感情を読めるようになったばかりか前より感知力は上がった。
まぁ、まだ出会った時の隊長さんを認識出来るほどではないのだけれど・・・
そして遂に斬魄刀を手にする日が来た。
講師の話によれば私を含めた院生に配られたのは【浅打】と言うらしい。
この【浅打】に問い掛けるなり、自身を写すなり、戦うなりなんなりすれば自分自身の斬魄刀に変わるらしい?
今まで色々学ばされた幼少期と率先して学ぶ現在の知識を合わせれば私は馬鹿ではないと思うが、講師の説明はどうもフンワリしていて、死神になる事を目的としてなかった私には理解が難しい・・・が、その配られた夜に私はあっさりと斬魄刀と邂逅を果たした。
〜深層世界〜
【主が妾の新たな器か?】
真っ暗な空間で目を覚ました私の前には様々な紋様施された黄色と黒の着物を纏った女性?らしき人がいた。
【妾の巣になるか、妾の一兵になるか、主はどちらを選ぶ?】
急な質問だ・・・
これ以上望まない形で兵にはなりたくない。
同時に誰かを何らかの形、手段で切り捨てたくはない。
そんな思いを胸に解答に悩む私に彼女は再び口を開いた。
【主が妾の下になる事には悩まぬのだな・・・】
はっ!
言われてみればどっち選んでも私に自由がない!!
まぁ、不自由はなれてるから構わないけど、隊長さんとの約束果たすまではどっちも選べないなぁ・・・
【アヤツが言うとおりの変わり者よのぉ、主は・・】
『アヤツ』?
誰のことか分かりませんがどちらも《まだ》選べません!
まだ学びたいこと、やりたいこと、やらなきゃいけないことが山程出来たんだもん!
【ソレの為に妾の力を振るえなくなろうともか?】
振るえなくなろうともです!
【主となら未来永劫続くであったろう、妾の宿命を変えられるかもしれないわね・・】
は、はぁ・・
【妾と『アヤツ』の判断が過ちであったと思わせないでちょうだい・・妾の名は《軍蜂〔皇〕》・・軍を成すのも、妾を〔皇〕に成すのも全ては主次第・・】
軍蜂〔皇〕・・軍さん・・ハッチさん・・しっくり来ない・・
あっ!!皇さん!皇さんが良い!
これからよろしくお願いします〔皇さん〕!
【まこと、まっこと変わり者じゃな、主は・・】
~~深層心理終了~~
んんっ・・もう朝・・
アレは夢だったのかなぁ・・
んっ?あれ?あれあれ?
私の斬魄刀こんなに短かったかなぁ?
なんか鍔の形も少し違うようなぁ・・
今度、先生に聞いてみよ・・