あなた達のことが大嫌いでした。それでもあたしは普通に愛して欲しかった。さようなら
※Pixivとのマルチ投稿になります

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第1話

酷暑と日光に晒され続けた夏も終わり、徐々に秋を感じ始めるこの時期。艦娘としての仕事が無い非番の日のお出かけにおいても快適になりつつある気候を実感する。

 

真夏では暑さを避けつつも汗を極力かかないような速度で歩く人々も、今ではのんびりとしながら街歩きを堪能しているように思える。あちこちで秋の特産品、栗や洋梨を使ったお菓子などの広告やのぼり旗を見かけ、ついつい街中で目が吸い寄せられてしまう。

 

あたしは必需品や頼まれたお使い、その他趣味の買い出しを同じ基地の仲間である駆逐艦娘『卯月』――みんなから『うーちゃん』と呼ばれあたしもそう呼んでいる――と楽しみ、艦娘である毎日を忘れて思い切り羽を伸ばせた良い1日の最後に喫茶店へとやってきた。

 

個人経営の店ではなく関東を拠点とするチェーン店のお店だ。『茶』とは名が付くものの喫茶店といえば大抵コーヒーを楽しむ店、だがこの『トリドリ』はお茶を楽しめるのが売りの珍しい店だった。

 

あたしはアップルシナモンティーとイチジクのタルトを、うーちゃんはコーヒーとシフォンケーキを注文し席にて談笑してる。日本茶葉は大抵誰かが基地の娯楽室に置いていて、皆も勝手にそれを飲んでいるので、わざわざ外で緑茶などは飲もうとは思わなかった。

 

「やっぱり茨城じゃ限界があるぴょん。古い筐体(きょうたい)はどんどん撤去されちゃうし、やっぱりあの計画を実行したいぴょん」

 

うーちゃんはそう言いながらコーヒーをブラックのままで飲んでいる。所々跳ねている赤みが少し濃い桃色の長髪をかき上げながら1杯の嗜好品を楽しむその姿は、背伸びをして飲むかのような無理をしている様子は感じず、何も加えていないコーヒーの香りと味をしっかりと楽しんでいるように見受けられる。子供のように見える外見とは裏腹に食べ物や趣味の好みがやたらと大人びていていた。しかしケーキを美味しそうに食べる瞬間のその表情は小さな見た目相応の子供の笑顔だ。

 

「うーん、そうなんだけど。でもこうして水戸で半日過ごせちゃう訳じゃない。東京なんて行くだけでも何時間かかかるんだし、非番が合うかもわからないし」

 

「でもでも~、阿武隈だってコンシューマーの移植じゃなくてホンモノで遊びたいはずぴょん」

 

「まあ確かにそうだけど、近所のゲーセンだって種類自体は意外と多いしあたしはあそこで十分遊べるかなーって」

 

うーちゃんとあたしはレトロに分類されるアーケードゲームが好きで今の仲がある。最近になってゲーセンに行くようになったあたしと違ってこの小さな見た目の友人はかなりやり手の『シューター』だ。多種多様なシューティングゲームに慣れ親しんでおり、たった100円玉1枚でクリアできるタイトルもいくつかある。そして2人の共通点として、2010年代の終わりから台頭したVRアーケードゲームをプレイすると途轍もなく3D酔いするという体質の持ち主だった。

 

「それにしてもジャンクショップも侮れないぴょん。まさか『レイストーム』の基板が見つかるなんて思ってなかったぴょん」

 

動けばいいんだけど、と言いながらもショルダーバッグから取り出したアーケード基板を恍惚とした視線で眺めている。流石に寮の自室にゲームセンターに設置されているようなモニタと操作パネルが一体化している筐体は置けないが、あたしもうーちゃんも部屋に遊ぶための機器一式を持っているのだ。この一見すると電気機器の内部パーツのような見た目の基板、機械音痴が目にすれば忌避するかもしれないこの電子部品の塊に沢山の体験とスリルが詰まっている。

 

そう、ビデオゲームというのは不可能なことも画面を通して可能にしてくれるのだ。宇宙戦闘機を操り異星人と戦うことだって、鞭を片手に百もの冒険をすることも、鍛え上げられた肉体だけを武器にギャングをやっつけることだって。何においても自由が存在しない子供の頃のあたしが触れたかった空想の世界がその電子部品にはプログラムされていた。

 

会話をしながらも視線はうーちゃんを通り越し向かいの席の家族連れへと滑っていった。仲睦まじい一家だ。子供最近アニメ化もされた漫画を読んでいて、両親はゆったりと席に腰掛けコーヒーやお茶を堪能している。

 

あたしも家族とああいう風に過ごしたいと今も理想に憧れる。なのに自分でも記憶の中には全く別の情景が残っている。今になってこれまであたしの事を思い返すと、幸せな家族というものは抱くだけ余計な理想だったのだろう。

 

初めて言葉を話せば両親はさぞ喜ぶだろう、初めて自分の足で立ったら成長を実感しこれからの将来に想いを馳せるのだろう、それが普通の親というものだと、そう思う。

 

でも2019年の冬、軽巡艦娘阿武隈になるまえのあたし『宇山美千香(うやまみちか)』が6歳の時に全てが一変したのだった。戦争だ。

 

その2019年というのは初めて人類が人ならざるものとの戦争に突入した年だ。恐らく教科書に今後数百年の間は記載されるんじゃないだろうか。

 

よくビデオゲームや映画では、人類種と戦争になる生物なんかは大抵宇宙か、もしくは地底とかから侵略してくる。

 

だが奴らは海の深淵からやってきたと言われている。妖怪や伝承の怪物のように暗い深海から突如現れ、船舶や島々、沿岸の街を破壊した。

 

深海棲艦、人類種の天敵。人類はその個人の命を数え切れないほど失って、また同時に数々の都市が瓦礫と死体の集合体と化した。開戦当時は終末論を唱える人すらいたそうだ、艤装整備班のおじさんはそう言っていた。この世の終わりだ、神々が人類を一掃するための大洪水だ、と。

 

もしその通りならその神は人類を随分と甘く見積もったものだ。なぜならあたしたち『艦娘』がいるからだ。人類は叡智を結集しいがみ合っていた人たちをも結託させ、新生代の軍艦を作り上げた。防戦一方だった全世界に届けられた反攻の吉報は新たな希望となり、そしてその希望を胸に抱きながら艦娘はまた勝利を重ね、圧倒的劣勢だった戦局を少しずつ好転させて開戦当初の深海棲艦の優位的状況は見事に覆ることになる。

 

あたしは艦娘になったのだ。開戦がきっかけですっかり変わってしまった両親がなってはいけないと言い続けていた軍人に。

 

開戦してから両親は豹変という言葉がぴったりだった。それからの日々はまさしく悪夢、それも親に言わせれば全部あたしの為だという。最も、戦争がきっかけで顕在化しただけで、もし平和な世が続いていたとしても違う理由付けでこうなったのかもしれない。

 

「何も出来ない人間は女の子でも徴兵されて戦争に行かされてしまうのよ」

 

そう母は言った。

 

「俺の爺さんは南方で死んだんだ。美千香はそうはさせないぞ」

 

父は何度もあたしに言って聞かせた。

 

「だから勉強を頑張りなさい」

 

必ずそう付け加えるのだ。

 

お前のためだ、将来のためだと言いながらあたしに勉強というのを強いた。学ぶ喜びなどそこには感じられず、ただひたすらに親の言いつけであり怒られるのが嫌だったから机に向かったのだ。親はあたし、美千香のためと強要したがあたしは親の顔色の為に机に向かった。

 

要領が悪かったあたしは失敗に漬け込んで叱られる毎日を過ごす。口で言おうと効果が無いと踏んだのか、その指導は徐々に、だが着実にエスカレートして行く。

 

90点を取ったテストを見せたら「もっと出来たはずだ」と怒鳴られた。

 

成績表は親が納得しなかったから真冬に外に締め出された。

 

いつしかそれらは体罰を伴うものとなっていく。

 

したくも無い物を強要され、達成する目標も無くただ真っ暗闇の中を歩き続ける毎日を送っていたように感じる。

 

怒られたときにはひたすらに謝罪の言葉を言い続けるしか無く、夜な夜な自分の慟哭(どうこく)が響く家庭にて小学時代を過ごしたのだ。

 

結局、親があたしを褒めてくれたことはなかった。これが限界ではない、もっと上を見ろ、と。そこには我が子を徴兵されまいとする親なりに将来を考えての事だったのだろうがそんなの受け入れたくない。

 

為損なえば酷い目に逢い、進むべき先を見いだせない無限の彼方へ流浪の日々。『あたなたの為』は美千香を痛めつける凶器に変容し『教育虐待』となりあたしを苛む。

 

学友が話すアニメの話を聞き想像が膨らみ、公園で集まって携帯ゲーム機で遊んでいる同年代を横目に塾へ通う。買い物へ出かけた時にアーケードゲーム機が大音量を伴って並ぶゲームセンターに心を惹かれた。でもそれらには一切触れられなかった。

 

だから今こうしてビデオゲームへと傾倒しているのだろう。当時欲しくとも手が届かなかった物は今になってのめり込んでいた。

 

「阿武隈?」

 

うーちゃんの声で酷い想起から現実へと引き戻される。

 

「阿武隈、大丈夫ぴょん?疲れちゃった?そろそろ帰るぴょん?」

 

最悪な精神的里帰りから戻ったそこは喫茶トリドリ水戸駅前店。目の前には桃色の長髪を蓄えたあたしと同じ艦娘の友人が心配そうにこちらに視線を向けている。過去を思い返している間ぼーっとしていたようだった。

 

「えっ、あっごめんね。ちょっと寝不足だからかな、今日が楽しみだったから。でももういい時間だし、そろそろ帰ろっか」

 

会計を済ませ、駅から下り方面へ行く電車に乗る。たった1駅の間列車に揺られ、勝田(かつた)駅で下車すると駐輪場から愛車に乗り換えだ。基地へ配属されたばかりの頃は共用のオンボロ自転車を使っていたが、初任給をもらって初めての買い物以来の相棒だった。

 

駅からはひたすらにまっすぐ自転車を進める。深海棲艦の爆撃によって今でも駐車場の隅に車2台分くらいの大きさのクレーターが残っているアメリカ式スーパーを過ぎると、開戦からずっと閉鎖中の国営の遊園地が見えてくる。そこから目的地はすぐだった。

 

「今日の夕飯なんだっけ?」

 

「確かササミのフライと海藻サラダとかだったぴょん」

 

艦隊勤務の楽しみの1つの寮の食事は結構美味しいのだ。集団生活の食事の質は悪いという描写が創作物には多いが、決して多くはない予算でも重労働の艦娘を満足させてくれるよう主計科の人たちも日々戦っている。喫茶店で間食をしたのにも関わらず夕飯に想いを馳せながら、既に薄暗くなりつつある黄昏時の帰り道に途中でコンビニに寄り道した後、潮の香りとさざ波の音、大型の商船が停泊するあたし達の住まい、常陸那珂(ひたちなか)港区の一角に建てられた基地の艦娘寮へと帰るのだった。

 

 

 

 

戦争が始まる前は海上自衛軍の基地というのは限られた数しかなかったそうだ。

 

ここ、『常陸那珂通商護衛戦隊』も本隊は横須賀鎮守府であり、基地も元はただの商港だった。

 

開戦後しばらくした後あたし達艦娘が実用化されると、その存在は海軍の常識を覆し、そして軍港のあり方も軍艦の形態と共に変化してゆく。

 

比較的大規模な商港や工業港も海自基地に改変、または一角を間借りし艦娘を駐屯させている。産出資源の乏しいこの国はシーレーンの確保と船舶の安全が最優先の課題であり、こうして常陸那珂港基地のような通常型船舶の護衛が主な任務の部隊も各地に点在する。

 

これじゃ司令官というより交番の巡査部長の気分だよ、と基地司令の滝口中佐が言っていたのを思い出す。それだけ『海軍基地』は沢山あるのだ。

 

そんな基地の面々数人に頼まれていたお使いの物を渡して周る。酒保や通販では賄えなかったり急を要する物はこうして誰かが非番の時に頼むのがここでは普通だ。もちろん、頼んだからにはいずれ頼まれる。ここが小さい基地だからだろうか、上官だから、先任だからという理由で不当な扱いが無く格式張らない共同体がここの人たちだ。

 

最後はあたしの隣の部屋の由良さんのところだ。あたしの部屋は廊下の一番奥の角部屋で隣接するのは由良さんの部屋だけだ。ドアをノックすると返事が戻ってきてドアの鍵が開く。

 

「あの……由良さん、これ頼まれてたお茶です」

 

由良さんはあたしの持ってきた物の袋の中身を一瞥すると、ひと目でわかるくらいにぱあっと顔を輝かせた。

 

「ありがとね阿武隈ちゃん。ここのお店ってすごく良い茶葉を仕入れてくれるの。良かったら一杯いかがかな」

 

そう由良さんは言ってくれるが、なんとなく引け目を感じるのと今日の喫茶店でのあの回顧のおかげでそんな気分にはなれない。

 

「ごめんなさい……今日はちょっと疲れちゃって。もう休もうかなって」

 

「そうなの。お茶は目が覚めちゃうし、今度淹れてあげるね。おやすみなさい」

 

由良さんは良い人だ。あたしの先輩であって長良型としては姉に当たる。この基地に配属になってからわからないことや戸惑っていることを色々教えてくれたし、1人の人としても艦娘としても尊敬できる。

 

でもあたしは『姉』として接し方がわからない。あたしの家族というのはそれはもう思い出したくもないものだ。人に対してあれこれ押し付け聞き分けが悪いと暴力も躊躇しない、そんな両親だった。

 

なのにここに配属されいきなり『長良型は姉妹艦で阿武隈は末っ子』となってもどうすればいいのかわからないのだ。

 

由良さんは部屋が隣であたしの教育係だったのでこうして話す機会も多いが、それでも距離の図り方がわからず、こうしていつまでも他人行儀に接するしか方法がわからなかった。

 

電気を点けた自室の中にはモニタにつながれたレトロゲーム機の数々と平積みされた漫画本。子供の頃に欲しくても手が届かなかったもの。ここにこうして過ごせるのもあの日あの家から逃げ出したから。

 

それまでの勉学と習い事、そして親の折檻に晒され続けた小学6年生の最後の春。美千香の服の下には最低でも1つの痣が見られるような日々が続いていた。

 

きっとこのままの毎日が続き、受験というチェックポイントを何回かこなしてそのまま親の望んだ通りの人生になるのだと、まだ恋も知らない歳で達観していた子供がいた。

 

だがしかし、春、卒業と新たな始まりの季節。共に6年間の思い出を語る友達すらいない卒業式を終えた帰り道、親の車の中からそれは目に映ったのだ。

 

『守られる人から守る人へ 自衛官、艦娘募集中』

 

海上自衛軍の地本だった。普段は通らない道だったので今まで認識したことすら無かったのだ。あたしはそれに釘付けになった。これなら無策ではなく家を逃げ出して、そしてこの2人が追ってこない所へ行けるのではないか、と。

 

既に私立中学への進学が決まっていて卒業式はそこの制服を着て出席したが、家に帰りインターネットでその事を調べた。

 

艦娘になれば基地や泊地内の宿舎に寝泊まりすることになり、そこは日本ではあるがまるで別の国のようだと受け取った。これしか無いと思い、今からすると子供特有の脇目も振らない無計画な試みだったが結果として成功だった。

 

満12歳であれば艦娘の適正検査が受けられる。親の同意が必要な書類を上手く偽造してその後はトントン拍子だ。世が世なので簡単な手続きで軍属になれるのだ。あの両親の元から消えていなくなれるなら別に海防艦でもコルベットでも例え艦娘になれなくて烹炊兵でも整備兵でも何でも良かったが、長良型軽巡洋艦の適正があると診断を受けた後に艦娘教育隊へと入隊することになる。

 

朝早く起きて、夜の就寝時間も決まっている生活。体育、基本教練、組織や敵艦に対する知識の勉強、救護訓練防火訓練エトセトラ。何故か艦娘になる予定なのに短艇(カッター)漕ぎなんてのもやった。そして軍艦の能力を制御し砲撃も雷撃も対空砲火だって。戦場で必要な物は何でも叩き込まれた。

 

もちろん少女が多々所属するとはいえ軍隊は軍隊、常にきびきびはきはきを心がけ、場合によっては厳しい指導をされることもあった。

 

だが何をしても上を目指せと暴力と共になじられ続けたと家と違い、良い所は褒められ駄目な所は理由を含めて指摘されたのだ。

 

お前は雷撃の筋がいいな、きっと良い艦娘になれる。と元艦娘の教官に言われた事があった。人生で初めて自分個人を正面から認めてくれた言葉はあたしの励みとなり、楽な日々では無かった教育隊での毎日はこれからのあたしに必要なものと認識して吸収していく。

 

なんだか大変な所へ来てしまったなとは思いつつ、辛くも充実感を感じて汗水垂らす日々も乗り越えたそれから半年後、潮の香りもさざ波の音もすっかり日常の一部になったその頃、そこには長良型軽巡艦娘の6番艦『阿武隈』としてこの基地に着任したあたしがいた。

 

だが教育隊にいる間に人類は南方での大勝利を収め、そこから深海棲艦を駆逐し始めていたのだ。

 

一時期は敵艦と砲火を交えることも少なく、来る日も演習と輸送船団護衛を繰り返すのんびりとしたここの空気に嫌気が差すこともあった。

 

しかしある出撃の日、大きな水柱とそれに遅れて浮き上がる残骸、そして千切れんばかりに帽子を振り感謝の言葉をあたし達に投げかける輸送船の乗員たち。

 

その光景は今でも鮮明に覚えていて、あの日何かで心が満たされた気がした。

 

それがあたし阿武隈の初戦果で、それ以来この基地の日々も悪くないどころかむしろ心地良いものに変わっていったのだ。

 

ベッドに横になりながらもう何年も前の思い出に浸っている。入隊後に宇山美千香の名で呼ばれることは滅多になくなり、あたしは阿武隈でいるのが普通になった。カレンダーを見ると来月は美千香だった自分の誕生日なのに気がつく。もう15歳、決して気ままでは無いが以前の居場所よりも自由を感じる日々。

 

不思議なものだ、軍隊で自由を実感できるなんて。3年前のあたしに教えてあげたら驚かれるだろう。実家よりよっぽど良いところだよって。

 

今のままでこんな風に毎日が過ぎてゆき、艦娘として働いて、基地の皆との日々を過ごすんだと、過去を忘れて生きていけると。そう考えてるあたしがいる。

 

だけど、濁り水は既に流れ初めていたのかもしれない。あたしが阿武隈であって宇山美千香であるということ。その美千香の行方を探し続けている人間がいる、そうは考えたくなかったが。しかしその日はいずれやってくる。

 

 

 

 

その週は初めから基地から離れ、本隊がある横須賀鎮守府で過ごしていた。

 

演習や座学による練度の研磨ということで国内でも最精鋭の横須賀の艦娘たちと演習弾を撃ち合い戦術を学ぶ。

 

もちろん相手が誰だろうと海戦では逃げ場はない。船団護衛が主任務のあたし達は背を向けるという事はその場で、そしてその物資が必要な前線の人たちが何人も死ぬことになる。

 

なので意気込んで基地からの船に乗り込んだまでは良かったが、相手は主力の艦隊でも無いのに結果は散々。全敗ということは無かったが反省する点ばかり見えた2週間だった。

 

合同訓練最終日の日程を終えたあたし達は帰りの船が出るまで街を見て回ることに。ここに来られるのも教育隊にいた頃やこうした合同訓練を除けばあまりない事だ。常陸那珂港基地の艦娘の多くはここの教育隊で訓練してきた娘が多いだけに皆懐かしさを感じながらの街歩きだ。

 

あたしは駆逐艦の響ちゃんと長波ちゃんと一緒に行動することに。2人とあたしは艦種こそ駆逐艦と軽巡とで異なるものの、教育隊での同期かつメインの役割は水雷戦、昔は厳しい訓練の愚痴を言い合い今では同じ基地の仲間だ。うーちゃんを含めて友人と呼べる数少ない存在の。

 

横須賀名物のネイビーバーガーの店で昼食をとるのがここに来た時の定番だった。ネイビーバーガーはとにかく『食べた』という気になるしっかりとした味とボリュームで人気だ。当初こそアメリカ海軍の食べ物とばかり思っていたが実は米海軍のレシピを元に作られた観光客向けの食べ物と知る、これが横須賀教育隊へ入隊したほとんどの水兵が通る道だ。

 

「ごちそうさまー。相変わらず美味かったな」

 

「スパシーバゼエド。やはり横須賀に来たらバーガーだよ」

 

「ごちそうさまでした。海軍カレーはいつも食べてるもんね」

 

会計を済ませて店を出る。時間は正午少し過ぎ。名目上は昼休憩だが艦娘も一応は公務員として扱われるため、あまり遊び歩いているような姿を見せるとどこからかの苦情が事務員の胃を痛めることになるかわからない。

 

「そろそろ帰るか?」

 

「せっかくだから私は三笠を見たいかな」

 

「響あれ好きよな」

 

2人が話しているのを横にあたしはこの商店街の風景を見つめている。横須賀どぶ板通りは観光客も多々見られ、この光景だけでは戦時下という物々しい雰囲気は感じられない。それだけ前線はこの(おか)よりもずっと遠くに存在し、まるで別世界の物のような錯覚を覚える事もある。

 

だがそれも一歩外洋に出れば嫌でも思い知る。深海棲艦は神出鬼没で強大だ。だがこの穏やかな光景を哀鴻遍地(あいこうへんち)にしてはいけない。それがあたしたちの戦う目的だ。

 

そんな視線を巡らせていると目に映ったとある夫婦が。ひと目で誰かわかった。その2人が視界に収まった瞬間に全身から冷たい汗が吹き出し、心臓が跳ねあがる。頬をはたかれるイメージ、怒鳴られた思い出、耳に押しかける否定の言葉の数々。過去のマイナスのエネルギーを保ったままの思い出が一気に頭を駆け回り、思わず先程の昼食が胃から逆流しそうになる。

 

その夫婦からは距離があったが、向こうも同じくこちらに気がついたようだった。確かに、そう確かにその男性の口がこう動いた。

 

『美千香』と。

 

見間違えるはずがない、これまでどれほどそれを目にして耳にしたか。そしてこちら早足で近づいてくる。その合わせたくもない目は怒りの感情を宿している。こう思いたくはないが確かにあたしはあの2人の娘であり人生で一番共有した時間が長い間柄なのだ。

 

「ごめん……2人共先帰ってて」

 

「ん……?阿武隈大丈夫かい、顔色が悪いよ」

 

あたしは一瞬で病人のような蒼白な顔色になっているようだった。

 

「おい阿武隈、一緒に帰ったほうがいいよ。相当体調悪そうだぞ」

 

2人共気遣ってくれているが。

 

「いいから先に行ってて」

 

事情を説明せずそう言い放つしか無かった。

 

ここで背を向けて足早に基地に帰ることもできたのだろう。身体も頭もあたしを構成する器官があちこちで『逃げろ』と発している。でもその時は蛇に睨まれた蛙のように足がすくんで動けなかった。振るわれてきた暴力の痛みと衝撃の幻を感じた。それにいつかはこうなる日が来るんだろう薄々感じてはいのだた。

 

両親との再会。もう二度と目も合わせたくないと逃げ出したのに、なんという偶然なのだろう。タイミングというのはここぞという時に最大の悪運を連れてきてそして不幸をばらまいていく。

 

何事も思い通りには進まない。困難の大元というのは根本的な解決を図らないとそれはさらなる厄介を招くのだと痛感したのだった。

 

そうして十数分後に連れてこられたのは地上から階段を降りた地下に入り口がある個人経営のバーだか居酒屋だった。夜間に営業する店であろう店内には客も店員もいない。恐らく知り合いの店なのだろう。店内に染み付いた煙草の匂いに不快感を覚える。

 

「それで、今まで何をしていた。勝手に家を出て、心配させて、それに何だその髪と眼の色は?不良にでもなったつもりか」

 

軽巡艦娘阿武隈になったあたしの髪の毛と瞳の色は美千香が両親から継いだ物とは異なっている。染める事すなわち不良という考え自体古い概念のままでいる父そのものだ。今いる状況が昔の日々を何乗にも増幅して思い起こさせる。

 

「か、海軍にいま……した。あたしは今、艦娘です……」

 

それを聞いた母は今にも卒倒しそうに不安げな表情をあたしに投げかける。自分のイメージする『良い娘』の像があたしによって逸らされる度にこうした顔をするんだ。

 

「軍隊なんて人殺しのいるところでしょ。訳のわからないのと戦争してるけどそのうちきっと若い子に人を殺させるに決まってるわ」

 

両親の異常性というのはいつから発現したのだろう。同族同士で惹かれ合ったのか、それとも単にあたしの出来が悪かったからなのか。

 

「あれだけ将来を思って色々教えてたのに無為にする気か美千香」

 

「暴力を伴う教育をして将来を思うなんて、言われたくない……です」

 

「なんだと、お前親に向かって口答えする気か?」

 

「確かに手を上げたけどあなたの為なのよ」

 

「今すぐ軍なんて辞めるんだ」

 

良い高校へ行け、良い大学へ受かれ、頭の良い人間は徴兵されない、鉄砲に撃たれて死なずに済む。大学を出た後は年収の高い男と結婚しろ、子供を産め。それが女の幸せな人生だ。

 

前時代的で的はずれで、だけども勝手に決まっていたあたしの将来像。子のやりたいことを全て尊重しろとは言わないが、それでもこれは異常だと殴られながら幼少期のあたしはもがいた。

 

あたしのため?それが子供に恐怖に怯える日々を与えたというのか。それは免罪符になるの?

 

戦うんだ阿武隈、血がつながっているというだけのこの2人に好き勝手言われてて良いはずがない……!

 

「海軍ではあなた達よりよっぽど適切な『教育』を受けました。殴られたこともあった。でもあなた達みたいに全部取り上げて、全部否定して、身勝手に押し付けて!そんな事はされてない!」

 

あたしは心の底からそう思っている。それを聞いた両親は激昂したのが簡単にわかる。

 

「あたしは必要とされて軍にいる、艦娘として生きている!家よりあたしは軍に居たいッ!!」

 

 

「何処に居るべきかなんて子供が決める事じゃない!連れて帰るぞ、その間違った認識を改めさせてやる」

 

父はあたしの腕を掴む。その瞬間、過去の暴力の記憶がフラッシュバックすると同時にあたしは思わず父の身体を、艦娘の力を宿したその身で突き飛ばしていた。

 

「やめて!」

 

思いもよらない10代の娘らしからぬ力で反抗された父は背後の椅子と机をなぎ倒して腰をしたたかに床に打ち付ける。これまで逆らう事のできなかった父に初めて面と向かっての反抗だった。

 

美千香の華奢な外見からは想像もできない力を受けた父は少しの間だけ放心し、まるで言うことを聞かないペットにでも向けるような視線であたしを睨みつけた。母は父の様子を伺いながら非難の目をこちらに投げつける。

 

それから父が言う言葉は容易に想像がついた。

 

「お前は何なんだ?何だその態度、言っても聞かず勝手に家を出て。育て方を間違えたようだな。あんな艦娘なんてのが何なのかわかっているのか!?」

 

昔と変わらない、虚偽に塗れ正そうとしない自分だけの価値観を人にぶつける。母はそんな父の言うことを盲信する。

 

「この人でなしが!」

 

わかっていたのに。

 

それを聞いた瞬間、あたしの目からは涙が溢れ出して止まらない。

 

「泣けばとでも思っているのか。お前は昔からいつもそうだ」

 

当惑しながらも成り行きを見ている母がすかさず父の側に立って割って入る。

 

「美千香、帰りましょう。今からでも遅くないから『それ』を治してもらって、お家にね。軍隊にいるなんて間違ってる」

 

ただ普通に過ごしたかった。頑張ったねと褒めてもらいたかった。お前は誇りだと言って欲しかった。でもそれは叶わないことだととっくの昔に知っていた。でも認めたくなかったんだ。

 

たった2人だけのあたしの両親。その2人と一緒に笑って過ごしていたい、ただそれだけの為に頑張っていた。

 

でも、あたしは再び逃げ出すんだ。小学校最後の春休みと同じように。2度も理解すれば子供でもわかる。両親にとっての美千香は身勝手な将来像とその理想の為に力ずくでも従わせる願望の受け皿に過ぎなかったのだ。

 

背後から制止の怒号が飛んでくるがそれを無視して店を飛び出し街を駆ける。目指す先は横須賀基地、そこなら誰も追ってこられない。

 

もうあの2人の独善に侵されたくない。宇山美千香であることを思い出したくない。あたしは阿武隈でいたかった。

 

 

 

 

思い浮かぶのは昔の記憶。毎日机にずっと座ってやりたくもない勉強をひたすらにするのを繰り返す。

 

お父さん、痛いよ殴らないで。

 

お母さん、寒いよお家にいれて。

 

全部あたしのため、苦しんでいるのも将来のため。

 

そんな家、家族、勉強。全部嫌いだった。だから背を向けた。でも心の中ではずっと両親に認めてもらいたかったのかもしれない。

 

確かにあたしは逃げ出したが、海軍で立派に艦娘でいる姿を見せたら笑ってくれるんじゃないかって。心の隅でそう思いたがっていた。でも無駄だった。

 

あの後横須賀から船で基地へ帰り寮の自室へと駆け込んだ。泣いて泣いて泣き疲れて眠っていたようだ。

 

眼を開けたそこはあたしの部屋。何日も寝ては起きて出勤して帰宅して遊んで過ごしてを繰り返すそんな空間に見慣れない姿が視界の隅に映っている。

 

桜の花びらを連想させる薄い桃色の髪、色白で整った綺麗な顔。黒い空間に溶け込んでいる自室に窓から差し込む月明かりに照らされる1つの人影が、夜闇の中でまるで柔らかな照明が当たっているかのようだ。

 

由良さんだ。あたしが起きたのに気がつくと、由良さんは優しく微笑みかけてこう言った。

 

「おかえりなさい阿武隈ちゃん」

 

「由良……さん?なんであたしの部屋に」

 

「ごめんなさい勝手に入って……でも、何かあったんでしょう?」

 

どうやら大声で泣いていたのも隣の部屋に筒抜けだったみたいだ。普段なら恥ずかしいと感じただろうが、そんな気力も今は無かった。

 

「あのあたし」

 

「いいの、無理して言わなくて」

 

悪いことをしたら弁明して、納得されなかったら暴力を振るわれて、あたしの今まではずっとそうだった。ここに来るまでは。

 

ちょっと待っててね、と由良さんは部屋を出て行った数分後、お盆に2人分の湯呑に注がれた緑茶を持ってきてくれた。この前あたしにお使いを頼んだで茶葉で淹れたであろうそのお茶は、熱すぎないちょうどいい温度で良い香りで、その美味しい1杯を少しずつ飲んでいると強張っていた身体も心もあちこちがゆっくりと弛緩して暖かさを感じる。月明かりのみの薄暗いこの環境も相まっていた。

 

「ねえ由良さん、なんでこんな心配してくれるんですか?」

 

とても失礼な問だというのはわかっている。由良さんはこうして気を使ってくれて、こうしてあたしを安心させてくれる。でも今のあたしはそれが怖い。あんな両親との再会の後で、何を受け入れて何を拒んでいいのかも、何の為にここに存在しているのかすらも見失っていた。

 

由良さんは数秒の間を挟んでこう応える。

 

「阿武隈ちゃんは大事な後輩で由良は教育係。そして長良型の可愛い妹で、由良は阿武隈ちゃんのお姉ちゃんだから」

 

お姉ちゃん。由良さんはそう言明した。

 

『家族』なんて理不尽を強要して個人の意思を折り曲げて、それでいてあたしを縛り付ける呪いの鎖にしか思っていなかった。

 

そして由良さんはあたしを優しく抱きしめてくれる。由良さんの体温が制服の上からでも感じられ温かで心地がいい。

 

「悲しいことがあったんでしょう?」

 

「……うん」

 

「もし由良に出来ることがあるなら言って。でも言いたくなかったら言わなくても良いから。だけどこうして側にいてあげる。お姉ちゃんが力になる」

 

「うん」

 

教育隊に入ったばかりを思いだす。元艦娘の教官は最初にこう教授した。

 

これからは同じ釜の飯を食べ、同じ屋根の下で寝る。(おか)では共に切磋琢磨し、海に出ればそこはお前らだけの世界。艦隊は1隻では成り立たない。1発の砲弾が効かなくても仲間の魚雷と艦載機で奴らを沈めろ。守り守られろ、支えてもらったら今度は支えてやれ、励ましあって共に進め。隣の奴を見ろ。そいつらは今日から隣人であって友人であって、仲間であって家族でもある。お前らを歓迎する、と。

 

「だからね、もし由良や長良型の、そして基地のみんなが困っていたら今度は阿武隈ちゃんが助けてあげて、それが家族ってものだって由良は思うの」

 

あれはただ隊に馴染ませるための説教かと思っていた。でも今なら伝えたかったことが少しだけわかる気がする。

 

今度はきっと、信じて良いんだ。

 

「うん。由良……お姉ちゃん」

 

 

 

 

あれから3つ季節は過ぎて、今日はあたしが初めて旗艦を任される日。だと言うのに朝から寝坊してしまった。

 

急いで支度を整えて部屋を飛び出す。施錠したのを忘れずに確認して寮の廊下を早足で急ぐ。

 

「おはよーぴょーん……」

 

「おはよーうーちゃん!」

 

「行ってらっしゃいぴょーん……」

 

パジャマ姿のまま髪の毛がぼさぼさのうーちゃんとすれ違う。今日は非番の彼女に軽く挨拶をして玄関を飛び出す。

 

ギリギリ遅刻せずにブリーフィングルームに駆け込んでこれからの作戦の最後の確認。いつも通り輸送船団を守って前線に物資を輸送。そして帰りは資源を積んで帰ってくる。

 

だけど敵には『いつも』は通用しない。だからこそ航路周辺での戦闘や敵らしき目撃例はしっかりと覚えて頭に叩き込んでおく。向かう先では散発的とはいえまだまだ深海棲艦の姿が確認されている。失敗はできない。

 

寮の食堂はもう閉まっていたので出撃までの間に朝に自室から持ってきてたクッキーを食べつつ岸辺で海を眺めている。

 

「阿武隈ちゃん」

 

「やあアブ」

 

声がして振り返るとあたしの姉の2人だ。

 

護送船団(コンボイ)の旗艦は色々大変だろうけどがんばってね」

 

「いきなりヘマするんじゃないぞー!」

 

「うわぁ鬼怒お姉ちゃん前髪変にしないでぇ!」

 

前髪に手を突っ込まれくしゃくしゃされた。それでもこの人たちは何事にも緊張しやすいあたしを元気づけてくれているとわかるんだ。

 

腕時計を見るとそろそろ刻限が近い。食べかけのクッキーを口に放り込む。

 

「帰ってきたらまたお茶しましょう」

 

「うん。3週間くらいだからちょっと先だね」

 

「うーん仲がいいねぇ2人は」

 

「鬼怒お姉ちゃんにはお土産持ってくるから。じゃあ由良お姉ちゃん、鬼怒お姉ちゃん、行ってきます!」

 

格納庫にて艤装を装備、各種機能点検、実弾の装填と必要な行程をこなすといよいよ海上と浮かぶ。群青の空と海とで挟まれたここはあたし達艦娘の世界だ。

 

今回のメンバーの中には響ちゃんや長波ちゃんもいる。もう半年以上も前だが横須賀の1件でとても心配してくれて、事の顛末を思い切って話したらあたしを元気づけてくれたとても大切な友達。2人共小さくあたしに手をひらひらと振る。

 

「さあ皆さーん!作戦は船団護衛、目的地は南方シンガポール!」

 

羅針盤を頼りに水平線のはるか向こうの目的地を指差す。

 

大きな輸送船にとってあたし達はそれは小さな見た目だが、艦娘は軍艦の力を備えた少女達で深海棲艦だろうが怪獣だろうが宇宙人だろうが何が来ようとやっつけちゃうんだから。

 

磯の香りとさざ波の音、港に停泊する大きな輸送船が目立つ茨城県央地区常陸那珂港基地……ここがあたしの帰りたい場所。

 

あたしはしがらみから逃げ出してここにいる。でも行き着いたここは逃げ場じゃない。あたしは今ここにいて、ここにいたいんだ。

 

外の世界で見かける仲睦まじい家族など幻想で決して手に届かないものと思っていた。傷けられて、強制されて、取り上げられる、それしか知らなかった。

 

でも基地の皆は信じてもいい、ここの人たちはそう思わせてくれる。

 

同じ国の同じ(おか)の上に住んでいるんだ、血の繋がった両親とまた顔を合わせることもあるかもしれない。だけどもう何も恐れない。

 

どんな困難な時でも周り隣を見れば戦友がいる、家族がそこにいる。皆に守ってもらって、そして今度は自分が守ってあげる、それがあたしの戦う理由。

 

「じゃあ出港です!!皆さーんあたしの指示に従ってくださいね!」

 

あたしは長良型軽巡艦娘、その末っ子の阿武隈なんだから。

 

 

 

~Fin.~



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