BanG Dream!〜夢を打ち抜く彼女達の日常〜 作:凛句りんく
そうして、しばらく考えていた香澄が答えた。
「ならxの代わりに星を使うから……星²+10星……星²かぁ。ねぇおたえ、星²って何個くらい星があるのかな??キラキラドキドキするくらいあるかな!!」
「私も分かんないけど、すっごい沢山ありそう。なんか神秘的な気がする」
物の見事に2人は問題の話から脱線していった。
「そうだな、星に置き換えさせた私が悪かったよ……」
額に手を当てながら、有咲は遠い目をして呟いた。
すかさず沙綾がフォローする。
「わ、私は有咲の提案は良かったと思うな!!香澄も惜しいところまで解いてたし!……ただ、星だと、ね」
そこで何かを思い付いたのか、りみが皆んなに提案をする。
「あのね皆んな、星だと香澄ちゃんが色々と別のこと考えちゃうんだよね。な、なら代わりにチョココロネに、置き換えたらどうかな??」
それって星と例え方があまり変わらないのでは、っと有咲は思うが、せっかくの
「だったらチョココロネ²!!なにか進化したチョココロネみたいだね」
「うん、頭の良いチョココロネな気がする」
もはや香澄と
「私もね、考えてたんだ。チョココロネ²てなんだろうって。チョココロネがいっぱいなのかな?何か美味しくなったのかな?って。どっちにしてもね、私は嬉しいな」
りみにとってチョココロネとは、真剣に考えるべき大切な存在だというのが分かる言葉であった。
「それってもう数学とは別の問題じゃないか……」
そう静かに有咲は呟いた。
しかし
「なら、オッちゃん(うさぎ)に例えてみようよ」
たえの一言で、もう初めの目的から離れた会話になっていった。
「オッちゃんかぁ……。オッちゃん²って何か面白い!!」
「オッちゃんがいっぱいいるのかな??」
「オッちゃんなら沢山いても嬉しいな」
香澄と
「ねぇおたえ、1/2オッちゃんだったらどうなるの??」
「それはね、香澄。1/2だからオッちゃんが半分だよ」
また別の疑問を持った香澄がさらに問う。
「オッちゃんが半分ってことは、小ちゃいオッちゃんなの?」
「んーん、違うよ。オッちゃんを頭から半分にし」
「おたえやめろおぉぉ!!!」
「おたえやめてぇぇぇ!!!」
これ以上は絶対にヤバイと感じた有咲と沙綾は
「な、なら、有咲は何に例えたりするの!?分かりやすい例があるなら香澄も解きやすいかなぁって、あはは」
このままでは例え話の話題で盛り上がって一日が終わってしまう、そう思った沙綾は、この話を始めた有咲に勉強を進めるための話を振った。
「わ、私?そうだな……。盆栽とかかな」
有咲は身近で例える物がこれくらいしか思い付かなかった。
「なら盆栽²だね!盆栽をたくさんにしたり、半分にしたりするのかな!」
「だめだ香澄、盆栽は粗末に扱えない」
なにせ有咲は、毎日欠かさず手入れや水やりをするほど盆栽を大切にしているからだ。
「トネガワ2号はだめ?」
「だめだ」
「ならシナノもイシカリも?」
「だめだって言ってんだろ!?」
「え〜、有咲のケチ〜」
断固として首を縦に振らない有咲に、香澄は残念そうに言った。
「それにしても、香澄は有咲の盆栽に詳しいんだね〜」
沙彩は少し不思議に思ったため、香澄に聞いてみた。
基本的に有咲は盆栽の話をあまりしないし、自分達も盆栽には興味が無いので知ることが無かったからだ。
「それはね〜、この前、有咲の家で2人でお泊まり会したんだ!!」
満面の笑みで、とても嬉しそうに香澄は言った。
「それでね、有咲とお話しを沢山してね!!盆栽の事とか、ポピパの事とか、学校の事とか!!」
よほど有咲とのお泊まり会が楽しかったのか、香澄は口が止まらなかった。
「香澄ちゃん、良かったね」
「香澄、とても楽しそう。今度は私も誘ってよ」
「へぇ〜、良かったね、香澄。有咲も、ね??」
そう意味深な笑みを浮かべて沙綾は有咲を見ながら言った。
「べ、別に嬉しくなんかねぇ!!仕方なくだな、香澄が言うから」
そう有咲が目を逸らしながら言うが。
「えぇ〜。有咲、楽しくなかったの??そっか……ごめんね」
そう言う香澄は、先ほどの楽しそうな顔が嘘のように今はとても悲しそうだった。
「い、いや、ちが、そのだな、う、嬉しかったよ私も……」
「だよね〜!!だって、有咲はね、私が寝る前に『私な、香澄やポピパの皆んなのお陰で毎日が楽しいんだ。今までは退屈で仕方がなかったのに……。ありがとう香澄。私を外の世界に連れて行ってくれて』って言ってくれたんだもん!私めちゃくちゃ嬉しかったんだから!!」
「ちょま、起きてたのかよ!!てか言うなよ!!!」
かなり恥ずかしい事を言ってしまった香澄を有咲が止めるも時は既に遅し。そして有咲は言ったこと自体は
「あ、違うぞ、これは香澄が勝手に言い出してだな」
必死に反論するも意味は無かった。香澄が嬉しかった事や楽しかった事を正直に言うことを皆んなは知っていたからだ。そしてなにより、あんな笑みを浮かべて話していた香澄が嘘を付いているはずがないと、誰が見ても一目瞭然だった。
「有咲ちゃん、そんな事を思ってくれたんだ……ありがとう」
「有咲、私も有咲のお陰で毎日が楽しいよ、ありがと」
「私も有咲に感謝しているよ。ありがとうね」
ここぞと言わんばかりに三人が有咲に感謝を述べた。別に嘘は付いていないし、普段は滅多に素直にならない有咲が気持ちを伝えた(香澄によって強制的だが)ので自分も伝えようと思ったのだろう。
そして、皆んなに素直な気持ちを言ったり、または自分の事を褒められたり感謝されたりする事に免疫がまったく無い有咲は、既に沸点を超えていた。
「うぅ〜!!あーー!!!もう絶対に勉強なんて教えてやんねぇ!!!!もう嫌!!帰る!!!」
「あー!!ごめんって有咲ぁ!!許してぇ!!!数学の続き教えてよぉ!!」
教室の扉を開けて出て行こうとした有咲に、香澄がしがみつきながら言った。顔が真っ赤な有咲が意地でも帰ろうと香澄を引きずり、香澄は有咲に帰られたら困るので必死に抵抗をする。そして、
その5人の声は、下校時間になるまで静まることは無かった。
Poppin'Partyの楽しい日常のうち、とあるテスト返しの日に起きたであろう、1つの出来事である。
ポピパ第一章完結
次はまだ未定ですが、Afterglowの話でも近いうちに書きたいなと。
その時にまた読んでくれたら幸いです。
良ければ評価お願いします。