ゆっくりですが連載再開です。
一日で書けた分を投下します。
視界が突如として揺さぶられた。
白煙が風に揺られている。根本に目を落とせば、地面に埋め込まれた硝子状の結晶が煌めいていた。
同じ輝きが六点あった。先ほどまでいた場所から線を引けば、等距離になる。合計六条もの熱線が降り注いだ。地面に着弾するや土中の元素を硬化させたに違いなかった。
清香は
六基からなる
先ほどの熱線を生じさせた代償なのだろう。
残弾は六基×二発。
清香は
(厄介かも……)
そう考え、
が、二重の鎧を纏うがために地上戦限定の機体。どうしても人間の動きに似てしまう。
「こっちを見ろ!!!」
女は逆落としを仕掛け、猛るあまり、武漢語が口を突いて出ていた。
超高速で距離を縮め、渾身の力で振るった刃と
鋭く高い悲鳴。燕二〇改の両腕は無残に破壊され、断面からは黒い煙が生じている。飛行能力を失い、重力に引きよせられていく。
「してやったり!!!」
女はまたしても武漢語を使った。これみよがしに中指を突き立てた。清香が眉根を潜めたとき、勝ち誇った表情の理由を悟った。
熱源が腹の中にある。紫電改のランチャー・レールが突き刺さった場所に、熱源を押しこんだ犯人の腕が生えている。
(いけないっ)
犯人――セシリア・オルコットの
清香の知る限り、学園生活ではついぞ見たことがない。憎しみやおぞましさといった感情があふれかえり、どう表情を造ってよいものか見当がつかない、といった表情だ。
別人かのような雰囲気を漂わせている。密着し続ける危険を察知して、腹から生えた腕をつかみ取ろうとした。
「許しませんわ……」
消し飛ぶような小さな呟きを拾った。清香の動揺が伝播したのか、
(……っう!)
視界が真っ白だ。清香はすぐさま
状態異常を知らせる警告文でいっぱいになった。事態を把握するべく視覚や聴覚を再接続する。
自分も相手も惨憺たる状況である。
一方、セシリアのB3は肩に背負っていたはずの
ロイヤルブルーに彩られた美しい機体は至近距離で膨大な熱量を浴びたためか、煤けて汚れただけでなく、ところどころ溶着していた。
ゆっくりと立ち上がり、壊れた架台を切除した。
「許しません! わたくしは! あなたを! 許しません!!」
言葉が突き刺さる。だが、清香の心には困惑が広がった。憎しみを向けられる理由を認識できなかったからだ。
「あなたは! わたくしから! あの子を! 奪ったのです!!」
セシリアの声が近づく。
誇りと優しさを讃えた、美しい少女が宿敵を討たんと大音声を張り上げる。
「愛する彼を! あなたは! わたくしの愛を! 踏みにじったのです!!」
清香は
「許しません! わたくしは! 決して! 許しませんわ!!」
セシリアが怒りと悲しみのあまり正気を失っているのは明らかである。瞬時加速を使ってきたが、単調な動きだ。足さばきで回避できる。
どういうわけか
カチカチカチ……。瞳の輝きがどんどん弱まっていく。
「どっ……どうっ……どうしよ……」
セシリアは
清香がずっと遠隔操作していた機体は
「アヤカぁ……」
傍にいる
「代わってぇ……」
対物ライフルを構え、前を見据えている友人が口を開くのを辛抱強く待った。
毎日は厳しいので、週一か週二投稿でいきます。