第一作 ヒッチハッカー
開発責任者:河城にとり
にとり「ついにできたぞ!」
椛「何かつくったんですか?」
にとり「おっと椛か。…どうしよっかなー。教えようか教えまいか…」
椛「いえ、別にそこまで興味があるわけでもないので教えたくないのなら別に…」
にとり「これはね、ヒッチハッカーといってね」
椛「ああ、結局話すんですね」
にとり「一言で言ってしまうと他人の乗り物を奪ってしまう機械なんだ」
椛「また物騒なものを…。あんまり犯罪的なものは私哨戒天狗として没収しますって前に言いましたよね?」
にとり「待って違う!こいつはそんなに名前ほど物騒なものじゃあないんだ!」
椛「では具体的にはどんなものなんです?」
にとり「うん。まずここに一台の自転車があるよね」
椛「はぁ…。たまに山の麓とかに流れ着いてますけどそれ、自転車というのですか」
にとり「そう。こいつは外の世界の人間の乗り物なんだけど、私はよくこいつを回収してバラして色々とリサイクルしているのさ。サイクルだけに」
椛「は?」
にとり「いや、うん。なんでもない」
椛「はぁ…。よくわかりませんが…。それでその自転車と今回の発明品にどんな関係が?」
にとり「そうそう、それで私は自転車を回収するわけなんだけど、その自転車によく鍵がかかってるんだよ。…どうせバラすから別にいいんだけどさー。一々鍵を外す手間が惜しくってね。このヒッチハッカーをつくったってわけなんだよ」
椛「なるほど。それで、そのヒッチハッカーをどうするんです?」
にとり「こいつをここの鍵穴のところに固定してスイッチを入れると、自動で任意の鍵穴に作り替えることができるんだよ。つまり自分の持ってる適当な鍵で開けられるようになるってわけ」
椛「へぇ、それはすごいですね」
にとり「だろう?他にも色々な機能があってね。割りと自信作なんだ」
椛「と、言うからには自転車以外の鍵も開けられるんですよね?」
にとり「モチのロンさ!なんなら鍵穴式でなくたっていいしね!自動車でも列車でも飛行機でも何でもござれさ!」
椛「家の鍵とかはどうです?」
にとり「へ?」
椛「自動車だの列車だのはよくわかりませんが、つまるところそれらは乗り物なのでしょう?では乗り物以外の、例えば家とか、倉庫とか、箱とかの鍵はどうなのでしょうか。開けられますか?」
にとり「えー…と。あー。まぁ…可能、かな」
椛「じゃあそれってもうただの鍵穴付け替え機ですよね」
にとり「そうなるね」
椛「ヒッチハッカーとか名前に乗り物専用臭出してるけど別にそんなことはないわけで」
にとり「そうだね」
椛「乗り物を奪う程度なら、別段私達天狗には困ることもないのでどうでもいいかなと思いましたけど、大抵の鍵を開けられる――作り替えることができるとなると、話は違ってきますね」
にとり「そうだよね。私もそう思う」
椛「その発明品は残念ですが山の違法危険物取り締まりの対象に当たります」
にとり「そう、なの、かなー…」
椛「没収です」
にとり「そんな御無体な!」
椛「駄目ならその場で破棄してもらうことになりますが。それでよろしいので?」
にとり「よろしくない!」
椛「それでは預からせて頂きます。大丈夫。私はこれを担当の大天狗様に提出するだけですので、多分無いとは思いますがこの発明品の安全性が確認されればすぐに返却されますし、駄目でも一々許可をとれば安全な使用に限っては許されることもありますから」
にとり「手間を惜しむために作ったのに使うのに一々手間がかかったら意味がないでしょうが!全然大丈夫じゃないよ!」
椛「私に言われても困ります。そういう仕事ですし、そういう制度ですので」
にとり「お役所仕事め!」
椛「お役所ですので。私も別に好きでこんなことやってるわけじゃありません」
にとり「知ってるよ!でも八つ当たりはしたい!」
椛「そうですか。じゃあもう私は行きますね。にとりさん。その胸に抱えた発明品をさっさと寄越しやがってください」
にとり「ああ!私のベイビー!」
椛「気持ち悪い言い方は止めてください。まるで私が悪者みたいじゃないですか」
にとり「私にとっては悪者だよね!?」
第一作 ヒッチハッカー 没収処分。
にとり印
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