ゼロの使い魔~天恵の忌み子と共に~   作:MS-Type-GUNDAM_Frame

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はい、新作ばかり次々に生み出して続きを書かないMS-Type-GANDAM_Frameです。
今回こそはかなりの筆の乗りだったのですぐに続きを書くかも?


召喚された「ゼロの使い魔」

倫敦、時計塔、エルメロイ教室、放課後

 

フラット・エスカルドスは、教室の机に突如出現した鏡のような物体をしげしげと観察していた。

 

「う~ん、異世界的な何かに通じているのは確かっぽいんだけどなぁ、こっち側の神秘の濃度を考えたらどう考えてもあっちから魔力を持ってきてると思うんだけど…」

 

正確には観察ではなく、解析を行っていた。彼自身は、若い魔術師に使われがちな「ハッキング」という単語を用いて自身の行動を示すのだろう。兎に角、フラット・エスカドルは結論を出した。

 

「よし、触ると動くっぽいし触っちゃおう」

 

そういって、何人がどうしてそうなると発言したげな結論を口に出した。仮にも二十歳である。しかし、青年は何かに思い当たったかのように、あ、と気の抜けたような声を漏らした。

 

「先生が心配するかなぁ」

 

普段から、恩師・ロード・エルメロイⅡ世の胃に多大なる負荷を掛け続け、整腸用の霊薬でも送ろうかと同じロードから肩を叩かれる。その大きな要因の一つである自覚があるのだろうか。自覚があるのならかなりの凶悪度の確信犯であるし、自覚が無いのならエルメロイⅡ世にはご愁傷様と同情を寄こすくらいしか出来ないのだが。

少し考え込んでいた青年は、手を打った。

 

「よし、書置きを残しておけば先生も安心だ!」

 

そう言うや否や、上質な上着の懐から取り出したメモ用紙に、すらすらと置手紙を書き連ね始めた。しかし、ここへきてツッコミが入る。

 

「なんでそうなる!?」

「あ、先生…あ」

 

「あ」という感嘆符が二度使用されたが、解説しよう。一度目は流石に止めようと姿を現したエルメロイⅡ世への驚きからであり、二度目は発見したエルメロイⅡ世に身を乗り出し、その拍子に腕が鏡に接触したためである。

 

その余りにも間の抜けた最後の言葉を残し、フラット・エスカルドスは地球から姿を消し、エルメロイ教室には頭を抱え胃痛に顔を顰めるエルメロイⅡ世の姿のみが有った。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

「先生、これが最後の一回ですから!」

 

ハルキゲニア、トリステイン、トリステイン魔法学院にて。この魔法学院では進級のために春の使い魔召喚の儀式を成功させなければならないのだが、最後に残った一人、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールだけが、十回を優に超える回数の試行の残骸を晒しながら、未だに挑み続けていた。

一向に成功の兆しが見えず、最早体力も限界が近いであろうと判断した中年の男性教師からの制止も、これが最後の一回と懇願した。このまま進級に失敗し、実家に連れて帰られるなど、ルイズには耐えられなかった。努力はしている。他人の何十倍も、何百倍だって、足りないと誰かに言われればやるだろう。それが実を結ばないというのが、耐えられない。だからこそ、ここまで本気だったし、精神力の限界まで振り絞って十全を尽くさねばならないと思っていた。

言うなれば、先程のあと一回というのも方便であり、監督さえいなければこの少女は気絶するまで試行を続けるだろう。そして、全ての試行は全力である。

兎に角、集中。杖を構え、呪文を口から紡ぎ、体から立ち昇るような魔力の本流を杖に注ぎ込む。

 

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、五つの力を司るペンタゴン。我の運命に従いし使い魔を召喚せよ!」

 

ルイズは、今度こそ何かが違うと思った。杖から魔力が消費され、どこかと繋がっているような感覚が確かにあるのだ。これは、当たりだ。成功したと、まずはルイズは安堵した。だが、ここから何も召喚されなければ失敗と何も変わらない。こればかりは、運なのではないかとルイズは考えていた。

きっと、使い魔だって主人を選ぶくらいの事はするのではないか。そう考えると選ばれていないことには腹も立つが、今回の成功に、なるべく魔力を注ぎ続ける事に注力する。誰かが、触ってくれるかもしれないのだ。始祖ブリミルに、どうか私の使い魔をお運びくださいと、祈る。

 

一分が経過したのか十分が経過したのか、わからない。だが、()()。今まさに、誰かが目の前に現れるだろうと、ルイズは喜色満面で顔を上げた。果たして前方には、光る球体が生み出され、大きくなっていく。それも一瞬の事で、次には光球は弾け、周囲に土ぼこりをまき散らした。同時に、何かが地面を打つ音がした。

その場にいた全員が、緊張した。まさか、本当に成功するなんて、と誰かが言った。

 

「いたた…まさか頭から落ちるなんてなぁ」

 

ピシリと、ルイズの動きが止まった。少なくとも、最もこの場でルイズを気にかけていた――本人は認めないだろうが――キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーは証言している。かく言う彼女自身も、動きは止まっていた。この時にいたほとんどが、ハルキゲニアに生息する人語を操る種族を考えた。いずれの動物も、使い魔としては超級である。

もしそうなら、と、ルイズを野次っていた全員が顔を顰めたが、次の瞬間本当に全員の動きが止まった。

 

「えーっと、あ!あなたがさっきの術の術者さんですね!?お会いできて光栄です!」

 

嫌にフレンドリーな声でルイズの手を握るのは、自分たちと同年代の人間だったのだから。ルイズは、心なしか服を含めた全身から色素が抜けていた。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

再起動を果たしたルイズは、気が付くと両手を握られ、挙句ぶんぶんと振られていた。あまり長身ではないが、とても整った顔立ちの少年である。手は、実家の下仕え達と違ってすべすべと柔らかい。マントは着用していないので、裕福な商人の跡取りだろうか?

 

「さっきの魔術ってもう一度見せてもらえませんか!?いや、あれ魔術どころか魔法ですよね!凄いなー!!本物の魔法使いに会えるなんて俺光栄です!サイン貰って良いですか!?」

 

もう一度意識を失えないものか、一瞬ルイズは思案した。しかし、この少年はもう一度意識を取り戻した後に同じような事をしているような気がする。意を決して、口を開いた。

 

「い、いつまで貴族の手を握ってるわけ!?」

「あ、すいません」

 

あっさりと、少年は手を離した。拍子抜けして、ルイズはそれ以上無礼を非難できなかった。

 

「えーっと現在地は…圏外だ。GPSも出ないし本当に…凄い、異世界だ!この大気のエーテル量も凄いなぁ!!」

 

何やら薄い金属らしき物体を手に取ってひとしきり押したり撫でたりした後、やはり意味不明な事を口走っている。

 

「ミスタ・コルベール、儀式をやり直させてください」

「残念ながら、これは神聖な儀式なのだよ。やり直しは効かないんだ」

 

最もである。だが、理屈で納得できても感情は違う。貴族という対面もあれば尚だ。しかし、反抗しようにも最早あれほどの成功を再現できないようにも思える。ルイズは、嘆息した。

逃げられないように、召喚した少年の両腕を捕まえる。

 

「あ、あんたね、感謝しなさいよ。普通は貴族にこんなことされるなんて一生ないんだからね?」

 

いきなり捕まった少年は、眼を白黒していた。訳が分からないのだろうか。ざまあみろ、と、ルイズの嗜虐心がすこし満たされた。

 

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」

 

顔を、前に突き出した。相手の顔については、文句は無いのだ。むしろ、ギーシュのような最低スケコマシ野郎などなどに比べれば、否、比べるのもおこがましいほどにマシなのだが、年頃の少女である。相手の顔が整っていればいるほど、気恥ずかしい。顔が、確実に真っ赤だと思う。熱いし、もう必要ないだろうと急いで離れた。

 

「これは…痛てて、ルーン?」

「ほう、珍しいルーンだね。ちょっと失礼」

 

無事、ルーンを刻むところまで成功した。これで、春の召喚の儀式は完遂したのである。そう思うと、急に目の前が暗くなった。もう、休んでいいんだ。

視界と共に暗く落ちる意識のどこかで、自分の体が優しく抱えられるのを感じた。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

「はっ!?」

 

酷い、夢を見ていた気がする。起き上がるとまだ夜で、ルイズは安堵のため息を漏らした。召喚した使い魔が人間など、始祖の悪ふざけにも限度があるだろう。しかし、唯一の成功と思えた魔法が夢の中でしかないと思うと、暗澹とした気分になった。そう考えたのなら、魔法が成功したという良い夢だったのかもしれない。

しかし、あの口付けの感触がまだ唇に残っているような気がした。案外、真面目に話せばいい奴だったのかしら?そうかもしれない。顔も、その、悪くなかった。夢の中のキスの瞬間を思い出したルイズは、思わず自分の唇を指で撫でていた。

 

「目が覚めましたか?」

 

聞き覚えがある声がする。しかし、それは変だ。だって、この声は夢の中で聞いたものである。

 

「そう言えば自己紹介してませんでしたよね!」

 

ぎぎぎ、と、油を指し忘れた蝶番のように鈍重にルイズの首が声の方向へと向いた。ベッドの横には、椅子に座る金髪の少年が座っていた。

 

「俺の名前はフラット・エスカルドス!イギリス時計塔のエルメロイ教室所属の魔術師見習いです!」

「そう、フラットって言うのね。あんた…貴族?」

「?ええ、はい。一応」

 

起きたばかりなのだが、早速頭を抱えたくなった。

 

「ああ、俺の元居た世界なら大丈夫ですよ?ちゃんと手紙書いてきましたから」

 

どうして、こんな奴が自分の使い魔なのだろうか。しかし、まだ気になる部分が有った。貴族だという大問題は、この際本人が大丈夫だというのだし放り投げることにする。

 

「あんた、えっと、フラットでいいのかしら?」

「はい、そう呼んでください!」

「魔術師って、メイジと何が違うの?」

 

ハルキゲニアでは、魔法を使えるものをメイジと呼ぶ。それに、魔法は合っても魔術等というものは無い。そもそも、時計塔とは何処だろうか。

 

「魔術師は魔術を使って根源の渦に迫る人たちの事ですね」

 

一言目から分からない。一つ疑問を投げかけるたびに、二つ以上の疑問が再発生する。だが、根気強く聞いて行けばいつかは終わるだろう。段々、現状も飲み込めて来た。今は召喚の儀式が終わった後で、誰かがここまで運んできてくれたのだろう。そして、眠っている主人の私をこの使い魔は起きるまで待っていたという訳だ。今日の記憶も、はっきりと思い出せるようになってきた。

 

「貴方はその、魔術師の見習いなら魔術ってのを使えるの?」

「ええ。何が見たいですか?と言っても、俺は他の人が使う魔術に干渉するのが一番得意なんですけどね」

 

水系統の魔法だろうか?そういえば、一番得意と言ってもそもそも魔法のように属性があるのだろうか?だが、勤勉を自負するルイズでも、余りそのような話には聞き覚えが無い。せいぜい水の魔法で精神に干渉して魔法を発動させないだとか、そういう事だと思う。

 

「その、あんたの魔術と私たちの魔法が同じだと仮定するけど、一番得意な属性は?」

「空ですね。というか、僕は二重属性でも五大元素使い五大元素使い(アベレージ・ワン)でもないのでエーテルしか扱えないですけど」

 

嫌な、予感がした。きっと聞いたら後悔するような何かがあるとは思うのだが、聞かずにスルーというのは出来ない。

 

「その、他の属性ってどんなのがあるのかしら」

「地、水、火、風の四つですよ。あと、最近うちの教室に来た人によると剣なんて変わった属性もあるらしいですけど。僕は会った事無いですけど無とか虚数なんてのもあるらしいです」

 

整理しよう。恐らく最後に付け加えられた三つは良くわからないので除外する。明らかに前半の四つは、私たちの魔法と全く同じ属性だ。それなら、この少年の属性は、当てはまるものが一つだけある。

 

虚無。

 

貴族の始祖にして魔法、メイジの始祖。偉大なる始祖のみがもっていた失われた属性。もちろん、仮説だ。だが、余りに証拠が揃いすぎているのではないかと、一度考え始めると思えてならなかった。

もしそうなら、最悪だ。自分は虚無(ゼロ)の使い魔を召喚してしまったのである。始祖に、不敬を抱くような行為ではないか?ああ、頭が痛い。

ぱたんと、体を後ろに倒した。すると、フラットは布団を掛けてくれた。

 

「明日は、マスターの世界の事も聞かせてくださいね?」

 

私の、世界?

 

またもや、急速に溶ける様に暗くなっていく。やっぱり、まだ疲れがとれていないのだろうか?朦朧としていく中で、マスターの世界という言葉が最後まで残っていた。




次回は知識のすり合わせの続きと初の授業!がちゃんと書けるかなぁ・・・
作者フラット・エスカルドスくん大好きなので楽しく書けるといいな・・・
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