第十六作 モンキーポット
開発責任者:河城にとり
にとり「ついにできたぞ!」
魔理沙「おーい、邪魔するぜー」
にとり「邪魔するんなら帰れ!」
魔理沙「辛辣っ!いや、言葉のあやじゃんかよ。邪魔なんて多分しないっつーの。てゆーか、私は用事を果たしに来たんだぜ?」
にとり「ああ、この前言ってたパソコンのこと?」
魔理沙「多分それだ。外の世界の式なんだろ?これ」
にとり「そーそー。それそれ。あー…。ちょっと型落ちしてるなーこれ」
魔理沙「型落ち?」
にとり「古いってことさ。ま、幻想郷に最新機種が流れてくることなんてそうそう無いから、最初からそこら辺は期待してなかったけどね」
魔理沙「なんだ。型が古いとそんなに違うもんなのか?」
にとり「日進月歩なんて言葉があるけど、今の外の世界の電子機器産業は正にそれさ。一年分作られた型が違うと、中身の性能も雲泥の差なんだ。こいつは三年前くらいの型番だね。とてもじゃないけど最新だなんて呼べないよ」
魔理沙「たった三年でもう古いだなんて呼ばれちまうのか?道理で外のものが大量に流れ着いてくるわけだぜ。外とここじゃ時間の流れが違うな。忙しなくっていけねえ」
にとり「そうだねえ。河童の暮らしも、百年前と今とじゃ大違いさ。昔はのんびり胡瓜でもかじって将棋指してたら1日が終わったもんだけど、今や研究、開発、また研究の毎日だからね」
魔理沙「幻想郷にいても、外の影響はどうしても入ってくるってことか」
にとり「技術革新と、その前後の暮らしかたの違いの話さ。事実、産業革命期の機械化の導入による仕事率の差が、人の暮らしの時間の流れの差に繋がっている」
魔理沙「うへえ。なんだかややこしい話になってきやがった。いいよそうゆうのは。私達がのんびり暮らせればそれでいいのさ。そんな技術とやらに必ずしも頼らなくったって私達は生きていけるしな」
にとり「究極的にはそうだね。でも、結局便利なものがあったら、それに手を伸ばしちゃうだろう?」
魔理沙「それは言えてるぜ。ところで、さっき何か作っていたようだけどなんか新しいもんでもできたのか?」
にとり「うん?ああ、そうだね。確かに、新しい発明品はできたよ。ほら。こいつさ」
魔理沙「おお?なんだこれ?…盆栽かなんかか?随分と気になる形の木だな」
にとり「まあ、外国の名前も知らない木をモデルに作っているから見覚えのない形はしているよね。こいつはその名もモンキーポットといってね。まあ、名前の通り、要するに水差しさ」
魔理沙「水差しだって!?この木が!?」
にとり「そうだよ。ほら、そこの枝が途中で切れている部分が注ぎ口になっているのさ」
魔理沙「はー!なんともお洒落なものを作ったもんだ」
にとり「ポットとは言ったが、こいつは見た目通り植物でもあってね。植物としてのこいつの性質が、ポットとしてのこいつの性質を高めてくれるのさ」
魔理沙「なんだって?どういうことだ?」
にとり「こいつはこうやって机の上に置いておけば空気中から、また地面に置いておけば地中から水分を吸いとって、中の空洞部分に綺麗な水を貯めておく性質が有るのさ。つまりこいつは、注ぎたいときに何時でも新鮮な水を注ぐことができる水差しなんだ」
魔理沙「おー。そりゃすげえ!一々井戸まで水を汲みにいかなくってもいいってのは手間が省けて助かる。便利なものには手を伸ばしたくなる。ぶっちゃけ欲しいぜ」
にとり「別にいいよ一つくらいなら。モンキーポットはそこの花壇でいっぱい栽培してるから」
魔理沙「おお!そんじゃま、遠慮なくもらっていくとするぜ」
にとり「おー。もってけもってけ。後で意見聞かせてよね。商品化の参考にするから」
数か月後…
魔理沙「おい!あれどういうことだよ!」
にとり「ひゅい!?なんだよいきなり!」
魔理沙「モンキーポットだよ!あれ、凄い勢いで成長してるんだけど!」
にとり「んあー?そりゃあモンキーポットは植物だもの。成長くらいするさ」
魔理沙「限度があるだろ!もう机の上に乗らねーぞあれ!」
にとり「そりゃそうだ。あれのモデルはそこら辺の草でも植え込みでも盆栽でもないもの。木だもの。でかくもなる」
魔理沙「…。具体的にはどれくらいでかくなるんだよ。あの木」
にとり「さて、何しろ外国の名前も知らない木がモデルだからねえ。ま、最終的にはみんなが集まる目印くらいにはなれる程度に大きくなるんじゃないかな?」
魔理沙「でかすぎだよ!もうポットじゃねーだろそれ!」
にとり「貯水槽として使えるかも」
魔理沙「一個人が持ってたら絶対もて余すだろう。それは」
にとり「育てていけば見たこともない花が咲くかもしれないよ?」
魔理沙「なんだ。花が咲くのか?あの木」
にとり「知らない知らない。なんせ名前も知らない不思議な木がモデルだからね」
魔理沙「おざなりな回答だぜ…」
第十六作 モンキーポット 成長中。
にとり印
日立グループの提供でお送りしました。(大嘘)