BanG Dream!〜夢を打ち抜く彼女達の日常〜   作:凛句りんく

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Aftergrlowの日常①ー2

 

 

 

 

 

―――以下ひまり氏の発言を再現―――

 

 

 

 あたしの名前は美竹蘭。羽岳女子学園に通う女子高校生だ。

 

 今日はあたしのバンド「Afterglow」の練習は休みだけど、いまから一人で猛特訓して次の練習でみんなを驚かせてやるんだ。

 

 

 「いっけね、CiRCLEの予約時間に遅れる。遅刻遅刻~」

 

 

 食べる時間がもったいない、と思ったあたしは朝ごはんの魚を咥えて急いで家を出て走った。

 

 ……すると曲がり角の先に男性が、

 

 

 「ふぁ、ふぁうな――!!(あ、危な――!!)」

 

 

 気づいた時には時既に遅し。

 

 勢いよく『ドンッ!!』とその男性とぶつかってしまった。

 

 

 「いったぁ。すみません、だ、大丈夫ですか……??」

 

 

 見上げた視線の先にいたのは、高身長でイケメンであり爽やかな男性だった。

 

 

 「すまない(キラーン)大丈夫かな、可愛らしいお嬢さん。僕は大丈夫だよ。怪我はないかい?? そんな美しい体に傷がつくなんて、神様が許しても僕は自分を許せないよ……」

 

 「あ、はい。大丈夫です。」

 

 「おお!!それは良かった! ……しかし、謝るだけでは僕の気がすまないようだ。こんな可愛らしいお嬢さんにぶつかってしまったからね(キラーン)」

 

 「は、はぁ……」

 

 「そこでだ、これから僕と楽しいデートをしないか?? もちろん、お金のことは気にしないでいいさ! 欲しい物なんでも買ってあげるとも。これは君への謝罪の意味もあるからね(キラーン)」

 

 「わーい、ありがとうございまーす。練習は明日からしよーう。」

 

  「「あははははははははは」」

 

 

 二人は楽しそうに笑いながら街中へと歩いて行った。

 

 

 

 

―――現実に帰還―――

 

 

 

 

 「んなわけないだろ!!! ただのナンパじゃんか!!」

 

 「えー、おかしいなー、ちゃんと恋の出会いを想像したつもりなんだけどなー」

 

 

 巴の勢いあるツッコミに、ひまりは少々不満げだ。

 

 

 「ねぇひまりちゃん、なんで蘭ちゃんはパンじゃなくて魚を咥えているの??」

 

 「うーん、だって蘭の家は華道の家だし……朝ごはんは和食かなって」

 

 「それで魚を咥える事は普通の女子高校生はしないと思うな……。」

 

 

 その様子は、完全に日曜のお茶の間アニメの猫であった。

 

 

 「さすがひーちゃん、少女マンガ風の展開がすきだねー」

 

 「もー!! モカまで私をバカにして―!! 私なりにいろいろ考えたんだからー!!」

 

 「「「いろいろ考えすぎ」」」

 

 

 三人の息はぴったしだ。

 

 

 「むー、ならみんなはどうやって蘭が男の人と出会ったと思うの??」

 

 先ほどから反論され続けたひまりが頬を膨らませて拗ねる。ひまりからしたら、これが真実であり、蘭の身に起きたかもしれない出会いだったらしい。

 

 すると巴が語りだした。

 

 「んー、アタシはこうだと思うな!」

 

 

 

 

―――以下巴氏の発言を再現―――

 

 

 

 

 やあ、みんな。

 

 私の名前は美竹蘭。女子高校生であり、ガールズバンドAfterglowのギター&ボーカルだ。

 

 今日は一人で自主練をするつもりだったんだけど……。

 

 

 「おい、そこの女、ちょっと面かせや。大丈夫、なーんにも抵抗しなけりゃ痛い目にはあわねえよ、ひゃっはっはっはっは!!」

 

 

 今はガラの悪いチンピラに絡まれている。道の邪魔だったので退くようにお願いしたんだけど無駄のようだ。

 

 

 「ぁあん? なに黙ってんだよ!! やんのかおら!!!」

 

 「はぁ……なに騒いでんの? うるさい。」

 

 「こ、このアマぁぁぁぁ!!」

 

 

 しかたない、さっさと済ませて練習しよう。そう思ってチンピラと向かい合ったその時――

 

 

 「そこの君!! 可愛い女の子になにしてるんだ!!」

 

 

 颯爽(さっそう)と現れたのは背の高くガタイの良い男だった。

 

 

 「あ? なんだお前。やんのかおい」

 

 「……仕方がないですね。口で利かないのなら実力行使にでるしかないですが、今は2対1ですよ。おとなしくここで引くのが良いと思いますが??」

 

 

 男は脅しをかけて穏便に解決しようとした。しかしチンピラはニヤっと笑いだす。

 

 

 「誰が、2対1だって?? なあ!! おまえら!!!」

 

 

 すると、いつのまにかチンピラの周りには10人くらいの仲間が集まっていた。

 

 

 「く……ッ!! 貴方は逃げるんだ!! ここは僕に任せていけ!!」

 

 

 その男はあたしを庇ってそんなこと言う。けれど、

 

 

 「なに勝手に話を進めてんの。あたしが逃げるんじゃなくて、あんたが逃げるんでしょ。」

 

 「なにをいって……ッ!? その赤いメッシュと背中のギターは……ま、まさか羽丘女子学園の『レッドデーモン』ですか!?」

 

 「だったら何?? どうすんの。」

 

 「ふふふ。いや、つい嬉しくて笑ってしまいました。まさかあの有名な方と共闘できるなんて!!」

 

 「……。足手まといにならないでよね」

 

 「ええ、貴方こそね!!」

 

 

 こうして、二人の共闘バトルが始まった――。

 

 

 

 

―――現実に強制帰還―――

 

 

 

 

 「ちょっとストップストップ!!! 長すぎだよ!! しかもバトルって何!?」

 

 

 このまま続くと長くなると感じたひまりが、巴の愉快な脳内再生を止める。

 

 

 「なんだよ~! ここから熱~いバトル展開があって感動の友情物語があってだな!!」

 

 「巴ちゃん、もう蘭ちゃんの真実を考えより、妄想する方が楽しくなってるよ……」

 

 「トモちんは熱くなると止まらないからねー」

 

 「いいじゃんか、こんな話があってもよー」

 

 

 そんな楽しい妄想話を進めていると、蘭達がこちらを振りむき、さらにモカ達へ向かってきた。

 

 

 「あ、やばい、皆んな隠れろ!!」

 

 「あーあー、トモちんが大きな声を出すからだよー」

 

 「いいから! 早くモカも隠れて!!」

 

 「蘭ちゃん達にバレちゃったのかな」

 

 

 急いで4人は蘭達に見つからないように物陰に隠れ、息を潜める。

 

 

 「ちょとー、狭いー、狭いってばー」

 

 「巴、も、もうちょっとそっち行けるでしょっ」

 

 「ひまり押すなって! なんか柔らかいものが…」

 

 「みんな静かにしてってば!」

 

 

 しばらくして、何とかバレずに蘭達は4人を通り過ぎた。

 

 そして4人はまた、蘭達の尾行を開始するべく隠れながら移動する。

 

 しかし、ここでつぐみが先ほど気づいた違和感を思い出す。

 

 

 「ねぇねぇ、さっき男の人をチラって見たから気づいたんだけど……」

 

 「うん、私も気づいた。あの男の人、外人さんだったね!」

 

 「なるほどなぁ、だから背が高かったのか。」

 

 

 例の男の人は目が青く鼻が高かった。それは日本人離れした姿見であり、外国人であると、つぐみとひまりは気づいたのだ。

 

 

 「あー。モカちゃん分かっちゃったー。蘭達に何が起きたのかー」

 

 「え? モカ本当?? 教えて!!」

 

 「ふっふっふー、おそらく蘭達にはこんな事があったのでーす」

 

 

 

 

―――以下モカ氏の発言を再現―――

 

 

 

 

 ハロー。わたしの名前はラン・ミタケ。

 

 普通の女子高校生だけど、今は訳あってアメリカで1人旅をしている。

 

 持ち物はギター1つだ。これでどこまでいけるのか、わたしの実力はどんなものなのか、それを知りたいから。

 

 幸いにもこの地域には、良い音楽を奏でるとチップを貰える文化があるので食っていけそうだ。

 

 

 「さてと、今日はここら辺で歌おうかな」

 

 

 さっそく歌い始めようと思い、路上ライブをする準備をしていると……

 

 

 「ハーイ、レディ。ユーがラン・ミタケかな?」

 

 

 見知らぬ男が声をかけてきた。恰好からして、わたしと同じ音楽家のように見える。

 

 

 「はい……わたしがそうですが。あの、なにか用で?」

 

 

 すると男は輝いた目で話はじめた。

 

 

 「オー!! ユーがあの!! 噂は聞いているヨ。思わず立ち留まって聞き入ってしまう女神のような声。心が躍ってしまうくらい心地よい音を出すギター。熱く燃えだしそうな情熱の宿った歌詞。それらを創りだし演奏する者だっテネ」

 

 「恐縮です。ありがとうございます」

 

 「そこでだ、ミス・ミタケ。私が世界中からメンバーを集めているバンドに入ってみる気はないかネ??」

 

 「あなたが作っているバンド?」

 

 「イエス。世界レベルで通用するメンバーを集めていてネ。あとボーカルだけなんだが……。そこにユーを迎え入れたいのダヨ!!」

 

 「あたしをですか……? それはとても嬉しいですが。」

 

 

 嬉しい気持ちは本当だ。自分の力が認められて、見てもらえて嬉しい。それに、世界で通用するようなメンバーでバンドを組んで音楽が出来るのはとても楽しそうだしワクワクしてくる。けれど――。

 

 

 「ユーなら絶対に人気になれるサ!! 私も、私の集めたメンバーが世界で輝くのが見タイ!支援も――」

 

 「すみません。誘って貰えて嬉しいですが、お断りします。」

 

 「――できる限りするし専属のコーチも……ナンダッテ? 断る、なぜかね?? お金かい?」

 

 「いえ、わたしにはもう信頼できる仲間がいるからです」

 

 

 そう、今は離れ離れになっているが、わたしにはAfterglowのみんながいる。彼女らを見捨てることは絶対にできない。

 

 

 「フム……信頼できる仲間ネ。すでに先約がいたわけダ。ハッハッハ!! これは惜しい者を逃したヨ」

 

 

 男はすんなり蘭を諦めた。かなり気前の良い人柄らしい。

 

 

 「ナラバ、今度ジャパンでユーのバンドメンバーを紹介してくれないかカ?? ユーが選んだそのバンドが気になって夜も眠れそうにないヨ!!」

 

 「はい、必ず。」

 

 

 こうして、わたしは一人の音楽プロデューサーと知り合いになった。

 

 

 

 

―――現実に帰還―――

 

 

 

 

 「うぅ……ぐすん……。いい話じゃないかぁぁぁ。蘭がアタシ達を見捨てないで信じてくれてさぁぁ!!」

 

 「えぇぇ、巴、感情移入しすぎってば。蘭が私たちを選ぶのは当然でしょ!!」

 

 「ねえ、二人とも、まずは蘭ちゃんが海外にいることに疑問もとうよ!?」

 

 あまりにかけ離れた話に、つぐみは呆れていた。

 

 

 「(それに男の人が知らない外国の方で、蘭ちゃんと一緒に歩いてて、どこかに向かってる。 なんとなく蘭ちゃんの状況がわかってきたけど……。みんな楽しそうだし、言わないほうがいいのかな)」

 

 

 そんな風に苦笑いしながらつぐみが考え事をしていると。

 

 

 「我ながら良い話ができたと思うなー……あれー?? 蘭達がどっかに入っていくよー」

 

 

 モカがそう言うのでみんなが蘭達に注目すると、確かに二人は建物の中に入っていった。しかもその建物は4人が見覚えのあるもので……。

 

 

 「CiRCLEじゃんか、なんでだ。」

 

 「あの男の人も実は音楽をしていて、蘭と一緒に練習するのかな……??」

 

 「そ、そうかもしれないね!」

 

 「モカちゃん達を捨てて二人きりで練習するんだねー……かなしいよー、らんー」

 

 

 先ほどの話の続きを思い浮かべたのか、モカが悲しそうにつぶやいていたら、巴が焦ったように言い出した。

 

 

 「そ、そんなわけあるか!! 蘭がアタシ達を見捨てて二人きりで練習……ふたりきり?? なあ、これってマズイんじゃないか??」

 

 「んー、確かに男女二人きりは怪しいけど……さすがに大丈夫だと思うよ?だってCiRCLEだし、なにか音楽のこと教えてもらうんじゃないかなー」

 

 

 変な心配している巴にひまりが反論していると――

 

 

 「きゃーーーーー!!!!!」

 

 

 

 突然、女性の大きな悲鳴がCiRCLEから聞こえた。

 

 

 

 

 

 






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