BanG Dream!〜夢を打ち抜く彼女達の日常〜 作:凛句りんく
「きゃーーーーー!!!!!」
突然、女性の大きな悲鳴がCiRCLEから聞こえた。
「なんだ!? もしかして蘭が危ない!? いまいくぞ!! らーーーーーん!!!!」
「ええぇ!? 優しいイケメンの男の人じゃなかったの!?」
「はやく!! ひまりちゃんいくよ!!! なんだかわからないけど蘭ちゃんが危ないかも!!」
「モカちゃんの蘭に何かしたら許さないぞ~、まて~」
蘭に何かあったのかも、そう思ったメンバーの動きは早かった。助けに行くと自分たちも危なくなるかもしれないのに、そんなことを
そして真っ先に走った巴がCiRCLEの入り口へと先について、『バン!!!』と勢いよく扉を開けた。
「助けにきたぞ!! 蘭!!!」
そこ待っていた光景はというと――
「な、なにしてんの、巴」
優雅にお茶をしている蘭、例の男の人、そしてCiRCLEのオーナーのまりなだった。
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「驚かせてごめんね~。かなり久しぶりの再会でさ、嬉しくてつい声がでちゃったよ」
そうやって、まりなはモカ達に申し訳なさそうに謝罪する。
どうやら勘違いだったと気が付いた4人はホっとした。
「いや~、こちらこそすみません。アタシ達の勘違いでよかったです。よくよく思えば、蘭の声と少し違うなーと思いました。アタシ達、早とちりしちゃって」
巴は何も考えすに行動したことを反省していた。あそこで冷静に考えてみれば、勘違いしなかったと。
「じゃあ、蘭は何でその外人さんと一緒に歩いていたの??」
「確かにー、その疑惑の男の正体はなにー」
ひまりとモカだけでなく、他の二人もずっと疑問に思っていたことを蘭に聞いた。
「あぁ。この人は日本にまだ慣れてないから道に迷ってたんだって。だからわたしに道を尋ねてきて、ちょうど行先がわたしと同じCiRCLEだったから案内していただけ」
「そのとうりデース。ギターを背負ってたからCiRCLEが分かると思っテネ。声をかけたのサ」
「この方は私の留学時代の友人でね。遠い地から久しぶりに会いに来てくれたんだよ」
「え~~!!運命の出会いじゃなかったの~!?」
「えーー!!友情のバトルじゃなかったのかー!?」
「えーー、海外の音楽プロデューサーじゃなかったんだー。」
「ですよね~」
蘭とその男性の出会う成り行きを聞いて、4人はそれぞれ反応を示めす。つぐみだけは予想通りだったらしい。
「あっはっは!!なにそれ!なんでわたしが運命の出会いをしたり、友情のバトルをしたり、海外のプロデューサーと知り合いになるわけ」
当事者の蘭はとても楽しそうだ。……自分が三人の妄想の中でどんな冒険をしたかも知らずに。
「ハハハハ!!どうやら想像と違ったようだね。ボクも残念だヨ。でも、ひとつだけ正しいカモ。ミス.マリナ、この少女達が以前に言っていたAfterglowカナ??」
彼は愉快にまりなへ尋ねた。
「ええ、そうよ。彼女達がAfterglow。現在
まりながAfterglowを紹介する。すると突然、彼女達の雰囲気が変わった。何かを感じたのだろう。先ほどまでの
「ふむ……。気合は十分カ。ソーリー、自己紹介が遅れたね。ボクの名前は……。いや、まず先に伝えるべきはこれカナ。ボクは
「「!?」」
「実は彼に貴方たちAfterglowを紹介したくて呼んだの。ちょうど一緒にいてくれて良かったわ」
驚くべき事実を彼とまりなは言った。『いつか紹介したい人がいる』と、まりなからAfterglowは聞いていたが、まさかこの人だとは。しかも海外の音楽プロデューサーだとは彼女達は少しも思わなかった。
「モカちゃんの言ってたこと、少しだけ当たっていたね……」
「いやー、まさかのモカちゃんもビックリだよー」
「だな、 そんな人をアタシ達は尾行していたのか」
「もー!みんな呑気に話している場合!?」
「……それで、わたし達は歌えばいいんですか?」
「フフッ。理解が早くて助かる。イエス、ボクを呼んだに相応しい者なのか、確かめさせてもらうヨ」
こうして彼女達は演奏するためにLIVEスペースへ移った。
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ステージ上で彼女達Afterglowは準備を進めていた。どこか重苦しい空気が流れる中、最初に声を出したのはつぐみだった。
「よ、よかったね、みんな。楽器をCiRCLEに置いてて!! 蘭ちゃんだけ家で調整がしたいからって持って帰ってたけど、今は手元にあるし!」
「ああ!! こんなチャンス、絶対に逃すわけには行かないしな!!! これで、やっと
「そうだねー。Roseliaはプロデビューしちゃったもんねー、モカちゃん達も負けてらんないよー」
「ねえ!! なんでみんな普通に話せるの!? 私は緊張してヤバいよー!!」
Afterglowが先日練習したときに、また練習する日が近いという理由で楽器はCiRCLEに置いていた。しかしそのことが幸いし、急でも演奏の準備をすることが出来たのだ。そしてモカが言った通りに
「みんな緊張してるけど誤魔化しているだけだって。ひまり、落ち着いて。……いつものあれ、しなくていいの?」
「あ、そうだ!!!」
この先の人生を大きく変えるかもしれない演奏とわかっているせいか、やはり誰一人も緊張していない者はいなかった。そこで蘭は皆をいつも通りにするべく、ひまりに恒例の提案をした。
「今日はやるよみんな!!! せーっの!!! エイッエイッオー!!!……て、誰もやってないじゃん!?」
ひまりの困った声と、他のメンバーの笑声がステージに響く。この何度も見かけた光景に、不思議とみんなは落ち着きを取り戻していく。
しかし、この状況で笑っているのが気に障ったのか、例の彼が口を開いた。
「言っておくが諸君。勘違いしないでほしいガ、ボクは古き友人のまりなの紹介だからと言って、安く見るつもりはないヨ。高校生としてみるつもりもナイ。大人と同じ目で見る。ボクは満足しなければ、すぐにここを出で行く。いいカネ??」
威圧的な発言に、彼女達はまたもや
「大丈夫だよみんな、『いつも通り』に行こう。」
「……うん!!」
「おう!!」
「おー!!」
「おー」
この幾度も聞いた彼女の――蘭の言葉を聞いてAfterglowは今度こそ完全に火が付いた。
「おぉ……これくらいでは少しの牽制にもならないカ。(すばらしい絆だ。幼いころから一緒にいると聞いたが、そのパワーは測りきれそうにないネ。さてさて、あとは実力がどれほどのものか。楽しく拝見しようではないカ)」
どうやら彼の思惑は外れたようだったが、どこか満足していた。
そんなことは知らない彼女達は、しばらくの静寂後、蘭のかけ声により演奏をスタートする。
「それでは聞いてください。
わたし達Afterglowの代表作『――」
――この日を境に、Afterglowが日本だけでなく、世界から大人気のガールズバンドとなる道を歩むこととなるが……それはまた、どこか別のお話で。
アフグロ第一章完結
次はパスパレの話だ!
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