Specialian's Life(スペシャリアンズ・ライフ)   作:パラレル。

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第1話 Specialian’s Life

四月――。

 

 

桜の花がまだ咲き乱れる季節。とある少女は学生鞄を持って、自宅であるアパートの扉を強く開けた。

そしてそのまま鉄製の階段を鉄と学生靴とがぶつかって鳴る音を立てながら駆け下りて、あっという間にアパートの出入り口へ走った。

 

 

「行ってきます」

「はい。行ってらっしゃい。車には気をつけるのよぉーー」

「はい!」

 

 

彼女がアパートの出入り口を通るとき、そこの側でこのアパートの大家である若い女性が箒で掃き掃除をしていた。少女はその彼女に挨拶すると、彼女は優しく挨拶し返してくれてその少女に身の安全を喚起してくれた。

そのことに対してその少女はお礼として大きな返事を返して、元気よく通学するのであった。

 

 

 

 

彼女が通る通学路に並び立つ桜の花のような桃色の髪と秋の紅葉のような紅色の瞳をしたその少女は通学路である桜通を駆け、その先にある彼女が通う高校へ目指していた。

この先にある高校は私立八百万事(やおよろず)女子高校。そして、その少女の名は三芳有桜(みよしありさ)。高校一年生。

この物語はその彼女を中心とした人達のちょっとおかしな日常の一遍である。

 

 

 

 

 

――「Specialian’s Life」――

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは八百万事女子高校の1年B組のクラス。まだ朝礼前であることもあってみんな仲良くおしゃべりしてます。けど私こと、三芳有桜は今日、日直の仕事があったため早起きして早く登校してきたのでもうくたくたです。だから机に屈しています。

 

 

「いや~~~!!おつかれさまです“リサちゃん”!日直5・9・6・3ですッ!!」

「あっ・・・“早百合(さゆり)”ちゃん。おはよう」

「おはようです~~~!!」

 

 

みんなの声が騒がしい中、それを打ち消すほど元気に話しかけてくるのが、私の友達、“寿早百合(ことぶきさゆり)”ちゃん。茶色いロングヘアと青い瞳が特徴の同級生だよ。

ところで・・・5963って何だろう??

 

 

「もう~~~。早百合ったら~~。また訳の分からないことを言って~~~。ふつうに“ご苦労さん”って言えないわけ?」

「さゆり・・・・・おもしろい」

「えぇ~~~そうすか~~~~~。照れますね~~~~~」

「誰も褒めてないわよ・・・“花音(かのん)”はいらない言葉を・・・」

 

 

あぁ!そういうことですか!!5963で“ご苦労さん”でしたか。早百合ちゃんったらセンスいいなぁ。

早百合ちゃんのセンスのいいしゃれにつっこみを入れるのが同じ同級生の“実野芿紗凪(まことのじょうさな)”ちゃん。そして、早百合ちゃんのシャレを私と同じく賞賛しているのが“相生花音(あいおいかのん)”ちゃん。

紗凪ちゃんはスタイルが良くて、オレンジ色の髪と藍色の瞳も相まって学校では有名で、花音ちゃんは小柄だけど、童話とかに出てくるペガサスのような白銀の髪と左右の目の色が違うオッドアイが特徴的で癒やし系だって言われているんだ。地味な私とは正反対だよ。

 

 

この三人が私の友達。三人は私のことを”リサ”って呼んでくれて、周りに溶け込めなかった私とすぐにお友達になってくれたんだ。

今の他愛もない会話も日常茶飯事。とってもとっても楽しいよ。

 

 

「おいお前等。チャイムはもうとっくに鳴ってんぞ・・・さっさと席に着け」

 

 

あっ・・・もう朝礼が始まってた。

私とおしゃべりしてた三人はすぐに席に戻って、担任の“椨乃木奏影(たぶのきかなえ)”先生の話を聞く体勢に入った。私も聞かなきゃ。

 

 

「えっと・・・出席確認はいらないな・・・・・全員いるし。連絡事項としては最近不審者や行方不明者が相次いで報告されてるから登下校中は気をつけろよ」

「はぁーーーい」

 

 

私も含めたクラス全員は先生の連絡を聞いた後に返事を返して、朝礼が終わることを祈った。

椨乃木先生は上から下まで黒一色の服を着ていて何の装飾品も着飾らないほどお堅いイメージがあって近付きがたい存在ですが、話すと意外に話してくれますし、かわいいものには目がないってのもあって私達生徒の間では評判の良い先生です。

ですが私は以前先生とワンツーマンで話していた際、息をとても荒げて、先生のツリ目が血走っていかにも私を捕食しそうな感じがしたので私は少し苦手です。やっぱり男の人より女の人を好きになっちゃう人なんでしょうか?あの人は・・・。

 

 

 

 

朝礼中何度か先生と目が合って思わず目を伏せた私は朝礼後、一時限目の授業の準備をしていると、早百合ちゃんと花音ちゃんと紗凪ちゃんの三人がやって来ました。何の用だろう?

 

 

「リサちゃん!リサちゃん!実はお願いがあるのですがよろしいですか?」

「何??何のお願い?」

「実は早百合ったら急にリサのアパートに行きたいって話になったのよ」

「えぇ!?私の・・・!?な・・・なんで!?」

 

 

これは驚いた。開口一番に躊躇いもなく私の借りているアパートに行ってみたいって早百合ちゃんが言うものだから・・・。理由も聞きたいよ。

 

 

「理由ですか?前にリサちゃんがアパート暮らしって言ってたからどんなところか知りたかったからですよ」

「あたしも行ってみたい・・・。リサのアパート」

「もう・・・・・早百合、花音。リサの事情も考えないで・・・。ごめんね、リサ」

「そそそそんなことないよ!逆にうれしいよ!みんなをうちに招くこと」

 

 

私は早百合ちゃんに理由を求めたけど本当は心からうれしいの。だってこんな地味な私が初めて出来たお友達を部屋に上げるなんてこと初めてだから。

私が三人をアパートへ招待することを決めたことで、早百合ちゃんと花音ちゃんは嬉しさのあまり飛び跳ねて喜んでました。

子供のようにはしゃぐ二人を紗凪ちゃんはお母さんのような貫禄で落ち着かせていました。そんな二人を見ていると、私はとてもうれしくなりました。・・・早く放課後にならないかな。

 

 

 

 

そして待ちに待った放課後になり、私達四人は終礼が終わると同時に教室を飛び出し、下駄箱へ向かった。

私は三人に私の部屋を見せたいという気持ちもあって心躍っていましたが、私なんかより比にならないほど早百合ちゃんと花音ちゃんは心躍っているようで、足取りも運動音痴の私にはキツすぎるほどでした。

紗凪ちゃんはそんな二人を見て「本当・・・子供ね・・・」と呟いた後、私の手を取ってくれて疲れている私を引っ張ってくれました。

 

 

そして、学校を出てから約十五分。キレイな桜の木々に囲まれ、美しく整備されたアパート、「Specialian(スペシャリアン)」荘に辿り着きました。

私の部屋は2階の端の部屋、201号室となっています。二階建てのアパートで一フロアに4つの部屋があり、私が201号室を選んだ理由として、この桜を少しでも通学中に眺められるようにしたかったという希望があったからでした。それを三人に話すと三人は笑い出して、「リサらしい理由だね」と言われました。

少し恥ずかしいです。

 

 

アパートに着いた私達四人はこのまま私の部屋へ行こうとしますが、その前に買い物バックを提げた女性が私達の背後からやって来た。

マジェンタ色の長い髪、綺麗なコーラル色の瞳、世の男性も目を奪われるほどに育った胸をした女性、“牛若如月(うしわかきさらぎ)”さん。このアパートを管理する大家さんです。

 

 

「あら?有桜ちゃん・・・今日はお友達を連れてきたの?」

「はい。お帰りなさい大家さん・・・・・買い物帰りですか?」

「そうよ。『彼』に私のおいしい料理をいっぱい食べさせてあげたいから・・・」

「ほほぉ~~。大家さんには『彼』がいるんですかぁ~~~。とても素敵な殿方なんでしょうねぇ~~~」

「えぇ・・・それはもう・・・・・『食べちゃいたい』ぐらい・・・・・」

 

 

買い物バックに野菜やお肉をたくさん詰めている大家さんはそれで大家さんの彼氏さんにて料理をたくさん振る舞うらしく、とても張り切っていた。早百合ちゃんは大家さんに彼氏が存在することにとても興味が引いたのか大家さんの彼氏のことを詮索し出しました。

大家さんはそんな早百合ちゃんにとても素敵な彼氏さんであることを伝えました。しかし何でしょう・・・。私はその大家さんの言葉に悪寒を覚えてしょうがないです。

早百合ちゃんは「もう~~。ラブラブですねぇ~~~。このこの~~」と笑って接し、紗凪ちゃんも花音ちゃんも笑っているのに私だけそこに不気味なものを感じている気がしてなりません。きっと大家さんが意味深な言葉をあえて言ったからだと思います。きっとそうに違いありません。

私はそんな邪念を振るいだし、自宅である104号室へ入る大家さんを見届けて、三人を自宅へ案内した。

 

 

自宅へと招き入れた私は三人にお菓子やお茶を出して、普段話さないような話題で普段よりも長く会話した。その後はトランプで小一時間も遊んだ。

何時もはこぢんまりしている自宅ですが、今日だけは友達の笑い声や話し声で賑やかになりました。

 

 

ですがそんな時間もすぐに終わってしまいました。午後六時を回った辺りで三人は帰る支度をし始めました。

 

 

「今日はありがとう。リサ・・・今度はお泊まり会でも開きましょうか・・・ここで」

「おぉ~~~!それはいいアイデアですねぇ~~~!!一つ屋根の下でお泊まり・・・ぐへへ」

「やった~~~やった~~~。またリサの家にいける・・・けどそれまで待てる自信がない・・・」

 

 

荷物をまとめた紗凪ちゃんが私にこの部屋でお泊まり会を開く希望を伝えた。お泊まり会・・・小中学校の時にも経験したことのないそれを私の家でやる・・・・・。そう考えただけでとても胸が躍る。

けどそう思っているのは私だけでなく皆嬉しそうで、特に早百合ちゃんは嬉しさのあまり口からヨダレが出て、花音ちゃんはお泊まり会の期日まで待てる自信がないと落胆している。

でもそこは紗凪ちゃんがいつものように花音ちゃんを落ち着かせていました。

 

 

「大丈夫よ花音。お泊まり会って言ってるけど本命は勉強会にするつもりだから」

「うぅ・・・・・さな・・・ひどい」

「そうですよ!!お泊まり会ぐらい勉強のことを忘れさせてくれてもいいじゃないですかぁ~~~~~~!!」

「だ~~~め。こういうところでやらないとあなた達二人はリサと違ってやらないからね」

「「うぅ・・・・・」」

 

 

楽しいお泊まり会・・・しかしそれは勉強会のついでと言うことで一気にテンションダウンする早百合ちゃんと花音ちゃん。

かく言う私もテンションダウン中です。だって勉強苦手なんだもん!!

 

 

「お願いですぅぅぅぅぅ~~~!!後生ですから~~~」

「だーーーめ!!いい加減離してくれる早百合・・・歩きづらい」

「後生だからーーーーー」

「花音!早百合に便乗しないで!!歩きづらくなるって言ってるでしょ!もう・・・リサ。ちょっと手伝って」

 

 

玄関に移動する紗凪ちゃんですが、勉強会が嫌な早百合ちゃんは諦めが悪く、紗凪ちゃんの腰にしがみついて考えを改めさせようと必死に抵抗している。

早百合ちゃんがしがみついているせいで歩きづらくなって困っている紗凪ちゃんに、花音ちゃんも便乗して一緒にしがみついたことでとうとう紗凪ちゃんは私に助けを求めてきた。

私は手を出すなと言わんばかりな視線を送る二人を見ないフリをして紗凪ちゃんから二人をどかした。

 

 

「それじゃあリサ。バイバイ」

「バイバイです~~~~!!」

「また明日・・・」

「うん。またね」

 

 

結局非力な私じゃ二人を引き離すことが出来ず、紗凪ちゃんの一言「もういいわ。お泊まり会はなし」でようやく二人を正気に戻しました。

それから少しの間気まずい空気になりましたが、玄関を出て渡り廊下に足をつけたときにはいつも通りの雰囲気に戻り、私は三人にさよならをした。

夕日が半分沈み昼と夜の中間に位置するこの時間にアパートを出る三人に私は渡り廊下から見送り、ずっと手を振り続けた。三人の姿が見えなくなるまでずっとずっと・・・・・。

そして三人の姿が見えなくなると私は自宅へ戻った。自宅の扉を閉め、今日ここで起こったことを振り返り、その余韻に浸りながら大きな深呼吸を一つした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・やっと帰ったか・・・・・全く心臓に悪いぜ」

 

 

深呼吸をした後、私は・・・いや、“俺”は素に戻った。あの女どもの視線から解放されたことで安心し、肩を伸ばしながら靴を脱ぎ、部屋へと入った。

そしてそのまま、自室の押し入れの戸を開き、その中にある“表面上”の三芳有桜の好みとは全く非なるワイルドでディープなジャンルの単行本などの私物を引っぱり出し、あの三人に見られた痕跡があるかを確認した。

 

 

「全く急に来やがって・・・・・偶然この前掃除して俺の私物を押し入れに隠していたからまだしも・・・あと少しで俺が望む平穏な生活が瓦解しかけたじゃねぇか!あのクソアマ共がッ!!」

 

 

奴等が俺が借りてるアパートに行きたいとほざいたときはやばかった。ヘタに探られて俺の正体を勘ぐられれば、俺に待つのは無間地獄だけだったからな。

たく・・・“有桜”の奴も何故そう易々と他人を中に入れやがんだ・・・・・。自分だってうすうす俺の存在に気付いているはずなのにバカなのか!?あいつは!!何が嬉しいっっだぁぁ!!グズがッ!!

俺はそう思いながらこの存在を知られていないことに安堵し、それを元の場所に戻して保管した。何とか今回のミッションは無事完了した。だが、お泊まり会という存在を忘れてはいけないッ!!

 

 

「・・・くっ!何とかその件は考えなきゃなぁ・・・・・。ん??インターホン?誰だこんな時間に?」

 

 

俺は『お泊まり会』という難関にどう対処しようかあれこれ考えようとするときに、インターホンが鳴った。つまり誰かが来たのだ。

俺は素早い身のこなしで玄関まで数秒で辿り着き、玄関の戸を開けた。だが、こんな時間帯に訪ねてくる奴にはロクな奴はいないだろうと思ったので、念のためにチェーンロックは解除しないでおく。

 

 

「・・・・・何だお前か。大家」

「はいはい~~!そうで~~~す。大家さんですよ~~~。だから開けて~~~」

「用件を言え・・・じゃなきゃこのまま閉める!」

「もう~~~用心深いわねぇ~~~。シチューのお裾分けよ・・・ただの。彼ったら全然食べなくて~~~」

 

 

来客の正体はここの大家。この女は俺の正体を知っている唯一の存在・・・そして警戒すべき人物だ。故に俺は大家に用件を言うように伝えた。

何?神経質すぎだぁ~~~!?それは大家のことを知らないからそんな風に言えるんだ。理由はいずれ分かるがとにかく先が読めない。何を考えているかが分かんないから用心してるんだ。

 

 

俺の要求に渋々従い大きな鍋を俺に見せた大家はシチューのお裾分けに来たことを説明した。俺はその話を聞き、それぐらいなら許容してもいいと判断した。しかし、油断はしない。

だから俺はチェーンロックを外し、戸をある程度開いた後、あいた隙間から素早く大家が持つ鍋をひったくった。

 

 

「あら・・・?フフ・・・もう~~~小動物みたいに陰に隠れていないで面と向き合ってお話ししましょうよ」

「お断りだ。話がしたいなら彼氏にでもするんだな。尤も彼氏に食わすはずだったシチューを持ってきたということは既に彼氏は話も出来ねぇし、シチューも食えない状態だってことだな」

「ウフフフ・・・・・・・・やっぱり“かわいい”わね有桜ちゃん。あなたのその邪悪に輝く『黄色い』瞳とあまねく生物を凍てつかせるその眼光。すっっっごくシビれるわ~~~ッ」

「フッ・・・悪趣味な女だ。それじゃあな」

「あっ・・・ちょっと待って・・・」

 

 

大家が制止させる言葉を投げかけているが知ったことではない。用は済んだ。これ以上てめぇと馴れ合うつもりはない。シチューごっそうさん。

そう呟きながら俺は鍵をかけ、大家からひったくった鍋をキッチンに置きに行った。

今日は色々ありすぎたからシチューを食べてそのまま寝る。明日も変なことは起きないでくれよ。

そう思いながら夜になりつつある外の景色を大家の言う黄色い瞳で見つめる俺であった。

 

 

 

 

太陽がほぼ沈み、辺りがほとんど夜になっている中、自分が持っていた鍋を住人に碌に目も合わせてくれず、挙句にひったくられた大家である牛若如月は渡り廊下でぽつんと一人で佇んでいた。

だが彼女は悲しくはなかった。普通ならこれほど拒絶されると涙の一つも溢したくなるのだが、それよりも腹の底から溢れ出る感情は・・・“恍惚”。

 

 

「~~~~~ッ。やっぱり隙を作らないわね~~~。あの子~~。せっかく新調したこの“のこぎり”を使ってみたかったのに~~~」

 

 

そう言いながら如月が後ろの首辺りから取り出したものは彼女が持つにはあまりにも違和感があるほど大きく、硬く、鋭いのこぎりだった。

二頭身はある刀身ののこぎりを軽く振り回しながら自宅へ戻ろうとする如月。その間、彼女はまだブツブツと言っていた。

 

 

「こののこぎりであの子の首をスパッ・・・・・ってしたかったのに残念。まぁいつでも殺せる機会はあるからその時にでもいいか。今は『うっかり』殺しちゃった『彼』の後始末をしないといけないし・・・」

 

 

ブツブツ言いながら如月は新調したのこぎりを右手に持ったまま自室のドアノブを回したときにあることを思い出した。

 

 

「いっけな~~い!液体窒素切らしてたんだったわ~~~。私としたことが・・・今から取りに行かないと!」

 

 

如月は生活必需品である液体窒素を切らしていることに気付いて、慌てて右手に持つのこぎりを上着の中に差し入れてそのまま液体窒素を探しに出かけた。

大急ぎで走る如月は体からたくさんの金属音を発しながら夜の道を進んでゆき、数時間後に液体窒素が入った容器を担ぎながら戻ってきた。顔や服に血を付着させたまま・・・・・。

 

 

 

 

もう一度言おう。この物語は女子高校生・三芳有桜を中心とした人達の“ちょっとおかしな”日常の一遍である。

 

 

 

 

 

 

●桜蘭市の実態

 

私はジャーナリストの天璋院礼(てんしょういんあや)。26歳。

世界では毎日の如く色んな出来事が起きている。天災や犯罪、事故、朗報、悲報が世界中を飛び交う中、マスコミの誰も調べなかったいいネタを見つけた。それが桜蘭市の実態調査である。

 

桜蘭市は名前通り桜の名所で、こぢんまりとした街である。遅れているわけではないが進んでいるわけでもない。良く言うと自然と文明がほどよく調和している街で、ベッドタウンとして機能しており、わざわざ都会から引っ越してくる人も多いようだ。

 

ですがこの街、よくよく調べていくと犯罪件数・行方不明者数が全国平均の約五倍という数値で地元近隣から恐れられているらしい。

専門家に話を伺うと、治安が悪いということはないのですが、考えるだけで恐ろしい説明不能な異常者達がこの街に集中していることが考えられる主要な理由であるとのことです。

実際この桜蘭市で起こる事件のほとんどが他を見ない異質なものばかりであることが分かる。

 

以上のことから私は非常にこれらのことに興味が湧き、本格的な調査を行い、この謎を解明するつもりだ。そして上手くまとめて私はマスメディアに大々的に取り上げるつもりです。

しかしこの調査は命がけ。もしかしたら調査中に消される可能性もある。そのため私は得た情報を随一ここに書き込む所存だ。

この記事を見ている皆、もし私がある日からピタリと更新しなくなったらこの記事の存在を警察に知らせてください。その行為が今も桜蘭市に潜む犯人を捕まえる唯一の手がかりになるのなら・・・。

 

 

Case1. 獰猛な少女

 

調査をしていると、最近現れるようになった一人の少女の話が出てきた。

二週間ほど前に四~五人の不良が大人しそうな少女一人を取り囲み、ナンパをしていた。その少女は最初びくびく怯えていたようだが、不良の一人が彼女を取り押さえたとき、これまでの仕草が嘘であるかのようにいきなり攻撃的になり、不良達全員を半殺しにしてしまったらしい。

 

だが話はこれで終わりではない。私がその話を聞いた日までの二週間に同様の事件が五件発生し、多くの不良グループが皆彼女に報復しようと躍起になっていたが、ここ数日前になってピタッとその動きがなくなった。

噂では報復しようとしていた1つの不良グループが最近その姿を現さないことからその少女に殺されたという旨が広がったという。

実際に調べてみると本当に不良と呼ばれている少年五人が三日前から行方不明で、警察は証拠となる証拠もないことから単なる家出という線で捜査を打ち切っているそうだ。

 

件の彼女は何者なのか?不良達を如何したのか?真実はまだ闇の中である。

 

 

 




今作品は「スロウスタート」をモデルに作り上げられた作品です。キャラクター構成がそれを物語っているでしょう。
ですが、あちらのストーリーを「光」とするならこちらは「闇」です。
登場キャラクター全てに後ろめたい心の闇を抱かせることで、人との関係や自身との葛藤を人間賛歌を交えてお送りする所存です。

しかし、全年齢で描こうとしたのにこのままじゃあ年齢制限をつけないといけなくなってしまう・・・・・。
それもこれも全て大家のせいだッ!!
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