岬は大岡を連れて、ゲームセンターから少し離れた所にある喫茶店に入った。店内は学校や仕事帰りの若者で賑わっている。
ここならば、あのチンピラが追ってきても騒ぎは起こせないだろうと、二人は席に着いた。といっても、その正体は材木座なので、そもそも追いかけて来ることはないのだが。
席に座って安堵した大岡は、深く吐息をつく。ちょっと怖がらせすぎたかしらと、岬は軽い罪悪感を覚えたが、チンピラの正体が材木座だということは黙っておくことにした。
ウェイトレスが注文を取りに来たので、適当にソフトドリンクを頼む。
注文したドリンクが運ばれてくるまでの数分間、二人は何も話さなかった。大岡は気不味そうに俯いているだけだし、岬は岬で、話しかけるきっかけを掴めずにいた。
ウェイトレスがドリンクをテーブルに置いて去ったあと、岬は徐ろに口を開いた。
「大岡くんとは、話さないといけないと思ってたの」
「……はい」
「大岡くん、練習休んでゲームセンター通いしてたんでしょう? 一年生の子に聞いたわ」
「……そうですか」
岬が話しかけても、大岡は顔を俯かせたまま、言葉少なに応えるだけだった。
「……驚いたわ。あの時のアイツがいたから」
岬の口から、『あの時のアイツ』という言葉を聞いた瞬間、大岡はビクッと体を震わせた。
これは相当、トラウマになっているらしい。絡まれたことそのものよりも、岬を置いて逃げ出したという事実が彼を苦しめているのだろう。
「コーラ、好きなの?」岬はとりあえず、当たり障りのない話題を振ってみた。
「え?」
「コーラ」岬は大岡が注文したコーラを指差して、「好きなのかなって」と言う。
「あ、いや、メニューの一番上に書いてあって、目に付いたんで。嫌いじゃないですけど」
「そう」
岬の質問を受けて、大岡は少しだけ顔を上げて答えたが、会話が止まるとまた俯いてしまった。
このまま黙っていても仕方ないと判断した岬は、少々強引だが、あの日の話をしようと思った。
「ゴールデンウィークの、あの日の事なんだけど」
「……はい」大岡は暗く沈んだ声で言った。
「あの日の大岡くんは、格好悪かったわ」
彼は肩をすぼめて小さくなった。ピンチでエラーをして、相手チームに決勝点を与えてしまった野手のように、つむじを見せて項垂れている。
「でも、今日の大岡くんは格好良かったわよ」
大岡は驚いて顔を上げる。自分はただ、岬の手を引いて逃げただけだ。そんな風に褒められるなどとは思いもしなかった。
彼の視界の先には、優しく微笑む岬の顔があった。
岬は、顔を上げてくれた大岡と視線を合わせて、もう一度言う。
「今日の大岡くんは、格好良かった」
大岡の目に、涙が滲む。許された、気がした。そもそも、岬は怒ってなどいなかったのだが、当の彼自身が自分の事を許せなかったのだ。
だが、岬に格好良かったと言われた事で、彼は救われた。やっと、自分を許せる心境になった。
「野球部、辞めちゃ駄目よ。野球が嫌になったんなら仕方ないけど、そうじゃないんでしょう?」
「はい」大岡は、涙交じりの声で言う。
「もう、そんなに泣かないで。私は気にしてないから、大岡くんも、気にしなくていいんだから」
「はい……ありがとうございます」
泣かないでと言われても、大岡の涙はなかなか止まらなかった。岬は、ポケットからハンカチを取り出して大岡に渡す。
素直に受け取った大岡は、そのハンカチで涙を拭いた。彼の涙が完全に止まるまで、多少の時間がかかった。
「これ、洗って返します」泣くのをやめた大岡は、ハンカチを握りしめて言う。
「あら、別にいいわよ、いま返してくれても」
手を差し出す岬に、大岡は首を横に振る。
「ちゃんと洗って、明日の放課後、部活の時間に返します」
大岡は、しっかりと岬の目を見てそう言った。曇りのない眼差しだった。彼の心の中にある暗雲は、既に晴れたのだろう。
岬も、晴天のように明るい表情で、「じゃあ、そうしてもらおうかな」と応えた。
その後、二人はゴールデンウィークの出来事とは関係ない、他愛もない話をした。
好きなプロ野球選手は誰か、大岡が希望しているポジションはどこか、中学の頃はどんな選手だったか。
それはただの雑談だったが、大岡にとっては、穏やかで緩やかな、充実したひと時だった。
彼は、岬とこんな風に話せる時が来るとは思っていなかった。二度と合わせる顔が無いとすら思っていた。
一時間ほど話し込んで、話題も尽きた頃に、大岡は会計表を手に取って立ち上がった。
「そろそろ、俺、帰ります。色々、ありがとうございました」大岡は頭を下げて、綺麗にお辞儀をした。
「ちょっと待って、お会計は私がするから」岬はさっと動いて、大岡の手から会計表を取った。
「いや、でも、迷惑かけたの俺の方だし……」
「いいから。こういう時、後輩は素直に奢られとくものよ」
大岡は、迷うようなそぶりを見せたが、結局折れて、もう一度岬に頭を下げて店をあとにした。
一人になった岬は、席を立って雑誌コーナーに向かった。漫画雑誌や週刊誌、新聞など、雑多な読み物が置かれている。
彼女はその中から、普段は読まないファッション誌を選び、席に戻って読み始めた。
彼女は、流行の着こなしなどには疎い。部活中は大体すっぴんだし、部活の遠征には制服か、学校指定のジャージで出かける。
そんな彼女も、ファッションやメイクに全く興味がないわけではなかった。
風間さんならこういうの詳しいだろうから、訊けば教えてくれるかしらと、岬はちょっと考えた。偶になら、オシャレだってしてみたい。
数十分ほど、そうして暇つぶしに雑誌を読んでいると、ポケットの中の携帯が震えた。岬は、誰からの着信かも確認せずに通話ボタンを押す。どうせアイツだ。
「もしもし、アキラ? 練習終わったの?」
「終わりましたよ。岬さんこそ、大岡との話し合いは終わったんですか?」
果たして、電話をかけてきたのは鑑だった。
「ええ、大岡くん、明日は部活に来るって言ってくれたわ」
「そうですか! よかったですね、岬さん」
本当にね、と岬は心から同意する。こんな事で野球を辞めるなんて勿体無い。
「今、どこにいるんですか、俺もそっち行っていいですか?」
鑑に訊かれて、店名を見ずに入店してしまった事を思い出した岬は、きょろきょろと周囲を見回す。
幸いテーブルの隅に、ショップカードが置いてあった。一枚手に取って眺める。青色のカードに赤い文字で、『喫茶Lord』と書いてある。
「稲毛海岸駅近くの、Lordっていう喫茶店にいるわ。近くまで来たら、もう一回電話してちょうだい。道順教えるから」
電話の向こうで、「わかりました」と応える鑑に、アンタには奢ってあげないけどね、と岬は内心で呟く。
「あっ、ところでアキラ、ちょっと訊きたい事があるんだけど」
「なんです?」
「比企谷くんも風間さんも、剣くんのこと材木座って呼んでたんだけど、なんでそんなあだ名なの?」
「ああ、アイツの本名、材木座義輝っていうんですよ。岬さん、知らなかったんですか」
「えっ!?」
岬の誤解が、三年越しにやっと解けた。
翌日の放課後、八幡は、奉仕部の部室でパンダのぬいぐるみと向かい合って座っていた。
パンクロック風のデザインなのか、左目の黒縁が星形になっている。八幡の美的感覚から言えば、あまり可愛いとは思えなかった。
「何だ、この目付きの悪い不気味なパンダは」
「不気味ですって!? パンさんの何処が不気味だと言うのよ!」
八幡のパンさん評に、雪乃は即座に噛みついた。彼女は子供の頃からパンさんの大ファンだったのだ。貶されては黙っていられない。
「ヒッキー、パンさん知らないの?」
「知らんな」
結衣は、驚いて目を白黒させた。ディスティニーランドの人気キャラクターであるパンダのパンさんを知らない人など、珍しいにも程がある。
「ヒッキー、ドラえもんとか、アンパンマンは知ってる?」
「そのくらいは知っている。昔、小町が観ていたからな」
そういうところも、小町ちゃんが基準なんだなぁと、結衣は心のメモ帳から、『ヒッキーはシスコン』という文章を取り出し、『ヒッキーは超シスコン』と書き換えた。
「ところで、何故お前がここに居るんだ、材木座」
八幡は、当たり前のような顔をして部室に居座っている材木座に話し掛けた。
「お前の依頼は解決したはずだが」
「うむ、確かに大岡は野球部に復帰したようだ。それに関しては感謝している。今日は、ミサキーヌにメールで呼び出されたのだ。放課後、奉仕部に来て欲しいとな」
材木座がそう言うと、部室の外からノックの音と共に、「入っていいかしら」という岬の声が聴こえた。
結衣はすぐに、「どうぞ〜」と朗らかに応える。
「こんにちは」と挨拶をして、岬が入室してきた。ジャージ姿で、両手には紙袋を二つ提げている。「あ、材木座くん、呼び出して悪かったわね」
岬に、『材木座くん』と呼ばれた瞬間、材木座は言葉の弾丸に脳天をぶち抜かれて仰け反った。
「ミサキーヌ! 何故だ!? 何故いつものように剣と呼んでくれない!?」瞬時に復帰した材木座は、岬に向かって叫んだ。
「ごめんね材木座くん、私、君の名前は神代剣くんなんだと勘違いしてたわ。本当は、材木座義輝くんっていうのよね。昨日アキラに聞いたの」岬は、申し訳無さそうに眉根を寄せて言うが、材木座としては剣くんと呼ばれるのをとても喜んでいたので、彼女にそんな顔をされても困る。
カ・ガーミンめ、余計な事を、と心の中で鑑を恨みながら、「今まで通り、剣と呼んでほしい。ミサキーヌには、そう呼んでほしいんだ」と材木座は懇願した。
「そう? なら、剣くんって呼ばせてもらおうかな。私もそっちの方が慣れてるし」
岬による材木座への呼称が、あっさりと『剣くん』に戻ったところで、岬は紙袋を一つ、八幡に手渡した。
「これは何だ?」八幡が訊く。
「Lordっていうお店のクッキーよ。みんなにはお世話になったから、そのお礼」
紙袋の中には、小袋に小分けされたクッキーセットが、四つ入っていた。八幡はそれを紙袋から取り出して、他の三人に配る。
「本当に、ありがとうね」岬は深々と頭を下げた。
「顔を上げてください、岬先輩。特に、私は何も出来なかった。あなたにお礼をされる資格はありません」
雪乃は、手元のクッキーセットに目を落としながら岬に言う。
顔を上げた岬は、頬を緩めた。
「誰かが自分の為に頑張ってくれるっていうのは、嬉しいものよ。あなたも、剣くんの依頼を受けて、頑張ってくれたんでしょう?」
岬が問い掛けるように言うと、雪乃は微かに首肯した。
「だったら、受け取ってほしいな。そのクッキーは、私の感謝の気持ちだから」
「そう、ですね。『礼など必要ない』と断るなんて、失礼ですものね」
雪乃はちらりと八幡を見た。彼は退屈そうに、パンダのパンさんを見つめている。意外と気に入ったのかもしれない。
「じゃあ、私、これで失礼するわ。お化粧研の子たちにも渡さなきゃいけないから」
岬はもう一つの紙袋を掲げると、部室から去っていった。
材木座は、岬が出ていった扉の方を見ながら、クッキーセットを両手で優しく包み込む。
「ああ、ミサキーヌから賜ったこのクッキー、兜率の天の食といっても過言ではない」
「大袈裟な奴だな……なら、俺の分も食べるか?」八幡は良かれと思って、クッキーセットを材木座に差し出した。
「天道、貴様! ミサキーヌのお礼が受け取れんと言うのか! でも一枚ちょうだい!」
「なんだそれは……」
材木座は八幡の手から小袋を受け取り、一枚だけ取って食べた。
「お〜いしい〜! 俺の分は家に帰ってゆっくり食〜べよ〜っと! じゃあな奉仕部!」材木座は八幡にクッキーセットを返すと、さっさと帰っていった。
「なんだアイツは……」
材木座の奇行に呆れる八幡だった。
普段は八幡の方が周囲を呆然とさせる事が多いので、こんな彼を見られるのも、材木座と絡んだ時だけだ。
部室に残された奉仕部の三人は、早速クッキーを食べ始めた。
岬がくれたクッキーセットには、オーソドックスなものから変わり種まで、様々な形状と味のクッキーが詰め合わせてあった。
「あっ、ゆきのん、これ桃の味がする。良かったらゆきのんの桃のやつとどれか取り換えっこしてくれない? あたし、桃好きなんだぁ」
「良いわよ、ホワイトチョコのと換えてもらおうかしら」
結衣と雪乃は、桃のクリームが入ったラングドシャと、ハート型のチョコサンドクッキーを交換した。
以前から仲が良かったが、更に一層仲を深めたように見える。
結衣の態度は然程変わったわけではなさそうだ。しかし、雪乃には、結衣に対して一歩引いた所があった筈だ。
二人の間にあった見えない壁が一枚、取り払われている。八幡は、そんな風に思った。
「お前達、そんなに仲が良かったか?」八幡は訊ねた。
「あら、私達はずっと前から仲が良いのよ」
雪乃が勝ち誇ったような得意顔で八幡に言う。結衣も同意して、「だよねぇ〜」と唄うように言った。
まあ、仲が良いのは好ましいことかと納得した八幡は、小袋からサブレを一枚取り、一口かじる。さらさらとほぐれる食感と共に、砂糖とバターの甘味が口の中に広がった。
「比企谷くん」突然雪乃は、挑戦的な光で瞳を輝かせ、「負けないからね」と呟いた。
「そうそう、負けない負けない」結衣も頷きながら言う。
急に、負けないからねなどと言われて、八幡は、観光客に当惑する動物園のパンダのような顔つきで、二、三度瞬きした。普段見せない彼の表情が愉快に映ったのか、雪乃と結衣は吹き出して笑う。
楽しそうで羨ましいことだと、八幡は思った。
「そういえば由比ヶ浜、サブレは元気か?」
「えっ、元気だけど、なんで?」
「いや……ふと思い出しただけだ」
八幡は右手に摘まんだサブレを、口に放り込んだ。
その夜、雪ノ下陽乃は、自分の部屋で紅茶を飲みながら、書店で購入した詩集を読んでいた。
その詩集の表紙には、幻想的で可愛らしい妖精のイラストが描かれている。
きらきらと光るプリズム模様の薄羽を生やした妖精は、顔だけ見返りながら背中を向けていた。その表情は、微笑を浮かべているとも、悲哀を湛えているともとれる。
そのイラストに興味を惹かれた陽乃は、ついつい衝動買いしてしまったのだった。
陽乃は時折微笑み、字面を人差し指でなぞる。その姿はまるで、手指で情景を読み取っているかのようだ。
わたしは傘になりたい
あなたが 雨に晒され 凍えてしまわぬように
わたしは翼になりたい
あなたを 雲の彼方へ 連れていけるように
わたしは朝になりたい
あなたに 晦冥の夜が 訪れてしまわぬように
陽乃は詩の一節を黙読すると、本をパタリと閉じた。そして、クッキーを一口齧り、紅茶を飲む。
陽乃がカップを干して、空になったそれをソーサーに置いた丁度その時、テーブルの上にマナーモードで放置していた携帯が震えた。
振動によって耳障りな音を立てる携帯を手にとり、着信元を確認すると、陽乃は明るい口調で電話に出た。
「もっしもーし! 何か報告することでもあるのかい、調査員二号ちゃん」
「私が二号ちゃんということは、一号ちゃんもいるんですか?」
それは、女の声だった。調査員二号ちゃんと呼ばれた女は、暖かみを感じさせない平坦な声音で陽乃に訊ねる。
「さてね、わたしはスパイに他のスパイの情報は与えない主義だから、ナイショ」
適当に答える陽乃に、女は電話の向こうで鼻白む。さっさと用件だけ伝えようと、本題に入る。
「一昨日の昼休み、妹さんの所に、男子生徒が訪ねてきました」
「男子生徒? 比企谷くんかな?」
「いいえ、一年D組の加賀美鑑くんですよ」
「かがみあきら? 初耳だね」
「奉仕部の活動絡みのようです。盗み聞いた情報を総合しますとーー」
女は陽乃に、今回材木座によって奉仕部に持ち込まれた、岬に関する相談を詳細に話した。
その内容には、大岡についての情報も含まれている。
「成る程ね、その依頼は雪乃ちゃんには荷が重いかな。雪乃ちゃんじゃあ、その大岡って子をお説教して泣かせて、更に話を拗れさせるのが関の山だろうね」
「そうですか……では、あなたならどう対処します?」
「わたしなら、適当に慰めて野球部に復帰させるかな。要は、失ったプライドをどうするかが問題なわけだからね。仕方ないよ、君は悪くないよって、その子の弱さを容認しつつ慰めて、プライドなんて有耶無耶にしてやれば、復帰するでしょ」
まあ、その方法だと、大岡某は岬ちゃんとやらが部活を引退するまで彼女を避け続ける事になるだろうけどね、と陽乃は推察していたが、それは言葉にはしなかった。
「ふむ……まるで、あなた達姉妹は童話の北風と太陽のようですね」
女が言うと、陽乃は口元を片手で押さえて大笑いした。陽乃の、けたたましい笑い声が電話越しに聴こえて来たので、女は思わず電話を耳から離して顔を顰めた。
そんなに面白い事を言っただろうかと、女は電話を見つめて訝しむ。
数秒そうしていると、笑い声が止んだようなので、もう一度電話を耳に当てる。
「確かに雪乃ちゃんは北風だし、わたしが太陽ってのも良いね。太陽は朝だもの」
若干、笑いの余韻が残った声で陽乃が言った。『太陽は朝』というのはどういう表現だろうか? 雪ノ下陽乃は偶に訳の分からない事を言う、と女は首を傾げた。
「しかし、お言葉ですが、大岡くんは野球部に復帰したようですよ。あなたの妹さんが、上手くやったのでは?」
「ああ、それは違うよ」
陽乃は一拍置いて、世界の花展で出会った少年の顔を思い浮かべた。
「奉仕部にも、太陽が居るのよ」
陽乃の言葉に、女も、自分の周りでも噂になっている、変人天の道くんの事を思い出した。
加賀美鑑
元ネタは加賀美新。
野球少年かがみんは、書きたかったキャラの一人。書いてて楽しかったです。
岬さんのことは先輩として慕っているけれど、今のところ特に恋愛感情はないという設定です。
名前を鑑にしたのは、読み方を変えると『かがみかがみ』になるから、という安直な発想と、奉仕部編最終話を書いてる頃、特に意味もなく性別型の叙述トリックを書いてみたかったからです。なんの構想もなく書いたので、叙述トリックがストーリーに活かされることはありませんでした。
思えば、お化粧研究部編2話、風間和美の登場シーンも性別型の叙述トリックのつもりでした。あれは、登場シーンにインパクトが出て良かったんではないかと思います。
材木座義輝
自分のことを、イギリスの名門貴族ディスカビル家の末裔、神代剣だと思い込んでいるという改変設定。
原作カブトの坊っちゃまも、自分のことを神代剣だと思い込んでいる……という設定だったので、これはこれでアリかなと思っています。
ミサキーヌの事が好き。しかし、岬は彼の事を後輩の友達としか思っていない。
調査員二号ちゃん
雪ノ下陽乃の友人。
ちなみに、調査員一号ちゃんは平塚静(静自身に自覚はない)です。
あと、調査員V3もいます。
どうでもいい裏話になりますが、私は仮面ライダーカブトのテーマ曲の歌詞をかなり意識して書いています。
そういう意味では、奉仕部編とお化粧研究部編は、「由比ヶ浜結衣の『FULL FORCE』編」です。奉仕部編で彼女が部長になったり、お化粧研究部編で彼女が優美子に反論したりしたのはその影響です。
野球部編は、「雪ノ下雪乃の『LORD OF THE SPEED』編」でした。
『LORD OF THE SPEED』は加賀美と天道、もしくは天道と妹について書かれた歌詞なんでしょうが、雪ノ下姉妹をイメージして聴いても面白いんじゃないかと、私は勝手に思っています。