BanG Dream!〜夢を打ち抜く彼女達の日常〜   作:凛句りんく

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Roseliaの日常①-3

 

 

 

 紗夜が光と共に()()()

 

 

 

 

 

 その現象と同時に、大きな岩が擦れるような音がして大部屋の天井にも変化が起きる。

 

 

 

 

 「え、紗夜さん!? どこ行っちゃったんですか!?」

 

 「紗夜がいなくなったわ。まったく、私は今回ちゃんとして消えなかったのに」

 

 「あのね友希那、普通はゲーム中にログアウトはしないんだよ」

 

 「さっきの青い光は転移アイテムを使った時のエフェクトと似ているような。 そして天井が……開いていく??」

 

 

 なおも地響きを起こしながら大きな音とともに天井が開き続け、完全に開ききった後には初めから天井が無かったかのような部屋に変わっていた。

 

 

 「んー! 気持ちいい風だね!」

 

 

 リサの視界には曇り一つない綺麗な青空が広がり、心地よい光が大部屋へと照らしていた。そして透き通る風がRoseliaメンバーの髪をなびかせていく。

 

 

 「それにしても、ちょっと風が強くない?」

 

 「確かに、だんだんと強くなってきてるかな」

 

 

 友希那とリサは、少し強いが気持ちいい風だと感じている。

 

 しかし、あこと燐子には思い出したくない嫌な心当たりがあった。

 

 

 「ねえりんりん、まさかだと思うけど、、そんなわけないよね……?」

 

 「私もそう思いたいけど、遠くから翼の羽ばたく音が聞こえるんだ

 ……小鳥だといいなー(^ω^)」

 

 

 初めは微かに聞こえていた羽音だったが、次第に重く鈍い大きな音へと変わっていく。

 

 

 

 「なにかが近づいて来てるのかしら」

 

 

 

 「けっこうおっきい気がするねー」

 

 

 

 事態を察していない二人だったが――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「「グオォォアアアーーーーーーーー!!!!!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 耳の張り裂けそうな獣の鳴き声と共に、先ほど天井が開いた上空から姿を現した()()()()()を見て、自身の愚かさに気が付く。

 

 

 「「なにあれぇぇぇぇーーーーーーーーーー!?!?」」

 

 

 リサが腰を抜かすほど驚き、

 

 

 「「やっぱドラゴンだぁぁぁああああいいやあああああ!!!」」

 

 燐子とあこは悲鳴を上げていた。

 

 

 「そしてあの光をまるで通さない黒い身体に、頭の歪な禍々しい双角は

 ……《邪竜》ファブニール!?」

 

 「それってめちゃくちゃ強いドラゴンじゃん!! りんりん、公式はクエストのボスを倒さなくていいって言ってたよね!!!」

 

 

 あこはこの状況に怒りを隠せないが、そんなことファブニールはお構いなしにあこ達と同じ地に降り立つ、宝箱を下敷きにして。

 

 

 「やばいじゃん、どうするの!?」

 

 

 リサが落ち着きなくあわあわと辺りを歩き回り、何か解決策を見つけようとする。

 

 

 「大変なことになったわね、紗夜は帰ってこないし。どこに行ったのかしら」

 

 

 友希那はやれやれと首を振って、いまだに消失した紗夜に呆れていた。

 

 

 「紗夜さんは転移らしきエフェクトで消えた……ボスを倒さなくていいクエストに強力なモンスター……もしかしてっ!!」

 

 

 少し落ち着いて冷静になり、しばらく考えていた燐子が何かを閃いた。

 

 それに気が付いたあこが、先制攻撃を仕掛けるための詠唱をやめ、期待の眼差しで問いかける。

 

 

 「りんりん、何か分かったの!?」

 

 「たぶんだけど、行動する順序を間違えたんだと思う(ー ー;)」

 

 「順序?? どういうことかしら」

 

 「はい、私たちは先に宝箱に触れて、後からドラゴンと遭遇しました。でも本来は先にドラゴンに遭遇してから、宝箱を発見する予定だったんです。そう仮定すれば紗夜さんが消えた理由も納得がいきます( ´Д`)」

 

 

 ここまでヒントが出たところで、あこにも真相が理解できた。

 

 

 「あー! 紗夜さんは転移したんだ、ドラゴンから逃げるために!!」

 

 「うん、あれはドラゴンから避難するための転移装置なんだよ。たぶん転移した先のエリアに報酬が入った本当の宝箱があると思う(^ ^)」

 

 「あはは〜、なるほどね~、早とちりしちゃった紗夜だけが先に転移装置ってやつで消えちゃったわけか」

 

 「じゃさっそく宝箱に近づいて転移しましょ!!」

 

 

 しかし、あこが解決策を見つけたことで元気が出たのも束の間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なぜなら――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あこ、いま話していた宝箱あれよね。どうやって下に潜り込むの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――先ほど降臨したドラゴンの懐に、宝箱が鎮座していたからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「「……」」」

 

 

 

 

 

 

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 「右爪の振り下ろし!! あこちゃん左方向へ回避!」

 

 

 眼前の黒竜が、右前足の先に付いた四つの鉤爪を小さな死霊術師(ネクロマンサー)へ振り下ろす。

 

 

 「おっけーりんりん!」

 

 

 少女は華麗に左側へステップし、難なく回避する。

 

 

 「リサさんヒールをあこちゃんにお願いします!」

 

 

 黒竜が攻撃を外した隙に、後方に避難していたリサが前線に向かい回復魔術(ヒール)をあこへ唱え始めた。

 

 

 「よーし……やあぁぁぁ!!」

 

 「おお! ありがとうリサ姉!」

 

 

 淡い緑光があこを包み傷を癒していく。

 

 そして、燐子は反撃を行うべく攻撃魔法の準備へ。

 

 

 

 現在の戦闘隊形は後衛2人(友希那、リサ)に前衛が1人(あこ)、その中間に指揮官として燐子がいる。主にあこが攻撃を繰り出し、ダメージを受けると後退、またはリサが隙を見て前線まで上がりヒールを。その間は凜子が遠距離魔法で牽制をする。友希那は燐子に指示された歌をひたすら歌唱する。

 

 非常に理にかなった隊形で、これも予め燐子が考えていたものだ。

 

 

 「友希那さん、『戦場の花嫁~烈火~』の歌唱です(`・ω・´)」

 

 

 燐子は吟遊詩人の友希那へ、魔法威力バフが付与される歌を歌うように指示を行い、

 

 

 「ええ、任せて……ラララ――」

 

 

 続いて自身は、持ちうる中でも最も強力な魔法の詠唱を始める。

 

 

 

 「うん……いけるっ!!

 

 

 

 『氷神の大嵐(ボレアース・スノーストーム)』!!! 」

 

 

 

 燐子が詠唱が唱え終わると同時に、黒竜の辺りの大気が別世界のように白く凍えだす。やがて空中にいくつもの尖った蒼銀の氷刃が生成されていき、それが万遍なく漂った瞬間、遠くにいる友希那でさえよろけてしまうような凄まじい竜巻が氷刃を巻き込みながら黒竜を襲う。

 

 そして時間が経てば経つほど、荒れ狂う竜巻に含まれる氷刃が竜燐を切り刻む、恐ろしい魔法になっている。

 

 さらに友希那の歌唱によるバフでさらに磨きがかかった燐子の魔法は、対象を瀕死にする……はずだったが。

 

 

 

 「グルアアアァァァァァァァァァ!!!!」

 

 

 

 

 しかし今、戦っているのは竜種の中でも最上級クラスの強さを誇る邪竜ファブニール。その強靭な竜燐は大して損害が見当たらなかった。

 

 

 「ええええ!! りんりんのあの魔法でも効いてないの!?」

 

 「あんな凄そうなのでダメなら、どうしようもないよね~」

 

 

 回復が終わり、燐子の元へ集まったあこ達が残念な結果に落胆する。

 

 

 「燐子、どうする??」

 

 「えーと、えーと、そうですね、ちょっと考えさせください(_ _)」

 

 

 最初は誰かを囮役にし黒竜をおびき寄せ、その間に他のメンバーが宝箱から転移。という作戦を考えたのだが、それだと最後の一人が犠牲になる。さらには挑発の役割を持つタンクの紗夜がいないため難しいということで却下。

 

 ならいっそのこと倒してしまおうと最終的に考え付いて実行した結果……今の状況になってしまった。

 

 

 「どうしよう……(-_-)」

 

 「りんりん、もうこのクエスト諦めたほうがいいかもしれないね」

 

 

 もう逃げようと、あこが諦めかけたその時、リサと友希那は黒竜の異変に気が付く。

 

 

 「あー、ていうか、さっきからドラゴンさん何もしてこないけど、どうしたの?」

 

 「息を吸って何か溜めているように見えるわね」

 

 

 燐子は自身の失態を自覚する。あまりに考え事に集中したせいで黒竜の動向から意識が離れていたと。

 

 

 「えっ、それってまさか……っ!」

 

 

 そして竜が息をため込んだ後にする行動は、ゲーマーなら誰しも理解していた。

 

 

 「りんりん危ない!!」

 

 

 すぐに身体を動かせなかった燐子にあこが体当たりする。

 

 

 その瞬間、耳を塞ぎたくなるほどの咆哮と同時に、先ほどまで燐子がいた場所は黒竜の口から放たれた豪炎で埋め付くされていた。

 

 

 「きゃっ……あ、あ、あこちゃーーーん!!!!」

 

 

 

 黒竜の咆哮(ブレス)が収まる。急いで燐子が、豪炎に焼かれた跡地に倒れているあこを確認する。しかし、もうあこが動くことはなかった。

 

 

 「他に生き残った人は……っ!」

 

 「危なかった~、もう少し横にいたらやられてたよ~」

 

 

 偶然にもなんとか助かったリサは、辺りをキョロキョロと見渡す。

 

 

 「ところで友希那は……って死んじゃってる!?」

 

 あこと同じく突っ伏せたまま動かない友希那。どうやら逃げ切れなかったようだ。

 

 

 「ねえ燐子、友希那やあこはもう生き返らないの??」

 

 「そうですね、蘇生魔法が使えるほどリサさんはレベルが高くないですし――」

 

 「蘇生魔法って……これかな?」

 

 

 「えいっ」というリサのかけ声に反応し、深緑色の淡い光が友希那を包む。凜子は驚いて思わず声が出てしまった。

 

 

 「ええ!?」

 

 「実はさ、ここに来るまでにレベルが結構上がってさー。なんか色々覚えたんだよねー」

 

 

 燐子は希望の光を見つけ、これなら何とか粘れば勝てそうっと思い、黒竜に目を向けた。

 

 

 「よし、ならリサさんはそのまま魔法を続けてください! 私は時間稼ぎをするので(`・ω・´)」

 

 

 そういって燐子は黒竜に牽制の魔法を放ちながら、時間稼ぎのため黒竜の攻撃を縦横無尽に避けて動き回る。

 

 なぜならリサの蘇生魔法は、プレイヤーを生き返らせるという強力な魔法だが、発動まで時間がかかるのが問題だからだ。

 

 燐子は竜種の攻撃パターンはある程度なら知っていた。故に黒竜の鉤爪の振り下ろしも、尻尾による範囲攻撃も、双角で地面を抉って岩を放り投げる技も、まともに当たることなく躱すことが出来た。

 

 しかし燐子に攻撃を躱され続けて学んだのか、黒竜は攻撃パターンを変更する。今までは片脚しか攻撃をしてこなかったのだが、両前足を中に浮かし始めた。

 

 「このままいけば蘇生も完了するけど……なんだろう……何をするつもり(ー ー;)」

 

 

 その直後、黒竜はそのまま両脚に全体重を乗せて地面を叩き、フロア全体に大きな地震を引き起こした。それは燐子や後ろで蘇生していたリサにも影響がおよび、リサはその効果で魔法が強制中断された。

 

  さらに、最悪な状態悪化(デバフ)があることを燐子は知る。

 

 

 「これ、スタン付与だ……(*_*)」

 

 「え、なになに、何も動けないんだけど!」

 

 

 そしてこの状況を黒竜が見逃すわけがなく、黒竜は四足のうちの後ろ二脚を軸に立ち、前足を浮かし、鉄鋼のような腹部に大きな溜めを始めた。虎視眈々と、先ほどあこ達を亡き者にした厄災を放出する準備を始めたのだ。

 

 「ああ、リサさんの方を向いてる、逃げてくださーい!!」

 

 「ええええ、どうやってーーー!!!」

 

 

 必死に燐子が叫ぶも虚しく、黒竜は破滅の咆哮(ブレス)を放出した。

 

 「きゃああああああああ!!!!」

 

 「り、リサさーーーーん!!!!」

 

 

 

 

 

 体中を覆うローブを着た少女が紅蓮の業火により焼かれていく。

 

 

 「グオォォアアアーーーーーーーー!!!!」

 

 

 黒竜は勝利の雄叫びを上げて、次なる標的に頭を向ける

 

 

 「どうしよう……このままじゃ全滅しちゃう……っ!! もう残るは私だけだ(/ _ ; )」

 

 

 凍てつく眼光を灯した黒竜が、続けて先ほどと同じ体制になり口内に溜めを始めた。

 

 

 「あれはさっきと同じ咆哮(ブレス)の前触れ! だめ、今の私は動けない(T . T)」

 

 

 先ほどのスタンからまだ回復していない燐子に向け、慈悲も容赦も持ち合わせていない黒竜は、先ほどと同じ豪炎を口から勢いよく放出する。

 

 それは万物を焼き尽くす代物で、目の前の少女などいとも簡単に滅ぼす攻撃だった。

 

 

 「いま死んじゃったらクリア報酬が手に入らないよ……。だ、だれか、だれか助けて!!」

 

 

 しかし、その声は黒竜の咆哮でかき消され、

 

 

 

 

 

 虚しくも少女は灼熱の炎に包まれる――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――はずだったのだが、いつまで経っても燐子のHPが減らない。

 

 

 

 

 不思議に思った燐子は、恐る恐る顔を上げる。

 

 

 すると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目の前には、盾を構えた少女(紗夜)が立っていた。

 

 

 

 

 「しっかりしなさい、白金さん!!!」

 

 

 

 

 







颯爽と現れる救済者ってカッコいいですよね
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