第十五作 インダストボックス
開発責任者:河城にとり
にとり「ついにできたぞ!」
諏訪子「おーい。にとりはいるかーい?」
にとり「おっと!これはこれは諏訪子の旦那。私はここにおりますとも。本日はどんなご用件で?」
諏訪子「そうだな。まず一つ目の用件だけど、そのおかしな口調をやめようか」
にとり「諏訪子さんは私の数少ない大口のちゃんとした商売相手だから、一応敬意を表しておこうと思ったんだけど」
諏訪子「一応の敬意なんてお呼びじゃないよ。変な口調はもっといらない」
にとり「そうなの?そこまで言うんだったらやめるけど、諏訪子さんは神様なんでしょ?本当に敬語を使わなくて良いの?」
諏訪子「いいよいいよそんなもの。神奈子の奴なんかは、どこかでまだそういう信仰に拘ってるところがあるかもしれないけど、本来神様への信仰なんてものは心の中でそっと捧げるくらいが一番効能が高いのさ」
にとり「へー。そんなもんなのかね」
諏訪子「そんなもんさ。大袈裟に奉りすぎるとろくなことがない。信仰は暴走するからね。神様もついていけない信仰なんてろくなもんじゃないよ」
にとり「はー。なんだか神様本人に言われると含蓄があるように聞こえるなー」
諏訪子「なんとも含蓄の無い感想をありがとう。それで、用件なんだけど」
にとり「はいはい」
諏訪子「うちの神社は山の天辺に建ってるよね」
にとり「そうだね」
諏訪子「で、山に建っていることの弊害と言うか、どうもここらの場所はゴミが溜まりやすい気がするんだ」
にとり「そうだね。人里で捨てることができない物とか、誰かが隠して捨てたいものとか、外から流れてきた物とか、所謂投棄物がこの山には結構溜まりやすいんだよね。普段は白狼天狗が掃除したり、私達河童が再利用したりしてるんだけど、守矢神社に関しては多分もうそういう見回りが来ないだろうからね」
諏訪子「私達の土地は私達で管理しろってことだろ?まあ、そこは私も仕方ないと思うのさ」
にとり「ほうほう」
諏訪子「さっきにとりは再利用という言葉を出したけど、再利用と言えば近頃、森の狸達が落ち葉の肥料販売を始めたそうじゃないか」
にとり「そうだねー。あそこは外から
諏訪子「そこで考えたんだけど、私達もどうにか溜まったゴミをリサイクル出来ないかなって思ったんだよね」
にとり「ふむ、つまりそれは、私の新発明の出番ということだね」
諏訪子「新発明?」
にとり「そう。諏訪子さんは実に運が良い。私の今回の発明は、諏訪子さんの悩みにぴったりとフィットするものだよ。この、インダストボックスは」
諏訪子「インダストボックス?」
にとり「そう。こいつはまあ、一言で言ってしまえばゴミ箱なんだけど、勿論ただのゴミ箱なんかじゃあない」
諏訪子「他にも何か役割があると?」
にとり「そう。まずはここに何かゴミを入れる。すると、ここに画面がついてるだろう?この画面に、そのゴミから何か別のものが作れるようだったらその作れるものが表示されるんだ。そして画面に表示されている文字をタッチすると、その表示されているものをゴミから作り直してくれるというわけさ」
諏訪子「へえ!それはまた便利な機械だね!」
にとり「勿論便利だよ。何しろ私が作ったものだからね。究極のリサイクル用品を作ったと自負しているとも」
諏訪子「すごい自信だね。ふむ、じゃあそれを――」
早苗「つまりそれを使えば、ゴミから巨大ロボを作ることすら出来るということですか!?」
諏訪子「うわっ!早苗!?ついて来ていたのかい!?」
早苗「諏訪子様。駄目じゃないですか。技術屋に相談に行くのにお財布を忘れてましたよ」
諏訪子「え?ああ、そっか。ありがとう早苗」
早苗「それよりも巨大ロボですよ巨大ロボ!任せてください!偶然にもいらない鉄屑ならいっぱい持ってきたんです!」
にとり「どんな偶然!?…て言うか、そんなに大量のゴミを一気に入れたらダメだよ!……………あ、あーあ。ほれみたことか。壊れちゃったじゃないか。大体そんなゴミだけでロボなんか出来るわけ無いじゃん」
諏訪子「ちょっと!なにやってんの早苗!」
早苗「ご安心ください二人とも!確かに機械は壊れてしまったようですが、あまり巨大ではありませんけどロボならできましたよ!」
にとり「なんでそれで出来ちゃうの!?奇跡か!?」
第十五作 インダストボックス 故障。
不法投棄撃退合体ロボ ソダイ量産型 完成。
にとり印